議会発言集(2014.6~2018.3)

平成26年  6月定例会(第3回) - 06月12日-04号

P.145

○議長(関口孫一郎君) 4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.145

◆4番(針谷育造君) 栃木新風会、4番、針谷育造でございます。通告に従い一般質問をいたします。質問の要旨は、1番といたしまして、栃木市総合計画への岩舟地域の位置づけについて、2番、小野寺北小学校旧校舎の保存と活用について、3番、岩舟地域の獣害対策について質問をしたいと思います。

  それでは最初に、栃木市総合計画等への岩舟地域の位置づけについて伺いたいと思います。私は、今回の市議会選挙に当たり、大岩藤の発展なくして栃木市の未来は語れない。そのためには、発展の可能性が高いこの地域が将来の栃木市の鍵を握っていること、つまり栃木市の南西部、大平、岩舟、藤岡地域で連携したまちづくりが必要であると訴えてきました。その理由は、地形、地勢的にも発展可能性の地域として最適のところであり、さらに交通の要衝であることであります。群馬県、茨城県を東西に結び、両毛地区の主要都市をつなぐ国道50号線、さらに50号線に並行する県道小山岩舟線、桐生岩舟線の幹線道路が走っております。南北には、栃木市内を走る県道栃木藤岡線、さらには高速道路東北自動車道、佐野藤岡インターがございます。さらに、鉄道では、JR両毛線、東京と栃木市内をくまなく結ぶ東武日光宇都宮線の有機的結合による開発を進めるべきだと訴えてまいりました。交通の要衝であるこの地が、なぜ開発されなかったのかと考えてまいりました。幸い、手つかずの広大な平地林がこの地域にはございます。一方、市長の岩舟地域マニフェストでも、佐野藤岡インター周辺の産業団地の整備の推進、そして岩舟町・藤岡町大規模開発計画を再スタートさせ、地域産業の振興を図ります等とあります。

  そこで、このような状況を踏まえ、栃木市総合計画等に岩舟地域をどのように位置づけるのか伺いたいと思います。

 

 

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◎市長(鈴木俊美君) 栃木市総合計画への岩舟地域の位置づけについてでありますが、4月5日の岩舟町との合併に伴い、合併協議会で策定をいたしました新市まちづくり計画を踏まえ、新しい総合計画の策定に向けて現在改定作業を進めているところであります。主な作業といたしましては、岩舟町合併に伴う各種数値、数字の見直しに加え、岩舟地域のまちづくりの方向性を地域の姿としてまとめていくものであります。特に、地域の姿につきましては、岩舟地域におきましても、既存の総合計画と同様に、地域協議会の協力を得ながら策定をしてまいります。岩舟地域の地域の姿策定に際しましては、岩舟地域の資源や特性を生かしつつ、市町村合併のメリットであります広域的視点に立ったまちづくりが進むよう、まちづくりの方向性を描いてまいりたいと考えております。その上で、旧岩舟町時代に推進が図られなかった事業、例えば市域、市の領域の東西を走る国道50号線沿線、南北を走る県道栃木藤岡線沿線などは、大平地域、藤岡地域並びに岩舟地域を一体的に結びつけ、各地域の個性や特色を生かした土地利用構想をつくり上げ、栃木市南部、ひいては市域全体の発展へとつなげてまいりたいと考えております。なお、岩舟地域の施策の一部、具体的には岩藤大規模開発は、既存の総合計画における藤岡地域の地域の姿の中で、既にインターチェンジ周辺活用エリアとして位置づけております。さらに、私の今回のマニフェストの施策として具体的に織り込み済みでもありますので、現在改定作業を進めている総合計画の策定に当たりましても反映されておりますし、さらに追加して反映をしていく所存でございます。

  以上であります。

 

 

P.146

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.146

◆4番(針谷育造君) 大変前向きに、そして建設的な市長の答弁、ありがとうございました。それでは、この計画策定に当たりまして、今後の日程、方法も若干述べられましたけれども、どのような手順でなるのかをお伺いしたいと思います。

 

 

P.146

◎総合政策部長(赤羽根正夫君) 具体的な今後の岩藤大規模開発の手順ということでよろしいでしょうか。

               〔「はい」と呼ぶ者あり〕

 

 

P.146

◎総合政策部長(赤羽根正夫君) そこまでの具体的な、現在の段階では、そこまでは至っておりませんが、まずは総合計画を今年度岩舟地域を中心として改定いたしますので、その中で、地域計画の中で十分、既に藤岡地域の中でもインター周辺ということでの位置づけはされておりますけれども、岩舟地域を含めた中での整合を図った中で、エリアどり的なものも含めて概要は詰めていきます。その後に具体的なエリアとか、既に現在も協議会等はございますが、休止状態というようなこともありますので、その協議会をどういうふうに立ち上げていくかということも含めて、詳細を詰めていく形になろうかと思います。

  以上です。

 

 

P.146

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.146

◆4番(針谷育造君) ありがとうございました。それでは、ちょっと角度を変えまして、再質問になりますけれども、ご承知のように、4月5日に合併を果たしました。この合併によるメリットは、まさに市長の答弁のようにはかり知れないものが私はあるのではないか。栃木市の総合計画の基本構想や土地の骨格、土地利用構想の完成度は、大幅にアップをするのではないでしょうか。今まですっぽりと抜け落ちておりました岩舟地域が埋まることにより、岩舟地域は栃木市の南部の中心に位置することになります。栃木市は、将来的には大きな財産を得たと思う、私はそのように考えております。たびたび申しわけありませんが、このことについての市長のお考えを聞かせてください。

 

 

P.147

◎市長(鈴木俊美君) まず、今回岩舟地域が栃木市と一緒になることによって、栃木市の全体の形としては大変成形、縦長といいますか、長方形の形になったところでありまして、形の上でも、まず岩舟地域が加わっていただいたということは、栃木市にとって大変大きな意義がございます。それから、岩舟地域の持っておられる、いわゆるポテンシャル、将来への可能性あるいは魅力、こういうものについても議員がおっしゃるとおりではないかと思います。これからは、栃木市の、とりわけ南の地域の一角を占める岩舟地域としてのさまざまな発展が考えられるところでありますので、このことについても議員がおっしゃられるとおりかと思います。ただ、栃木市にとりましては、失礼ながら岩舟地域だけではなくて、他の地域も全て魅力的なところでございます。そういう意味においては、これからは栃木市の一角を占める岩舟地域の持てるポテンシャルを十分に引き出していくことができるように、そしてそれが栃木市にとって魅力となっていくように、いろんなことを手がけていかなければいけないというふうに思います。その手がけていく中では、まだまだ地域としてやり残している課題あるいはこれから充実させていかなければならない施設や、いわゆるインフラの整備などもやっていかないといけないこともありますので、これらについても他の地域と同様、これから内容の充実に努めていくことが大変必要だろうというふうに思っております。そのようなことを通して、何度も申しますが、栃木市にとっての全体の発展に、岩舟地域のポテンシャルが貢献してもらえるように、そして岩舟地域そのものがこれまでやり残していたものをきっちりとやり遂げていくことが、これからは大切になっていくだろうというふうに思っております。

 

 

P.147

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.147

◆4番(針谷育造君) ありがとうございました。それでは、少し具体論に入りまして、2番目の質問に入らせていただきたいと思います。岩舟・藤岡地域住民にとって、大規模開発計画は、まさに悲願50年の課題であります。この大規模開発計画の経過をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

 

P.147

◎総合政策部長(赤羽根正夫君) ご質問の岩舟町・藤岡町大規模開発の経過についてお答えを申し上げます。

  本開発は、針谷議員もご承知のとおり、旧岩舟町、旧藤岡町にまたがる地域における大規模な住宅地開発と同開発に伴う東武日光線の藤岡駅、静和駅間に新駅を整備するというものであります。本開発の経過でありますが、今から48年前の昭和41年に、東武鉄道株式会社より東武日光沿線開発に関して旧岩舟町、旧藤岡町への意思表明がなされたことが始まりでございます。しかし、同年10月に勃発した第4次中東戦争に端を発した第1次オイルショックの影響を受けて、東武鉄道株式会社による開発計画は、一時後退を余儀なくされました。その後、昭和50年には、開発手法として土地区画整理事業が検討され、東武鉄道株式会社より計画工程表が示されるとともに、昭和59年には同社から合計274ヘクタールの開発計画が提示され、地元説明会が開催されました。これを受けて同年、旧岩舟町の地元、御門地区において、岩舟御門土地区画整理準備委員会が発足され、委員会から町に対して技術支援の要請がございました。昭和63年には、行政側の事業化推進の母体として、県、旧岩舟町、旧藤岡町の関係者をメンバーとした岩舟町・藤岡町大規模開発連絡協議会が発足し、開発の推進に向けて、旧岩舟、旧藤岡両町の協力体制を整えてまいりました。

  また、翌年の平成元年3月には、栃木市、小山市など当時の2市7町1村圏域を範囲として、栃木・小山定住圏計画、いわゆるトナンプランが策定され、岩舟町・藤岡町大規模開発区域については、豊かな自然環境のもと、産業と居住機能が複合的に整備される地域として位置づけられました。そのほか平成6年には、栃木県南部地方拠点都市地域の指定を受け、翌年3月に策定された栃木県南部地方拠点都市地域整備基本計画においては、この大規模開発を市町別の整備方針の中で、緑豊かな自然環境を生かし、居住機能を軸に「産・緑・住」の機能からなる複合都市開発を推進し、住宅・宅地と新たな産業集積による就業機会を提供していくものとして位置づけ、開発面積を旧岩舟町、旧藤岡町合わせて137ヘクタールと定められました。このような中、岩舟町・藤岡町大規模開発連絡協議会では、協議会が主体となって各種の調査を実施するとともに、地域内への説明会、関係者向けパンフレット配付、アンケート調査、先進地視察、東武鉄道株式会社との事業推進打ち合わせを実施するなどの活動を独自に推進してまいりました。しかし、1986年代から始まった好景気も、4年後の1990年代にはバブル崩壊により景気の後退を迎え、景気の悪化とともに活動が低下し、平成12年3月に協議会が主体となって実施した岩舟・藤岡大規模開発産緑住複合都市開発推進事業調査が完了すると、翌年3月29日開催の協議会総会及び推進事業調査報告会を最後に、現在まで協議会の活動は休止状態となっております。

  以上が現在までの経過でございます。

 

 

P.148

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.148

◆4番(針谷育造君) 大変詳しい経過をありがとうございました。ここで、次に移りますけれども、今の状況で岩舟町・藤岡町大規模開発計画の見通しについてお伺いすることも極めて困難かなと思いますけれども、とりあえず上げておりますので、ご回答をお願いしたいと思います。

 

 

P.148

◎総合政策部長(赤羽根正夫君) ご質問の岩舟町・藤岡町大規模開発計画の見通しについてお答えを申し上げます。

  本開発計画は、先ほどの開発の経過に関する答弁の中でお答えいたしましたとおり、1990年代のバブル崩壊による景気後退や社会情勢の変化等により、平成13年3月の岩舟町・藤岡町大規模開発連絡協議会総会を最後に、協議会の活動は休止状態にあります。活動休止から13年が経過した現在、現行の栃木市総合計画においては、針谷議員の言われる大規模開発を藤岡地域の地域の姿の中でインターチェンジ周辺開発エリアにおける産業基盤整備地域として位置づけ、大規模開発の当初の目的である居住機能を中心とした複合都市の開発の趣旨からは方向転換をいたしました。少子高齢化が進む中、社会情勢の変化に伴い、交通の要衝である佐野藤岡インター周辺や国道50号線に隣接しているという地理的好条件を生かし、企業誘致を推進することは雇用の確保による若い世代の定住や新たな人口流入の促進及び市の財政基盤強化など、多様な効果を担うことから、事業推進に当たっては、製造業や物流関係の産業団地の整備なども今後視野に入れる必要がございます。今後は、当該地区の地理的条件等を考慮すれば、産業団地開発への可能性はあると考えられますので、具体的な整備区域や方針等を周辺地域最大の地権者である東武鉄道株式会社との折衝を踏まえ、地域の皆様や関係機関と協議しながら検討してまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.148

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.148

◆4番(針谷育造君) 大変ありがたい、産業団地の可能性は十分にある、そのようなことを聞きまして、非常に地域の皆さんも喜ぶ回答であったというふうに思います。私は、この産業団地等の雇用の確保の場の開発について、いささか角度を変えてお伺いをしたいと思います。よろしいでしょうか、議長。

 

 

P.149

○議長(関口孫一郎君) 再質問ということですか。

 

 

P.149

◆4番(針谷育造君) はい。

 

 

P.149

○議長(関口孫一郎君) はい。

 

 

P.149

◆4番(針谷育造君) 私は、この大規模開発計画を達成するために、実は栃木市役所1階へ東武宇都宮百貨店をテナントとして市長の英断で入れたということを聞いたときに、これは何かの布石ではないのかなと感じました。私が勝手に思っていることでございますけれども。承知のように東武鉄道は、資本金1,021億円、明治30年設立され、地元密着でその業績を伸ばし、現在は関連グループ93社を有する大企業であります。幸い栃木市内には、地域ごとにそれぞれ駅があり、多くの市民の足として利用し、親しまれております。この岩舟・藤岡大規模開発に栃木市の命運がかかっていると思ってもいいのかなと私は勝手に思っております。この計画は、先ほど赤羽根部長から言われましたように、137ヘクタールのうち、東武鉄道所有地55.3ヘクタール、内訳は山林が40.46ヘクタール、原野14.7ヘクタール、全体の40%を占めております。残りは岩舟、藤岡地域の地元地権者の所有あるいは町外の方、あるいは市外の方もいらっしゃると思いますけれども、81.67ヘクタール、これは山林と農地であります。東武鉄道は、平成25年6月、7月に、農業委員会の許可を得て農地を原野に変更いたしました。つまり農地が14.7ヘクタールだったものを原野に地目変更いたしました。東武の準備態勢は整ってきたのかなと思います。この開発は、東武鉄道抜きには前へ進まないと思います。たびたびで申しわけありませんけれども、市長のお考えを、簡単で結構でございますからお考えを聞かせてください。

 

 

P.149

◎市長(鈴木俊美君) まず、東武鉄道との連携という点に関し、議員からご指摘をいただきました本庁舎1階に東武宇都宮百貨店栃木店が入店をしていることについてでありますが、まずは栃木市の魅力を高めるには、どんな商業施設がよろしいかという観点から、あくまでそれを中心として選考した結果、東武宇都宮百貨店栃木店さんが入店をしていただけるということになりまして、このようないわゆるデパートの様相を呈する商業施設が1階にあるということは、栃木市にとっての魅力を必ずや高めていくであろう、かつまた中心市街地の活性化への、必ず少なからぬ好影響を与えてくれるだろうという思いであります。と同時に、東武鉄道というのは、我が栃木市を南北に貫く大動脈としての鉄道でありますから、かつその鉄道の存在を通して栃木市の観光の面でも、それから多くの人に来ていただくことをこれから考えていかなければならない上でも東武鉄道の協力は必要不可欠でありますから、そうした東武鉄道グループとのよりよき関係を築いていくことができるなら、それにこしたことはないということでございます。

  一方、いわゆる岩藤開発における東武鉄道様の存在意義ということになりますが、まず第一は、何といっても対象となる面積の4割を占める大地主であります。したがって、これから開発計画を栃木市が本格的に進めていこうとするならば、まずはこの大地主の東武鉄道さんの協力がなければ、これは立ち行かないことであります。と同時に、他の地主、地権者の皆さんの協力もいただかなければならないのは、これはもう当然でございますので、その中でもとりわけ大地主としての東武鉄道さんにはご理解をいただくとともに、ご理解というのは従来の住宅地を中心とした整備開発ではなくて、産業団地等の造成を中心とした開発へと進めていく上でのご理解、そしてご協力が得られるかということが大切になります。この点、従来の岩藤開発で目標としていました新駅の設置、そして住宅地を中心とした緑の環境豊かな一大エリアをつくっていくということについては、恐らくこれからは無理だというふうに思います。新駅の設置ということに関しましては、東武鉄道さんはその後、板倉東洋大前駅をおつくりになりました。そして、住宅地等の造成についても、これまた板倉東洋大駅前に広大な住宅地をつくっておられます。失礼ながら、しかしその現状については、ご案内のような状況でありますから、経済状況等も考慮すれば、東武鉄道さんが再びこの地において、そうした計画をみずから実行していくという可能性は極めて低いだろうなと思わざるを得ません。

  したがいまして、これからはやはり地元行政あるいは他の企業などの協力をいただかないと、なかなか厳しいだろうというふうに思っております。その点からも、東武鉄道さんにはご協力をいただくということは、ぜひともこれから求めていかなければならないところだろうなというふうに思っております。ちなみに、東武鉄道様が持っておられたこの地の一部が今は東武藤が丘カントリーになっているわけですね。ゴルフ場へと一部は変えておられたりしているわけでございます。そうした地域であることのご理解と、そしてそれには何度も申し上げますが、東武鉄道の協力なくしては、いずれにしてもなし得ないであろう計画になることは間違いのない事実でございます。東武鉄道とのよりよき関係を構築していく中で、そうしたことへのご理解とご支持、ご支援をいただけるようなことを目指していかないといけないだろうというふうに思っております。

 

 

P.150

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.150

◆4番(針谷育造君) ありがとうございました。

 

 

P.150

○副議長(海老原恵子君) 一般質問を続けます。

  針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.150

◆4番(針谷育造君) それでは、栃木市総合計画等への岩舟地域の位置づけについての最後の質問でございますけれども、トナンプラン等の経過と現状について、先ほど回答をいただいたというふうに理解をしておりますので、今後精いっぱいの努力と、そして全市的な合意を得ながらやっていただくことをお願いをしたいというふうに思っておりますので、この質問については割愛をさせていただきたいと思います。

  最後に、要望ということで、栃木市総合計画に岩舟・藤岡大規模開発計画を含め、地域協議会、地元地権者の皆さんの意見を反映させ、16万4,000人の栃木市民の将来のためにも、揺るぎない計画を策定することを要望したいと思います。悲願50年の課題に明るい兆しが見えてきたと私は感じました。きのうの市長の答弁ではございませんけれども、死に物狂いで頑張るとは私は言いません。政治生命をかけて、ともに汗をかく覚悟でございますので、確実な歩みの一歩をお願いをしたいというふうに思います。

  それでは、2番の小野寺北小学校校舎の保存と活用についてに質問を移らせていただきたいと思います。小野寺北小学校の保存について、栃木市の考え方を伺いたいと思います。最初に、小野寺北小旧校舎の沿革と保存運動の経過について申し上げ、議員各位の皆様にもご理解をぜひいただきたいというふうに思います。小野寺北小旧校舎の場所は、県道栃木佐野藤岡線の西側に隣接し、村檜神社、大慈寺の南約1キロ、小野寺地区の上耕地というところにございます。その歴史は古く、明治6年、大慈寺を仮校舎として開校、明治27年、ちょうど日清戦争の時代でありましたけれども、ここに旧校舎が建てられ、明治33年には南校舎を増築、明治41年には玄関と2階建ての校舎がつくられ、現存するのは明治27年と明治41年の校舎でございます。平成元年、新校舎の完成により、学童保育、地域の研修所、高齢者のふれあい館として地域に開放して現在までやってまいりました。この旧校舎は、県内では現存するものでは最も古いものでございます。120年の時を超え、6,000人の卒業生を送り出しました。

  次に、保存運動の経過を若干述べたいと思います。平成21年、この周辺の山側が土砂災害特別警戒区域等に指定されました。当時の町長は、建物の老朽化等を理由に、平成24年12月議会で解体を明言し、平成25年度予算に新研修所の新築予算、同時に旧校舎の解体費を計上しました。旧小野寺北小校舎を保存する会は、このときに結成され、運動を始めました。旧校舎の学区内の90%を超える867人の署名をつけて陳情し、その活動状況が新聞各紙で報道されました。しかし、町は文化財的価値がないと解体の方針を変えませんでした。何度かの交渉を重ねましたが、意見は食い違い、そのまま経過が過ぎました。この新聞報道を見た宇都宮大学、梶原教育学部教授が現地を調査したことから、多くの専門家が強い関心を示しました。平成25年の10月3日には、東京芸術大学大学院教授、上野勝久氏、これは栃木県文化財保護審議委員会、この先生が足利の鑁阿寺を国宝にしたときのリーダーでございました。その先生が現地を調査し、文化財的価値を認め、メモという形で町長に提出されました。さらに、10月30日、小山高専の苅谷勇雅校長が、永峰助教と学生50人で現地調査を実施し、このような立派な報告書をつくっていただきました。さらに、小山高専苅谷校長は、12月8日、栃木市文化大使にもなっておりますけれども、講演会を開き、歴史的建造物を生かすことの重要性を、そして必要性を保存する会の皆さんは学んだと思っております。さらに、年が明けた平成26年の2月2日、東京芸術大学大学院教授の上野勝久氏の講演会を実施し、今やらねばいつやるの、今でしょうと保存する会のメンバーは、文化財的価値を再確認し、運動への成功をこのとき確信しました。私はそのように思っております。その後、小山高専名誉教授の河東義之氏、栃木県文化財保護審議委員並びに栃木市の文化大使を兼ねております。の現地調査と文化財的価値についての意見をいただき、このような中で、ついに町も解体しないことを決断いたしました。この間、全国の建築士会、文化財専門家から保存要望等が町に多数寄せられ、その結果、解体しないで栃木市に対応を委ねるということになりました。

  そこで、この旧校舎保存の栃木市としての考え方を伺いたいと思います。

 

 

P.151

◎市長(鈴木俊美君) 旧校舎保存の考え方についてでありますが、4月、岩舟町の栃木市への合併に伴いまして、小野寺北小学校の旧校舎も当然ながら栃木市の所有と現在ではなったわけであります。旧小野寺北小校舎を保存する会の皆様からは、文化財の価値判断といたしまして、建築がご専門の先生方が調査した資料を提供いただきました。先ほど議員もお示しになったようなものであります。また、一方では、建物が土砂災害特別警戒区域に位置しており、利用者の安全確保の面からは、使用を控えなければならない状況であることも事実であります。引き継ぎました栃木市としては、まず改めて市として建築関係の専門家等に依頼をして調査を実施していくことから始まっていきたいと考えております。何分旧岩舟町からは、栃木市に対応を委ねるということになっておりますので、委ねられた栃木市としては、改めて栃木市としての認識を持つことから始めていかないといけないというふうに思っております。

  具体的には、専門家による第三者的な調査を実施をし、建物の調査だけではなくて、その重要性や具体的な保存の方向性なども検証、検討していただくことになろうかと思います。その後において、その調査の結果報告等に基づきまして、残すべきかどうなのか、残す場合はその残し方はどうすべきなのか。つまり、現場に今のままで残していくのか。ただ、その場合は何度も申し上げますが、土砂災害の警戒区域ということもありますので、それらとの整合性をどう図っていくのか、あるいは財政的な負担は市にとってどのくらいになっていく可能性があるのか等々、栃木市の例といたしましては、旧栃木駅舎を、その部材などを残して、従来の駅と異なる場所に部材を利用して復元をし、現在に至っているという例もありますので、そういうふうな可能性なども含めて、要はもう一度全ての問題を検証するための調査をしていきたいということでございますので、少し時間をいただいて、今のような調査から実施していくことを始めたいというふうに考えております。

 

 

P.152

○副議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.152

◆4番(針谷育造君) 全てはその調査にかかっていると思いますし、私は非常に文化財的価値が高いということは、専門家も申しておりますので、その調査に委ねるということで、私も了解をしたいというふうに思います。それらのこととは若干異なりますけれども、次の質問に移らせていただきたいと思います。

  栃木県の文化財指定をお願いしたい、このことでございます。文化財価値については、建造物が専門の東京芸大の上野勝久氏は、県内で確認された明治期の小学校は、佐野市にあります三好小学校旧校舎、小野寺北小旧校舎、那珂川町にあります小口小学校旧校舎、これは希少な明治期の木造校舎として歴史的価値があり、この3校を栃木県文化財指定も考えてもよい、このような評価をしていただいております。ちなみに、建造物専門の河東義之小山高専名誉教授、同じく建造物で、那須烏山市にお住まいの文化財保護審議委員の斎藤弘江氏も同様の意見でございまして、県の文化財保護審議委員の中の4人の建造物の先生がいらっしゃいますけれども、そのうちの3名の方はこのようなことで意見は一致している、このようなことも心強いお話をされておりますので、ぜひともその専門家の皆さんにもぜひ入っていただきながら調査をしていただきたい。そして、あわよくば、私はなると思いますけれども、県の文化財としての指定をお願いしたいことをここでお願いをしたいと思います。

 

 

P.152

◎教育副部長(小林敏恭君) ご質問の栃木県指定の文化財登録についてお答えを申し上げます。

  栃木県の指定文化財となる場合、所有者からの申請に基づき、県も調査を行い、その後、県の文化財保護審議会の審議と答申を経た上で、栃木県教育委員会が指定を判断いたします。指定された建物は、復元修理を基本として保存し、内部も復元し、保存することが原則になってまいります。県指定文化財の修理には、県の補助金が交付されることとなりますが、建物の利活用は限られたものとなります。一方、国の登録有形文化財という登録制度がございます。ご質問の県指定文化財に比べると、建物の外観の保存をメーンとする制度であり、外部についてもその4分の1が変更可能であり、内部については改装が自由で幅広い利活用が可能なものとなっています。ただし、文化財としての修理に対する補助金の制度はないことから、景観などの補助制度の活用の検討が必要となってきます。

  小野寺北小学校旧校舎の文化財としての指定や登録についてでありますが、先ほど市長が答弁いたしましたとおり、少し時間をいただき、市の考え方がまとまった時点で、今後の利活用や建物の文化財としての価値を踏まえて、市や県の指定文化財がよいのか、国の登録有形文化財がよいのかは、適宜判断してまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.152

○副議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.152

◆4番(針谷育造君) 大変適切な答弁いただいたというふうに思っております。

  3番の明治の小野寺北小校舎、これは私とすれば、地域の人もそうでありますけれども、活用して初めて生きるというふうに考えております。調査の結果がどうなるかわかりませんけれども、今のお答えの中では、解体するという話は出なかったものですから、次に移らせていただきながら、(仮称)歴史と文化の道ということで、観光、地域活性化の目玉になるのではないか、そんなところで意見を申し上げたいと思います。

  ご承知のように、この地域は、慈覚大師円仁を生んだ地でございます。慈覚大師円仁は、794年、「鳴くよウグイス平安京」と覚えましたけれども、平安初期に下野の都賀郡で生まれたとされています。私は岩舟、つまりこの栃木市で生まれたことは、歴史的にも文献的にも確認できると考えております。9歳から15歳まで大慈寺で修行し、その後比叡山に登り、最澄の弟子になりました。42歳のとき、最後の遣唐使として唐に渡り、10年に及ぶ困難な旅を続け、その時代の国際情勢、政治経済、宗教、文化、風俗、人々の暮らしを自分の目と足で、旅をしながら書き続けた日記がございます。現在は国宝に指定されておりますけれども、「入唐求法巡礼行記」、膨大な、文庫本でしか私は読みませんでしたけれども、大変な10年間の唐の時代の生活や今言ったことが、元駐日大使のライシャワー博士により翻訳され、世界に発信をされました。ご承知のように、世界三大紀行文、マルコ・ポーロの「東方見聞録」、玄奘三蔵の「大唐西域記」の三大紀行文の一つとして紹介をされました。帰国後は、比叡山の3代座主となり、天台宗の中興の祖とも言われておる円仁でございます。また、大慈寺に隣接して村檜神社がございます。三間社春日づくりの社殿は、国の重要文化財に指定されております。また、全国に住んでいる小野寺氏を名乗っている人たちの発祥の地としても、小野寺は有名でございます。その小野寺氏の菩提寺の住林寺には、県指定文化財の平安期の阿弥陀如来座像が指定をされております。このように小野寺は歴史の宝庫でもあります。

  このような地域の中で、小野寺地区を、小野寺地区に限らなくても構いませんけれども、歴史と文化の道としての観光地域活性化の方策を私はお願いしたい、そのように考えておるものですから、お考えを伺いたいと思います。

 

 

P.153

◎産業振興部長(早乙女洋君) ご質問の小野寺地区の歴史、文化の道として、観光活性化についてお答えを申し上げます。

  議員ご指摘のとおり、岩舟地域小野寺地区につきましては、慈覚大師円仁が修行をしたと言われる大慈寺を初め、国指定重要文化財に指定されている村檜神社など、歴史、文化的観光資源が集積している地区でありまして、合併前の岩舟町におきましても、これらの資源を活用した観光振興を図るための施策を進めてきたところであります。このような中、市では旧岩舟町を含めた新しい栃木市全体のさらなる観光振興を図るため、本年3月に栃木市観光基本計画を策定したところであります。この計画の中では、岩舟地域における具体的な施策の一つとして、小野寺地区を中心に慈覚大師円仁を初めとする地域の歴史、文化を伝え、観光情報を発信していくことを掲げております。このほか、この計画では、周遊観光モデルルートづくりを今後3年以内に優先的に着手するスタートアップ事業と位置づけておりまして、各地域が有する観光資源の特徴を物語としてつなぎ、周遊観光モデルルートとして設定してまいりたいと考えております。小野寺地区が有する歴史、文化的観光資源もこの重要な素材の一つと考えられますので、観光による地域活性化の取り組みとして、周遊観光モデルルートに組み込んでまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.153

○副議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.153

◆4番(針谷育造君) ご答弁ありがとうございました。周遊観光ということで、実は夕べ私のところにファクスが入ってきまして、地域協議会の委員の中から、ふれあいバスを使いながらこのことをぜひ地域の発信網、そして地域との、あるいはその地域外の人たちとの交流の場としてのふれあいのバスをぜひ利用したらどうだろうという提案を、夕べ協議会があったようでありますけれども、メールで私のところにいただいていることも申し伝えておきたいと思います。

  最後の、非常に現実的な問題でありまして、早急にお願いしたい。4番の雨漏り等の修繕を早急にお願いしたい。保存するには調査が必要だ。しかし、現在の建物には雨漏り等修繕が早急にしなければならない必要性がございます。特に玄関等々、校舎の間の谷間、谷の部分であります。さらに、教室の雨漏り数点、校舎西側の堀ざらいと排水、校舎南側の雨水排水、雨どいの設置等、早急にお願いをしたい。また、地元には保存する会や地元老人会の皆さんが既に敷地の管理等に積極的に協力を申し出ており、除草や草刈り、清掃等も既に実施をしております。そのためにも、早急な修繕をお願いしたいと思いますので、ご回答をお願いしたいと思います。

 

 

P.154

◎岩舟総合支所長(大島純一君) ご質問の雨漏り等の修繕についてお答えを申し上げます。

  小野寺北小旧校舎につきましては、これまで学童保育館、高齢者福祉施設、小野寺ふれあい館や地域公民館として利用をしてまいりました。しかし、土砂災害特別警戒区域内に位置し、老朽化も進み、利用者の安心、安全を確保するために、代替施設として近隣に小野寺地区公民館が整備されたことによりまして、現在は閉鎖をしている状況でございます。雨漏り等の修繕につきましては、雨漏り等の状況を早急に調査し、小規模な修繕等は早急に対応させていただき、大規模な修繕等が必要な場合は、先ほどの市長答弁で旧校舎保存の考え方についてお答えしましたとおり、市としての方向性が決まり次第、対応していきたいと考えております。

 

 

P.154

○副議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.154

◆4番(針谷育造君) とにかく雨漏り等、家屋そのもの、校舎そのものが壊れるようなことのないようなことを早急に実施することをお願いしたいと思います。

  それでは、次の質問に移らせていただきます。岩舟地域の獣害対策についてであります。まず最初に、岩舟地域と栃木市の実態について伺います。岩舟地域の実情を述べたいと思います。ご承知のように、岩舟の地域は、小野寺、岩舟、静和の旧村に分かれ、主に山間地帯の小野寺地区に被害が集中しています。主な被害は、稲、野菜等の農作物だけでなく、水田の掘り起こしを初め、畦畔、畑の土手等、被害は甚大であります。農地は、メッシュ状の金網で囲われ、電気牧柵等で囲われ、その費用は1戸当たり20万円を下らない、そのように申しておりました。何よりつらいのは、丹精込めた作物の無残な姿を見ることであります。近い将来は、イノシシの数が上回り、イノシシにじゅうりんされる様子が目に浮かび、人間がおりの中で生活する、そんな逆転が起きるのではないかと地元では大変嘆いております。岩舟地域と栃木市の実態についてお伺いしたいと思います。

 

 

P.154

◎産業振興部長(早乙女洋君) ご質問の岩舟地域の獣害対策についてお答えを申し上げます。

  岩舟地域と栃木市の実態についてでありますが、市内でのイノシシ、ニホンジカ、ニホンザルなどによる農作物被害につきましては、猟友会の駆除従事者の方から四半期ごとに提出される報告書や農業共済組合で把握されている被害状況等についても確認いたしまして、それらのデータと地元からの情報を加え、被害を把握しているところであります。平成25年度の具体的な被害につきましては、岩舟地域では、ただいま議員がおっしゃられたように水稲の被害が多く、特にイノシシの被害が拡大しておりまして、ニホンジカ、ハクビシンの被害も増加しており、面積では約2ヘクタールの被害となっております。

  次に、栃木地域や都賀地域、西方地域では、水稲や芋類などの被害があり、面積は約26ヘクタールで、前年度に比べまして19ヘクタール急増しており、そのほとんどがイノシシの被害となっております。

  また、捕獲頭数につきましては、岩舟地域分で、イノシシが162頭で前年度比81頭の増、ニホンジカにつきましては9頭でございまして、前年度の捕獲はありませんでした。岩舟地域以外の栃木市分につきましては、イノシシが504頭で前年度比81頭の増、ニホンジカが105頭で51頭の増、ニホンザルにつきましては、捕獲はありませんでした。全体を通してイノシシの捕獲が大幅に増えている状況であります。

  次に、有害鳥獣対策としまして、岩舟地域では捕獲用の箱わなを設置し、地元猟友会へ駆除の業務委託を行ってきております。合併前の栃木市では、個体数を減らすための捕獲駆除のほか、荒廃した里山の手入れによる生息地域の環境の整備、それから被害農地を守るための侵入防止柵設置による被害防除の3つの対策を基本として実施してきているところであります。

  以上でございます。

 

 

P.155

○副議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.155

◆4番(針谷育造君) ありがとうございました。

  それでは、次に移らせていただきたいと思います。鳥獣保護法改正案等をどのように考えておるのかを伺いたいと思います。佐野市葛生地区の例を若干申し上げたいと思います。山からイノシシが出られないように周囲を金網で囲っています。金網は市が負担し、住民の手で設置しているようでございます。小野寺地区とは違い、農地の囲いはありませんでした。イノシシの行動は制限されているようですが、金網の設置できないところから時々出没するようですが、大きな被害はない、このように申しておりました。新聞報道によれば、2011年度現在、全国で鹿が323万頭、イノシシも88万頭に上ると推定され、農産物被害は200億円を超え、そのためにはこれらの数を管理せざるを得ないのが現実だと新聞は報道しております。そこで、2008年から市町村が中心に、銃やわなを使った集中的な捕獲や侵入防止柵が中心だったが、被害を減らすまでには至らなかった。そこで、国は2013年12月、鹿、イノシシ等の生息数を10年後までに半減するとした目標を設定し、鳥獣保護法改正案も国会で審議されているようであります。現在のところ、これは可決をして法案ができたようでございますけれども、保護するだけでなく、鳥獣の生息数を適正な水準まで減少させる管理の政策も導入するという大改正のようでございます。対策の柱は、市町村の境界を超えた広域的な捕獲事業を集中的に実施するとした。実施主体は猟友会、自然保護を行うNPO法人、警備会社等と書かれおりました。被害防止には、捕獲以外にも柵の設置や見回り等も述べられておるようでございます。さらに、補助金は、自治体実情に応じた頭数管理が進められるように一括して任せる等も必要であると提案されております。この改正案をどのように考えるのか、お伺いしたいと思います。

 

 

P.155

◎産業振興部長(早乙女洋君) ご質問の鳥獣保護法改正案についてお答えを申し上げます。

  まず、今回の鳥獣保護法改正は、農作物に深刻な被害を与えている鹿やイノシシなど、有害鳥獣を捕獲することにより、鳥獣の数を適正な水準に減少させ、生息地を適正な範囲に縮小させるために必要な措置を講じることとされ、従来の保護政策から管理へと大きく方針を転換するものであります。ただいま議員がご紹介いただいたとおりでございます。具体的な施策といたしましては、国や都道府県が鳥獣の管理に関する計画を定め、鹿やイノシシなど、その数が著しく増加し、またはその生息地が拡大している鳥獣の捕獲事業を直接実施できるようになります。また、一定の技能を持ち、適切な安全管理ができる捕獲の専門業者、例えば株式会社などもこれに含まれるというようなことでございますけれども、それを都道府県知事が認定する制度も創設され、その認定事業者は自治体の委託を受けて捕獲事業を実施することができることになります。さらに、法改正とともに、国の鳥獣捕獲目標として、10年後までに鹿、イノシシの数を現在の半分に減少させることが示されました。このように、今回の法改正によりまして、国、県が直接有害鳥獣の捕獲を行うことができることになりますので、現在市町村で行っている事業と相まって大きな効果を上げるものと期待をしているところでございます。

  以上でございます。

 

 

P.156

○副議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.156

◆4番(針谷育造君) ありがとうございました。頭数管理の方法ということで、国、県が有効な、そして政策あるいは責任を持ってやっいてくということでございまして、まさに今そのことを実施していただきたい。そして、地域の方々も協力しながら頭数管理に邁進していって、農作物等が被害に遭わない農村や山村をつくっていただきたいというふうに思っております。

  最後に、非常に難問でありますけれども、法改正を踏まえた抜本的な今後のイノシシ対策、今のお話で大分イメージはわかりますけれども、具体的にどのような状況になるのか、もしわかっておりましたらご回答をお願いしたい。以上です。

 

 

P.156

◎産業振興部長(早乙女洋君) ご質問の抜本的な今後のイノシシ対策についてお答えを申し上げます。

  現在岩舟地域では、猟友会2団体により、有害鳥獣の捕獲を実施しておりまして、捕獲要の箱わなをイノシシ用に24カ所、鹿用に2カ所設置しております。また、岩舟地域以外の栃木市におきましても、先ほど述べましたように、捕獲、駆除、これはわなを合計で87基設置しておりますが、とあわせまして、生息地域環境の整備、それから侵入防止柵の設置等によりまして対策を講じてきているところであります。しかしながら、イノシシなどの有害鳥獣による農作物被害は増加傾向で、なおかつ広域化しており、抜本的な対策とはなっていないものと考えております。抜本的な対策といたしましては、先ほど議員からの質問にありました鳥獣保護法の改正による個体数調整が最も効果的ではないかと考えるところであります。この改正法が施行されますと、国や県の新たな施策である捕獲事業者の認定制度や、わな猟の免許取得年齢の引き下げなどによる捕獲従事者の育成、確保が期待できますことから、市といたしましても、国や県、猟友会などと連携をしながら対策を強化してまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.156

○副議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.156

◆4番(針谷育造君) それでは、再質問というか、希望も含めて再質問したいと思います。

  確かに先ほど言いましたように、この対策のために農家1戸当たり20万円前後のお金を使いながらやっているということになりまして、新しい法改正ができた後に農家の負担、個人負担というのはどのようになるのか、その辺のことがわかりましたら、あるいは今年度の栃木市の予算事業等がありましたら、お伺いをさせていただきたいと思いますので、ご答弁をお願いします。

 

 

P.156

◎産業振興部長(早乙女洋君) ただいまの再質問にお答え申し上げます。

  農家の負担ということでございますけれども、現在行っている制度につきましては、市の制度であります獣害対策設備設置費補助金というものがございます。これにつきましては、イノシシの被害防止柵設置の場合は2分の1の補助ということでございまして、ただし上限が5万円というようなことでやらせていただいております。また、これとは別に国の制度で鳥獣被害防止総合対策事業費補助金というものがございます。これにつきましては、野生獣侵入防止柵を設置するというものでありまして、国の補助金、これが10分の10の補助でございますけれども、これにつきましては資材費のみの補助となりますので、施行については地元の方々にお願いするということになるものでございます。

  以上でございます。

 

 

P.157

○副議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.157

◆4番(針谷育造君) 確かに農家負担というものは莫大になってきておりますので、ぜひこれらの制度を使いながら、そして地域の皆さんと市役所の担当者あるいはその関係者の皆さんで、よりよい対策を最後にお願いをし、私の一般質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

                                                   

            ◇ 広 瀬 昌 子 君

 

 

平成26年  9月定例会(第4回) - 09月03日-03号

P.83

○議長(関口孫一郎君) 一般質問を続けます。

  4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.83

◆4番(針谷育造君) 栃木新風会、針谷育造、通告に従い一般質問をいたします。1番、非核平和都市宣言について、2番、県内への指定廃棄物の最終処分場について、3番、下野新聞の集団的自衛権アンケートについて、4番、地方教育行政法の改正について、4点を伺いたいと思います。

  私は今回の質問に当たり、大人の責任とは何かについて考えました。将来の子供や孫たちのために今私たちがやらなければならないことは、平和な社会を残し、子供たちに引き継ぐことであると思います。この議場にいる皆さんはそれぞれ親であり、お父さん、お母さんであり、おじいさん、おばあさんの方もいると思います。普通のこととして、当たり前のこととして平和についての質問をただいまより始めたいと思います。

  1つ、非核平和都市宣言について。私は1945年、昭和20年の終戦のときに生まれ、69年間戦争のない時代を生きてきました。国民への平和への強い意思と戦争は二度とするべきではないとの理念で大人たちが憲法9条を守ってきた結果であると思います。平成24年3月1日、本市は非核平和都市宣言をしました。合併前の旧1市4町ではそれぞれ非核平和に関する宣言をし、新市においてもその考えを継承し、核兵器の廃絶と世界の恒久平和の実現を求める非核平和都市宣言を行いました。私は7月26日、戦争体験を聞くために岩舟公民館に出かけました。玄関ロビーにこの非核平和都市宣言を見つけ、足をとめました。宣言では、東日本大震災による原子力発電所の事故が発生し、再び放射性物質の被害と向き合うことになりました。さらに、核兵器の脅威のない平和で安心して暮らせる社会の実現を求めてみずから行動し、未来を支える子供たちに戦争の悲惨さ、平和の大切さを伝えていくことを誓いますとあり、この宣言に心を動かされました。その後戦争体験を聞く会では、吉田孝子さんの11歳の戦争体験、熊倉三朗さんの「命を捨てた特別攻撃隊の若者たち、天空より眺める69年」の戦争体験を聞きました。お2人とも戦争は二度としてはいけないこと、そのためにはいつでもどこでも声がかけられればその悲惨さ、恐ろしさを話したいと締めくくりました。栃木市主催による公民館での戦争体験を聞くことは初めてであり、深く感動いたしました。

  この戦争体験を聞く会は6回行われましたが、参加者の反応はどのように集約をしておるでしょうか。同時に、原爆パネル展、戦争に関する企画展、中学生の広島の平和記念式典への参加等、さらにこれらの報告集による市民への報告はぜひすべきかと考えますが、いかがでしょうか。

 

 

P.84

◎市長(鈴木俊美君) 非核平和都市宣言についてお答えを申し上げます。

  非核平和事業の実績についてでありますが、原爆パネル展につきましては、旧栃木市と旧大平町で実施してきたことから、新市におきましても展示会場を増やしながら今年度は5つの会場で実施したところであります。また、平成25年度からは戦争に関する企画展示として、栃木文化会館を会場に丸木美術館所蔵の「原爆の図」や埼玉県平和資料館所蔵の防空頭巾などを展示するほか、ドキュメンタリー映画を上映しております。

  次に、戦争体験を聞く会は平成23年度から実施しておりますが、今年度は都賀公民館、岩舟公民館、栃木文化会館を会場に、220名の方が6名の語り部の方の証言に耳を傾けられたところであります。なお、戦時中の体験談は大変貴重な財産であることから、戦争体験の語り部として現在40名の方にご登録をいただいております。

  次に、広島平和記念式典への中学生派遣は平成24年度から実施しており、本年度は各市立中学校の代表28名が平和大使として式典に参列するとともに、各中学校で作成した千羽鶴を奉納してまいりました。また、派遣後には市主催の報告会のほか、各学校の文化祭などにおきましてそれぞれ報告会を行っております。

  次に、非核平和都市宣言の啓発についてであります。広告塔を2基設置しておりますほか、栃木駅及び新栃木駅の連絡用通路には宣言文を掲示しております。また、8月には本庁舎に懸垂幕を、市内各所にのぼり旗を掲げるとともに、広報とちぎに掲載をし、市民への周知に努めております。

  ご質問のこれら非核平和事業の参加者の反応をどのように集約しているかということについてでありますが、非核平和事業に参加された方々にはアンケートをお願いしておりまして、いただいたご意見やご感想につきましては、その内容を取りまとめた上で次回の開催に当たっての工夫や改善に活用しております。

  次に、非核平和事業実績報告集による市民への報告についてでありますが、次の時代を担う子供たちや多くの市民の皆様に戦争や原爆の悲惨さ、平和のとうとさを認識していただくことは大切であると考えております。これまで広島平和記念式典への中学生派遣について、その活動報告を広報とちぎに掲載してまいりましたが、今年度からは戦争体験を聞く会などの報告も加えまして、非核平和事業の実施報告として市民の皆様への周知、啓発に努めてまいりたいと考えております。

  以上であります。

 

 

P.84

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.84

◆4番(針谷育造君) 次に移らせていただきたいと思います。

  この宣言では、東日本大震災による原子力発電所の事故が発生し、再び放射性物質の被害と向き合うことになりました。この文言は極めて大きな意味を持っていると考えます。原発と核兵器開発は表と裏の関係にあります。チェルノブイリの事故を上回る世界最悪レベルのレベルセブンの福島原発事故はいまだに原因も明らかになっていませんし、そして15万人もの人たちがいまだに避難生活を強いられております。その現実を無視して再稼働を進めようとしている国と電力会社、原発は動かなくても電力は余っているのが現実であります。再稼働の説明では、燃料の天然ガスの高騰が経営を圧迫し、日本経済の発展を阻害するという説明がございます。しかし、この理論は大飯原発運転差しとめ判決で完全に否定をされました。福島原発事故が示した原発の本質的な危険性に日本社会はより深い議論をすべきであることが述べられております。原発のあり方についても優先すべきは生存にかかわる人格権で、発電の一手段でしかない原発はそれより低く置かれるべき、このように断罪をしております。原発の稼働がコストの低減につながるといった電気代と住民の安全を同列で考えることはすべきでないと指摘をし、安全確保ができなければ原発を運転すべきではないとの判決を出しました。宣言では、東日本大震災による原子力発電所の事故が発生し、再び放射性物質の被害と向き合うことになりました。この考えを伺いたいと思います。

 

 

P.85

◎市長(鈴木俊美君) ご存じのとおり、非核平和都市宣言につきましては、合併前の旧市、町におきましてそれぞれ非核平和に関する宣言をし、非核平和事業に取り組んでいたことを踏まえ、新市におきましてもこれまでの取り組みを継承し、核兵器の廃絶と世界の恒久平和の実現を求め、非核平和を推進していく必要があるとの考えから制定に至ったものであります。この宣言文の起草につきましては、議員を初め関係団体の代表者や学識経験者など13名で組織する栃木市非核平和都市宣言策定委員会において検討を重ねていただき、パブリックコメントなどの実施を経て宣言文案が作成され、市に答申がなされたものであります。議員がご質問の一文につきましては、福島原発の事故に伴い放射性物質による被害に直面している我が国の現状としてこれに触れざるを得ないと判断をしたことから織り込んだものであります。

  以上であります。

 

 

P.85

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.85

◆4番(針谷育造君) この文言について私の考えを若干述べたいと思います。

  たまり続ける核燃料廃棄物を再処理して再利用するというとてつもない無謀な高速増殖炉もんじゅ、発電しながら燃料を生む未来の原発という触れ込みで開発が始まりましたが、とまっていながら大金を食う原発とも言われており、その実態は悲惨な実態でございます。事業費にざっと1兆円をかけて1994年に初臨界に達し、20年間で動いたのは二百数十日、1日の経費は5,000万円とも言われております。もんじゅは六ヶ所村の再処理工場で取り出された60%の核分裂性プルトニウムにウランを混合した燃料、通称MOX燃料を用いて、これを炉心に入れて運転させます。その結果再び大量のプルトニウムが生まれ、原爆などの兵器用としてすぐ使えると言われております。もんじゅの目的は原子力発電と関係なく、事実上の日本の核武装のための原子炉であるとも言われております。この考えが非核平和都市宣言とも相入れないものであると思います。一日も早い原発ゼロを実現し、国民の安心、安全を取り戻すことこそ政府の責任であることを申し上げ、次の質問に移りたいと思います。

  2番、県内への指定廃棄物の最終処分場について。使用済み核燃料の後始末に要する年数は10万年とも言われております。人生80年の繰り返しで何代先になるのでしょうか。10万年間誰が管理をするのでしょうか。今の福島事故でも誰にも管理ができず、責任もとられていないのが現実であります。核のごみ、すなわち使用済み核燃料は原発敷地内の保管可能な残り年数はすでにほとんどの原子力発電所で10年を切っており、単純平均では7.3年と言われております。ゆえに原発はトイレのないマンションと言われております。ここが私たちと、人類と相入れない理由の一つだと思います。いずれは稼働できない運命にありますが、それをなぜ再稼働なのか、私には理解ができません。

  さて、冒頭申し上げました県内の身近な例では、放射性物質を含む指定廃棄物、8,000ベクレル以上の最終処分場の候補地として、環境省は矢板から隣に位置する塩谷町を選びました。当然反対運動は大きな広がりとなっております。塩谷町長も苦しい中で、今回は市町村長会議を経て出た結論ですと。そこが前回とは違いますと非常に自信のないことを述べておりました。指定廃棄物の最終処分場の候補地を議論してきました栃木県市町村長会議の結論とはどのようなものなのかを伺い、また原因者、国、東電の負担と責任と負担に関してもどのように考えているのか、あわせて伺いたいと思います。

 

 

P.86

◎市長(鈴木俊美君) 栃木県市町村長会議での議論についてでありますが、これまで5回の栃木県指定廃棄物処理促進市町村長会議が開催されております。会議の中では、指定廃棄物を一時保管している県に最終処分場を建設し、指定廃棄物の処分を行うこととした基本方針の見直しをすることはできないのか、あるいは指定廃棄物を福島県内で処分することはできないのかなどの議論もあったところであります。さらに、現在県内170カ所で遮水シートなどを使用し一時保管している指定廃棄物をしっかりとした覆いをすることによりそれぞれの保管場所で中間貯蔵することとし、放射性物質が低減することを待つことはできないのかなどの議論もあったところであります。

  しかし、会議での議論では、農家の庭先に一時保管をしている状況や170カ所を監視し続けることは現実的ではないことなどを踏まえ、放射性物質汚染対処特措法、これ正式な法律名は大変長いのですが、一応読みますと、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法といいます。略して放射性物質汚染対処特措法であります。この特措法の基本方針に基づき、県内1カ所に堅牢な処分場をつくり、最終処分を行うべきとの国や県の方針に一定の理解は得られたものとこの会議では思っております。

  これに対して、指定廃棄物が発生した原因は福島県の原子力発電所にあり、発生原因者が処分を行うべきであるとの考え方も会議の中ではかなり何回も議論がなされたところでありますが、このような考えも一定の理解はできますけれども、発生量が膨大であること、あるいは現在そこに存在するところにおいて処理をせざるを得ないのではないかという現在の方針も、これもやむを得ないのではないのかなというふうにも考えられるところでありまして、大変難しい問題であります。

  指定廃棄物は国の責任において最終処分を進めていくとの方針が既に国によって示されているところでありますから、国は現在の逼迫した状況、最終処分場が安全な施設であること、さらには県内で処理する理由及び根拠などもより明確に説明をし、住民から理解を得られるよう積極的にかかわっていただき、本市としては早期に解決できるよう、風評被害などを県や国に今後も要請をしていきたいと考えております。

  以上であります。

 

 

P.86

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.86

◆4番(針谷育造君) 私は、8月24日の現地見学会に参加をし、現場を見てまいりました。町長初め町民の皆さんの話は、なぜ塩谷町なのだ、その疑問と怒りで満ちておりました。役場から高原山の懐に入り込むこと約40分間、到達したところは清流と森と沢の流れの水音しか聞こえない別天地でありました。なぜここが候補地なのかの疑問を持ちながら車に揺られて役場に戻ってまいりました。8月26日には、遂に町長も環境省の説明会協力を拒否と打ち出し、そしてそのときの話では、賛成も反対もどの市町村長も口を出さなかった、この結果塩谷に押しつけられた、そのようなことも新聞紙上、あるいは私が聞いたときもそのようなことを言っておりました。私は、国の責任でと言いながら、いつの間にか町村長会議で了承したことにされた、このことについての再質問をしたいと思いますけれども、そのイエスもノーも出ない中で何となく決まったということは本当なのか、あるいは国の責任を市町村長会議に丸投げし、責任を押しつけたとしか思えませんが、市長の考えをお聞かせ願いたいと思います。

 

 

P.87

◎市長(鈴木俊美君) 市町村長会議では、確かに賛成か反対かといった明確な決をとったということはありません。進行役のほうからこの問題について、この問題というのはそのとき幾つか議論があったわけでありますが、このことについてはこのようなことで進めていくということでよろしいかというふうなことは言われ、それに対して明確に反対と言われた方ももちろんいらっしゃいましたが、総体としては賛成も反対も別に積極的に言ったということでは確かにない、そんな会議でありました。

  それから、そのような市町村長会議に国の責任なりを押しつけたのではないかということでありますが、そこまでいくかどうかわかりませんけれども、いずれにしてもそうした会議を経たことをもって全てそこでみんなで決まり、みんなで賛成をしたのだというふうに余り強調されることについては、先ほど申し上げたように、そういう感じの会議ではありませんし、どちらかといえば国の考え方なりが我々に示され、そしてそれについてご理解をいただきたいというお願いの会議であったような気がしますので、そのことを何らかの、そのような会議を経たことを何らかのその正当化理由に使われるということについては正直余りいい感じは持っていないと申し上げざるを得ないと思います。

 

 

P.87

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.87

◆4番(針谷育造君) 大変苦しい胸のうちを述べてくれたと思いますけれども、私に言わせればきちんと反対を言ってほしかったな、そのことを申し上げたいと思います。

  8月30日に現地では2,500人の人を集めて反対集会が開かれました。2時間30分という大変長い集会でしたが、私の見る限りでは一人も席を立つ人はいませんでした。ふるさとの高原山の自然と水と大地を守れの大合唱の中で、若い人から高齢者までの熱い思いと環境省に対する怒りが満ちていた集会でもありました。町出身の船村徹さんも駆けつけ、そんな要らないものを何で我がふるさとへ持って来るのだ、東電をぶっくらしてやりたいと発言し、喝采を浴びたのが印象的でございました。さらに、矢板や宮城県加美町長等からメッセージ等が寄せられ、大きな連帯の輪が広がっていると思います。環境省は名水百選に尚仁沢湧水を選定しておきながら、隣に最終処分場、それも川上であります。その矛盾を感じないのかと町長は環境副大臣に聞いたそうであります。そうしたら、尚仁沢を知らなかった。まさに耳を疑わざるを得ない、それが実態なのかと。さらに、絶対安全なら自己責任で東電の本社につくればいい、なぜ山の中につくるのだ、説明してほしいと申したようでございますけれども、全くそれには答えない。私は、原因者である国と東電の責任で解決する、そのことを強く訴え、栃木市長には栃木市の自然と市民の命と生活を守ることを強く訴え、次の質問に移らせていただきたいと思います。

  3番、下野新聞の集団的自衛権アンケートについてであります。このアンケートには市長ははっきりと答えを出したようでございます。総理の私的諮問機関、安保法制懇の答申に基づき、4月1日は安倍内閣が閣議で集団的自衛権行使を認めた日であり、日本の立憲主義の歴史においても最も不名誉な日として残るだろうと朝日新聞は批判をしておりました。8月15日の下野新聞トップで県内首長の集団的自衛権のアンケートの記事が載っていました。栃木市の記事をいち早く見つけました。目に飛び込んできた文字は反対の2文字でした。当然であります。市民の人権と生活と命を守ることは自治体の使命でもあり、市長の仕事であります。戦争に巻き込まれたら市民がいち早く犠牲になることは歴史が証明しております。市長に対し誇らしくも思いました。

  それでは、アンケートごとに質問したいと思います。集団的自衛権の行使に反対、栃木市と鹿沼市2首長、賛成、大田原市、那須塩原市、高根沢町3、どちらとも言えないなどの回答、回答なし21、このアンケートを見て、行使賛否5人のみ、下野新聞でもこのことは批判的に報道しておりました。この反対の市長の考えを伺いたいと思います。

 

 

P.88

◎市長(鈴木俊美君) ご質問の下野新聞の集団的自衛権のアンケートに関する私のアンケートへの回答についてでありますが、最初に集団的自衛権の行使の考え方というものが安倍政権によって表明されたわけでありますが、それによりますと、安倍政権は7月1日に、日本と密接な関係にある国が攻撃されたときに、1つ、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由と幸福の追求権が根底から覆される明白な危険がある、2つ、日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない、3つ、必要最低限の実力行使にとどまるなどの3条件を満たせば集団的自衛権は憲法上許容されるというこれまでの政府の見解を変える閣議決定をしたわけであります。その上で、実際に武力行使をするかどうかはそのときの政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断するということもあわせて言われております。私は、このような閣議決定の内容を受け、他国の行っている戦争に日本が参戦する可能性を残すことは憲法上も、また日本国の存立のためにも許されないのではないかと考え、反対と回答をしたものであります。このような回答をすることについてはちゅうちょがなかったかと言えばうそになりますが、やはりここでは自分の考えを言わざるを得ないのではないかという思いでアンケートに回答したものであります。

 

 

P.88

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.88

◆4番(針谷育造君) まさに勇気ある判断だ、私も高い評価を与えたいと思います。

  関連しまして、集団的自衛権行使を憲法解釈の変更では不適切ではないのか、この問いに対し、県知事、栃木市、鹿沼市、日光市、下野市、市貝町、那須町、この7首長さん、適切である、大田原市、那須塩原市、高根沢町など3、どちらとも言えないなどの回答なし16、このことについても市長の考えを伺いたいと思います。

 

 

P.88

◎市長(鈴木俊美君) 下野新聞のアンケートでは、政府は憲法改正ではなく、憲法の解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認することとしたわけでありますが、その方法についてどう考えるのかという問いでありました。このことについて、私は一応法律家と呼ばれる仕事をしていたこともあり、どうしてもその思いの中で考えることがありましたので、そのことを表明をせざるを得なかったわけでありますが、それはすなわち法律の解釈というものにはおのずと限界があって、解釈の範囲外のことをやるなら、それはもはや改正という作業を経るべきだろう、それは憲法であれ、憲法の改正という作業を行うことによって行うべきで、何でも考えで解釈を変えられるということについては限界があり、今回はその限界を超えているのではないかと考えざるを得なかったところから、行うなら憲法の改正という作業等を行うべきだということで答えたものであります。

 

 

P.88

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.88

◆4番(針谷育造君) 当然の回答であったというふうには私は思います。

  次に、集団的自衛権の行使で戦争に巻き込まれる可能性が高まったという問いに対しまして、栃木市、鹿沼市、下野市、市貝町、高まった4首長、変わらない、大田原市、那須塩原市、高根沢町、芳賀町、那須町5首長、どちらとも言えないなど回答なしが15でございます。市長の考えを伺いたいと思います。

 

 

P.89

◎市長(鈴木俊美君) 政府の従来の見解は、ご案内のように、集団的自衛権を日本は行使しないと言っていたわけでありますから、これに対して今回は限定的とは言いつつも、明確に他国が武力攻撃された際に日本も参戦することはあり得るという見解に変えたわけでありますから、戦争に巻き込まれる可能性が高まったのか変わらないのかと言われれば、今まではそういうことは行わないと言っていたのでありますから、これからは行うこともあり得るとなる以上、戦争に巻き込まれる可能性は従来よりは高くなったと言わざるを得ないのではないかと思い、そのように回答したものであります。

 

 

P.89

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.89

◆4番(針谷育造君) 次に、そのようなことを国民への説明が十分であったかというアンケートに対しまして、不十分、県、これは県知事ですね、栃木市、佐野市、鹿沼市、日光市、下野市、市貝町、芳賀町、高根沢町、那須町、那珂川町11の首長さん、十分だった、大田原市、那須塩原市の2首長、回答なしが13ということであります。この件についても市長の考えを伺いたいと思います。

 

 

P.89

◎市長(鈴木俊美君) 集団的自衛権をめぐる問題については、5月に安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会、略称安保法制懇から報告書が出され、国会で多少議論されたところでありますが、それにしてもわずかな期間で政府が閣議決定をしてしまったという感は否めず、到底国会や国民にわかりやすく説明をし、そしてその議論を経て変更に至ったというふうには考えられないところから、十分とは言えない、不十分であると回答をしたものであります。

 

 

P.89

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.89

◆4番(針谷育造君) 1番から4番まで大変勇気ある、そして市民の命や健康や暮らしを守る最前線の市長の答弁に心から敬意を表したいと思います。

  そもそも集団的自衛権とは他国を防衛するための戦争であると端的に言えるのではないかと私は思います。そこで、憲法99条、憲法尊重、擁護の義務がそこに明記をされております。天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官、その他全ての公務員は、この条文とその精神を守り、憲法違反があればそれに抗して憲法の実施に努めなければならないと定められております。立憲主義憲法は、憲法を国に守らせ、権力をコントロールし、人権保障を確保する思想ですから、公権力の行使に携わる公務員が憲法を守るべきは当然のことであります。首長の中に態度を明らかにしない多くの首長が、このことはこの条文にも極めて違反に近い状態にある、そんなふうに私は思います。もっとも、行政府の最高権力者、安倍総理やその他の閣僚が憲法尊重義務を放棄していることはまことに国民の一人として許しがたいことであり、憲法違反であると思います。そのことを申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

  地方教育行政法の改正についてであります。そもそも教育委員会法はなぜつくられたのでしょうか。朝の連続テレビ小説で今、「花子とアン」ですか、そんなことでやっておりますけれども、まさに今そのテレビのシーンは日中戦争の真っただ中におる状況をきょうなどもやっておりました。まさに教育委員会は、戦前の教育は軍国教育が戦争を起こしたと言われてもそのとおりであり、その反省に立ち、教育を地域住民の手で行い、時の政治権力から独立させるために教育委員会法がつくられたと言われてきました。憲法と一緒につくられた教育基本法は、憲法の理想の実現は根本において教育の力にまつべきものであると宣言しています。教育基本法が改正、私は改悪だと思いますけれども、されたのが平成18年12月22日であります。ここでもその発案は第一次安倍内閣の安倍総理大臣でありました。教育再生会議などの私的諮問会議やその他で、いじめや学力低下や不登校など深刻な問題が起こるのは現行の教育基本法が原因であるとの理由で改正されたと記憶しております。まさに当初の教育基本法には落ち度はないにもかかわらず強行に改正され、むしろ基本法の忠実な実践こそがそれらのいじめや学力低下や不登校の問題解決の道であったと私は思っております。やらせのタウンミーティングは記憶に残っている方も多いと思います。サクラ発言者を大量に動員し、意図する方向に世論を誘導していき、最後は強行採決で新教育基本法が成立いたしました。その基本法は、愛国主義や国家権力の支配などが加えられ、国民の教育から国への教育、そのように変わったと思います。あれから8年、教育の国家支配の終着点が地方教育行政法、学校教育法、教職員免許法であると言われており、平成26年6月20日、この教育三法が遂に成立をいたしました。

  そこで、お尋ねいたします。なぜ教育委員会法は改正をされ、その改正の結果、教育委員会と教育長の権限はどのように変わるのか、お伺いをしたいと思います。

 

 

P.90

◎教育長(赤堀明弘君) ご質問の地方教育行政法の改正についてお答えを申し上げます。

  地方教育行政法はどう変わるのかについてでありますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律につきましては、本年6月20日に公布されまして、平成27年、来年4月1日から施行されることになりました。この改正ですけれども、滋賀県大津市の中学校で平成23年に起きましたいじめ自殺事件への対応のおくれや責任の曖昧さをめぐって現行の教育委員会制度の問題点を指摘する声が高まり、改正に至ったものであります。改正法では、地方公共団体の長は総合教育会議を設け、この会議において教育委員会と協議し、教育に関する施策の大綱を設定することになります。また、いじめによる自殺の防止や児童生徒などの生命または身体への被害の拡大または発生を防止する緊急の必要がある場合は、文部科学大臣が教育委員会に指示することができるようになります。さらに、教育委員長と教育長を一本化し、新たな責任者である新教育長を置き、首長が議会の同意を得て直接任命、罷免を行うことになります。新教育長は教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表する者であり、教育行政の責任の明確化が図られることになります。

  しかし、改正法におきましても教育委員会は引き続き合議体の執行機関として存続し、教育長は教育委員会の意思決定に基づき事務をつかさどる立場に変わりはなく、教育委員会の意思決定に反する事務執行を行うことを認められておりません。また、政治的中立性、継続性、安定性を担保する必要がある教科書の採択や教育課程の編成及び個別の教職員人事などの教育委員会の職務権限は従来のとおりであります。したがいまして、教育委員会と教育長の権限は大きく変わることはないものと考えております。

  以上です。

 

 

P.90

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.90

◆4番(針谷育造君) 続きまして、首長による教育、学術文化の振興に関する総合的な施策の大綱、このことは何を意味するのでしょうか。国の方針をもとに大綱を策定し、学校の統廃合や愛国心教育など、首長の教育介入にならないのかどうなのかを伺いたいと思います。

 

 

P.90

◎教育長(赤堀明弘君) ご質問の総合的な施策大綱とは何かについてお答えを申し上げます。

  地方公共団体の長が定める大綱は、教育基本法に規定する基本的な方針を参酌しつつ、その地域の実情に応じて地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策について、その目標や施策の根本となる方針を定めるものであります。その大綱の主たる記載内容につきましては各地方公共団体の判断に委ねられておりますけれども、文部科学省が示した例では、学校の耐震化、学校の統廃合、少人数教育の推進、総合的な放課後対策など、予算や条例といった地方公共団体の長の有する権限に係る事項についての目標や根本となる方針が考えられます。地方公共団体の長は総合教育会議において教育委員会と協議の上、この大綱を策定することになります。

  以上です。

 

 

P.91

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.91

◆4番(針谷育造君) 大綱が決まりますと、その下部機関ではないかと思いますけれども、総合教育会議というものができることになっておりますけれども、これは何を決めるのか、また経過措置としての対応はどうなるのか、伺いたいと思います。

 

 

P.91

◎教育長(赤堀明弘君) ご質問の総合教育会議とはについてお答えを申し上げます。

  総合教育会議は、地方公共団体の長が設ける組織で、地方公共団体の長及び教育委員会で構成される会議であります。この会議において協議する事項は、改正法の第1条の4におきまして、大綱の策定、教育の諸条件の整備や地域の実情に応じた教育、学術及び文化の振興を図るために重点的に講じるべき施策、そして児童生徒の生命または身体に被害が生じる、または生じるおそれがあると見込まれる場合の緊急措置であると規定されております。また、改正法第21条には教育委員会の職務権限について規定されており、教科書の採択、個別の教職員人事など、特に政治的な中立性の高い事項は協議の対象外となっております。なお、現教育長や教育委員長につきましては、任期満了まで在職するという経過措置が制定されておりますけれども、総合教育会議の開催や大綱の策定につきましては経過措置の対象外となっておりませんので、来年4月以降、地方公共団体の長が会議を招集し、大綱を定めることになります。

  以上です。

 

 

P.91

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.91

◆4番(針谷育造君) 最後に、最も大事なことをお伺いしたいと思います。

  以上のように、新しい教育委員会法が、あるいは三法等が改正をされて、問題は子供たちの教育現場、特に教育課程や教師の勤務、児童生徒の指導、これらがどう変わるのかが一番のポイントになるかと思います。これらにつきましてお伺いをしたいと思います。

 

 

P.91

◎教育長(赤堀明弘君) ご質問の学校などの教育現場はどう変わるかについてお答えを申し上げます。

  教育委員会制度が変わることで教育課程の指導内容が変わることはありませんので、児童生徒や教職員が大きな影響を受けることはないと考えております。教育委員会としましては、策定される大綱に基づいて今後もこれまでと同様に児童生徒一人一人の生きる力の育成のため、学校、家庭、地域と連携を密にし、全ての児童生徒が安心して充実した学校生活が送れるよう努めてまいります。

  以上です。

 

 

P.91

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.92

◆4番(針谷育造君) それでは、質問の締めくくりに入りたいと思います。

  ただいま教育長から当面そのような心配はない、このようなことが述べられたと思います。しかし、首長も教育長も4年の任期でかわるわけでありますので、今の市長のように極めて冷静に、そして的確な判断をする首長が栃木市に永久に出ることということは、市民の良識にもかかっておりますけれども、そのような保証はないわけでありまして、今回の教育基本法の精神というものはやはり教育にも手をつけていきたい、そんなことが垣間見えてくるものでございます。市長、教育長、今までの教育を子供たちの教育のために全身全霊を挙げながら、ぜひ実践をお願いしたい、そのことを申し上げたいと思います。

  最後に、一連の締めくくりに、口はばったい言い方ではございますけれども、キング牧師の言葉を申し上げたいと思います。最大の悲劇は悪人の暴力ではなく、善人の沈黙である。この言葉をかみしめ、再び過ちを繰り返さないことを目指し議員活動をしていくことを申し述べまして、私の一般質問を終わりたいと思います。

 

 

平成26年  9月定例会(第4回) - 09月25日-06号

P.237

○議長(関口孫一郎君) 続きまして、4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.237

◆4番(針谷育造君) 4番、栃木新風会、針谷育造であります。陳情第8号 原子力発電所および核施設の廃止と海外諸国への輸出廃止を求める陳情書の賛成討論をしたいと思います。

  ご承知のように2011年3月11日、福島第一原子力発電所での事故で安全神話は完全に崩壊いたしました。私たちは栃木市平和都市宣言を持っております。それによれば、東日本大震災による原子力発電所の事故が発生し、再び放射性物質の被害と向き合うことになりました、このように危惧をあらわしております。原発と核兵器開発は表と裏の関係にあります。チェルノブイリ事故を上回る世界最悪のレベル7の福島原発事故は、いまだに原因も明らかになっておりません。そして、十数万人を超える多くの人たちが避難生活を強いられております。

  一方、大飯原発運転差しとめ判決は、原発のあり方について、優先すべきは生存にかかわる人格権である、発電の一手段でしかない原発は、それより低く置かれるべきとしております。原発の稼働がコストの低減につながるといった電気代と住民の安全を同列で考えるべきではないと指摘をしております。安全を確保できなければ、原発を再稼働すべきでないと断じております。

  一方、たまり続ける使用済み核燃料、高レベル廃棄物の処分を考えただけでも、見通しは全く立っておりません。使用済み核燃料の後始末に要する年数は10万年とも言われております。この期間誰が管理をするのでしょうか。今の福島事故でも誰にも管理できず、責任もとらないこの無責任さ、まさに無責任は明白であります。核のごみ、すなわち使用済み核燃料は、原発敷地内の保管可能な残り年数は既にほとんどの原子力発電所で10年を切っており、単純平均で7.3年と言われております。ゆえに原発はトイレのないマンションと言われています。小泉元首相も、「10万年だよ。みんな死んでるよ。日本には核のごみの捨て場所がない。だったら原発ゼロしかないんだよ。何で安倍総理にはそんな単純なことがわからないのかね」とあきれたコメントを出しております。原子力発電と私たちはともに生きられないことを理屈抜きで明らかにしております。これを誰が解決できるというのでしょうか。世界の英知を結集して考えた多くの人々は、核と人類は共存できないことを結論づけております。

  さらに、九州電力川内原発の再稼働について、原子力規制委員会が新基準を満たすと認めました。しかし、当の規制委員会の田中俊一委員長は、「安全だということは私は申し上げられない」と言っています。何という無責任ではありませんか。規制委員会は、いつの間にか推進委員会に成り下がり、私たちの未来とこの大地と空と海と国民の命をじゅうりんしても平気なのでありましょうか。そんな権利を私たちは認めるわけにはいきません。これが私たち普通の人の考えだと私は思っております。その上、福島事故の収束がいまだに見えず、多くの人々が被曝の不安と恐怖に苦しめられております。

  過日の8月24日に第16回福島県健康調査検討委員会が開かれ、事故から3年3カ月で福島県の小児甲状腺がん、確定した人は58名おるそうです。疑いが45名、計103名に達したと言われております。受診者は、事故当時18歳未満の37万人のうち約30万人であります。この数字は、チェルノブイリ事故のベラルーシの汚染地域ゴメリ州の原発事故から3年の小児甲状腺がん合計4名と比べても25倍という高い発症率であります。

  また、その後県立医大が手術をした54名について、8割超の45人は腫瘍の大きさが10ミリ超え、リンパ節や他の臓器への転移などがあり、2人が肺にがんが転移していたと発表されております。ところが、国も福島も小児甲状腺がんについて現時点では事故との影響は考えにくいと結論づけ、子供の避難は話題にすら上っておりません。子供たちには原発事故に何ひとつ責任はありません。まして今回、外国へ原発を輸出するなど、まさに無責任のきわみであります。もし外国で事故があれば、日本はどんな言いわけをするのでしょうか。どんな責任がとれるのでしょうか。私たち人類は、そして全ての生きとし生けるものは、原子力発電、核兵器とは共存できないのであります。そして、将来の子供たちへ平和で穏やかな世の中を残すことができるのは、私たち大人の義務であり、責任であると思います。今こそ私たちはしがらみから離れて、素直に判断して、この問題に普通のこととして考えていくことを議員各位、そして皆さんに申し上げ、この陳情第8号 原子力発電所および核施設の廃止と海外諸国への輸出廃止を求める陳情書の賛成討論といたします。

 

 

平成26年 12月定例会(第5回) - 12月03日-03号

P.88

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.88

◆4番(針谷育造君) それでは、ただいまより一般質問をさせていただきます。

  栃木市新風会の4番、針谷育造でございます。通告に従い、一般質問をいたしたいと思います。1、平成27年度予算編成について、2、都市計画税の均一課税の導入について、3、栃木市ふるさと応援寄附(ふるさと納税)事業の見直しについて、4、栃木市の土砂埋め立てについて。

  それでは、平成27年度予算編成についてから質問をしたいと思います。平成27年度予算編成方針について伺いたいと思います。国会では、解散前でありますけれども、地方創生、大きな話題となって、そして地方の皆さんの大きな注目が寄せられておりましたけれども、解散という中で現在中断をされているようでありますが、平成27年度、我が栃木市には確実に平成27年度はやってまいります。地域間格差の解消に向けた取り組みや各地域の特性を生かした環境づくり、市民との協働体制の確立が総合計画で述べられております。鈴木市政2期目の第2年次予算は、大変重要になってまいります。

  そこで、平成27年度予算編成の方針について、また総合計画実現のための重点事業や新規事業についてどのように編成をしているのかをまず伺いたいと思います。

 

 

P.88

◎市長(鈴木俊美君) では、答弁をさせていただきます。

  平成27年度の予算編成の方針についてでありますが、栃木市総合計画に掲げる7つの基本方針の実現に資する貢献度の高い事業を重点化するとともに、行政改革大綱及び財政自立計画に基づき、持続可能な自治体づくりを目指すことを基本方針とし、現在進めているところであります。持続可能な自治体づくりのためには、定住促進対策、生産年齢人口の増加策への取り組みなどが非常に重要になってまいります。ただ、定住促進対策には特効薬というものはないわけでありまして、子育て環境の充実を初めとして雇用の確保、医療体制の確立、福祉、教育環境の整備、社会インフラの整備、地域全体のレベルアップなど、要は、総合的に見て、栃木市が生活をしていくのに、あるいは仕事をしていくのに、あるいは子供を育てていくのに、あるいは老後を安心して生活していくことができるように、そうした要素を備えているまちであるかどうかということが大変重要になってくるわけでありまして、総合力が必要不可欠ということになろうかと思います。市民の力、そして地域の力を結集いたしまして、活気と優しさのあふれる住みよい都市、住みよいまちと言いたいところでありますが、住みよいまち栃木を実現するため、財政の健全性を維持しつつ、財源を投入すべき分野には積極的に投入をしていく、めり張りのある予算編成となるよう意を用いてまいります。

  次に、総合計画実現のための重点事業、新規事業につきましては、現在予算査定中であり、できれば年が明けたころにこの種の質問をしていただくと、もうちょっと具体的に申し上げられたかもしれませんが、現在は余り具体的には申し上げられない時期でありまして、ご容赦をいただきたいと思いますが、幾つか挙げてみますと、藤岡地域統合保育園の整備事業などの子育て環境の充実、大平中学校校舎等整備事業を初めとする教育環境の整備、企業を誘致し、雇用を確保するための千塚町上川原産業団地の整備、安全安心の医療体制を確立するための栃木地区病院統合再編事業を着実に進めていくなど、これらに加え、さらなる新規事業も現在織り込むべく編成を行っておりますが、新規事業なども含めて各種施策を展開していく所存であります。

  平成27年度は、岩舟町と合併をして、新しい栃木市となって2年目を迎える年となります。人口規模では県内第3位というふうになっておりますが、これからも均衡ある発展と地域の特性を生かした一体的なまちづくりを進めていかなければなりませんので、そのために、選択と集中の戦略のもと、地域間のバランスにも常に配慮しつつ予算編成を進めていかなければならないというふうに考えております。本市のこれらの特徴を何としても生かしつつ、かつこれからも、一緒になり、大きくなった市民の皆様に少しでも安心と安全と、そして未来への期待を裏切らないような、そんな予算編成に心がけていきたいと考えておりますので、よろしくどうぞお願いいたします。

 

 

P.89

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.89

◆4番(針谷育造君) 市長から答弁いただきまして、ちょっと早過ぎた質問だったというお話もありましたけれども、手のうちを明かさないで、総論を述べさせて、私もやむを得ないのかなという気はいたしておりますけれども、いずれにいたしましても、平成27年度、大事な年になります。行政と議会が一体となって栃木市の発展のための予算をつくっていくことをお願いしたいなというふうに思っております。

  再質問ということで、1点は地域の問題、大規模、岩舟の大岩藤、岩藤開発ですか、そんなことも聞きたいと思いましたけれども、どうも栃木市とすれば、今市長とすれば、その話を出すような状況ではないということなので、これは後の機会に譲っていきたいと思います。

  それでは、次に移らせていただきたいと思います。財政収支の見通しについてということで、平成27年度予算編成方針によりますと、一般財源収入総額405億2,000万円、対前年比にしますと19億6,000万円の減、約20億円が前年度からすると減ってしまいますよと。しかし、一方では、一般財源の支出総額は431億5,000万円になっております。対前年比6億7,600万円の増。歳入が減りまして歳出が増える、厳しいなというふうには思っております。その結果、財源不足が26億3,000万円ということになると思いますので、これはどのような財政的な措置を考えているのかお伺いをしたいなというふうに思います。

  さらに、平成27年度以降の普通交付税について、平成26年度を基準とした平成27年度から平成37年度までの普通交付税の縮小額の累計が153億4,000万円の積算見込みになっておるようでございますけれども、このことについてもお伺いしたいと思います。合併に伴って減ってくるということは、今までのスケジュールどおりかと思いますけれども、今申し上げました財政見通しについて具体的にお答えを願いたいと思います。

 

 

P.89

◎総合政策部長(赤羽根正夫君) ご質問の財政収支の見通しについてお答えを申し上げます。

  財政収支の見通しにつきましては、毎年度予算編成方針を定めるための資料として作成しております。まず、一般財源収入総額405億2,000万円の内訳の積算根拠についてですが、基本的には、平成26年度、今年度の決算見込み額を参考に積算しております。また、市税については、平成27年度の評価がえに伴う土地評価額の下落及び既存家屋の経年減価による固定資産税の減少と都市計画税の税率統合に伴う減少を見込んでおり、地方交付税については合併に伴う特例期間の終了による普通交付税の段階的な縮減を加味して算出しております。

  次に、一般財源支出総額431億5,000万円の内訳の積算根拠についてでありますが、基本的には本年8月に決定された平成27年度の実施計画額を参考に積算しております。平成27年度につきましては、引き続き生活保護費や障がい者自立支援交付金等の扶助費、国民健康保険特別会計等への繰出金の増加が見込まれ、あわせて総合計画に掲げる大規模事業の実施等を加味しまして積算しております。

  次に、財源不足額26億3,000万円についてですが、今後査定作業の中で聖域なく全ての事業について点検し、内部経費の削減を図るとともに、右肩上がりの経済の中で進められてきたあれもこれもという考え方を改め、あれかこれかの選択と集中へと転換する必要があり、事業の優先度、貢献度などの観点より峻別してまいります。一方、歳入におきましても、国、県支出金の積極的な導入や未利用市有地の処分、各種基金の有効活用など、歳入の増大を図ることによりまして財源不足の解消に努めたいと考えております。

  次に、平成26年度を基準とした平成27年度から平成37年度までの普通交付税の縮小額の累計153億4,000万円の積算見込みについてですが、平成27年度から最初の合併である1市3町分についての特例期間が終了し、段階的な縮減が始まります。また、西方町との合併分につきましては平成29年度から、岩舟町との合併分については平成32年度から段階的な縮減が始まり、平成37年度からは合併特例による加算が完全になくなります。このような中、国においては、平成27年度以降、普通交付税を上乗せする特例期間が終了する合併自治体が急増するため、新たな支援策として算定見直しが進められており、今年度は先行して支所に要する経費について加算されたところでありますが、これを踏まえましても、今後10年間にわたって毎年普通交付税は減少し、その累計額は153億4,000万円と見込んでおります。

  以上です。

 

 

P.90

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.90

◆4番(針谷育造君) それでは、1点だけ再質問させていただきたいと思います。

  大変厳しい中で、今部長のほうから、前にもどなたかの議員さんがお聞きになったような気もしますけれども、支所等の算入見込みというものが見直されて、そのことで増えるというようなお話の質問があったかと思いますけれども、支所等を新しい見方で見ますと、栃木市についてはどのくらいの金額が見込まれるのか、その辺がわかりましたらご答弁願いたいと思います。

 

 

P.90

◎総合政策部長(赤羽根正夫君) ただいまの再質問にお答え申し上げます。

  支所経費の加算額につきましては、岩舟総合支所も加えまして、全体で約14億円を見込んでおります。

  以上です。

 

 

P.90

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.90

◆4番(針谷育造君) 大変大きな額だなというふうに思いますけれども、これについては何年かの期限は多分あるのだと思うのですけれども、先ほどのお話の中で、153億円が足らないように、減ってくるということであって、平均しますと15億円が、単純平均では、10年間で153億円というと15億円ぐらいが減るのかな、そういうお話、私は感じまして、15億円が、そのことによって何年間かは補填されるということになってきますと、その縮小額についてもカバーできるのかなということでありますので、そのことについては、大変助かる制度あるいは制度の見直しだなということで評価をしていきたいというふうに思います。これは私の考え方でございますので、答弁は要りません。

  いずれにいたしましても、平成27年度の大きな事業の予算編成、このことが今進められているということで、そのことに、住民あるいは市民の皆さんの福祉の向上や安心安全や、そして皆さんが幸せになる予算をぜひ組んでいただいて、3月議会で協議あるいは討議をさせていただきたい、そのことを申し上げまして、1番目の質問については終わりたいと思います。

  それでは、通告2番、都市計画税の均一課税の導入についてを質問したいと思います。導入に当たっての市民説明会の取り組みについてでございます。都市計画税の導入は合併協議会の決定事項でもありますので、いかに理解と納得をしていただき、スムーズな導入を図ることではないのかな、このように考えております。

  過日の岩舟のふれあいトークや議会報告会でも、市民の意見は、現実的によくわからないというのが実態であり、ぴんときていない、これが正直なところであると思います。税率は0.2%とし、新規課税地域の急激な負担に配慮し、平成27年度0.1%、平成28年度0.15%の緩和措置を講じながら、平成29年度から0.2%課税とするとしています。平成27年度から新たに藤岡、都賀、平成28年度から岩舟に導入されます。この地域は、都市計画区域の設定はされておりましたが、課税をされていない地域でございました。新たに課税される地域の理解と納得の説明会、負担と受益のシステムを丁寧に実施しないと混乱を招きかねません。その計画はあるのかをまず伺います。

  そしてまた、税率もさることながら、負担はやむを得ないと理解はできたが、自分たちの住んでいる都市計画区域で何をしてくれるのか、するのかが問題になると思います。議員研究会で示された平成24年度決算書の都市計画事業に係る下水道、公園、土地区画整理事業の歳入歳出状況では、歳出内訳によれば、都市計画事業として12億5,000万円、約30%であります。都市計画事業に係る地方債償還費27億1,000万円、70%、合計39億6,000万円、実に70%が借金返済に充てられております。歳入では、国県支出金、地方債の借り入れで10億9,000万円、28%、都市計画税8億8,000万円、22%、一般財源19億9,000万円、約50%、合計39億6,000万円になります。歳出の70%が地方債返済に充てられ、都市計画税と一般財源の72%と一致をしております。たまたまこうなったのか、この数字は何を意味しているのか。また、平成25年度、平成26年度、平成27年度以降の見通しはどのようになるのかも伺いたいと思います。

  さらに、課税標準額の0.1%と言われておりますけれども、実際のところよくわからないのが、ほとんどの市民、特に新たに入ってくるところの市民の方はそう考えているのではないでしょうか。そこで、簡単な目安、ああ、うちは幾らかかるのだな、払わなくてはならないのだな、目安となる計算方法等があれば、正確ではなくても目安となるようなものがあれば、その計算方法はあるのかをまず伺いたいと思います。

 

 

P.91

◎理財部長(五十畑恵造君) ご質問の都市計画税の均一課税の導入についてお答えを申し上げます。

  導入に当たっての市民説明をどのように取り組むかについてでありますが、これまでのところ、10月末に終了いたしました、全22回にわたるまちづくり懇談会ふれあいトークにおいて説明を行いました。さらにその後、新規課税地域であります藤岡、都賀、岩舟地域につきましては、広報とちぎに折り込みでまちづくり懇談会ふれあいトークの資料を全戸配布いたしたところであります。今後におきましては、新規課税地域では今まで負担した経験がない方がほとんどであることなどを考慮し、都市計画税が目的税であることなど、広報とちぎや市のホームページへの掲載、また納入通知書に同封する文書などにより周知したいと考えております。

  しかし、都市計画税に対する一般的な説明はふれあいトークの資料のとおりであり、さらに深い内容となると、個々の税額など守秘義務に係る事案が想定されております。また、これまでの実態としても、納税通知書発送後は個々の問い合わせが寄せられているところであります。そこで、市民の皆様にお集まりいただく説明会の開催ではなく、一般的な税の周知は広報とちぎやホームページとし、個々の問い合わせは窓口対応とする2つの方法で対応してまいりたいと考えております。

  次に、平成24年度の都市計画事業歳入歳出状況におきまして、地方債償還費が都市計画税と一般財源の合計とほぼ一致することにつきましては、当該年度の都市計画事業の財源に国庫補助金や地方債などを活用しており、都市計画税をその年の都市計画事業に充当できる部分が事業費の1割から2割程度しかなく、結果として大部分が地方債償還費に充当されることとなっております。なお、平成25年度の決算における都市計画事業歳入歳出状況につきましては、歳入歳出とも合計で39億4,000万円となり、平成24年度とほぼ同額であります。その内訳は、歳出が、都市計画事業費約12億9,000万円、地方債償還費約26億5,000万円で、構成比はそれぞれ33%と67%になっております。一方、歳入では、国県支出金、地方債などで約11億8,000万円、都市計画税が約8億7,000万円、一般財源が約18億9,000万円で、構成比はそれぞれ30%、22%、48%となっており、総じて見ますと平成24年度決算の状況と同じであります。

  次に、都市計画税の簡単な目安となる計算方法につきましては、正確には対象の土地、家屋の状況により異なりますので、税率0.1%の場合、おおよそ今納めていただいている固定資産税額の1割程度に当たります。0.2%の場合は2割程度に当たりますとお答えしているところでございます。

  以上でございます。

 

 

P.92

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.92

◆4番(針谷育造君) ただいま回答をいただきました。議員研究会等でも質問があったような気もしておるのですけれども、結局、集めた金ではもうどうにも足らないのが都市計画税という、税収の割合というふうになっておりまして、最大でも30%ぐらいしか事業費の、できないということになって、それが過年度で事業を実施したところへの借入金の返済に充てている、この構図は変わらないのかなという感じがしております。さらに、説明会等の実施についてはやらないということでありますけれども、広報、ホームページ、窓口対応、そういうことをさらに丁寧にやっていただきたいなというふうに思っております。

  簡単な目安となる計算方法、0.1%という数字、結構目につきまして、私が相談を受けたのは、固定資産税の0.1%かいという話で、固定資産税の0.1%では大したことではないですねという受けとめ方をしている方もおります。課税標準額といっても、これはぴんとまたきませんので、今理財部長のほうからありましたように、大ざっぱではありますけれども、固定資産税の0.1の場合には1割ぐらいに当たりますよと、その辺の大ざっぱなことは、これは言っていってもいいのかなということでございますので、いずれにしても、総合計画に位置づけられた快適な市民生活を実現するための都市計画事業は必要であるというふうに思っております。都市計画区域に住んでいる方々の負担と受益の関係について理解と納得をいただき、ぜひ進めていってもらいたい、そのことを申し上げて、第2の質問は終わりたいと思います。

 

 

P.93

○議長(関口孫一郎君) 一般質問を続けます。

  針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.93

◆4番(針谷育造君) それでは、質問の3点目に入りたいと思います。

  栃木市ふるさと応援寄附、通称ふるさと納税事業の見直しについてをお伺いしたいと思います。みずからを育ててくれたふるさとに恩返しをするための仕組みとして、平成20年度にこの事業は始まりました。政府はさらに、生まれ故郷や希望する自治体にお金を寄附した場合に税金の軽減額を増やし、今より多額の寄附が小さな負担でできるように、その手続も簡単にする方針ということでございます。これを受けて、栃木市のふるさと納税事業の見直しが過日示されました。

  そこで、栃木市における今までの実績については、昨日の古沢議員の質問と重なりますので、実績については省きたいと思います。

  そこで、栃木市民が他市町へ寄附をした直近の実績として、人数、金額、その結果、市税の減額、控除額、これはどのくらいになっているのかをまず伺いたいと思います。

 

 

P.93

◎総合政策部長(赤羽根正夫君) ご質問の栃木市ふるさと応援寄附事業の見直しについてお答えを申し上げます。

  ただいまのご質問でございますが、市で把握しております他の市、町などへの寄附状況でございますが、ふるさと納税のみの把握は困難でございますので、東日本大震災の義援金など、いわゆる寄附金控除を受けたものを全て含めた数字ということでご了承いただきたいと思います。平成26年度の寄附金控除を受けたものにつきましては、人数が69名で、市民税分の税額控除は84万4,879円でございます。

  以上です。

 

 

P.93

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.93

◆4番(針谷育造君) 昨日の古沢議員への答弁の中に、平成26年度、9件、136万4,321円という数字の答弁がございましたけれども、これを、ふるさと納税ということに限らないという前提つきでありますけれども、市民として払う税金の栃木市に払っていない金額が84万4,879円、これが全てふるさと納税ではないという前提でございますけれども、6割近い市民たちはほかへ税金を納めてきた、このような認識でよろしいのでしょうか。

 

 

P.93

◎総合政策部長(赤羽根正夫君) 数字上ではそのようなことでなるかと思います。

  以上です。

 

 

P.93

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.93

◆4番(針谷育造君) それでは、2番のふるさと納税と自治体財政についてお伺いをしたいと思います。

  過日の下野新聞の「読者登壇」の記事を紹介したいと思います。税制は、自治体が行政の財源を得られるように税源のバランスが勘案され、国の地方交付税などがそれを補完しております。ふるさと納税制度は、これらを根本から揺るがしかねない。この制度を利用して寄附をした人は、本来住所地に納付すべき税を納めずに、住所地の自治体から行政サービスは受けることになっております。正当に税を納めている人から見れば、まさに不公平であります。その上に、寄附をした自治体からは特産品なども受け取れる。ふるさとの定義もなく、どこに寄附をしてもよい。これでは、特産品目当ての寄附が横行しますという投書がございました。まさに的確に指摘をしているなと私は思います。

  一般に、納税者が国や自治体あるいは一定の公益法人やNPO法人などに寄附をした場合には、所得税及び住民税の寄附控除が適用されておりました。寄附の額に応じて所得税及び住民税の額が軽減されるのでありますので、ふるさと納税はこの一般の寄附控除、さらにそれを優遇することとなり、住民税を大幅に軽減する仕組みがその裏には働いておるのではないかと思います。本当に自治体財政にとってよいことなのでしょうか。

  総務省の例によれば、子供のいない夫婦で年収700万円の給与所得者が自治体に3万円寄附したケースでは、一般の寄附金控除による所得税、住民税の軽減は8,400円でありますが、ふるさと納税の場合はこれに加えて1万9,600円が住民税からさらに軽減され、3万円寄附したとしても、自身が納めるべき納税額、所得税、住民税の額から2万8,000円が控除をされるというものであります。納税者の所得や家族構成によって計算は異なりますが、幾らかの金額を自治体に寄附しても実質負担額を2,000円にとどめることができる、これがふるさと納税のみそでございます。例えば3万円寄附した人に1万円の記念品を贈るとすれば、単純計算では8,000円分の得をしたことになります。一方、喉から手が出るほど財源が欲しい自治体にとっては、ある程度の見返りを提供しても、寄附金の額と見返りコストとの差額はその自治体の財源を潤します。かくして、見返りは魅力的かつ高価になり、それに引かれて多くの人が寄附をするようになる、寄附者も自治体もほくほくであります。

  これで話が終わるなら万事めでたしめでたしであると思いますが、そうは問屋が卸さない、そんなふうに私は思います。両者で浮かれている陰で、誰かが犠牲を払わされているはずであります。それは誰かといえば、国庫、国の所得税であり、寄附者の住所地の自治体でございます。本来納税されるべき所得税と寄附者の住所地の住民税がふるさと納税により減少し、その結果、寄附者と寄附を受けられた自治体の財源、いわゆるほくほくにつながっているだけなのであります。

  ご承知のように、国は1,000兆円先を、積み立て加算しております借金の国債1,000兆円、所得税の一部がふるさと納税により着実に目減りをさせているのではないでしょうか。自治体の場合には、国庫とやや様相は違っていますが、寄附金控除である住民税が減る一方で、寄附を受けることで財政が潤うこともあるのはあるので、一概には言えませんが、自治体全体とすれば、本来いずれかの自治体に納付されるべき住民税が特産品などに気前よく費やされていることは確かであります。高価な見返りを提供してでも寄附を増やそうとするのはとりあえず合理的な行為に見えますが、よそでも同じことをやるのであれば、自分のところの住民がよその自治体の見返りに目がくらんで、そこへ寄附することは大いにあり得ることです。

  先ほども示されたように、6割近くが自治体の住民税として入ってこない、そんな事実もございます。そうなれば、住民税は確実に目減りをしてしまうので、自治体同士の税の奪い合いを奨励しているようなもので、「おもしろうてやがて悲しき奪い合い」と表現している財政学者もいらっしゃいます。既にそうなっているというふうに思っております。こんな罪つくりな制度をこしらえて、自治体を不毛な争いに駆り立てる政府の見識がまさに疑われます。そこで踊らされる自治体は、哀れなピエロではないでしょうか。

  憲法30条で「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」としております。地方税法第2条で自治体の課税権が認められ、住民税は第5条で定められています。さらに、栃木市税条例第23条で納税義務者を市内に住所を有する個人と法人とに定めています。この原則がふるさと納税というやり方で自治体税制と財政を根底から壊さないか、本当に自治体財政にとってよいことなのかどうか、答弁を求めたいと思います。

 

 

P.95

◎総合政策部長(赤羽根正夫君) ご質問のふるさと納税と自治体財政についてお答えを申し上げます。

  ふるさと納税制度は、都市と地方の税収の格差是正を目的として制度設計されたものであり、自分が生まれ育ったふるさとや応援したい自治体に対して寄附をすることで所得税や住民税の控除が受けられる制度であります。これは、納税者が自分の意思で納税対象を選択できるという道を開いたものとして、税制上歴史的意義を持つものであります。

  最近のふるさと納税制度に対する過熱ぶりは、議員のご指摘のとおり、利用者の多くは都市部の住民であることから、都市部の自治体から批判的であることは承知いたしております。また、寄附に対する返礼として過度な贈呈品が提供されたり、贈呈品そのものが目的で寄附の相手先が選ばれるなど、本来のふるさと納税制度の趣旨とは乖離の傾向も見られ、その結果、自治体間の税金の奪い合いになりかねないことは認めざるを得ません。しかしながら、特産品を提供し、地元をPRすることで、特産品の品代が地元に落ち、地域産業の振興に資するとともに、都市から地方への税収の移転を拡大する効果も期待できる、これも事実でありますので、この制度がある以上、本市としては、他市におくれをとることなく、積極的に活用して財源の涵養及び地場産品のPRに努めていきたいと考えております。

  なお、ふるさと納税制度において控除を受けられるのは、現行では住民税所得割額の10%が限度であるため、無制限に寄附が行われる仕組みとはなっておりません。また、平成25年度の全国の個人住民税の税収が、平成25年12月時点での推計では11兆8,000億円であるのに対し、ふるさと納税に伴う寄附金控除額は約45億円、割合は0.04%と1%にも満たないものであり、主に財政上豊かな都市部の住民が利用していることを考えれば、税制度を根底から壊すものではないと考えております。

  以上です。

 

 

P.95

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.95

◆4番(針谷育造君) 過熱ぶりやふるさと納税の矛盾等につきましてはご承知をしているようでありますけれども、特産品等での地域振興やそれらの活用ということについては、やっていきたい、活用していきたいというような答弁だったかなというふうに思いますけれども、特産品による地域振興でしたら、ふるさと納税とは全く関係ないところでの、我が市のふるさと産品を広く全国に知らしめ、そして大きくそれらを販売あるいは交流を図っていくということが正道な道ではないのかなということを意見を申し上げたいと思います。

  それでは、3番に移らせていただきたいと思います。ふるさと納税制度の廃止を含めた働きかけ、これは市長にお願いしたいと思いますけれども、ふるさとに限定されず、魅力ある見返りを求めて、端的に言えば、過疎の村の住民が大都市の自治体に寄附することだって妨げてはいないのであります。当初の趣旨とかけ離れ、地方の豊かでない自治体の税収を奪うことだってあるのです。もはや何のための制度かわからなくなってきている、そんなふうに思います。

  さらに、ふるさと納税のとばっちりを受けている人たちは、自治体への寄附がこのように優遇されることから、社会福祉法人や公益法人、NPO法人、学校法人などではないかと思われております。従来、これらの法人は所得税などの寄附控除の適用を受けてきました。ここに来て、寄附の対象として自治体だけが優遇され、高価な見返りを提供するとなると、どうしても集まりにくくなることは必定であります。乳児院や児童養護施設などを経営する社会福祉法人への寄附が一層先細りになるのが心配です。こうした団体の寄附がふるさと納税の勢いに押しのけられて、貴重な活動ができなくなることも考えられます。寄附が集まり、安くしてあげなければならないのは自治体ではなく、社会の片隅で弱い立場の人たちに支援の手を差し伸べる人たちではないのかと思います。

  このようなことを考えれば、ふるさと納税といいながら寄附控除を優遇する制度は、税の根本から明らかに間違っているような気がいたします。自治体間に競争を持ち込み、社会福祉法人等への寄附制度を根本から覆す、壊す可能性のあるこの制度は、廃止も含めて、国や栃木県市長会、全国市長会など関係団体に働きかけをするべきと考えますが、市長の答弁を求めたいと思います。

 

 

P.96

◎市長(鈴木俊美君) 日本という国は、いわゆる寄附文化というのは余り根づいていないような気がいたします。アメリカなどというところは非常に寄附というのが盛んであると聞いておりますし、多額の寄附が政治家や政党への活動にも寄せられているというふうに聞き及んでおります。

  今議員がおっしゃっている、いわゆるふるさと納税は、寄附をされる方が住んでいるところの自治体にとっては、その人が寄附をして税額控除を受ける分、本来入ってくる分がなくなってしまうのではないかと、だからそういうのはやめたほうがいいということだと思いますが、それはいわゆるふるさと納税に限らず、寄附をすると寄附金控除というのが受けられる制度はもともとあるわけでありまして、その中の一つにいわゆるふるさと納税というのが加わったということではないかと思うのです。だから、寄附をするケースは何通りかあって、そのうちふるさと納税と言われるものをやったときのことだけ寄附金控除を受けられるようなものはけしからぬというふうに言われるのはいかがなものなのかなと。つまり、問題があるとすれば、それは寄附に伴う税額控除を受けられるということ、それ自体がどうなのだというふうに問題視されるということであればわからなくはないのですけれども、ふるさと納税のことだけやり玉に上げて、控除するのはおかしいから、やめたほうがいいというふうに言われるのはどうなのかなというふうに思います。

  私たちは、そういうふるさと納税に対する寄附金の控除があるかないかということではなく、やはり寄附をしていただきたいです。大変、自治体も運営が厳しいわけでありますから、願わくは寄附という文化を、自治体などにも目を向けてもらって、それがふるさとであれ何であれ、そういうところに寄附をしてあげたいなというふうに思っていただく人をたくさん欲しいというふうに思っております。そのためであれば多少お礼もいたします。だから寄附をしていただけるとありがたいなというふうに言うことは、私はいいのではないのかなというふうに思う一人でありまして、失礼な言い方かもしれませんが、寄附をされた方が、その分、その自治体に納めるはずの税が少なくなるのだというのであれば、ではほかのところでその自治体にも寄附が入るような、あるいはそれ以外のいろんな収入をどうやって得るかを考えるのも自治体の仕事ではないのかというふうに思います。

  失礼な言い方かもしれませんが、そういうことをすることによって、本来俺のところに入るべきものが入らなくなるからやめろというのは、何となく、何か世知辛い考え方ではないのかなというふうに思います。私は、もし栃木市民が他の自治体に寄附などをすることによって、その分住民税の所得割額が減ることがあったとしても、これはしようがないというか、やめろとは思わない一人でございますので、したがいまして、ふるさとへの寄附をすることによる税額控除というのが認められている以上、それを前提として成り立っているのかもしれませんが、ふるさとあるいはふるさとでなくても、栃木市に寄附をしてあげようという方がいる限り、あるいは少しでもそういう方に増えていただきたいなと思っておりますので、私どもから廃止に向けて、あるいは見直しに向けての働きかけというのをする意思は現在はございませんので、ご理解をいただきたいというふうに思います。

 

 

P.96

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.96

◆4番(針谷育造君) 私が申し上げているのは、住民税の軽減額というのが今まで8,400円だったのです、3万円の場合。それが1万9,600円というふうに大幅に控除額を増やした、そのことによって税制度そのものも、大変、8,400円でしたら、これは税額控除ということでと思いますけれども、さらにそこに1万9,600円、3万円で、2,000円しか自分の懐は痛まないで、さらに8,000円、1万円のものが来るというところが問題だと私は言っているわけでありまして、それ以上、その辺のところは今後にまた議論は続けていきたいと思いますけれども、もう少し、税制度、この寄附金控除の問題はもっと奥が深いような気がいたしております。

  それでは、次の問題に移らせていただきたいと思います。栃木市の土砂埋め立てについてでございます。岩船山周辺の土砂埋め立ての経過と現状について。岩船山は岩舟地域のシンボルであり、岩船山高勝寺の歴史は、まさに今から1,200年、1,300年前の歴史を持っている岩船山でございます。

  この地に、岩船山の周辺に十数年前から土砂の埋め立てが始まりました。この問題については、岩舟地域でのふれあいトークや議会報告会でも地元から出された事案であり、埋立地の下にある畑にしみ出してきて汚染をされた、あるいは土砂が流出した、こんな苦情も述べられております。市長もふれあいトークで、無許可だとすれば、告訴、告発も含めて調査をしたいと発言をしております。

  県の許可を受けたA社、埋め立てに伴い、県の許可、地元との協議や排水協定などは土地改良区も含めまして締結されております。そもそも埋立条例は土壌の汚染と災害の防止、ところが、今問題になっておりますのは、B社は再三の指導に従うこともなく今日まで来ていると聞いております。A社とB社の経過と現状について、特にB社に対する指導はどのようになっているのか、また指導に従わないときにはどのような法的措置が市としてできるのかを伺います。

 

 

P.97

◎生活環境部長(大橋定男君) ご質問の栃木市の土砂埋め立てについてお答えを申し上げます。

  岩船山周辺の土砂埋め立ての経過と現状についてでありますが、A社につきましては、建設残土埋め立て特定事業として、平成23年2月に県の許可を得て、同年7月から岩舟町鷲巣地内におきまして埋め立てを開始いたしました。平成23年4月に旧岩舟町、5月に地元関係区と協定書及び覚書を締結しており、それらに定められた事項を遵守しながら事業を進めているかどうかを6カ月ごとに鷲巣地内土砂等埋立安全運営協議会の委員の方に現地を確認いただいております。また、市職員におきましても随時現地を確認しております。

  次に、B社についてでありますが、岩舟町新里の自己所有地内において土砂等の埋め立てを行うため、任意で提出する500平方メートル未満の埋め立て等届け書が平成20年9月から10月にかけて5回にわたり旧岩舟町に提出されました。これらの事業は一体性があり、500平方メートル以上の土砂等の埋め立て事業として判断されたことから、町に許可申請書を提出するよう、また平成24年1月には、事業区域面積が3,000平方メートルを超えたと推計されたことから、県に許可申請を提出するよう指導を行ってまいりました。平成24年5月以降には、県に地元住民の方からB社に関する通報が数回ありましたので、岩舟町と県による立入調査を行い、また県によるパトロールを実施いたしまして、許可申請書の提出及び無許可による土砂の搬入禁止についての指導を行ったところであります。平成25年度に県がパトロールを行った際、岩舟町鷲巣地内の事業者が仲介した土砂を搬入していたことが判明いたしましたことから、今後の指導の進め方につきまして、現在県と市で協議を進めているところであります。

  B社に対する指導といたしましては、土砂を受け入れた側としての指導となります。具体的には、仲介業者とともに土壌汚染がないことを確認するため土質調査を行うこと、仲介業者が土砂を撤去した後は、土地所有者として残存土砂が崩落、飛散または流出しないよう適切に管理を行うこと、今後新たな土砂が搬入されないよう、自己所有地の管理を徹底することなどを指導する予定であります。土砂を搬入した側の仲介業者に対しましては、過去に搬入した土砂を撤去すること、撤去後に土砂崩落を起こさないよう適切に整形を行うこと、搬入した土砂の安全性を確認するため、土砂条例の完了検査時の規定を準用し、数カ所の土質調査を行うことなどを指導する予定であります。

  最後に、指導に従わない場合における市としての法的措置といたしましては、栃木市土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例におきまして「特定事業を行おうとする者は、特定事業に供する区域ごとに、あらかじめ、市長の許可を受けなければならない。」とされております。なお、この規定に違反して事業を行った者に対しましては「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。」との罰則がございますので、今後告発等を見据え、指導を行ってまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.98

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.98

◆4番(針谷育造君) 大変憂慮すべき事態に現場はなっているというふうに私は認識をしております。相手に面会を申し込んでもなかなか会ってもらえない、そのような状況の中で、残念ながら、私の目からすれば手をこまねいているというふうにしか映らないし、現場の人たちも、現地の、近所の人たちもそのように見ているというふうに認識をしていただきたい。もしこのことが放置され、何の罰則規定も適用されなければ、地域住民の行政への信頼性を著しく失墜する、そういう事態も出てくるのではないのかな、ここは行政が毅然とした態度でその対処をぜひしていただきたい、そのことを再度申し上げ、確認の意味で決意を述べていただきたいと思います。

 

 

P.98

◎生活環境部長(大橋定男君) 告発をするまでには、現地の確認、それから搬入の実態の有無、こういったものを市と県で、あと総合支所と連携をとりながら確認をしまして、告発できるまでの証拠というか、実態を調べまして今後進めていきたいと思います。

 

 

P.98

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.98

◆4番(針谷育造君) ただいまの部長の答弁に期待をしたいというふうに思います。

  それでは、次に移らせていただきます。これは岩船山周辺のことだけではなくて、広い栃木市の中には山岳地帯もありますし、その裾野もたくさんある。環境課ではパトロールはしているようでありますけれども、許可された埋め立ての現状はどのようになっているのか、わかる範囲でご答弁を願いたい。

  また、無許可のおそれのあるものがあるのかないのか、これらを詳しく点検するためには多くの手間がかかります。市内の各自治会長さんに現地調査等を、あるいは見た状況などを報告するのも一つの方法かと思いますけれども、職員が地域から市役所に勤務をしておりますので、職員に、地域の実態は一番よくわかっているので、その辺のところも含めました点検の実施の必要性というものを伺いたいと思います。

 

 

P.98

◎生活環境部長(大橋定男君) ご質問の栃木市の土砂埋め立てについてお答えを申し上げます。

  栃木市内の土砂埋め立てについてでありますが、市条例の許可を受けた特定事業の件数は、昨年度において7件、今年度において3件ございます。全ての特定事業におきまして、土砂等を搬入する際、その土砂等の採取場所を証する発生元証明書及びその土砂の安全性を確認する計量証明書を提出していただいております。また、特定事業が6カ月以上かかる場合は土砂搬入場所の水質検査及び土質検査を行い、事業完了の際にも埋め立てられた土砂等の土質検査を行い、搬入された土砂等の安全性を確認いたしております。

  次に、無許可のおそれのある特定事業といたしましては、11月中旬ごろ情報提供がありました、大平地内で農地転用の許可の手続がなされていないにもかかわらず、無許可で農地に土砂を搬入している事案がありまして、現在その土砂の搬入を中止されているところでございます。今後の対応につきましては、農業委員会、環境課及び総合支所の環境担当が連携して、土壌の汚染や災害の発生の防止に取り組んでまいりたいと考えております。

  最後に、総点検実施の必要性といたしましては、現在、本庁及び各総合支所の環境担当、不法投棄監視員、県小山環境管理事務所との連携によりパトロールを実施しているところでありますが、議員ご案内のとおり、地元及び市職員からの通報も有効な手段でありますので、どのような場合が土砂条例の違反になるか、通報の方法などにつきましても周知を図ってまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.99

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.99

◆4番(針谷育造君) 許可が10件、無許可が1件というようなことでございます。

  私は、栃木市行政の毅然たる遵法精神と市民とみんなの協働の力で自然を守り、次の世代に引き継ぐことをともに確認し、質問を終わりたいと思います。

 

 

平成27年  3月定例会(第1回) - 02月27日-05号

P.146

○議長(関口孫一郎君) 4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.146

◆4番(針谷育造君) 通告に従い一般質問をいたします。4番、栃木新風会、針谷育造。

  1つ、岩藤大規模開発について、2つ、新教育委員会制度と道徳教育の教科化について、3つ、栃木市のブドウ栽培の再建について伺いたいと思います。

  それでは、1番から質問いたします。岩藤大規模開発について。この質問については、昨年の6月議会で市長から「栃木市の領域の東西を走る国道50号線沿線、南北を走る県道栃木藤岡線沿線など大平地域、藤岡地域並びに岩舟地域を一体的に結びつけ、各地域の個性や特色を生かした土地利用構想をつくり上げ、栃木市南部、ひいては市域全体の発展へとつなげてまいりたいと考えております。具体的には、岩藤大規模開発は、既存の総合計画における藤岡地域の姿の中で、既にインターチェンジ周辺活用エリアとして位置づけております」との答弁をいただきました。さらに、総合計画改訂版でも、岩舟地域のまちづくりの方向性の中で、岩藤大規模開発の推進を1番に上げ、「この地域が大変発展可能性を持っている地域であり、積極的に産業を誘致し、雇用の創出を図る区域としての整備を検討します」と書かれております。

  そこで、昨年の8月27日、東京千代田区大手町にあります三菱地所株式会社、代表取締役会長、木村惠司様を市長と訪問しました。木村様は岩舟にご親戚もたくさんあり、栃木市にゆかりのある方でございます。ご承知のように、三菱地所は資本金1,413億円、営業種目はオフィスビル、商業施設等の開発、賃貸、管理、収益用不動産の開発、資産運用、住宅用地、工業用地等の開発、販売、不動産の売買等国内トップクラスの会社であることはご承知のとおりであります。木村会長はざっくばらんな方で、市長との話に大変耳を傾けていただき、約1時間、旧知の仲のように親しく接していただいたと私は思っております。

  さらに、翌日の28日には、岩舟町出身で栃木高校の先輩でもあります日本通運株式会社、資本金701億円の元副社長、橋本章様が仙台からお出かけになり、市長との面会をいたしました。橋本様は、これを縁に栃木市ふるさと大使に就任していただいたようであります。

  さらに、東武鉄道との縁の深い本市であります。岩舟出身で東武鉄道取締役財務部長、スカイツリー株式会社社長を歴任し、現在は東武鉄道健康保険組合理事長の要職にあります戸澤隆夫様との交流もあるように伺っています。

  以上、私の聞き及んでいる方々との面会状況と栃木市としての今後のこの人脈をどう生かしていくのか、そしてその取り組みについて伺いたいと思います。

 

 

P.147

◎市長(鈴木俊美君) おはようございます。本日もよろしくお願いをいたします。それでは、お答えを申し上げます。

  昨年8月に三菱地所株式会社代表取締役会長、木村惠司様並びに元日本通運株式会社副社長であります橋本章氏と意見交換をさせていただいたところであります。意見交換に当たりましては、ご紹介をいただきました針谷議員には改めて感謝を申し上げます。いずれも岩舟地域、旧岩舟町にゆかりのある方でありまして、そうしたご縁もあり、ご親戚の方などのご紹介を介してお会いをすることができたところであります。私は、この両氏との意見交換の中で、栃木市は大変重要な施策の柱の一つに、産業の振興や働く世代の定住増加といったことを掲げており、今後積極的な企業誘致や既存事業所への支援を通して、新たな雇用を創出することで、将来に向けて元気な栃木づくりを目指しているところであるというふうなことをお話をさせていただきました。あわせて、両氏に対して各分野の専門的見地から、昨今の企業立地の動向であるとか、本市の地理的ポテンシャルの価値など専門家としてのご助言を今後賜っていきたいというふうなことについてもお願いをしたところであります。

  特に三菱地所は、ご案内のとおり、佐野プレミアム・アウトレットの設置者であります。当初栃木インター付近もその候補に挙げていたという会社でもありますので、ひときわこのことについて私どもとしてもお会いすることを楽しみに伺ったところであります。そして、先ほど針谷議員がご紹介されたとおり、三菱地所という会社は市街地の再開発などには定評のある会社でございますし、信用性も極めて高い会社でありますので、木村会長にはそうした面での栃木市のまちづくりへの支援を心から要請をしてきたところであります。同会長も大変気さくに話を聞いていただき、かつ同席をされた幹部の社員の方にも今後相談に乗るようにということをその場で指示もしていただいたりしておりますので、温かいつながりができたかなというふうに思っております。

  また、東武鉄道につきましては、根津社長とも名刺の交換はしておりますし、あの東武の根津社長は、基本的にというか、原則としてどなたともお会いにならないというのが東武のもともとの方針です。そんな中にあって、たまたまお会いする機会もあったりしたので、よかったというふうに思っておりますが、それから先ほどご紹介をいただいた戸澤さん、この方も岩舟のご出身ということもあって、戸澤さんとはもうスカイツリーのオープンのときなどにもお会いをしておりますし、戸澤さんのほうからもやはり私が故郷の人間だということもあったのだろうと思いますが、大変親しくお話もさせていただいております。

  このように栃木市ゆかりの企業あるいはゆかりの方などを訪問をし、意見を交換をさせていただいておりまして、これは今のそれぞれの方だけではなくて、それ以外にも訪問もしておりますし、またこれからもその予定が入っております。いずれも私自身にとりましても、人脈といいますか、人とのつながりを広めていく上で貴重な体験であって、これからも何らかのつながりを介して多くの方々に、特に経営者の方にお会いをして、栃木市への応援をお願いをしてくるつもりであります。これからもそうした栃木市の存在と、そしてこれからのあり方などについて経営者の方々に訴えをさせていただいて、何らかの企業進出などをしていただくか、あるいはご紹介をいただくか、そうしたつながりを失礼ですが、最大限利用させていただこうというふうに考えております。

  なお、せんだっては大阪方面に行く予定がありましたので、既に本市に進出していただいておりますミツカン酢、今はちょっと社名が変わりましたけれども、の会長などにもお会いをしてきておりまして、やはりこれからもここを拠点にして、生産活動に従事していきますよというふうなことを言っていただきましたので、こちらも大変力強いお言葉をいただけたかなというふうに思っております。

  このようにこれからも折あるごとにいろんな方にお会いをしていきたいというふうに思います。栃木市は、従来そうした発信がややもするとおくれていたなということを感じつつ、今回行かせていただき、栃木市のことについて多くを語ってこられたことを何よりもまずは成果だというふうに思っております。

  以上であります。

 

 

P.148

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.148

◆4番(針谷育造君) 大変前向きで、そして栃木市の発信力をこれからますますまさに一連の質問にもありましたように、3月議会の中で「オール栃木」で、その産業団地等の育成に取り組む姿勢というものを私たちも応援をしていかなければならない、そのようなことを感じることができました。私もそのときに立ち会いまして、栃木市が何をしたいと、こういうことを持ってきていただければ、私たちは三菱地所でも相当なシンクタンクをそろえ、日本通運でも日本一の流通関係の研究所も備えております。栃木市がどうしたい、そのことをいち早く決めていただきたい。そして、その中から発信をしていただければいいなというふうに思っております。

  それでは、次の質問に移りたいと思います。2番、栃木市の産業団地の現状について。本市における具体的な取り組み状況と今後については、平成26年3月に策定された栃木市都市計画マスタープランにおいて、主な工業系土地利用整備の方針が5カ所位置づけられています。それぞれの進捗状況はどのようになっているのでしょうか。また、一般的な着手までのスケジュールはどのようになっておるのでしょうか。

  さらに、下野新聞報道では、過日に「鹿沼市が新産業団地計画を策定し(約20ヘクタール)」という新聞記事でありました。「積極的に企業誘致を図るための庁内の検討会を立ち上げた」とあります。「都心から100キロ圏にあり、2012年から14年までの間に合わせて28件あった」とも報じられております。まさに80キロ圏内にある本市への企業問い合わせ等の状況についてもあわせて伺いたいと思います。

 

 

P.148

◎産業振興部長(早乙女洋君) ご質問の本市産業団地の現状についてお答えを申し上げます。

  まず、進捗状況についてでありますが、本市都市計画マスタープランの土地利用計画におきましては、千塚町上川原地区における新たな産業拠点の整備の推進を初めとして、東北自動車道と北関東自動車道にあります3つのインターチェンジ周辺及び広域幹線道路沿線について、交通の優位性を生かした企業の立地環境の整備を図るものとしておりまして、産業、物流等の新たな企業立地の調整、誘導を図る地区として位置づけております。

  具体的な取り組み状況ですが、千塚町上川原地区につきましては、市街化区域への編入等の都市計画決定や土地区画整理事業の認可等の手続が完了し、大部分の事業用地も取得いたしましたことから、本年度より取付道路の橋りょう部分等の工事に着手し、来年からは本格的に造成等の工事を進めてまいります。

  今後におきましては、造成工事の完了が平成29年度末を予定しておりますので、平成28年度から予約分譲を開始し、早期に分譲が完了できますよう企業誘致を進めてまいります。

  次に、栃木インター周辺につきましては、区域面積80ヘクタール、約230名の地権者で栃木インター周辺開発研究会を組織いたしまして、開発についての勉強会を開催しまして、地権者の合意形成を図るなど事業の推進を図っております。今後は平成27年度に地権者を対象に開発の手法や事業主体についての地区別懇談会を開催いたしまして、意見を聴取し、それらをもとに地権者の土地利用の意向調査を実施した上で、開発可能な区域を取りまとめてまいりたいと考えております。

  次に、都賀インター周辺につきましては、昨年度に意向調査を実施しておりますことから、その調査結果をもとに開発可能区域を絞り込み、地元地権者組織を設立し、開発の手法や事業主体等について地権者全員の合意形成を図ってまいりたいと考えております。

  次に、佐野藤岡インター周辺につきましては、現在土地利用の現況調査や道路、水路などの公共物調査、埋蔵文化財などの調査を行いまして、開発可能性の高い区域の検討を行っており、今後におきましては、おおむねの開発区域を抽出いたしまして、土地などの権利調査を行い、地元地権者組織を設立して、開発についての事業推進を図ってまいりたいと考えております。

  次に、平川地区につきましては、昨年度から庁内に土地利用検討委員会を組織いたしまして、課題の整理や開発の可能性を検討しておりまして、構想などがまとまり次第、関係者の皆様方にご説明させていただきたいと考えております。

  続いて、一般的な着手までのスケジュールについてでありますが、基本的に市街化調整区域における産業団地などの開発に当たりましては、市街化区域編入の手続が必要となりますことから、飛び市街地として認められる20ヘクタール以上の区域で地権者全員の合意が図られて初めて農地調整や都市計画法の諸手続及び環境影響評価の実施等を進めることができることになります。開発区域が決定し、地権者全員の同意を得てから、順調に手続が進んだとして、工事着工までに少なくとも5年程度はかかるものと考えております。

  次に、企業からの問い合わせの状況についてでありますが、宇都宮西中核工業団地においては、平成26年2月に分譲価格の値下げを行いましたことから、現在までに9件の問い合わせがありまして、そのうち現地案内につきましても、3件ほど行いましたが、今のところ立地には至っておりません。また、千塚町上川原産業団地につきましては、既に事前PRを行っていますことから、これまでに数件の問い合わせがあったところでありますが、分譲が早くとも3年後となりますことから、引き続きスケジュールや進捗状況等の情報提供を行ってまいります。企業の設備投資計画は慎重に計画されますが、計画の実施に当たってはスピードが求められますことから、本市における産業用地のストック状況も見きわめながら、企業ニーズの的確な把握に努め、計画的に整備を進めてまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.149

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.149

◆4番(針谷育造君) 栃木市における5地区の産業団地等の計画等についてご説明をいただきました。いずれにいたしましても、上川原地区につきましては、もう既に着工ということで、残るものも一部着工しているところもあるかと思いますけれども、次の3番のものとかぶりますけれども、ぜひこれらの振興を図っていただきたいことを要望したいと思います。

  それでは、(3)番、岩藤大規模開発の再開についてをお伺いしたいと思います。まず、再開するに当たっての市としての方針決定についてであります。1番として、主体はどこになるのかということが議題となると思います。さらに、2番として、事業手法はどのような方法をとるのか。3番として、開発の目的をどうするのか等事業再開にはさまざまな課題が山積しておると思います。市長は、これから開発計画を本格的に進めるには、大地主の東武鉄道さんの協力がなければこれは立ち行かないことであり、同時に他の地権者の協力もいただくことは当然です。今後東武鉄道とのよりよい関係を構築していくことを目指していきたいと答弁しております。そのことも踏まえて、先ほども若干触れて答弁の中にありましたけれども、今後の東武鉄道との見通しと佐野藤岡インター周辺との関連も含めてお伺いをしたいと思います。

 

 

P.150

◎総合政策部長(赤羽根正夫君) ご質問の岩藤大規模開発の再開についてお答えを申し上げます。

  昨年6月の定例会におきまして答弁いたしましたとおり、社会経済情勢は刻々と変化し、当初の計画である居住機能を中心とした複合都市の開発は、方向転換をせざるを得ない状況にあります。このような中、佐野藤岡インターや国道50号線に隣接しているという地理的好条件を生かし、企業誘致を推進することは雇用の確保につながることから、事業推進に当たっては、製造業や物流関係の産業団地の整備なども今後視野に入れる必要があります。今回の総合計画の見直しにおいて、改めて岩舟、藤岡地域にまたがるエリアに産業集積ゾーンとしての位置づけを行ったところであります。その上で、現段階では岩藤大規模開発の再開における本市としての基本方針がまだ定まっておりませんので、計画当初から相当な年月が経過していることを勘案し、まずは改めて現況調査を実施する必要があります。

  また、周辺の状況を把握し、地元との合意形成などを行った上で、事業主体や事業手法、開発目的を本市として決定するとともに、総合計画や都市計画マスタープランなどとの整合性を図りながら事業化に向けて検討をしてまいります。

  また、今後の見通しでございますが、大地主である東武鉄道グループを抜きにしてこの計画を再開することはできないものと認識しておりますので、先方と引き続き良好な関係を保ちつつ連携してまいりたいと考えております。

  さらに、本市と東武鉄道グループとのかかわりは、鉄道を初めとして多岐にわたりますので、継続的に情報、意見交換等を実施できるよう努めてまいります。

  また、隣接する佐野藤岡インターチェンジ周辺の開発につきましては、今年度事業化に向けての基礎調査として、土地利用状況などの現況調査を実施中であります。今後はその調査結果を踏まえて、佐野藤岡インターチェンジ周辺開発と岩藤大規模開発を一体的なエリアと捉え、開発を推進することを視野に入れなくてはならないと考えております。

  なお、本市の産業振興策につきましては、千塚町上川原地区の開発計画を初めとして、各インターチェンジ周辺における開発など多数の開発が計画されております。それらの開発に着手するには、市域全体の産業振興を勘案し、また本市の財政力等にも照らし合わせ、過度な投資とならないよう計画的な対応が必要であると考えております。したがいまして、今後各計画の実現可能性や市の財政状況及び今後の需給見通しを考慮した上で、各事業の優先順位づけを行い、事業の着手時期の調整を行っていくことになりますので、岩藤大規模開発はその重要性は十分認識しておりますが、長期的な取り組みとして対応を図ってまいりたいと考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。

  以上です。

 

 

P.150

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.150

◆4番(針谷育造君) 長期的にならざるを得ないというようなお話をいただきましたけれども、現実にまだ山林の荒れ地というような状況でございますので、その答弁もやむを得ないかなという気はいたします。しかし、あの地域にはインターもありますし、50号もあります。山林という規制の余りかからない広い地域があるということになってくれば、優先順位等これから検討するに当たって、より大きな夢がそこに開いてくるのではないのかな、地元の人たちもこのように申しております。手入れのできない山林や荒れ地になっている農地に打つ手がなくて、一日も早い開発を願って既に50年にならんとしております。合併を機会に大栃木市への期待は大きく現地では膨らんでおります。「この地域の一日も早い開発に希望をつないでいるよ。私の目の黒いうちにぜひ」、そのような声も地元からは聞かれております。この地域こそ栃木市の今後の命運を握っていると言っても私は過言ではないと思います。私には地元の機は熟しているように感じます。各方面との積極的な連携を図りながら、早急な開発計画を立ち上げることをお願いして、次の質問に移りたいと思います。

  2番、教育委員会制度と道徳教育の教科化についてであります。新教育委員会制度の概要につきましては、教育委員会はなぜつくられたのか。戦前の教育は軍国主義教育でした。このような政治による教育の利用を排除するために、教育委員会が、そして地域住民の手に教育行政を取り戻すために教育委員会制度ができたと私は思っております。この問題についても、9月議会で教育長の答弁は、「改正法では、地方公共団体の長は総合教育会議を設け、この会議において教育委員会と協議し、教育に関する施策の大綱を設定することになります。さらに、教育委員長と教育長を一本化し、新たな責任者である新教育長を置き、首長が議会の同意を得て直接任命、罷免を行うことになります。新教育長は、教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表する者であり、教育行政の明確化が図られることになります。しかし、教育委員会は引き続き合議体の執行機関として存続し、教育長は教育委員会の意思決定に基づき事務をつかさどる立場に変わりなく、教育委員会の意思決定に反する事務執行を行うことを認められておりません。また、政治的中立性、継続性、安定性を担保する必要がある教科書の採択や教育課程の編制及び個別の教職員人事などの教育委員会の職務権限は従来のとおりであります。したがって、教育委員会と教育長の権限は大きく変わることはないものと考えております」と教育長から答弁いただきました。しかし、新制度では教育委員長と教育長の役割が一本化されることになります。この意味は、新教育長は首長が議会の同意を得て直接任命し、教育委員会を代表させ、執行していく仕組みにかえることと考えられます。教育長は、現在教育委員会は指揮監督をしていますが、これからは誰の指揮監督も受けなくてよく、教育委員会と教育長の関係が逆転してしまう、このようなおそれがあるのではないか、このように考えられます。

  さらに、うがった見方をすれば、首長の考えで教育が振り回される心配はないのか。また、新教育長へのチェック機能の強化と会議の透明化への疑問です。本当に教育委員会が教育長に対しチェック機能が強化され、会議の透明化ができるという事例を挙げてご答弁願いたいと思います。

  さらに、首長の権限が強化された中で、チェック機能をどう担保できるのかもお伺いしたいと思います。

 

 

P.151

◎教育長(赤堀明弘君) ご質問の新教育委員会制度と道徳の教科化についてお答えを申し上げます。

  新教育委員会制度の概要についてでありますが、先ほど議員からのご発言にもありましたように、昨年9月の一般質問で針谷議員にご答弁しましたとおり、新教育長は合議体である教育委員会の意思決定に基づき事務を執行する立場であることに変わりはございません。教科書採択や教育課程の編制及び個別の教職員人事などの教育委員会の職務権限につきましても、従来のとおりであります。したがいまして、新教育長といえども、合議体の意思決定に反する事務執行はできませんので、これまでの関係が直ちに逆転するものではありません。また、首長である市長と教育委員会との職務分担につきましても、これまでと大きく変わるものではありませんので、市長の決定権が極端に強化され、教育が振り回されるものではないものと思われます。

  しかしながら、教育委員長と教育長の両者の権限をあわせ持つ新教育長でありますので、議員ご指摘のとおり、教育委員会などによる新教育長へのチェック機能が十分に働くことや、会議のより透明化が求められることになります。チェック機能につきましては、新教育長の就任時の議会の同意や任期の1年短縮に加えまして、委員の側からの教育委員会会議の招集の請求や教育長に委任した事務の執行状況に関する報告の規定がございます。これらにつきましては、教育委員による教育長の事務執行に対するチェック機能を強化するという観点から設けられたものでありますことから、本市におきましては、教育委員会における教育長報告の義務化を教育委員会規則に位置づけする予定であります。

  具体的な報告の内容につきましては、教育委員会が重点的に講ずるものと定めた施策の推進事務、児童生徒等の生命又は身体に現に被害が生じ、又はまさに被害が生じるおそれがあると見込まれる場合に対処した事務などとなっております。この報告につきましては、教育委員会で議論し、必要に応じて事務の執行を是正することが可能となります。これにより教育委員によるチェック機能が担保されるものと考えております。

  次に、会議の透明化につきましては、これまでにも市内各地域に出向いて教育委員会を開催するなど公開、透明性の確保に努めてまいりましたが、これをさらに継続し、開催場所や開催時間などの運営面に工夫を加えるなど、より多くの市民に開かれた教育委員会としていく考えであります。また、会議録の公表はもちろん、インターネットによる公表についても、教育委員会会議規則に新たに規定する予定であります。したがいまして、新教育長の就任後におきましても、教育委員会によるチェック機能や会議の透明化は十分に機能するものと考えておりますので、不安はないものと考えております。

  また、市長権限、首長権限のチェック機能をどう担保できるのかについてでありますけれども、先ほどもご説明したとおり、市長みずからが、あるいは任命した新教育長を通じて教育委員会に自分の意見を無理やり実現しようとしても、合議体であり、教育委員会の意思決定に反する事務執行はできませんので、担保できるものと考えております。

  以上です。

 

 

P.152

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.152

◆4番(針谷育造君) 大変細かいところ、そして聞きたいところを回答していただきまして、質問を(2)番に進めさせていただきたいと思います。

  道徳教育の現状について。道徳教育は、昭和33年に新設され、昭和41年には期待される人間像が発表され、現在まで道徳教育が続けられてきました。そこで、この間の栃木市における道徳教育の現状と課題、問題点、さらに小中学校に配置されている「心のノート」、「私たちの道徳」(文部科学省発行)について、どのように使用されているのか伺いたいと思います。

 

 

P.152

◎教育長(赤堀明弘君) ご質問の道徳教育の現状についてお答えを申し上げます。

  まず、道徳教育の現状についてですが、学校では子供たちに豊かな心を育むため、日々の学校生活全体を通して道徳教育を行っております。また、週1回の道徳の時間では、行ってよいこと、してはならないことが区別できる力、誰に対しても思いやりの心を持って親切にする心、生きることを喜び、生命を大切にする心などを育むよう学年の段階に応じて指導しております。その際、子供たち一人一人の考え方や感じ方を大事にしながら、人間としての生き方について考えを深められるよう特に留意して指導に当たっております。

  本市では、小学校1校、中学校1校を道徳教育推進研究校として指定しまして、道徳の時間と学校行事や日常の係活動などを結びつけながら、豊かな心を育む取り組みの研究を行い、その成果の周知に努めております。あわせて、教員を対象とした研修会を実施し、指導力の向上を図っております。

  課題としましては、子供たちが主体的に考え、学ぶことができる多様で効果的な指導を行うこと、また一人一人のよさを伸ばし、成長を促すために、子供の内面を捉える評価を行うことなどが挙げられますので、今後の本市の道徳教育の改善充実に努めてまいりたいと思います。

  次に、「私たちの道徳」の使用についてですが、この教材は国がそれまでの「心のノート」を改善しまして、全小中学校の児童生徒に配布したものであります。学校では、道徳の時間の指導の際に、学校独自に選んだ副読本と併用したり、学校行事のときにみずからの行動を振り返らせたり、学校で書き込んだものを家庭に持ち帰って、保護者と一緒に考えさせたりするなど活用を図っております。今後は学校や家庭での生活の中で、子供たちに豊かな心を育むための効果的な活用方法について研究してまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.153

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.153

◆4番(針谷育造君) 道徳教育の現状についてよくわかりました。

  それでは、(3)番に移らせていただきたいと思います。道徳の教科化とは何を目指しているのでしょうか。中央教育審議会の答申に基づき文部科学省は道徳を特別の教科に格上げし、小学校では2018年(平成30年)、中学校は翌年から実施をする予定でございます。栃木市長、教育委員会、教育長も教育に関しては民主的に執行していることを私は高く評価しておりますので、戦前のような回帰をしないと思っていますが、文部科学省の狙いは、もっと露骨に教育支配の意図が見えております。

  平成18年、安倍総理は戦後政治の改革を掲げ、教育基本法を第2条、教育の目標、第5条、義務教育、第16条、教育行政で愛国心教育と国の関与を柱として改正、私は改悪だと思いますけれども、いたしました。今回の道徳教育の教科化は、それを具体化するものではないでしょうか。また、文部科学省は、2月、現在は小中の教科外活動の道徳を正式な教科とする学習指導要領の改訂案を発表しました。その結果、いじめは道徳の教科化で解決すると私には思えませんが、どう考えるのでしょうか。

  さらに、一連の教育関係の改正の結果、戦前の修身教育、国のために身をささげる子供を、国民をつくり上げる狙いは見え隠れております。教科書を使い、同じ方向に子供を向かわせ、いつか来た道に逆戻りをし、戦争のできる国に向かわせるのではないかと不安であります。この件についてどのように考えているのかも伺います。

  また、道徳の評価が点数になじまないと言われていますが、どのような方法が考えられているのでしょうか。

  さらに、愛国心に関する学習指導要領改訂案による教育の内容の変更点は、小学1年生から6年生、中学生はどのようになるのかも伺いたいと思います。

  道徳の検定教科書を使って、国家が定めた特定の徳目、価値を検定基準として教科書を作成し、それが唯一正しい日本人の道徳だとして、愛国心を初めとして特定の価値観を教え込むことになれば、憲法第19条の思想、良心の自由を踏みにじり、国家が定める愛国心等を押しつけることにならないのかについても伺います。人の心に国は立ち入れない、このことを私は申し上げて、ご答弁をお願いしたいと思います。

 

 

P.153

◎教育長(赤堀明弘君) ご質問の教科化とは何を目指しているのかについてお答えを申し上げます。

  議員ご指摘のように、文部科学省では現行の道徳の時間を「特別の教科道徳」として位置づけ、目標や内容の改善を図るよう学習指導要領の一部改訂を予定しております。まず、これにより、いじめの解決が図られるかについてでありますが、本市では山本有三先生の生命尊重、人権尊重の精神を根幹に据え、子供たちにたった一人しかない自分のよさを伸び伸びと発揮し、たった1度しかない一生をみずからの意思で生き生きと切り開く力を育む教育を推進しているところです。特にいじめ、体罰の防止に向けては、「『あったか栃木』子ども生き生きプロジェクト」の中で、道徳教育を通し、友情のとうとさを理解し、互いに励まし合い、高め合う人間関係を深めること、いじめなどの身近な差別や偏見に気づき、絶対に許さないという態度を持つこと、生命はかけがえのないものであり、決して軽々しく扱われてはならないことについて深く考えさせ、いじめ防止につながる心の教育を行っております。これは「特別の教科道徳」へと位置づけられても決して変わるものではないと考えます。

  次に、道徳の評価方法についてですが、現行の学習指導要領においても、道徳の時間に関して数値などの評価は行わないとされております。しかし、道徳教育の評価は、教師が一人一人の子供の人間的な成長を見守り、子供自身の努力や成長の様子を認め、よりよく生きようとする力を高めるためには必要なものであります。また、評価は教師が指導改善するための手がかりとしても重要なものでもあります。

  そこで、学校では子供たちの観察、会話、作文やノートの記述などから、子供の内面を理解するよう努めております。また、子供たちがみずから考え、よりよく行動しようとする姿を見取り、称賛や励ましを行っております。議員ご指摘のように、「特別の教科道徳」の評価においても数値などによる評価は不適切であるとされており、文部科学省では今後評価のあり方等を専門家による会議を設けて検討する予定と聞いております。市といたしましても、子供一人一人のよさを伸ばし、その成長を促すための適切な評価について今後研究に努めてまいります。

  次に、内容の変更点についてですが、主として集団や社会との関わりに関することの伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度の項目では、これまで小学校5年生以上で取り扱われていた「国」や「我が国」という文言が小学校第1学年から追加されております。また、国家が定める愛国心等を押しつけることにならないかについてですが、子供たちが集団や社会とのかかわりについて学ぶ際には、みずからのふるさとである郷土や我が国の伝統や文化を大切にしようとする心情を育むことや伝統や文化を継承してきた先人の努力を知ることを通して、自分もそのために努力をしようとする態度を育てることが重要だと考えます。ただし、議員ご指摘のように、子供たちに特定の価値観を押しつけることや言われるままに行動するよう指導することは、決してしてはならないことであると考えます。今後も本市の道徳教育は、子供の主体性を尊重し、教師みずからが子供とともに考え、悩み、感動を共有しながら学ぶことであり続けるよう一人一人を大切にした教育を推進してまいります。

  以上です。

 

 

P.154

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.154

◆4番(針谷育造君) 大変栃木市の教育の現状について、私たちの心配を吹き飛ばすような教育長の答弁、大変ありがとうございました。

  それでは、まとめに入りたいと思います。道徳教育の教科化までには3年の時間がございます。今まで培ってきた栃木市の子供のための教育に自信を持って進めてもらいたいと思います。しかし、そのような思いとは裏腹に、実はきのうのテレビ等でも、新聞等でも、きょうの新聞等でも、道徳教育の司令塔であります下村文部科学大臣が違法献金、つまり「政治とカネ」の問題を国会で追及されました。子供たちに道徳教育を教える資格が本当にあるのか、道徳を学ぶべきは下村大臣ではないのか。「大臣、おまえもか」と私は言いたいと思います。ドイツの大統領だったバイツジェッカー氏の1985年5月8日の連邦議会演説で、「過去に目を閉ざすものは、現在、未来に対してもやはり盲目となる」、この言葉を心に刻み、歴史の歯車を過去に戻すことのないよう教育行政を担うことを強く要望して、次の質問に移ります。

  3、栃木市のブドウ栽培の再建についてであります。(1)2014年2月の雪害によるハウスの被害について。ご承知のように、大平、岩舟地域は県内でも有数のブドウ産地であります。大平は観光農園が主体の経営になっているようであります。岩舟は市場出荷を中心としております。このようなハウスブドウの産地が壊滅に近い被害を受けたことは記憶に新しいものです。昨年の雪による施設園芸、とりわけ大平、岩舟地域のブドウ栽培の被害状況と被害が拡大したと思われる原因についてお伺いしたいと思います。

 

 

P.155

◎産業振興部長(早乙女洋君) ご質問の栃木市のブドウ栽培の再建についてお答え申し上げます。

  2014年の2月の雪害によるブドウハウス等への被害についてですが、本市におけるブドウ栽培ハウスの被害状況につきましては、栃木地域で4戸、大平地域で17戸、岩舟地域で35戸、藤岡地域で4戸、合わせて60戸であり、被災面積は約24.8ヘクタール、作物の被害金額は約2億6,300万円、施設の被害金額は約31億6,600万円でありました。施設の撤去、再建などについては、国庫補助事業として取り組んでいる被災農業者向け経営体育成支援事業のほか、市単独事業として農業用園芸施設等復旧等支援事業、それから被害農作物作付支援事業、被害農作物等病害虫防除等事業、果樹未収益期間支援事業を創設いたしまして、被災農家の支援に当たっているところであります。

  ご質問の農家自己負担金額でございますけれども、国庫補助事業に取り組む農家では、原則撤去費用の負担はありませんが、再建、修繕に取り組む農家の負担は10%となっております。今回のブドウ栽培ハウスの撤去、復旧の申し出をした農家は、全てが国庫補助を活用しておりまして、農家の自己負担額は合計で約1億700万円となっております。

  また、被害拡大の原因ですが、2月14日から15日にわたった降雪による被害要因を国などが調査をしまして、平成26年7月発表した結果によりますと、これまでの観測記録を大幅に更新した積雪が、明け方から雨になったことにより重くなり、積雪の深さ以上の荷重が加わり、それに耐えられなくなった支柱が折れ曲がり倒壊したものと分析しております。

  以上でございます。

 

 

P.155

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.155

◆4番(針谷育造君) ありがとうございました。

  それでは、(2)番、再建の状況に移らせていただきたいと思います。再建状況と、その再建状況がおくれている原因について伺いたいと思います。これは過日の朝日新聞でありますけれども、ここでも述べられておりますけれども、それらの総合的なおくれている原因について伺いたいと思います。よろしくお願いします。

 

 

P.155

◎産業振興部長(早乙女洋君) ご質問の再建状況についてお答え申し上げます。

  本市におけるブドウ栽培ハウスの被害状況につきましては、先ほど答弁させていただきましたが、その再建に当たっては、国庫補助事業である被災農業者向け経営体育成支援事業を活用しております。その交付申請者数でございますけれども、57戸、うち撤去のみは15戸、面積にして約4.4ヘクタール、撤去及び再建、修繕を行う経営体数は42戸、面積にして再建の面積は約7.7ヘクタール、修繕の面積が約2.5ヘクタールとなっております。合計で10.2ヘクタールとなっております。これらのことから、約95%の農家が補助事業に取り組むことになり、そのうち約80%の農家がブドウの栽培を継続することになります。

  なお、当補助事業は、営農を継続することが採択要件となっておりますので、施設を撤去しかしない農家におきましても、ほかの作物で営農を継続することになります。また、今回被災により、敷地に合わせて建設していたハウスを作業効率のよい四角形にしたため、結果的に栽培面積が縮小したケースや単に年齢的な問題から栽培面積を縮小したケースを合わせますと、被害前の面積より約14.6ヘクタールが縮小した結果となっております。

  再建の状況ですが、年度内に完了できないとの申し出のあったブドウ農家戸数は、申請者の約60%となります35戸で、市の予算上の手続はもちろんのこと、国や県に対しましても繰り越しの承認の手続を進めております。

  また、再建がおくれている原因につきましては、資材や作業員の不足によるものと伺っております。ブドウ栽培ハウスは、主に鉄骨構造となっておりますことから、500万円以上の工事費がかかるものについては、建設業法の許可を持っている事業者でなければ施工できないなどの要因があるようであります。これら複数の原因が再建をおくらせているものと考えております。本市といたしましては、事業費の繰り越し等の手続を行いまして、確実に再建が進むよう努めてまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.156

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.156

◆4番(針谷育造君) もろもろの原因でおくれているということ、できないのが35戸、60%というかなりの数に上っていることもわかりました。この朝日新聞によりますと、わかる範囲内で再質問ということですけれども、ハウスの再建を行う建設委員会を設置したというふうに岩舟等の新聞記事がございますけれども、もしそれらを把握しておるようでしたら、部長のほうから再質問にお答え願いたいと思います。

 

 

P.156

◎産業振興部長(早乙女洋君) 済みません。申しわけございませんが、ちょっと情報を持っておりません。

 

 

P.156

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.156

◆4番(針谷育造君) それでは、ハウスの再建を行う建設委員会について新聞等では、岩舟では生産組合長の針谷さんという方が生産組合長をやっておるようでございますので、その人の記事がここに載っておりますけれども、生産再開を目指す組合は、雪害直後から復旧に向けた協議を重ね、ハウスの再建を行う建設委員会を昨年の春設立したとなっております。私も電話で聞きましたけれども、そういうお互いの被害農家の助け合いで、今特別仕事がないということで、そういうお互いの助け合いの中で、そのハウスをつくることを自分たちで請け負う。しかし、農協が実際は請け負って、その下となって地域の仕事確保ということもあって、再建に取り組んでいるようなお話は聞いておりますけれども、これら自分たちのそのような仕事の段取り等もあるかと思いますけれども、特殊な技術を持っているということで、そのようなことも一つの再建に当たってのよいことではないのかなということでお聞きをいたしまして、大変部長には失礼をいたしました。

  それでは、一番肝心な(3)番の今後の産地育成の見通しと行政支援についてお伺いしたいと思います。答弁によれば、産地育成は大変厳しい状況になっているようでございます。しかし、岩舟の巨峰ブドウは、東京中央卸売市場で例年6月の状況でございますけれども、平成24年が40%、平成25年42%、平成26年、被害のときでも35%の占有をしている実績もそのように長年続けてきておりました。また、その栽培技術は高く評価されております。大平の観光ブドウ栽培は、観光農業の先端を走り続けてきたと思っております。ここで、これらを失うことは、栃木市の農業にとっても大変な損失になります。ブドウ栽培は植えつけてから翌年に収益が上がるものではありません。四、五年の育成期間がかかります。多くのブドウ農家がここに一番の悩みを抱えております。5年間無収入では、後を引き継いでくれとは言えない。まだ若いから、今のうちなら他産業へ転職するなどの事例を聞いております。この年で借金をつくりながらブドウ栽培の情熱もなかなか出てこない。規模を縮小して栽培するしかないなどの声も聞かれております。産地復活には非常に厳しい状況であります。このような中で、それを乗り越えようとしている栽培農家もいるのではないかと思われます。そのような事例をぜひ聞かせていただき、展望を語っていただきたいと思います。

  さらに、ブドウ栽培は、5年間無収入をどうしてもカバーするその方法は、行政当局に何かよい方法があるのか、農家と一体となった行政指導と支援について伺いたいと思います。

 

 

P.157

◎産業振興部長(早乙女洋君) ご質問の今後の産地育成の見通しと行政支援についてお答えを申し上げます。

  このたびの降雪による園芸施設等への被害は、先ほど申し上げたとおりであり、甚大なものでありましたので、議員からご紹介いただきました地元の農家の声につきましても、市としては十分認識しているところであります。

  また、議員ご指摘のとおり、ブドウは植栽後数年間収益が見込めないという事情もあります。このようなことから、国では果樹経営支援対策事業として、果樹の改植を実施した場合、10アール当たり5万円を改植の翌年度からの4年分について一括で交付する事業を創設したところです。この事業は、改植の翌年度から交付の対象となりますことから、本市といたしましては、この事業を補完するため、栃木市大雪による果樹未収益期間支援事業といたしまして、改植の初年度分、最初の年の分について国と同様、10アール当たり5万円の補助を行う事業を創設いたしました。現在の執行状況は、岩舟地域で12戸、大平地域で12戸、藤岡地域で1戸、合計25戸が申請しておりますが、いずれも施設の再建が年度内に完成できないとの申し出がありまして、先ほどの答弁のとおり繰り越し手続を行って、着実な事業執行を支援しているところであります。

  さらに、市といたしましては、この雪害等による教訓をもとに、県が作成いたしました農業用ハウスの雪害対策のチラシ配布、とちぎ農業防災メール配信等の周知を図ってまいります。

  また、本年2月に園芸施設における農業共済制度の拡充がされました。具体的には耐用年数を2倍にし、補償金額が増加するなどというものでありますけれども、これらの情報につきましても、さまざまな機会を通じて全ての農家へ周知してまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.157

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.157

◆4番(針谷育造君) さらに、農業は特に適地適産と言われております。人であり、気候であり、地形であり、地質であり、水系など多くの条件が適合して産地として可能となると思われております。大平、岩舟の産地は、このようにしてたくさんの人たちの努力によってつくられたと考えられます。ぜひ産地復活を栽培農家、農業団体、消費者、行政が一体となり、産地復活に取り組むことをぜひお願いをしたい。例えば集落営農等で後継者を他から呼び込む方法や農業大学校の卒業生を受け入れることなどは考えられないでしょうか。そのためにどのようなことができるのか、再質問という形でご答弁をお願いしたいと思います。

 

 

P.157

◎産業振興部長(早乙女洋君) 再質問にお答え申し上げます。

  ただいま議員のほうからご提案という形でいただいたところでございますけれども、後継者等をほかから呼び込む方法などというのはすばらしい話だと思います。これについては、農業士会あるいは農業生産法人などと連携をいたしまして、地元農家等のご意向もあると思いますので、相談、それから協議をしながら取り組めるものから取り組んでまいりたいというふうに考えております。

  以上です。

 

 

P.157

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.158

◆4番(針谷育造君) もう時間もございませんけれども、最後にしたいと思います。

  栃木市のブドウ生産の再建に全力で取り組んでいただいていることがよくわかりました。さらにそのことに力を注ぎ、栃木市のブドウの栽培についての産地の復活に向け、さらに努力していただくことをお願いし、質問を終わりたいと思います。

 

 

平成27年  6月定例会(第2回) - 06月03日-03号

P.65

○議長(関口孫一郎君) 引き続き一般質問を行います。

  4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.65

◆4番(針谷育造君) 通告に従い一般質問をいたします。4番、栃木新風会、針谷育造。組織機構の見直しと総合支所の位置づけについて、消防行政の充実について、マイナンバー制度導入に対する本市の対応について質問をしたいと思います。

  発言要旨の1番、組織機構の見直しと総合支所の位置づけについて質問したいと思います。本庁と総合支所の役割分担について。本市が合併して5年が経過、岩舟地域については1年が経過いたしました。この5年間の総括を踏まえ、今機構改革が進められておると思います。私の聞いている中での栃木市合併は、岩舟では合併まではいろいろありましたが、おおむね受け入れられていると思います。役所が遠くなったの心配も一部にはありますが、住民生活に係る福祉や健康、住民情報、環境、税務などについては、総合支所で解決をしているようであります。ただ、本庁との協議が必要な産業、土木関係の事案は遅いのお叱りを受けることもあるように感じております。職員も総合支所の役割を理解し、できるだけ総合支所で解決したいと考えているようであります。住民生活になくてはならない総合支所が住民のよりどころになりつつある、このように考えております。組織機構の見直しと本庁と総合支所の位置づけ、役割分担について合併5年が経過し、どのように総括をしているのかお尋ねしたいと思います。

 

 

P.65

◎市長(鈴木俊美君) お答えを申し上げます。

  本庁と総合支所の役割分担についてでありますが、合併後の旧役場につきましては、他市においては分庁方式を採用するところが多い中にありまして、本市は役場がなくなることで住民と行政との物理的、心理的距離が遠くなることへの不安を解消するとともに、市民サービスに急激な変化を来すことのないように配慮いたしまして、総合支所方式を採用しているところであります。総合支所方式につきましては、管理部門等は本庁舎に集約しつつも、それ以外の直接的に住民サービスに関係する部門などは旧町単位に置くものでありますので、地域住民の皆様には安心と利便性を提供できる現地解決型の制度であります。

  その一方で総合支所方式には、予算や権限、それに職員の配置規模などとの関係で本庁との間に二重行政や二重構造、あるいは経費のかけ過ぎといった問題や課題があることも事実であります。最初の合併から丸5年が経過した今日、本市は今後一つの自治体としての統一した組織機構を形成し、行政のスリム化も図ることによって財政の健全な運営にも努めていかなければなりません。また、市民の一体感を形成していく上でも、全市一体の組織機構の充実も必要であります。そこで、これからは地域の市民の皆さんが一々本庁舎まで出向かなくても済む機能や地域の振興、発展に密接に関係する機能、そして地域会議や地域実働組織のお手伝い、地域まちづくりセンターとしての機能を有する支所としての存在は今後とも継続をしてまいりますが、現在の総合支所の行政機能の中でただいま申し上げたような観点から本庁に集約しても地域の市民の皆さんや地域にそれほどご迷惑をおかけしないと考えられる分野については本庁に集約する方向での検討もしていきたいというふうに考えております。

 

 

P.66

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.66

◆4番(針谷育造君) 市長から基本的なお話をいただきました。私もそのような方向性については理解をしていきたいと思います。

  それでは、発言明細2の総合支所の機能強化について。先ほどの市長の答弁にもありましたように総合支所の予算については当初に年間予算が決定されますが、それ以外の事案が出てきたときには、本庁協議は当然ですが、迅速に対応するためには総合支所に予算と権限を認めるべきと考えます。市民の信頼を確立するためにも現状はどのようになっているのか、さらに予算と権限を充実させる考えがあるのか伺います。

  私は、地域分権主義の拠点が総合支所であると考えます。地方分権が叫ばれて平成の合併が進められました。そこで、地域の特性や多様性に合わせたまちづくりを進めていくために地方分権をさらに進めた地域分権を推進し、その中核としての役割を総合支所に求めるべきであると考えますが、ご答弁願います。

  今まで述べてきたように総合支所こそワンストップサービスの市民のとりでとして頼れる場所にすべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 

 

P.66

◎総務部長(松本俊君) ご質問の総合支所の機能強化についてお答えを申し上げます。

  1点目の総合支所の予算と権限についてでございますが、総合支所において当初予算では対応できない事案が発生した場合には、総合支所の所管課が予算を補正し、執行いたしております。また、執行権限につきましては、部長及び総合支所長の権限を強化するとともに、事務の迅速化を図るため事務決裁規程を改正いたしました。なお、現在組織機構の見直しを行っているところでございますが、総合支所につきましてもスリム化する方向で検討いたしておりますので、さらに予算と権限を充実させることは難しいものと考えております。

  次に、2点目の地域分権の役割を総合支所に求めるべきについてでありますが、ご承知のとおり本年度から新たな地域自治制度がスタートいたしました。この制度は地域の活動を応援していくものでありまして、地域会議やまちづくり実働組織が地域予算制度や地域づくり応援補助金を活用し、自主的な地域のまちづくりに取り組んでいただくことによりまして、地域分権が推進できるものと考えております。このようなことから、総合支所におきましては地域会議やまちづくり実働組織と連携を図るとともに、その活動を支援する役割を担ってまいりたいと考えております。

  次に、3点目の総合支所こそワンストップサービスにすべきについてでありますが、市町村におきましては庁舎内の窓口を一本化する総合窓口を導入し、市民の皆様にワンストップサービスを提供する取り組みを行っております。総合支所におきましても組織改編によりまして、窓口部門を統合し、市民にわかりやすいワンストップサービスを提供できるようにするほか、新たな地域自主制度を支援するサポート役として、引き続き市民の皆様に身近な行政機関としての役割を担ってまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.66

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.66

◆4番(針谷育造君) 1点、再質問をさせていただきたいと思います。

  確かに予算と権限の充実、難しいというお話も私は一方ではわかります。しかし、このことについて先ほども部長の答弁にありましたように対応できないものができたとき、そういうときには補正とかそういうもので可及的速やかにやっていただきたい、そのことはこの権限あるいは予算というものとの整合性みたいなものがありましたら、もう一点だけそこのところをもう一度ご答弁願いたいと思います

 

 

P.67

◎総務部長(松本俊君) お答え申し上げます。

  さらに予算と権限を充実させるということにつきましては難しいということにつきましては、先ほどお答えをしたとおりでございますが、そこを補填する、補うという意味におきましては、本庁と総合支所が密に連携をとりまして、相互に補完をし合うことによりまして、この予算と権限の部分をきちんと担保してまいりたいと、そのように考えております。

  以上でございます。

 

 

P.67

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.67

◆4番(針谷育造君) そのようなことに努めていただきたいという要望をしたいと思います。

  次に、発言明細の3でありますけれども、地域づくり推進条例と総合支所のあり方についてお尋ねします。市民が主人公の行政実現こそが究極のまちづくりであり、地方自治の本旨であると考えております。そこで、地域会議、実働組織、まちづくりセンターの有機的連携について伺います。本年4月から栃木市地域づくり推進条例が施行されました。現在の進捗状況と見通しについて伺いたいと思います。

 

 

P.67

◎総合政策部長(早乙女洋君) ご質問の地域づくり推進条例と総合支所のあり方についてお答えを申し上げます。

  今年4月1日の栃木市地域づくり推進条例の施行に伴いまして、新たな地域自治制度の運用を開始いたしました。概略を申し上げますと、まず市の附属機関である地域会議を設置いたしました。主な役割といたしましては、集約された地域の意見を市の予算案に的確に反映させる地域予算提案制度の活用であり、そのほかには従来の地域協議会と同様に市からの意見聴取事項に対する回答や自主的に審議した意見を市に提出することなどがあります。

  次に、まちづくり実働組織の制度を設定いたしました。これは自主的、自立的に設立される任意の組織でありまして、地域固有の課題の解決や地域の特色を生かした活動に自主的に取り組む組織であります。さらに、各総合支所などに地域会議の運営などを担う地域まちづくりセンターの機能を備えました。この地域まちづくりセンターは、地域会議の事務局を担い、まちづくり実働組織の設立及び運営を支援し、身近な地域づくりを推進していく機能と役割を担ってまいります。地域まちづくりセンターが地域会議とまちづくり実働組織とを密接につなぎ、互いの活動内容などについて情報の共有化を図るとともに、それぞれが地域の資源を生かす取り組みなどを通して連携協力し、地域が一体となったまちづくりを進めていくことが新たな地域自治制度の姿であると考えております。

  次に、進捗状況でありますが、去る4月20日に委員の委嘱を行いまして、第1回目の地域会議を5月12日の岩舟地域会議を皮切りに本日予定しております栃木中央地域会議まで順次開催をしております。初年度ということもありまして、動き出しまでに若干の時間を要しましたけれども、10月には地域会議の主な役割である地域予算提案制度に基づく事業計画書を市長宛て提出できますよう進めてまいりたいと考えております。また、まちづくり実働組織については、地域の自主性や地域内のつながりが基礎となりますので、今年度末までにはできる限り多くの地域でまちづくり実働組織が設立されますよう支援してまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.68

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.68

◆4番(針谷育造君) 次の質問ともかぶってまいりますけれども、私は総合支所あるいは地域づくり推進条例、さらに地域会議、まちづくり実働組織、地域まちづくりセンター、評価をしながら、これらの有効的な、そして実際問題として地域の人たちがそこで生き生きと活動できるようなことを要望をしたいなというふうに思っておりますので、今お答えになりましたことを着実に進めていっていただきたい、そのように考えて次の質問に移りたいと思います。

  次は、地域コミュニティ、小学校区単位ぐらいで考えておりますけれども、活性化のための市の組織について。基本は、栃木市地域づくり推進条例であり、地域から上がってきた事案を総合的な判断に基づき具体化していく実働部隊こそがコミュニティの担い手になると考えられます。そこで、重要になるのがよりどころとなる拠点と指導者であると思います。幸い各地域には市の施設等は存在しています。そこに、地域の人々がいつでも自由に集まれ、相談、協議の場所にすることが必要ではないでしょうか。その場所には職員が相談等に答えられる体制も必要です。地域コミュニティづくりについて伺いたいと思います。

 

 

P.68

◎総合政策部長(早乙女洋君) ご質問の小学校区単位の地域コミュニティ活性化のための市の組織についてお答えを申し上げます。

  議員がおっしゃるように地域コミュニティの担い手としてまちづくり実働組織がそれぞれの地域で活発に活動することこそ新たな地域自治制度の目指すところであります。このまちづくり実働組織が活動する区域につきましては、画一的に定まったものではなく、地域の実情に応じて旧町村単位であったり、もっと小さな単位になることも考えられるところであります。1市5町が合併した本市では、地域によって実情の違いが大きく、既存の団体や組織では対応がしにくいといった課題も多くありますので、そういった地域の課題に総合的に対処するためには複数の団体が構成員となり、少なくとも小学校区などの一定規模以上の区域を活動範囲とすることが望ましいものと考えております。この組織の設立に際しましては、まちづくりを担っていただく意欲のある団体やボランティアに通じた方々の掘り起こしを行ってまいりますとともに、地域会議を初め地域内で活動する多くの団体などと話し合いを持ちまして立ち上げの機運を高めてまいりたいと考えております。

  また、議員ご指摘のとおり、まちづくり実働組織が機能していくためには活動の拠点が不可欠でありますので、その役割を地域まちづくりセンターが担ってまいります。さらに、そこに職員が加わりまして、地域住民の皆様との交流や話し合いができる身近な拠点として有効に活用してまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.68

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.68

◆4番(針谷育造君) 小学校区単位というようなことでのご答弁もいただきました。いずれにいたしましても、地域のことは地域の皆さんが主人公になりながら地域を活性化していく。そして、地域のことはできるだけ地域でやっていこう、そういう組織、まさに実働組織が必要になってくる、そのように思っておりますので、この事業につきましても特段の指導をしながら、先ほども言いましたように総合支所が住民にとってはとりでになる、そのことを住民の皆さんにもわかっていただくためにも各地域には区長制度、自治会長制度もあるかと思いますけれども、そういうものを総合的に地域の中に組織化をし、そして自分たちのことは自分たちでやっていこう、そんなことを私も考えておりますので、どうぞ強力な指導や支援をお願いし、皆さんの自主的な活動に大きな応援もお願いしたい、そのことを申し上げたいと思います。

  それでは、次に移ります。発言要旨2、消防行政の充実についてを伺います。

  発言明細1、常備消防の定数計画について。消防行政は、常備消防と地域の消防団、市民の信頼と協働の上に成り立っています。とりわけ現在の消防行政の中で高度な知識や技能や経験を備えた常備消防が大きな役割を担っていると思います。栃木市職員定数条例によれば消防職員定数は195人であります。現在の定数計画の進捗について伺いたいと思います。

 

 

P.69

◎消防長(増山政廣君) ご質問の消防行政の充実についてお答えを申し上げます。

  常備消防の定数計画についてでございますが、旧岩舟町の合併に伴う岩舟分署の開署や職員の大量定年退職等に伴い、平成25年3月議会におきまして、議員皆様のご理解をいただき、職員の定数を195人へと改正させていただきました。消防職員の現有数は岩舟分署の開署等により、平成26年度には18人、今年度は15人の職員採用を行いまして、現在179人の消防吏員に消防団事務を所管するその他の職員5人を加え、消防職員数184人となっております。現在職員が不足している状況ですが、出動態勢の見直しや効率的な人員配置により消防力の維持に努めております。今後は、年齢構成の平準化を考慮しつつ職員採用を行い、また定年退職した職員を再任用するなど計画的に採用していきたいと考えております。

 

 

P.69

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.69

◆4番(針谷育造君) 定数195人で現在184、欠員11ということでありますけれども、消防行政につきましては市民の財産や生命、そして防災と、まさに縁の下の力持ちの仕事であるし、なくてはならない業務であるというふうに思っております。

  それでは、再質問ということで、この11人、現在不足している11人についてはいつぐらいまでに達成するのか、その見通しをお伺いしたいと思います。

 

 

P.69

◎消防長(増山政廣君) 再質問にお答えを申し上げます。

  現在職員はどの所属におきましても不足しております。特に火災、救急・救助業務を行う現場の職員が不足しております。職員を早目に採りたいところですが、先ほども申し上げましたとおり、職員の平準化等もありますので、そういったところを考慮しまして、できるだけ早く職員を採用したいと考えております。

 

 

P.69

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.69

◆4番(針谷育造君) 消防長の立場にしますと、できるだけ早くという答えしか出ないこともわかりますけれども、これは通告はしておりませんけれども、市長にも任命権者の市長ということでございますので、市長のコメントがありましたらお願いをしたいと思います。再質問ということでお願いします。

 

 

P.70

◎市長(鈴木俊美君) まず、定員というのは常にその定員まで達していなければならないというものではなくて、あくまで目標という数値でもありますので、問題はその目標に到達するまでどのように現実の消防体制を維持していくかということであります。したがいまして、消防長としてはそれはあしたにでもすぐ満たしてくれという気持ちはよくわかっておりますが、我々としては直ちに日常の業務に差し支えるような職員の困窮度が激しければ、これはお金の問題とか何とか言っていられませんが、何とか日常の業務を回していけることを維持しつつ、できるだけ計画的に職員数を増やしていくという今考え方をとっておりますので、いつまでに不足している人間全員を採用しますということは申し上げられませんが、計画的に採用をしていくということでご理解をいただきたいと思います。

 

 

P.70

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.70

◆4番(針谷育造君) 目標という言葉もありましたけれども、最後には計画的に定数を補充していくということで理解をしたいと思います。

  次に移ります。発言明細2の消防団の充実強化の基本方針について。この件に関しては、平成26年12月議会で15番、針谷正夫議員の質問の中で定数の見直しや管轄区域の見直しも含め、消防団の充実強化のための基本方針の策定と消防団の目指すべき将来像を定められるよう検討するとの答弁がありました。消防団組織は、栃木方面隊12分団37部510人、大平方面隊3分団14部175人、藤岡方面隊4分団9部147人、都賀方面隊4分団7部101人、西方方面隊4分団8部123人、岩舟方面隊3分団11部162人、合計30分団87部1,239人となっております。私の地元、小野寺は、第3分団が4部に分かれ、62人の団員を有しております。平均1部当たり15人でございます。住民は約3,000人であり、高齢化人口は岩舟地域でも一番高く、消防団員該当者は極めて少ない実態にあります。団員確保は至難のことであり、後が見つからないとやめられません。その上、地元を離れて近隣市町に勤務しています。区や自治会への団員確保の依頼はありますが、ほとんどが無理の状況です。早急な対策を考えないと、団の存続すら厳しくなり、火災等の連絡があっても消防車が出動できないことも心配されます。そこで、定数と管理区域の見直し、団員確保を含めた将来ビジョン、基本方針の推進、進捗状況について伺いたいと思います。

 

 

P.70

◎消防長(増山政廣君) ご質問の消防団の充実強化の基本方針についてお答えを申し上げます。

  本市消防団の各分団は、昭和の大合併以前の旧市町村単位において組織されたものであります。その後幾度かの組織や定数の見直しを行ってまいりました。現在は37分団60部、条例定数1,239名、実数は平成27年4月1日現在で1,196名となっております。議員ご指摘のとおり少子高齢化や山間地域を中心とした若者の流出、地域活動に対する意識の希薄化等により消防団員の確保は困難な状況にあり、またサラリーマン団員の増加や雇用形態の多様化により、災害発生時に対応できない団員も増えるなど、地域の消防防災力の低下が危惧されております。今後は、消防団員を確保するために消防団の本来の活動を広く市民や事業所等にアピールをし、イメージアップを図りながら消防団協力事業所表示制度や消防団サポート事業など処遇改善を実施してまいりたいと考えております。また、消防団や自治会等の意見をお伺いしながら定数や管轄区域の見直しを含め、検討してまいりたいと考えております。なお、栃木市消防団の充実強化のため、基本方針に向けた目指すべき将来ビジョンを早々に着手してまいりたいと考えております。

 

 

P.70

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.70

◆4番(針谷育造君) 再質問をしたいと思います。

  早々に基本方針等を決めるということで、このことにつきましては市の組織の見直しとの絡みもあるのかなと思いますけれども、いつごろまでを目標といたしまして、基本方針等を策定していくのか重ねて伺いたいと思います。

 

 

P.71

◎消防長(増山政廣君) 再質問にお答えを申し上げます。

  将来ビジョンにつきましては、今年度中に着手し、平成28年度中に完成を予定しております。まずは、将来ビジョンを策定していきたいと考えております。

 

 

P.71

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.71

◆4番(針谷育造君) きちんとした将来ビジョンを平成28年度中につくっていただき、市民の安心、安全のためにもぜひお願いをしたいと思います。

  それでは、発言明細の3、消防団員の報酬についてをお伺いいたします。平成26年度岩舟方面隊第3分団2部の、私の地元でありますから、4月から2月までの現状を申し上げたいと思います。ポンプ操法練習、操法練習、操法大会、出場練習手伝い、点検等で40日、土日が6日、夜間等の平日34日、さらに月例点検11日、火災災害出動9日、合計60日の活動をしています。特に平成25年度、岩舟の場合は年度初めから繰越金と報酬、岩舟の場合には5月と10月に報酬の支払いを受けていたので、団運営の金銭的な苦労はなかったようでありますが、しかし合併してからは9月と3月となり、金銭的な苦労は大変だったようであります。栃木市消防団員の定数、任免、給与、服務等に関する条例改正の必要性が私はあるのではないか、特別職公務員である消防団員の報酬支払い時期の4月、6月に前払いの導入ができないのか伺いたいと思います。

  あわせて厳しい任務にふさわしい報酬増額についても伺います。団員は年間6万7,000円、1日当たりにしますと183円、この金額で365日拘束されるわけであります。場合によれば命の危険性もあるわけです。職務にふさわしい消防団員の待遇改善はぜひともやっていただきたい。ご答弁をお願いします。

  また、報酬は個人支払いになっているようですが、消防団の運営費になっていないか、その実態についても伺いたいと思います。

 

 

P.71

◎消防長(増山政廣君) ご質問の消防団員の報酬についてお答えを申し上げます。

  消防団員報酬の支払い時期につきましては、ご存じのとおり条例により9月及び翌年3月に支給すると定められており、団員の勤務実績に応じて半期前に支給するものであります。4月、9月の支払い時期導入につきましては、団員の自己都合により算定期間である6カ月を待たずして退団するケースも珍しくありません。このような場合は月割りにて再計算し、過渡し分の報酬を返納していただく手続を行うことになり、退団された団員にとりまして煩雑なものとなりますので、これまでのとおり条例に基づき支給をいたしたくご理解をいただきたいと存じます。

  また、厳しい任務にふさわしい報酬の増額についてでありますが、本市消防団の年報酬を県内他市、また全国的に人口規模が類似する団体と比較いたしますと、階級にも差異はございますが、いずれの階級においてもその報酬額は上位に位置するものであり、地域のために生業の傍ら昼夜を問わず、災害に出動している団員にふさわしい報酬額と認識をしております。

  なお、この報酬支払いにつきましては、合併前の各消防団の慣例に基づき各分団、部において所属する団員分の報酬をまとめて支給しており、その後分団長等から団員個人に支払われているものと認識をしております。しかしながら、ご指摘のとおり報酬は市から直接個人に支払われるべき性質のものでありますので、現在直接支給に向けて消防団幹部並びに各分団と調整を図っております。

 

 

P.72

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.72

◆4番(針谷育造君) 答弁漏れも1つあったようなことなのですけれども、待遇改善ということで報酬というもので含めて理解をしたいと思います。

  再質問でございます。報酬の前払いができない理由を教えていただきたいと思います。

 

 

P.72

◎消防長(増山政廣君) 報酬の前倒しの件でございますが、地方自治法におきまして支出は債務が確定していることを原則としております。また、地方自治法施行令や市財務規則において定められております概算払いや前金払いの規定につきましても、非常勤職員である消防団員の報酬はその性質上認められているものではありませんので、ご理解をお願いしたいと思います。

 

 

P.72

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.72

◆4番(針谷育造君) 法の建前はそのようになっていることを私も承知をしております。しかし、例えば議員の例がございます。議員も非常勤特別職の公務員になります。これは、月額でありますので、就任当月分も含めて支給をされております。条例第3条でございます。さらに政務活動費、これは前払いで活動を前提に支払いを受けているというふうに理解はしております。これは総合政策部長のほうがよろしいかと思いますけれども、法的根拠はそのような地方自治法等に債務が確定しなければできないということかもしれませんが、議員等の例で報酬を月ごとに払っている、月額にすれば支払い可能なのではないのかお伺いしたいと思います。

 

 

P.72

◎総合政策部長(早乙女洋君) 再質問にお答え申し上げます。

  消防団員の報酬を前払いできないかという話につきましては、先ほど消防長のほうから自治法に抵触するということで難しいという話をさせていただきましたけれども、そのとおりでございます。ただ、今議員がおっしゃられたように今は年2回の支払いということで、上半期が終わった時点で1回、それから下半期が終わった時点で1回という形でお支払いしているわけですけれども、これを例えば3カ月終わった段階で年4回払うというような形にすることは、例規等の改正は当然必要でございますけれども、可能かとは思います。

  以上です。

 

 

P.72

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.72

◆4番(針谷育造君) ぜひ消防団にとって団運営に支障を来すような報酬の支払い法ではない、今、年4回というお話もありましたけれども、さらに検討を加え、善処をお願いしたいと思います。

  先ほどの消防長の答弁の中で、報酬は個人支払いに団の幹部とも相談しながら直接支給について考えていく、そうなってきますと、消防団の中では非常にいろんな意見がございます。個人に行ってしまうことによって、ある団員は出てきていないのに報酬をいただいてしまっている。そんなこともあるものですから、団としての活動の運営費、このことはここにも私述べましたけれども、そんなものもぜひ検討していただきたい。団としての確かにお酒を飲むなというのも、例えば訓練に行って帰り飯を食う、そして飲める人は飲むこともある。これは個人の、消防団の団員の団結をつくるというようなこともありますけれども、団の運営費としての活動の活動手当あるようですが、そういったものができるのかどうなのか再度お願いをしたいと思います。

 

 

P.73

◎消防長(増山政廣君) 再質問にお答えを申し上げます。

  現在消防団に対する運営費につきましては、互助会というものがございまして、互助会のほうから部に年額6万円を現在支給しております。この6万円につきまして、増額ということになろうかとは思いますが、この件につきましては、県内の消防団の状況を見ますと、その支出方法やその額もさまざまでありますので、今後適正な額について県内の状況などを参考にしながら調査検討してまいりたいと考えております。

 

 

P.73

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.73

◆4番(針谷育造君) 大変ありがとうございました。

 

 

P.73

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.73

◆4番(針谷育造君) 質問を続けます。発言要旨3、マイナンバー制度導入に対する本市の対応について伺います。

  平成27年度当初予算歳入、総務管理費補助金、社会保障・税番号制度システム整備費補助金、4,145万7,000円、歳出で5,913万6,000円が計上されました。3月議会総務常任委員会で中身について質問しましたが、概要の答弁がありましたが、細かいことはこれからというようなことだというふうに記憶をしております。さらに6月補正歳入で1,407万4,000円、歳出では1,696万9,000円、当初と合わせると歳出合計で7,610万5,000円、国のお金に換算しますと、73%が国でそれらの手当てをしている。政府の並々ならぬ力の入れようがわかります。

  そこで、今から47年前の昭和47年、当時の佐藤内閣が国民総背番号制の導入を図ろうとしましたが、国民の反対に遭い、頓挫した経緯がございます。その後平成25年、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、通称マイナンバー、社会保障・税番号制度を平成25年5月31日に公布をしました。しかし、誰も知らない、そのような中で今日まで来たのが実態ではないでしょうか。マイナンバー制は初期費用だけで3,000億円とも言われ、年間数百億円の管理運用費用とも言われております。平成27年10月にはマイナンバーの通知、来年1月には利用開始となります。多くの問題が懸念をされております。

  そこで、発言明細1、住民基本台帳カードの発行と利用状況について。この制度の導入は平成15年に始まり、今年度で終了するようですが、今までに本市の発行数はどれぐらいになるのか、また利用状況はどのようになっているのか伺いたいと思います。

 

 

P.73

◎生活環境部長(高橋一典君) ご質問の住民基本台帳カードの発行と利用状況についてお答えを申し上げます。

  住民基本台帳カードは、平成15年8月25日から希望する市民に発行してまいりました。議員のおっしゃるとおり本年12月をもってカードの発行は終了いたしますが、既に発行済みの住民基本台帳カードにつきましては、そもそも有効期限が10年となっておりますことから、最長で平成37年12月まで利用可能となります。現在までに発行した枚数でありますが、平成27年4月末現在の累計交付枚数が5,508枚、そのうち有効カード枚数は4,798枚となります。利用状況につきましては、身分証明書や公的個人認証サービスのほか、市独自のサービスとして自動交付機で住民票、印鑑証明書を発行するためのカード、またコンビニエンスストアでやはり住民票、印鑑証明書を取得するためのカードとして利用しているところでございます。

 

 

P.74

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.74

◆4番(針谷育造君) 住民16万人の人口からすると非常に少ないなということは感じられます。

  そこで、次に移ります。マイナンバーと住民基本台帳カードの相違についてお伺いをしたいと思います。

 

 

P.74

◎総合政策部長(早乙女洋君) ご質問のマイナンバーと住民基本台帳カードの相違についてお答えを申し上げます。

  社会保障・税番号制度、いわゆるマイナンバー制度におきましては、希望する方ご本人の申請により個人番号カードが交付されることになります。この個人番号カードと住民基本台帳カードの違いでありますが、様式といたしましては、住民基本台帳カードでは顔写真の券面記載につきましては選択制となっております。載せても載せなくても本人の希望によりということでございます。けれども、個人番号カードでは顔写真が必ず券面に記載されることになります。また、住民基本台帳カードには、住民票コードの券面記載はありませんが、個人番号カードでは個人番号が券面に記載されることになります。

  次に、カードの交付方法といたしましては、住民基本台帳カードにつきましては窓口で即日交付をしており、電子証明書を希望する場合のみ手数料500円をいただいております。個人番号カードの交付につきましては、申請は郵送等で受け付けるため、市の窓口への来庁は1回のみを想定しているところであり、初回交付の手数料は電子証明書を含めて無料となります。

  なお、カードの交付事務につきましては、住民基本台帳カードは自治事務でありますが、個人番号カードにつきましては法定受託事務となります。

  最後に、カードの機能面といたしましては、住民基本台帳カードにつきましては、身分証明書としての利用が中心となっておりますが、個人番号カードでは身分証明書としての利用のほか、勤務先や行政機関の窓口等で個人番号を確認する場面での利用や印鑑登録証としての機能を付加するなどの行政機関等による付加サービスの利用、さらには電子証明書による民間部門を含めた電子申請や取引など、例えばオンラインバンキングなどにおいて利用することができるようになります。

  以上です。

 

 

P.74

○議長(関口孫一郎君) 針谷委員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.74

◆4番(針谷育造君) それでは、次に移ります。マイナンバー導入に向けた進捗状況と見通しについて。カード発行は先ほどありましたように希望者というふうな答弁もあったかと思いますけれども、義務なのかも伺います。

 

 

P.75

◎総合政策部長(早乙女洋君) ご質問のマイナンバー制度に向けた進捗状況と今後の見通しについてお答えを申し上げます。

  マイナンバー制度の導入に向けた準備につきましては、大きく分けて制度構築、システム構築、個人情報保護の3つに分類し、準備を進めているところであります。

  1つ目の制度構築につきましては、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆる番号法で規定されている個人番号を利用できる社会保障や税等の事務及び情報の範囲が昨年の9月と12月に国により示されたところであります。それを受けまして、市では福祉部門や税部門等の関係する事務の洗い出しを行いまして、現在平成28年1月からのマイナンバー利用開始に向けて例規改正等の準備を進めているところであります。

  2つ目のシステム構築につきましては、マイナンバー制度に対応するため、庁内の既存のシステムの改修や各行政機関や地方公共団体等の情報連携を行うための自治体中間サーバーの整備が必要となります。庁内の既存システムの改修につきましては、個人番号付番等の準備に対応するため、住基システムの改修は本年3月に完了したところであります。そのほかの税務システムや社会保障システム、宛名システムにつきましては、本年12月の改修完了を予定しております。また、自治体中間サーバーの整備につきましては、ソフトウェアの開発については国が行いまして、ハードウェアの設定、導入については各地方公共団体から委託を受けた地方公共団体情報システム機構が国と連携しながら行っているところであり、ここで整備されたサーバーを各地方公共団体が共同利用することになっております。今後につきましては、ソフトウェアの開発及びハードウェアの設定、導入ともに本年中に整備を終え、その後各団体内のシステム連携テストを経まして、平成28年7月から国の情報提供ネットワークシステムの総合運用テストを開始いたしまして、平成29年7月からこの中間サーバーを利用した地方公共団体の情報連携が開始される予定となっております。

  3つ目の個人情報保護につきましては、マイナンバー制度におきましては個人番号を含む個人情報データベースは特定個人情報ファイルと定義され、特定個人情報ファイルを取り扱うことになる場合は、個人番号を扱う事務ごとに特定個人情報保護評価の実施が義務づけされております。具体的には、個人のプライバシー等の権利、利益に与える影響を予測した上で目的外利用や不正な提供など特定個人情報の漏えい、その他の事態を発生させるリスクを分析し、それらリスクへの対策として庁内のアクセス制限や庁外からの不正侵入防御などを講ずるものであります。この特定個人情報保護評価につきましては、本年3月に該当する既存事務について実施し、マイナンバー制度導入に向けて準備を整えたところであります。

  最後に、個人番号カードの発行につきましては、あくまでも希望者の申請に基づき発行するものでありまして、強制的なものではありません。

  以上です。

 

 

P.75

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.75

◆4番(針谷育造君) それでは、発言明細4に移りたいと思います。マイナンバーの利用可能範囲についてどのようになっているのか、今の答弁でもわかりましたけれども、お伺いをしたいと思います

 

 

P.75

◎総合政策部長(早乙女洋君) ご質問のマイナンバーの利用可能範囲についてお答えを申し上げます。

  マイナンバー、個人番号の利用範囲につきましては、番号法等において定められておりまして、社会保障、税、災害対策の3つの分野の中で法律で定められた行政手続のみに利用することになります。具体的に申し上げますと、1つ目の社会保障分野では年金や雇用保険の資格取得や確認、給付、それからハローワークの事務、健康保険の保険料徴収、福祉分野の給付、生活保護などの事務に利用されることになります。2つ目の税分野では、税務当局に提出する申告書、届出書、調書などに記載することになりまして、税務当局の内部事務に利用されることになります。3つ目の災害対策分野では、被災者生活再建支援金の支給、被災者台帳の作成事務などに利用されることになります。現在のところマイナンバーの利用範囲につきましては、これだけに限定されているところでございます。

  以上です。

 

 

P.76

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.76

◆4番(針谷育造君) それでは、発言明細5に移りたいと思います。一番心配されていることでございます。個人情報保護等の運用上の課題についてお伺いします。

  平成27年1月の内閣府調査結果では、72%がマイナンバーの内容を詳しくまでは知らない、83%が情報の漏えいやプライバシー侵害、不正利用による被害などを不安に思っている、下野新聞の4月20日号の社説は報じております。個人情報が外部に漏れないか、成り済まし詐欺に遭わないのか、悪用されるおそれがないのかが多くの市民の危惧をあらわしていると思います。実際にアメリカで8,000万件の社会保障番号が流出、成り済まし詐欺も頻発。韓国では内部犯行で2,000万件の住民登録番号が流出したようであります。さらに、過日は日本年金機構はサイバ-攻撃を受け、個人情報約125万件が外部に流出したと発表いたしました。加入者の氏名や基礎年金番号が含まれ、うち約5万2,000件には住所、生年月日も含まれていると言われおります。このような事態を受けたアメリカ、カナダでは、この制度の見直し、日本年金機構とは関係ありませんけれども、見直しをしていこう、イギリスではその制度を廃止いたしました。個人情報やプライバシー保護は万全なのか、その対策は何があるのかを伺いたいと思います。

  また、あらゆる個人情報のマスターキーになる危険について伺いたいと思います。共通番号があらゆる個人情報のマスターキー、万能キーになるということです。さらに、その番号を役所、勤務先、取引先、金融機関など、どこでも提示することになるから、漏えいの危険性はつきまといます。また、地方公務員法などが自治体職員に課している守秘義務について、マイナンバー制のシステムに提供する場合には解除されることが政府作成の資料でわかるそうでございます。第三者に提供するには、本人の同意を必要とするなど慎重に取り扱っているプライバシー情報に本人が知らぬ間にアクセスされ、ひとり歩きする危険があります。例えば、税務課では住民税や固定資産税、個人事業税などを扱います。情報には寡婦控除や障害者控除等があり、離婚や家族の障がい情報など、また事業が赤字等の把握もできます。マイナンバー法が地方税法より上位法になるようになることが問題ではないでしょうか。今まで職務上の情報は担当部署が責任を持って管理してきました。管理責任があやふやになり、適正な管理ができなくなる危険が出てくるとの指摘がございます。内閣官房が自治体向けにつくった資料では、公務員の守秘義務解除について明記されているそうですが、どのようになっているのか伺いたいと思います。

 

 

P.76

◎総務部長(松本俊君) ご質問の個人情報保護等の運用上の課題につきましてお答えを申し上げます。

  まず、個人情報やプライバシー保護は万全なのか、その対策はについてでありますが、番号法では個人番号の正当な取り扱いを確保するため、個人番号をその内容に含む個人情報、いわゆる特定個人情報につきましてさまざまな保護措置を規定しております。具体的には、特定個人情報の利用規制、提供規制、管理規制などを設けるほか、行政機関、地方公共団体、民間事業者などにおける特定個人情報の取り扱いを監視・監督する特定個人情報保護委員会の設置及び不正行為に対する罰則の強化などの措置がとられております。

  また、個人番号があらゆる個人情報のマスターキーとなる危機及び漏えいの危険性についてでありますが、番号法ではこうした危険に対処するため、制度上及びシステム上の両面から保護措置を講じております。まず、制度上の保護措置といたしましては、先ほど申し上げました利用規制におきまして、個人番号を利用できる事務を社会保障、税、災害対策の3つの分野の事務としているほか、提供規制につきましては、個人番号や特定個人情報が不当に流通して利用されることを防止するため、例外として規定されました14のケースを除き、特定個人情報の提供を禁止するなどの措置が講じられているところでございます。また、システム上の措置といたしまして、個人情報を一元管理しないこと、情報連携いわゆる情報のやりとりをする際は、個人番号を直接用いないこと、また通信を暗号化することなど、十分な対策がなされております。

  次に、マイナンバー制度と公務員の守秘義務についてでありますが、内閣官房社会保障改革担当室が作成いたしましたマイナンバー 社会保障・税番号制度という資料の中に情報提供ネットワークシステムを通じてマイナンバー情報の提供の求めがあった場合には、当該求めを受けた者は当該マイナンバー情報を提供する義務がある。また、マイナンバー法案、別表に記載された個人情報の提供については地方税情報を含め、守秘義務が解除される旨の記載がございます。このように番号法では、情報提供ネットワークシステムを通じて情報照会があった場合における情報提供者の回答義務を課しているところでございます。また、これにより情報提供ネットワークシステムを通じた情報提供につきましては、法律上規定された請求に対し、法律上規定された提供事務を履行するための正当な行為として許容されるものであり、地方税法上の守秘義務違反とはならないと解されているところでございます。いずれにいたしましても、マイナンバー制度の導入に当たりましては個人番号が漏えいするなどの事態が生じないよう職員に対し個人番号に関する研修を実施するなど、適切な安全管理ができるよう措置を講じてまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.77

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.77

◆4番(針谷育造君) 答弁いただきました。確かに法制上あるいはシステム上では、情報が漏れないようなことになっていると思います。しかし、個人がカードを持ちまして、例えばある企業に勤めるときにあなたの番号教えてください。すると、民間の場合には、その番号に基づいて市役所等に問い合わせる可能性がある。税との結びつきになれば、その人の源泉徴収とかそういうことだってしなければならない。要するに民間の中でそういうものが流通あるいは、それがなければ全てが進まないというようなことが今後考えられると思いますけれども、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

 

 

P.77

◎総務部長(松本俊君) 再質問にお答え申し上げます

  まず、特定個人情報につきましては、閉鎖されました専用回線網の中でのみ情報の連携がなされるということにつきましては、議員ご承知のとおりかと思います。一定の専用回線の中での情報連携という中には民間の方々は入り込めないという中での情報管理がなされるということになります。したがいまして、民間の方が仮に番号を用いて照会をなされるという場合につきましては、まず個人の確認というものをしっかりやらせていただくというのがこの番号法の大前提ということでございますので、まずは成り済ましということにつきましては本人確認をきちんとやることによりまして防止できると、そのように考えております。

  以上でございます。

 

 

P.77

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.78

◆4番(針谷育造君) ご答弁ありがとうございました。マイナンバー拡大法案が実施前にもかかわらず、改正案が国会で審議され、5月21日、衆院で可決をされたようでございます。これによれば今の税、社会保障、災害対策に加え、預貯金の口座、特定健診、予防接種の履歴情報を追加するというものです。なぜそこまでというのは正直なところでございます。これらの一連のやり方は安倍政権の常套手段であり、最初は抵抗の少ないものを見せておいて本丸に迫るやり方ではないでしょうか。憲法改正も9条は隠しながら改正になれさせ、戦争放棄の改悪を狙っております。憲法で禁止されている集団的自衛権、他の国のために戦争する他衛権であります。その行使を閣議決定で昨年の7月1日に決めました。今ここに来て国会では戦争法案の呼び名も高い一連の法律も派兵恒久法を耳ざわりのよい国際平和支援法と言い、戦争と言わず事態と言いくるめるやり方であります。まさに立憲主義を踏みにじる暴挙であります。しかし、自衛隊を我が軍などとついに本音をちらつかせてしまっている状況であります。こんな例えがあります。カエルを鍋に入れ、少しずつ過熱します。やがて時間がたつと、そのままゆで上がり、危機を気づくことなく死んでしまう。一方は、熱いお湯に放り込むと飛び出してしまいます。そして、ふたをされてしまえばそのカエルは死んでしまう。私たちはカエルではありません。私たち人間には歴史を学ぶ知恵と自由と人権と請願権も参政権も……。

 

 

P.78

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員、質問時間過ぎておりますので、まとめてください。

 

 

P.78

◆4番(針谷育造君) それでは、最後に国民監視の道具の可能性が高いことを考えれば、マイナンバーカードを持たない、あるいは番号不要の取り組みが必要ではないのかなと私の所見を申し上げまして質問を終わりたいと思います。

 

 

平成27年  9月定例会(第3回) - 09月04日-05号

P.160

○副議長(入野登志子君) 一般質問を続けます。

  4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.160

◆4番(針谷育造君) それでは、9月議会一般質問、4番、栃木新風会、針谷育造、通告に従い一般質問をしたいと思います。1番、栃木市における平和行政について、2番、小野寺北小旧校舎の保存について、3番、岩船山西側、新里地内の土砂埋め立てについてでございます。それでは、市長にお尋ねを申し上げます。

  発言要旨1、栃木市における平和行政について。今定例会の初日の8月28日、安全保障関連法案の慎重審議を求める意見書が賛成多数で可決をされました。栃木市民の心配や不安の声の中で、非核平和都市宣言のみずから行動することを議会がみずから実践できたことは、市民の声が議会に届いたと多くの人たちが拍手を送っております。

  さて、「栃木市民は、核兵器の脅威のない平和で安心して暮らせる社会の実現を求めて自ら行動し、未来を支える子どもたちに戦争の悲惨さ、平和の大切さを伝えて行くことを誓います」と宣言をしております。今まさに安保関連法案、一部では戦争法案とも言われております。対する世論の厳しい目が注がれ、政府与党が答弁すればするほど国民の疑惑は深まるばかりで、理解が進むどころか国民の反対の声は日に日に大きくなっております。法案の成立に反対する意見が賛成を大きく上回っていることは、新聞各紙の世論調査を見れば明らかであります。その最大の理由は、ここに来て国の憲法違反の事実と法案のずさんさが浮かび上がってきた、そのことによって反対の声が強くなってきたのではないかと思われます。国民は、今まさにレッドカードを突きつけているのではないでしょうか。安倍政権のうそと詭弁が見破られてきたのではないでしょうか。戦後レジームからの脱却を唱える安倍政権と憲法前文で戦争の惨禍を繰り返さないことを誓い、9条で戦争を放棄し、戦力を保持しないことを明記した憲法のどちらをとるのかの選択が今私たち主権者、栃木市民に問われていると思います。

  それでは、発言明細(1)栃木市非核平和都市宣言についてお尋ねいたします。平成24年3月1日、極めて格調高く、非核平和都市宣言が成立をいたしました。市民一人一人に非核平和を問いかけ、実践を求めている県内でも唯一の宣言ではないでしょうか。みずから行動することは、何をあらわし、何を求めているのかを伺いたいと思います。

 

 

P.160

◎市長(鈴木俊美君) 栃木市平和都市宣言についてであります。ご存じのとおり、非核平和都市宣言につきましては、合併前の旧市町におきましてそれぞれ非核平和に関する宣言をし、非核平和事業にも取り組んでいたことを踏まえまして、新市におきましてもこれまでの取り組みを継承し、核兵器の廃絶と世界の恒久平和の実現を求め、非核平和を推進していく必要があるとの考えから、このたびの制定に至ったものであります。この宣言文の起草につきましては、議員を初め関係団体の代表者、学識経験者など13名で組織する栃木市非核平和都市宣言策定委員会におきまして検討を重ねていただき、パブリックコメントなどの実施を経て宣言文案が作成され、市に答申がなされたところであります。

  議員がご質問の「自ら行動し」という部分につきましては、宣言文の内容を努力するであるとか、願うといった言葉にとどめるのではなくて、少し積極的な意味合いを持たせ、市民一人一人が行動してほしいという思いを込めたものでありまして、核兵器のない平和な世界の実現に向け、次世代を担う子供たちに原爆の恐ろしさ、悲惨さなどを語り継ぐことなどを「自ら行動し」とあらわしたものであります。

  以上であります。

 

 

P.161

○副議長(入野登志子君) 針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.161

◆4番(針谷育造君) 非核平和都市宣言、そのような経過を経まして、努力、願いにとどめるだけでなく、市民一人一人が行動につなげてほしいと、そういう宣言であるということを聞きまして、大変心強く感じております。

  次の質問に移らせていただきたいと思います。発言明細2、本市の平和事業について。本年もこの宣言を具現化する事業がたくさん実施されたと思います。特徴的なことに絞っても結構ですので、事業内容、参加人数、参加者の声などを伺いたいと思います。

  また、ここに戦後70年、戦争体験者がますます少なくなる中で、それらの関連資料が散逸するおそれがあります。私のところにも数人の方から鉄かぶととか戦争当時のアルバム、そして南方でのスケッチブックなど、数は多くありませんけれども、そのようなものを公的なところで保存してほしいという訴えがございました。そこで、その収集の必要性をどのように考えるのか。また、市民に戦争の実態を広く知ってもらうためにも、恒常的な平和資料館の設置等が考えられないか伺いたいと思います。

 

 

P.161

◎市長(鈴木俊美君) 本市におきましては、戦後70年に当たり、ご存じのとおり「戦後70年戦争体験文集」を発行したほか、8月1日には海老名香葉子氏をお招きし、「残された命大切」と題し、東京大空襲によりご両親やご兄弟を亡くされたご自身の体験について、900名を超える多くの市民の皆様にお越しをいただき、ご講演をいただいたところであります。

  また、この講演に先立ちまして、広島平和記念式典派遣中学生とオーストラリア派遣中学生が中心となり、来場した市民の皆様とともに非核平和都市宣言の唱和を行いました。生徒からは、戦争も核兵器もなくさなければいけないのだなと改めて感じましたという意見や、僕たちが平和な世界をつくっていかなくてはいけないという責任感を持ちましたといった意見が寄せられたところであります。

  4回目となる広島平和記念式典への中学生派遣につきましては、中学2年生の28名が平和大使として式典に参列するとともに、各中学校で作成した千羽鶴を奉納してまいりました。8月25日には、市主催の広島派遣報告会を開催し、被爆の実相に触れて感じたことを生徒たちが発表いたしました。今後各学校の文化祭などにおきまして、それぞれ報告会を行うこととしております。

  原爆パネル展につきましては、5つの会場で延べ44日間開催したところでありまして、栃木文化会館においては戦争に関する企画展示といたしまして、丸木美術館所蔵の「原爆の図」なども展示いたしました。

  戦争体験を聞く会につきましては、現在40名の方に語り部としてご登録をいただいており、西方総合文化体育館、藤岡公民館を会場に114名の方が4名の語り部の方の証言に耳を傾けられました。参加者からは、このような機会を今後も続けてほしいという意見や、平和国家であることの重要性や人間らしい一生を送るために絶対戦争をしてはいけないと改めて考えさせられましたといった意見が寄せられております。これら非核平和事業の実績報告につきましては、広報とちぎ10月号に掲載の予定であります。

  最後に、市民の皆様に戦争の実態を知っていただくための平和資料館といった施設の設置のご提案についてであります。さきの大戦に関する実物の資料につきましては、これまで市といたしましては埼玉県の平和資料館から借用し、展示を行ってきております。市といたしましては、原爆の写真、パネルや若干の資料は所蔵しておりますけれども、戦争に関する実物資料は所蔵しておりませんので、議員がご提案になっておられる平和資料館といった施設は、確かにあればそこに実物のものが展示できることになりますが、とはいえ新たにそうした建物、施設などを建てるかどうかということになると、ちょっとこれは財政の問題なども含めて慎重に検討しなければいけませんので、既存の建物や施設を利用して、そうした平和資料館のようなものが設置できないかどうか、これについては今後検討をしてまいりたいというふうに考えております。

 

 

P.162

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.162

◆4番(針谷育造君) るる子供たちから大人の皆さん、市民の皆さんのお話を報告受けることができました。資料館につきましては、なかなか難しいということでありますけれども、既存の建物、きのうも資料館のお話が出ましたけれども、そういったものを利用しながら、永久に戦争は私たちの時代で終わりにしようと、そういう決意を、既存の建物を利用してでも、ぜひこれはつくっていただきたい、そのことを要望して、次の質問に移りたいと思います。

  発言明細(3)安保関連法案についての市長の考え方を伺います。昨年の下野新聞アンケートで、集団的自衛権の行使の閣議決定は反対と回答しておりました。法律家としてもと、つけ加えていただいたことをはっきり覚えております。しかし、去る8月8日の安保関連法案の賛否では、どちらとも言えないと下野新聞は報道しております。後退しているのではないのかなど、多くの声もございます。私も残念に思っている一人であります。多くの憲法学者が違憲と指摘する安全保障関連法案をめぐり、県内首長アンケートで大半の首長が回答を控え、回答したのは6人にとどまり、回答しなかった首長は20人と、まさに驚くべきことでありました。住民の生命、財産、人権、福祉に責任を持つ首長が、戦前にタイムスリップした翼賛体制になってしまったのかと目を疑いました。政治の貧困、劣化が国会だけでなく地方自治体にも及んでいることは、まことに残念であると感じております。議会人も含め、憲法を尊重し、それを具現化する地方自治の原点に戻らなければならないと感じております。

  さて、8月の新聞紙上に掲載されたアンケート結果では、国民への説明、憲法学者の意見の見解など、さまざまな項目がありましたが、それぞれどのような考えで市長は回答したのかを伺いたいと思います。1つは、国民への説明では不十分と答えておりますが、その考えをまず伺いたいと思います。

  さらに、憲法学者の違憲見解を支持するのかに対し、どちらとも言えないとあります。市長の名誉のためにも、その真意を伺いたいと思います。

  また、今国会の成立を目指す政治手法への考えでは、改憲してから成立させるべきとの考えを示しておりますので、そのことも伺いたいと思います。その理由として、物には限度があり、憲法解釈が限度を超えていないか、まさにそれが問題と解答しております。これらのことについて、市長の考えを伺いたいと思います。

 

 

P.162

◎市長(鈴木俊美君) 少し長くなるかもしれませんが、お答えを申し上げてまいります。

  まず、政府の国民に対する説明に不十分であると回答したことにつきましては、以下の理由によります。1つは、安保関連法案、もっとも政府のネーミングでは平和安全法制となってはおりますが、この安保関連法案ということで、あたかも法案が1本であるかのような誤解を与えやすい表現になっておりますが、実際には10本の各改正法案と1本の新規制定法案の総称であるにもかかわらず、これらのことが国民にはほとんど理解されていないのではないかと思われること。

  2つ目に、存立危機事態、武力攻撃事態といった用語が縦横に駆使されておりまして、法案の意味、内容が非常にわかりづらい上に、例えば武力行使が許されるケースとして取り上げておられます日本人子弟などの乗った米国艦船が日本近海で攻撃された場合の説明には、そもそもなぜ他国と交戦中、またはその可能性の高い米国艦船に日本人子弟の輸送を頼むのか。それでは、まるで日本を巻き込んでくださいと言わんばかりではないのかなといった疑問には、今までのところ十分な答えが示されていないと思うこと。

  3つ目に、日本が直接攻撃されているわけでもないにもかかわらず、存立危機自体であるとか、武力攻撃事態であるという理由で外国に出ていったりすることがあるとすれば、その外国からすれば、日本を攻めているわけでもないのに、なぜ自分たちが先に攻められなければならないのか、それは侵略ではないのかということになりはしないだろうかということなどについて、政府の明確な説明が必ずしもなされていないと感じているからであります。

  次に、憲法学者の違憲の見解を支持するかにつきまして、憲法学者が違憲として挙げられていた理由が、そのアンケートにおける理由が幾つか記載されておりましたが、これを踏まえてこうした考えを支持するかという問いでありましたので、私の思い理由とは必ずしも同じ出ない理由ばかりだなというふうに感じましたので、回答を控えたものであります。

  次に、今国会中での法案の成立を目指す安倍政権の政治手法に、改憲してから成立させるべきと回答したことにつきましては、他国の行っている戦争に、あるいは戦争になる可能性の高い事態の中に日本が参戦する可能性を残すことは、憲法上許される範囲を超えているのではないかとの思いから、憲法解釈の変更という時の政府の一方的かつ安易な方法で法的安定性を否定するのではなくて、憲法の改正という立憲主義にのっとった堂々とした手続を踏み、国民の審判を仰ぐことが先であると考えたからであります。

  また、その理由の中で、憲法解釈が限度を超えていないかどうかがまさに問題と答えたことにつきましては、昨年7月に政府は憲法解釈の変更によって集団的自衛権の一部行使を容認する閣議決定を行っておりますが、法律の解釈を変えるということについては限界があり、解釈の限度を超えることをするならば、それは改正という作業を経るべきであり、今回はその限界を超えているのではないかと考えざるを得ない今の心境であるところから、そのように回答をしたものであります。

  以上であります。

 

 

P.163

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.163

◆4番(針谷育造君) 大変丁寧に説明、あるいは回答をいただきまして、私も一部安心をしたところがございます。市長という立場は非常に微妙なところもあり、6月の白石議員のときにもこの回答を迫ったわけでありますけれども、これ以上のことは言わないでもわかるでしょうと、そのところに市長として、あるいは法律家としての心の機微がわかるような気がいたしますけれども、しかし市民にとっては、今議会でそのようなことを申してくれましたけれども、市民は下野新聞のまさにアンケートの結果を読んでいるわけでございまして、市長の本心というものがわからないというのが実態であるのではないのかなと。そうだとすれば、はっきりとこのことについては市長に言明をぜひしていただきたい。そのことを市長に再度お願いをして、再質問ということにしたいと思います。

 

 

P.163

◎市長(鈴木俊美君) 県内の各首長の方々が、そのご意見を言う方が少ないということでもありました。私も確かにそう感じるところはありますが、何ゆえに少ないのかなということを我が身で考えたときに、私たち選ばれて市政を担っている者は、市を運営させていただく上でいろんなところにお願いをし、そして何かをやっていただければといったことについて、いろんな方に助けを得たりしなければならないわけであります。その中には、もちろんたくさんのご意見を持った方がいらっしゃるわけでありますが、そこに自分の思いや考えを赤裸々にぶつけたときに、私が市を預かっている上で、私が思うところを思うがままに述べたことによって、あんなところはもう応援をしないよと思われたりするのは困るわけであります。その辺のところをどうしても考えざるを得ないのが首長という立場でもあります。これは偽らざる思いであります。つまり私が思っていること、言いたいことを全て言えるなら、本当に言いたいところでありますが、なかなかそうもいかないのも、特にこうした自治体を預かっている者としては難しいと考えざるを得ないところから、今回お答えをしたことで、私の思い、考え方はご理解、あるいは推察をしていただくしかないなということでありますので、改めて何とぞご理解をいただきたいというふうに思います。ご推察をいただければというふうに思います。

 

 

P.164

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.164

◆4番(針谷育造君) 大変つらい胸のうちを聞かせていただきましたけれども、事平和か戦争か、憲法の問題、ぜひ市長には今までと同じ気持ちでいるということをこの質問の中で確認して、次の質問に移りたいと思います。

  発言明細4、憲法に違反する安保関連法案は無効ではないのか。ご承知のように憲法98条は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。つまり憲法に抵触する法律の無効を述べています。憲法9条に違反することは、圧倒的多数の憲法学者や歴代の内閣法制局長官、さらに山口繁元最高裁長官も、集団的自衛権行使は違憲と述べております。今回の法案は無効の疑いがある。市長の考えを伺いたいと思います。

 

 

P.164

◎市長(鈴木俊美君) 憲法第98条は、この憲法は国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令などはその効力を有しないと定めております。私は、安保関連法案は憲法第98条に反するのではないかと思っておりますが、合憲か違憲かを最終的に判断するのは最高裁でありまして、しかも日本の最高裁は、いわゆる憲法裁判所ではないため、抽象的に当該法律が憲法に違反しているか否かを判断するのではなくて、あくまで何らかの具体的事件を審査する際に、その前提として具体的事件に適用されようとしている法律が合憲か否かを審査するのみであります。したがって、一旦成立した法律は、その法律が合憲か違憲かと最高裁が最終的に判断する機会が訪れて、違憲なら違憲と判断されるまでは合憲として扱われざるを得ないわけであります。だからこそ、数の論理でとにかく法律をつくってしまえという考え方、やり方をすることは、大いに問題ではないのかなというふうに思っている一人であります。

 

 

P.164

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.164

◆4番(針谷育造君) 私どもは素直に読むわけでございますので、まさに私は違憲の法律は無効であると、そのことを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

  発言明細5、公務員の憲法尊重擁護義務、どう行政に生かしていくのかということであります。憲法99条は、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負うとなっております。つまり全ての公務員に尊重擁護義務を課しております。市長、議会議員、職員は、これを果たさなければならないと考えますが、市長の決意と市職員、特別職公務員への指導はどのようにやっていくのか伺いたいと思います。また、立憲主義についてどのように考えているのかも伺いたいと思います。

 

 

P.165

◎市長(鈴木俊美君) まず、市の職員につきましては、採用時に憲法を尊重し、養護すること、全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を執行することをそれぞれかたく誓う旨の宣誓書に署名をし、職員としての責務を自覚した上で勤務についてもらっております。その後は、改めて憲法尊重擁護義務を指導することはありませんが、この義務は指導するまでもなく当然のことでありますから、職員らは当然自覚をしております。

  また、私自身は市長就任時に憲法により保障された地方自治の本旨をより拡充し、市民自治を実現するため、公平、公正かつ誠実に職務を遂行することを誓うと宣誓をしております。憲法尊重擁護義務を直接はうたっておりませんが、憲法によって保障された地方自治の本旨を守り、これを実現するために全力を尽くすと宣誓をしておりますので、憲法を守り、尊重することも含まれていると考えております。その他、特別職も同じであります。

  憲法第99条に規定されている憲法を尊重し、養護する義務とは、単に憲法違反をしないことではなくて、憲法違反行為を予防し、これに抵抗し、憲法を守るために積極的に努力することと解されております。したがいまして、公務員はこのような行動をしていかなければならないと考えております。

  また、立憲主義についてどのように思うかということでありますが、立憲主義とは憲法をつくるという意味ではなくて、法治国家とほぼ同じような意味であり、たとえどんな権力を持った為政者であっても、自分の思うように好き勝手なことができるということではなく、あらかじめ制定してある憲法や法律にのっとって統治しなければならず、それをはみ出したり無視することは許されないという考え方でありまして、統治の最低ルールであります。したがって、憲法や法を無視したり、範囲を超えた拡大解釈は立憲主義に反するのではないかと言わざるを得ないと思っております。

 

 

P.165

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.165

◆4番(針谷育造君) 明快な決意を聞かせていただきました。私が法律家を前にくどくど述べることはないかと思いますけれども、憲法の根源的な意義は国家権力に歯どめをかける、これが最も基本的で常識的なことではないでしょうか。法律は、国民を縛ります。憲法は、権力を縛るものですと言われております。つまり立憲主義とは、国家権力を、先ほど市長が答弁されたように、そのことを主権者である国民が監視をし、常にチェックをし、そのことが立憲主義ということなのだなと私も思いました。安保関連法案反対の民意は、地域や世代を超えて大きく広がっています。憲法を守り、民主主義の大切さと、戦争は人殺しの犯罪であり、子や孫たちにそのような未来を残してはいけないことを気づかせております。今国民は、市民は、戦後70年守ってきた戦争のない平和な日本を守るために、大きな怒りの渦となって戦っております。今私たち一人一人に戦争か平和の判断が求められておると思います。私も歴史の歯車を逆転させないために奮闘することを述べながら、次の質問に移らせていただきたいと思います。

  発言要旨2、小野寺北小旧校舎の保存についてであります。この質問は、平成26年6月議会で保存について伺いました。この校舎は、明治27年12月15日、120年以上前ということになりますけれども、建築をされました。開校し、平成元年新校舎の改築により校舎としての役割を終え、その後平成26年2月まで地域の研修、集会、学童保育、高齢者のふれあいの場として活用してまいりました。県内最古の学校であることは、私たちの知る限りではまさに貴重な文化財であると確信をしております。そんな中で、詳細調査を専門家に依頼し、第三者の立場で調査したいとの答弁をいただきました。

  そこで、発言明細(1)小野寺北小旧校舎の調査報告書の結果について伺いたいと思います。昨年の9月補正で計上した報告書の内容、特に文化財としての価値、保存方法等はどのように記載されているのか伺いたいと思います。

 

 

P.166

◎教育副部長(鵜飼信行君) ご質問の小野寺北小旧校舎の保存についてお答えを申し上げます。

  小野寺北小旧校舎の調査報告書の結果についてでありますが、昨年度補正予算を計上いたしまして、11月から3月にかけて一級建築士事務所のぶひろアーキテクツに調査を委託いたしました。その調査結果でありますが、歴史的評価といたしまして、旧校舎の多目的部は明治27年建築の校舎で、県内の小学校建築では残り少ない遺構であり、明治41年に増築された玄関部、2階部にも特徴的なものがあるとあります。明治期に全国各地で建設された木造和風校舎の典型的な小学校建築であり、栃木県内で現存が確認されている3例のうちの1例で、歴史的価値は高いとのことであります。

  また、文化財的な評価に加え、さまざまな形態での保存方法と概算額について、現状保存から現況保存まで5案6ケースについて提案がなされております。各案を申し上げますと、第1案の現状保存では、現在の場所において建物の半解体、復元、耐震補強工事及び建物の西側にある斜面のコンクリート補強工事をするもので、概算工事費2億1,700万円であります。

  第2案、移築保存では、半解体、復元、耐震補強工事及び200メートルほどの引き家を想定するもので、概算工事費は2億3,700万円であります。

  第3案、解体移築では、別の場所での再築のための解体工事費及び復元、移築、耐震工事をするもので、概算工事費は2億5,600万円であります。

  第4案、全部解体保管では、将来の再築のための解体工事及び部材保管のためのテント式倉庫3棟の工事をするもので、概算工事費1億3,600万円であります。なお、建物の一部を保管する場合でも、概算工事費は8,500万円ほどであります。

  また、第5案の現況保存では、現在の場所で復元や耐震補強工事はせずに、雨漏り対策や土台の腐朽部分の改修工事及び校舎と傾斜地との間に簡易な擁壁を設置する工事をするもので、概算工事費1,240万円であります。

  以上の概算工事費は全て税別でございまして、移築や倉庫建設に要する用地費は入っておりません。いずれの方法を選択するにしても、建物の利活用の上に立って考えるべきであるというふうに記載されております。

  以上です。

 

 

P.166

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.166

◆4番(針谷育造君) 大変詳しい報告書、そして文化財としての価値は高いという報告でございまして、大変喜ばしいなと私は思っております。

  それでは、次に移らせていただきます。発言明細の(2)文化財指定についてでございます。旧校舎を文化財として指定し、適切に保存すべきと思いますが、市はどのように考えておるのか、また県文化財としての可能性は考えられるのかを伺いたいと思います。

 

 

P.166

◎教育副部長(鵜飼信行君) ご質問の文化財指定についてお答えを申し上げます。

  小野寺北小学校旧校舎の文化財としての指定についてでありますが、文化財として指定した建物は、復元修理を基本として保存し、内部も復元し、保存することが原則になってまいります。そのためには、建物の評価や今後の利活用なども踏まえ、総合的に判断していかなければなりません。建物の歴史的評価は先ほどお答えしたところですが、旧校舎については過去にたび重なる改造が行われており、その復元修理と耐震補強には多額の費用を要すること、また土砂災害特別警戒区域にあって、資料館などへの活用も難しいことから、残念ながら永年にわたって全てを保存するという市指定文化財の指定は難しいと考えております。

  また、栃木県の指定文化財については、所有者からの申請に基づき県も調査を行い、その後県の文化財保護審議会の審議と答申を経た上で、栃木県教育委員会が指定を判断いたします。市の指定文化財が難しい状況でありますので、県の文化財指定申請は難しいと考えております。

  以上です。

 

 

P.167

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.167

◆4番(針谷育造君) 次の問題ともかかわり合いがございますけれども、発言明細3に移り、そして今回答いただいたことにつきましても、その辺で関連して回答をお願いしたいと思いますけれども、本市としてこの調査結果の内容をどのように生かすのかということでございます。ご承知のように、文化財保護法第3条は、政府及び地方公共団体の任務を明記しております。本市として調査報告書の結果をどのように生かすのか伺いたいと思います。先ほどの市指定は難しい、県指定も難しいというような回答がございましたけれども、建物所有者、あるいは地方公共団体の任務という立場から、これは市長になるかと思いますけれども、ご回答をお願いしたいと思います。

 

 

P.167

◎市長(鈴木俊美君) 文化財保護法第3条につきましては、政府及び地方公共団体の任務として文化財の保存が適切に行われるよう、この法律の趣旨の徹底に努めなければならないとされております。本市では、この法律に基づき文化財保護条例などを制定し、国や県に指定されていない文化財で、本市にとって重要な文化財については市の指定を行い、文化財保護に努めております。小野寺北小旧校舎の調査報告書では、先ほど述べましたとおり保存方法の提案としては5案6ケースの提案がなされ、それぞれ検討を進めてまいりました。文化財を保護するに当たりましては、文化財保護法第1条でうたう保存かつ活用を図るという側面とともに、予算という制約の中で個々の適切な保存方法を検討していかなければならないと考えております。まず、現状保存については、土砂災害特別警戒区域に立地をし、その対策に多額の費用を要すること、研修所の代替施設である地区公民館が既に新築されていることから、この地での活用は困難であり、移築保存についてはそこまでの必要性、移築先の用地の確保、あるいは費用などの面からいずれも難しいと考えております。

  現状保存についても検討をいたしましたが、その場合、建物内部は現代的に改造されたままで、往時の姿はアルミサッシなどで改造された外観を見ることとなり、また利用されない建物は老朽化が早く進むものと思われます。

  さらに、土砂災害特別警戒区域内である以上、現地での解体保管も難しいことから、最終的に一部の建物部材、この一部の建物部材にどこまで含むかは別にいたしまして、これを保存をし、建物全体の詳細な記録を残すということで、小学校の歴史を後世に伝えていきたいと考えたところでありますので、ご理解をいただきたいと思います。

 

 

P.167

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.167

◆4番(針谷育造君) 再質問ということになるかと思いますけれども、大変厳しいお話をいただきました。その報告書、議員研究会資料の中を見ますと、平成28年度にはこんなことで考えておりますよというようなことも載っておりますけれども、私たちにしてみれば120年間、そして6,000人以上の卒業生をそこで輩出をし、地域の中に厳然と120年間、平成二十二、三年だと思いますけれども、突然特別警戒区域に指定をされたと。それまで、古老の話を聞きますと、この地域が災害に遭った記憶はないと、これが一番全てを物語っているのかな。県は地形を見、地図を見ながら指定をしたということでありますので、地質等、まだまだ検討を加えなければならないことはあるのかなと、そんなことを私は考えております。

  いずれにいたしましても、再質問ということで、小野寺北小学校校舎を保存する会、現実に活動をしておりますので、この保存会との協議を今後も続けていただけるのかどうか、そのことをお願いしたいと思います。

 

 

P.168

◎教育副部長(鵜飼信行君) 再質問にお答えをしたいと思います。

  ただいま答弁いたしました内容は、庁内で8月に決定したばかりの内容でございまして、これから地域の方々に説明をしてまいりたいというふうに考えておりますので、議員のおっしゃられた保存する会のほうにもご説明をする機会があるかというふうに考えております。

 

 

P.168

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.168

◆4番(針谷育造君) この小学校は、まさに教育の歴史、文化の生き証人として、旧校舎の保存と教育施設としての活用を強く求め、次の質問に移りたいと思います。

  発言要旨3、岩船山西側、新里地内の土砂埋め立てについてでございます。この件に関しては、平成26年12月議会で質問をいたしました。現在岩船山の周辺は、絶好のロケ地として注目を浴び、かつては県内4位のロケ受け入れをしてきました。現在も岩船山の岸壁を背景に、テレビコマーシャルを2社が使っております。また、山頂には霊山高勝寺があり、県指定の文化財の山門、三重の塔、鐘楼などがあり、彼岸には多くの参拝人でにぎわう観光地でもあります。また、貴重な遺産でもあるこの地をこれ以上荒廃させてはなりません。

  それでは、発言明細1、埋め立て許可について。霊山岩船山の周辺で、その後も埋め立ては行われております。許可業者であったA社は、既に事業を完了し、撤退をしております。もう一社の無許可の埋め立ては、現在も続けられているようですが、どのように認識しているのか、許可の申請、その後一連の指導経過について伺いたいと思います。

 

 

P.168

◎生活環境部長(高橋一典君) ご質問の岩船山西部、新里地内の土砂埋め立てについてお答えを申し上げます。

  埋め立て許可についてでありますが、この行為を行っている事業者につきましては、既に議員もご存じのとおり岩舟町新里の自己所有地内において土砂等の埋め立てを行うため、任意で提出する500平方メートル未満の埋め立て等届け出を平成20年9月から10月にかけて、計5回にわたり旧岩舟町に提出しております。これらの埋め立てにつきましては一体性があり、旧岩舟町土砂条例に基づき許可を受ける必要がある特定事業であると旧岩舟町で判断をしております。その後、事業区域の面積が3,000平米を超えたことから、県が許可権者となり、指導を行った経緯がございましたが、平成26年4月の合併に伴い、現在では市の土砂条例に基づき早期解決に向け引き続き指導を行っているところでございます。

  次に、事業者に対する直近の指導状況につきましては、特定事業の許可を受けずに、少なくとも平成27年5月ごろまで他所で採取された土砂等を用いて自己所有地を埋め立てていることから、栃木市行政手続条例における許認可等の権限に関連する行政指導の規定に基づき、本年6月19日、無許可での土砂等の搬入を中止させることを旨とした行政指導書を交付しております。指導事項の対応方針について、速やかに書面で報告するよう求めたところ、事業者からは許可を受けて埋め立てを行っていると、指導に従わず引き続き土砂等の搬入を行っていることから、8月20日、再度改善を求める指導書を交付したところでございます。ご指摘の現在も埋め立てが続けられていることに対しての認識につきましては、地元住民の方からの情報や市、県のパトロールにおいて、新たな土砂が搬入されている事実を確認しております。このことから、無許可により土砂を搬入していることは明らかでございますので、日常の監視を強化するとともに、今後予定しております土砂条例に基づく立入検査の際にも土砂埋め立て地を確認し、無許可での土砂の搬入を行わないよう強く求めるとともに、法的措置も視野に入れて早期の解決を図ってまいりたいと考えております。

 

 

P.169

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.169

◆4番(針谷育造君) 事務当局の努力について報告がありました。しかし、依然として埋め立ては続いております。

  それでは、関連しますので、発言明細2、埋め立て地周辺の状況について質問したいと思います。先日この埋め立て地周辺の航空写真と地番図を見ることがありました。これによれば、市道と、そして個人所有地への埋め立てが確認をされております。市有の市道や水路、個人所有地等の周辺の土地の状況はどのようになっているのか、不法に使用、または占拠されていないか伺います。

 

 

P.169

◎生活環境部長(高橋一典君) ご質問の埋め立て地周辺の状況についてお答えを申し上げます。

  まず、水路の状況についてでございますが、さきのふれあいトークにおいて、堆積している土砂が隣接する土地改良区の水路に流入し、暗渠の機能が停止している状況であるとのご意見をいただきましたことから、関係課及び土地改良区の職員による現地確認を実施いたしました。その結果、ご意見がありましたとおり、事業者の埋め立て地から土砂が水路に流入していることが確認できましたことから、先日事業者に対し状況を確認した上で、現況復旧するよう指導を行ったところでございます。

  次に、市所有の道路、周辺の個人所有の土地の状況についてでありますが、埋め立て地周辺の住民の方からの情報や通報によりまして、平成23年度には個人の所有の山林が一部伐採されており、認定外道路の一部も埋め立てられているということが当時の岩舟町において確認されておりますが、現時点におきましては航空写真に公図を重ね合わせたものでしか判断がつかない状況でございます。そのようなことから、今後はその事実を具体的に明らかにし、根拠をもって対応していくことが必要となってきています。関係課による立入検査を行い、事業者立ち会いのもと状況確認を行い、それぞれが不法に使用、または占拠されていないかを判断したいと考えております。

  なお、山林につきましては、個人の方の所有地でありますことから、所有者の方もご自分の権利が侵害されている旨を事業者に対し主張していただくとともに、市と連携を図っていただきまして、この問題が早期に解決できますようご協力をいただきたいと考えております。

 

 

P.169

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

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◆4番(針谷育造君) 現地に入れていないようでありますけれども、違法行為をしているところに、法を盾にして無許可の業者がそのことを拒否することは、私はできないのではないのかなという気がいたしておりますので、早期に現地に入り、現地の状況を確認していただきたい。そのことを申し上げたいと思います。

  それでは、発言明細の3、無許可埋め立てに対する法的措置についてでございます。市長は昨年のふれあいトークで、無許可だとすれば告訴、告発も含めて調査したいと発言をしております。違法行為を行政が見逃しているとなると、市民の信頼は得られません。職務怠慢と言われても弁解できないのではないでしょうか。毅然たる態度が必要であります。その後の状況と今後の考え方を、多分市長だと思いますけれども、ご答弁をお願いしたいと思います。

 

 

P.170

◎市長(鈴木俊美君) まず、この行為を行っている事業者に対しましては、地元住民の皆様だけではなくて、市民の生活を守る立場である本市といたしましても、できるだけ早急に解決せねばならない喫緊の課題であるという認識は持っております。これまでの状況を振り返りますと、旧岩舟町、県、市と、許可権者がそれぞれ変わっているわけでありますが、無許可による土砂等の埋め立てを続けるなど、再三にわたる指導にも従っていないのがこれまでであります。そこで、今後の対応といたしましては、指導に従わず搬入している土砂が安全基準に適合しているかどうかを確認できないこと、また隣接する民有地などにも不法に埋め立てを行っているとの住民情報も市に寄せられておりますことから、土砂条例の規定に基づく立入検査を行うことを考えております。

  さらに、立入検査の結果を踏まえ、事業者に対し土砂等の全部または一部の撤去命令及び災害の発生防止措置命令を発動し、その命令に従わない場合、あらかじめ公表の理由を通知し、意見陳述の機会を与え、土砂条例の規定に基づき命令に従わないこと及び命令の内容の公表を行います。

  以上の対応をとっても功を奏しない場合、市といたしましての法的措置として、事業者を相手に市が告発を行っていかざるを得なくなると考えておりますが、そのためには先ほど来申し上げておりますとおり、現地調査、指導内容等の証拠資料の収集が必要となってまいりますので、関係部署と警察との連携により鋭意対応してまいります。

  証拠資料と申し上げましたが、航空写真などをつき合わせれば、前後で違っているではないかということであります。もちろんそれも証拠の一つにはなりますが、それだけではやはり決め手にはならないわけでありまして、では何でそう前後で違っているのか、その原因が土砂の不法投棄と言えるのかといったことについて、そんなことしていないよと言われたときに、これこのとおりあなた方が捨てていることが原因でこうなっているのでしょうというふうに言えないと、なかなか証拠として、いわゆる直接証拠としての証拠ではなくなってしまうことから、非常に対応が難しいのでありまして、しかも今申し上げたような手順を踏んでいかないと、いきなり土地に立ち入ったり、いきなり告訴、告発をしたりということにはいかないのが現状であります。しかし、だからといって、市が何もしない、対応をさぼっているということでないことは、ぜひご理解をいただきたいわけでありまして、こういうことを申し上げてはなんですが、先ほど申し上げたとおり旧岩舟町、そして県がそれぞれこれまでも対応をしてきておられることとは思いますが、市は現在これを引き継ぎ、さらに改めて積極的に手続をとっていかなければならないということでございますので、市だけが何もしていない、そしてこのまま見過ごしていいというふうに思っているわけではないことについては、ご理解をいただきたいと思います。

 

 

P.170

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.170

◆4番(針谷育造君) 最終的には告訴、告発をしていくということでありますけれども、栃木市の財産が侵害されているとなると、告訴も可能ではないのかなと私は思うわけですけれども、それは意見として述べておきたいと思います。確かに岩舟町の時代からどうにもならない問題でございましたことは、私もよく知っております。しかし、栃木市に合併をし、そしてその権限が栃木市に移ったとなれば、栃木市がそのことで責任を持って行政指導なり、適法な埋め立てをさせるという責任は、栃木市に出てくるのではないのかなと私は思っております。

  再質問をしたいと思います。それらの証拠を集めたり、現場に入ると。残念ながら、現在の環境課では非常に人が少なく、総合支所においてもそれを専門にやっていく人がいないような状況が私は見てとれております。1つは、人的配置の充実というものは、ここで必要なのだと。行政に対する市民の目が一番厳しいときに、その対応を人的充実も必要ではないのかと。1つは、警察官の身分を持っている人を派遣なりなんなりしていただいて、きちんとした対応等もしていかなければ、私の聞くところでは、私も現場を見ましたけれども、藤岡でも同じような無断の埋め立てが国道50号の脇でなされております。そのときに、指導するときに、岩船山の西側の状況をどのように整合性を持って説明できるのか、やはりここでは毅然たる態度をお願いしたいと思います。どうぞ人的な充実についてのご答弁、お願いをしたいと思います。

 

 

P.171

◎生活環境部長(高橋一典君) 議員おっしゃるとおり、この件につきましては本庁生活環境部の環境課が直接的には担当しております。確かに環境課の職員、人的に十分いるかといいますと、十分とは言い切れない。その中でも一生懸命やっております。総合支所の藤岡、それと岩舟にも協力を得て、さらには警察官の身分の職員も、実は1名交通防犯課におりますので、そういったところの協力を得ながら、体制を組んで当たっていきたいと思っております。

 

 

P.171

○副議長(入野登志子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.171

◆4番(針谷育造君) 力強い決意をいただきました。この問題は、安心して暮らせる社会の実現を図るために、適正に法律、条例を適用する責任が行政にあります。住民の生活が危機に瀕する前に必要な行政執行を望みたいと思います。社会正義の実現のためにも、法律も行政もあることを申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 

 

平成27年  9月定例会(第3回) - 09月25日-07号

P.231

○議長(関口孫一郎君) 続いて、4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.231

◆4番(針谷育造君) 4番、針谷育造でございます。議案第85号 栃木市行政手続における個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の制定について、議案第88号 栃木市個人情報保護条例の一部を改正する条例の制定について、議案第93号 栃木市手数料条例の一部を改正する条例の制定について、それぞれ関連がありますので、一括して反対の立場から討論をしたいと思います。

  まず、マイナンバー法は、赤ちゃんからお年寄りまで全国民に原則生涯変えられない12桁の番号をつけ、また企業や官公庁にも13桁の法人番号が割り当てられるものであります。政府広報の説明では、マイナンバー制度とは、国民一人一人が持つ12桁の番号、個人番号のことでありますけれども、複数の機関に存在する個人の情報を同一の情報であるということに確認を行うための基盤であり、社会保障・税制度の効率性、透明性を高める、国民にとって利便性の高い公平、公正な社会を実現するための社会基盤ですとあります。

  しかし、本当でしょうか。マイナンバー制度とは、国民の基本的人権であるプライバシーを根底から覆し、国民を徹底して管理するなど国民へのメリットもなく、到底賛成することはできません。以下、反対の理由を述べ、皆様のご賛同をいただきたいと思います。

  まず第1点は、国により個人情報が一元管理され、監視、監督されるおそれがあるということでございます。個人情報が将来にわたって際限なく収集されるとすれば、その分、プライバシーは侵害される懸念は増大されます。国が集める情報は、氏名、住所、年齢、顔写真、家族構成といった基本的なものに加え、給料、保有する不動産や、その評価、かかった医療機関や医療費の金額、医薬品による副作用の救済、年金の保険料や年金額、介護保険の保険料やサービスの利用、生活保護に関する記録、心神喪失の状態で重大な行為を行った人の診断や治療、受けた予防接種の時期や種類、児童手当の支給など、その本人に関する全てとも言える情報が記憶され、マイナンバーの番号だけでほぼ全ての情報がわかるようになります。また、情報の活用、蓄積は来年、2016年、国家公務員の身分証、2017年はクレジットカード、キャッシュカード、診察券のワンカード化、運転免許、教員免許、学歴証明との一体化など拡大する一方であります。現在では強制ではないと言っていますが、カードがないと生活や社会参加が成り立たなくなり、実質強制をたどるのは誰の目にも明らかであります。

  今回消費税の10%が2017年4月に予定されることに伴い、軽減税率導入を目指す財務省は、還付制度を来年1月から利用が始まるマイナンバーと密接に結びつける制度設計にしようとしております。麻生財務大臣は、「マイナンバーを持ちたくなければ持っていかなくてもいい。そのかわりその分の減税はないだけだ」と発言をし、その後その指摘を受けて、「職員に言われたことを述べただけだ」と無責任きわまりない発言を財務大臣はいたしました。法のもとの平等はどこにも感じることはできません。これが国家権力の実態ではないでしょうか。任意取得のはずのマイナンバーが強制になる必然が隠されていることの証明に図らずもなりました。国民あっての国ではないでしょうか。主権は国民にあり、政治はその信託を受けて成り立っているものであります。このような社会は極めて異様だと言わなければなりません。

  2点目は、この制度で国民が総背番号化されれば、人を番号や数字として扱い、仕事、収入、資産等によって人間を値段として見る風潮が生まれかねません。国による総背番号化は、人間の奴隷化ではないでしょうか。国民が自己情報を自分でコントロールする権限を失い、国から一元管理されることで、人権や人としての尊厳、個人のプライバシーが奪われてしまう可能性がございます。

  3点目は、莫大な経費とIT利権の存在です。制度導入には3,000億円が必要と言われ、ランニングコストは年間300億円から400億円とも言われております。その全ては多額の税金であります。本市においても当初予算5,913万6,000円、6月には1,696万9,000円、9月補正で6,778万3,000円、合計1億4,388万8,000円、そのうち国から1億1,742万円が交付され、差額は市負担の2,646万8,000円となっています。莫大な金額の投資が各種申請のときに、証明書が不要になる等の市民へのメリットの説明では到底納得できません。高い買い物をさせられているとは思いませんか。無駄遣いの何物でもありません。最少の経費で最大の効果を上げるとする地方自治の原則を逸脱していることは明白であります。一方、サイバー攻撃から完全に防御しようとすれば、その費用は数兆円になるとも言われております。誰のためのマイナンバーなのかがこの数字から明らかになってまいります。

  4点目は、セキュリティーの脆弱さです。日本年金機構の125万件の個人情報が流出した事件は、セキュリティーの弱さと、ずさんな管理の実態が浮き彫りになりました。番号は、行政機関だけでなく、民間企業なども扱うため、情報漏えいの危険性はより高くなることは間違いありません。民間企業のベネッセは、4,800万件が名簿を業者に売却され、被害を受けたのは推計で4,000万人分に上がることが明らかになりました。内閣府の世論調査でも、政府機関や日本の企業などがサイバー攻撃を受けることへの不安があるとの回答は85.7%に上がっています。このような情報流出の危険性の増える可能性は増大することでありましょう。

  5点目は、共通番号が世界では問題が多過ぎて、採用されていない過去の遺物となっておるということでございます。この制度と同じように実施しているのは、韓国、スウェーデンなどのほんの一部であります。アメリカ、カナダは見直しが始まっていると聞いております。イギリスではこの制度を廃止しました。G8諸国では、マイナンバー同様の官民総背番号制度の国はなく、ドイツやイタリアでは、納税分野に限定した番号を導入しております。先進国の番号制度とは異質なものが日本のマイナンバーと言わなければなりません。国民の一人一人の全ての情報を集め、監視するこの制度を許してはなりません。

  以上を申し上げ、私の反対討論といたします。

 

 

平成27年 12月定例会(第5回) - 12月02日-03号

P.95

○議長(関口孫一郎君) 4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.95

◆4番(針谷育造君) 通告に従い、一般質問をします。栃木新風会、4番、針谷育造。1番目としまして、組織機構の改編について、2番目、マイナンバーについて。

  それでは、発言要旨1、組織機構の改編について、(1)組織改編の理念と考え方について伺いたいと思います。組織改編については、市民サービスと市財政の影響を考えたときに、見直すべきであるとの立場で質問をしたいと思います。11月13日、栃木市制施行5周年記念式典で鈴木市長は、「合併のメリットを最大限に生かし、地域の特性を生かした一体的なまちづくりを進め、名実ともに16万都市にふさわしい栃木市をつくってまいります」と宣言いたしました。私の6月定例議会一般質問で、組織機構の見直しと総合支所の位置づけでは、「総合支所方式は、地域住民の皆様に安心と利便性を提供できる現地解決型の制度であり、さらに地域の市民の皆さんが一々本庁舎まで出向かなくても済む機能や地域の振興センターとしての機能は、今後とも継続をしてまいります。そして、その上で総合支所の機能の中で本庁に集約しても地域の市民の皆さんや地域にそれほどご迷惑をかけないと考えられる分野については、本庁に集約する方向での検討もしていきたいと考えております」と答弁をしております。

  しかし、今回議会に示された今回の組織機構改編では、これらのことが残念ながらどこにも見当たらず、特に総合支所の改編計画には地域まちづくり課、税務課、生活環境課、健康福祉課、産業振興課、都市建設課の6課あった総合支所が、地域まちづくり課、市民生活課、産業振興課の3課に減らし、職員を半分にするというものであり、特に税務課を廃止することは、市民サービスの視点と市財政の確立を図るための徴収率低下は避けられないものであります。総合支所を持つ地域市民のためにも、栃木市のためにも、この改編はよくない改編であると言わざるを得ません。

  そこで、組織改編の理念と基本的考え方について。

  また、この見直しで二重行政、二重構造の解消をどのように図られるのか。

  この改編に伴う財政、人的メリット、デメリットは何があるのか。デメリットに対する対策は何を考えているのかを伺いたいと思います。

 

 

P.95

◎市長(鈴木俊美君) 組織改編の理念と、それから考え方についてでありますが、市民目線であり、かつ効率的で行政課題に的確に対応する組織機構を目標とし、あわせて一体感の醸成と合併効果を最大限に発揮するなどの視点で検討いたしまして、平成28年4月に新しい栃木市の組織機構の基本的な姿の確立を目指して見直しに取り組んできたところであります。

  ご指摘の二重行政、あるいは二重構造の解消は図られるのかといったことにつきましては、現在の総合支所は本庁の部に準ずる位置づけであります。したがいまして、支所長は部長級であります。総合支所長が統括をしているところでありますが、来年4月からは総合支所に配置する各課は本庁の関係する部に直接属することになります。したがいまして、その意味において組織の二重構造というものは解消されることになるかと思います。また、市全体と栃木地域については本庁が、大平地域については大平総合支所がというように、同じ業務を地域で分けて所管している組織の二重行政につきましては、税務、都市建設部門を本庁に集約いたしますので、その部分については解消するのではないかというふうに考えております。

  次に、組織改編に伴う財政、人的メリットとデメリットについてであります。本市においては、新設合併から5年が経過し、合併算定がえも段階的な減額期間に入ったことから、都市規模に見合う財政運営の実現が大きな課題となっております。今回の組織改編のメリットは、財政課題を抱える中で組織のスリム化と職員人件費の削減が図られるほか、地域の市民のよりどころである総合支所を維持しつつ、本庁機能を人数と支出の両面で強化をし、これまで以上に魅力ある一体的なまちづくりに取り組むことができる体制をとることができるようになるのではないかと考えております。具体的には、これまで分散して行っていた業務を本庁で一括して行うことにより、委託料やシステム使用料などの経費が削減できるほか、これまで本庁舎と総合支所の間でまちまちであった運用も一貫した方針に基づき統括できることから、事務の平準化と統一化が図れるとともに、あわせてその部門の組織力の強化につなげることができます。

  次に、今回の組織改編のデメリット、そしてその対策についてでありますが、総合支所の規模を縮小することにはなるわけでありますが、その点今まであったものを前提に考えれば、あったものがなくなるわけですから、その限りにおいては不便だなというふうに市民に思われてしまう可能性がないとは言いませんが、しかし具体的には今回統合しようとする分野については、統一をしたとしても具体的なご不便はほとんどおかけすることはないというふうに考えております。それは、これまでの窓口の利用実績、それから本庁に直接ご相談等にお見えになる方の比率等々を考えたときに、具体的にはそれほどご迷惑をおかけすることにはならないというふうに我々は見ております。

  本市といたしましては、将来を見据え、安定した行財政基盤を確立していかなければならず、限られた資源を効果的に活用しながらまちづくりに取り組む必要があることから、合併後、来年4月はもう7年目となりますので、これをもって組織機構の大幅な見直しを行い、かつとりあえずこの来年4月の組織機構の見直しをもって、一旦組織機構の改革については中断といいますか、一旦ここで終止符を打って、あとは微調整に入っていくというまたサイクルになるのかなというふうに考えているところであります。よろしくご理解のほどお願いを申し上げます。

 

 

P.96

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.96

◆4番(針谷育造君) 大変厳しい回答であるかなということでありますけれども、以下次の質問を続けることによって、そのことがいかに市民にとってもまずい結果になるのかなということをこれから述べていきたいと思います。

  それでは、(2)番の総合支所の機能縮小による市民サービスについて伺いたいと思います。この改編からは、市民サービスは明らかに低下すると思われますが、今までの体制より、より向上すると考えた改編なのでしょうか、伺いたいと思います。

  また、行政だけでなく、民間でも多くのところで取り入れているワンストップサービスの向上は図られるのでしょうか。また、その結果、今まで総合支所で築いてきた住民との信頼関係は向上するのかを伺いたいと思います。

 

 

P.96

◎市長(鈴木俊美君) まず、住民サービスは現行よりさらに向上するのかということについては、それは縮小を少しするわけでありますから、より向上するとは我々は思ってはおりませんが、より低下するとも思っていないということであります。以下、答弁をさせていただきます。

  来年4月以降も、総合支所においては地域住民の皆様の生活に直結する窓口の機能、地域の振興に関する機能、そして地域づくりを推進する機能は今後とも継続していくわけでありますから、市民の皆様が具体的にご不便を感じることは、それほどはないと考えております。あるいは、現行ではほとんどないと考えております。しかしながら、専門的な問い合わせなどにつきましては、総合支所の窓口ですぐにお答えができず、本庁の職員から連絡、回答するなど、多少お時間をいただく場合もあるかとは思いますが、それでも職員にはできるだけ迅速な対応をするよう指導してまいりますし、いよいよというときには、できるだけ早い時間に本庁などからも出向くなどして、ご不便をおかけすることのないようにしたいと思います。

  なお、現在でも時々支所の職員からは、市民の方からのご質問等に対して、これは本庁に聞かないとわからないと言って本庁に回してしまったりすることもあります。こうしたことは、組織がどうであれ、本庁と支所という関係性の中で、どうしても時には出てこざるを得ない現象であります。我々は、それらも含めてどのようにしたらその窓口において、市民の皆さんにご不便やご迷惑をおかけすることがないかということをこれからも考えていかなければならないだろうというふうに思っております。

  次に、ワンストップサービスの向上は図られるのかということでありますが、総合支所の税務課、生活環境課及び保健福祉課を統合して市民生活課を設置するわけであります。諸証明の交付、諸届け出の受け付け、市税などの収納といった業務を行ってまいりますので、ワンストップサービスについては、この市民生活課で維持できるのではないかというふうに考えております。いずれにいたしましても、各総合支所を利用される市民の皆様には、2度、3度と総合支所に足を運んでいただくことがなくて済むように、職員がみずから出向いていくなどして対応するとともに、これまで以上の温かい対応を職員がしていくよう、これは本庁、支所関係なく、これからも職員を指導してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 

 

P.97

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.97

◆4番(針谷育造君) 答弁漏れが1点あったような気もするのですけれども、総合支所で築いてきた住民との信頼関係は向上するのかということの答弁漏れがあったような気がしますけれども、答弁ございますか。

 

 

P.97

◎市長(鈴木俊美君) 失礼をいたしました。住民との信頼関係はこれで向上するのかということでございますが、これまで以上に向上するかどうかについては、冒頭申し上げたように、そうは思ってはいませんが、何度も申し上げておりますとおり、これによって信頼関係が低下するとも思っておりませんので、よろしくご理解をいただきたいと思います。

 

 

P.97

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.97

◆4番(針谷育造君) それでは、明細3番、市税等の収納率向上は図られるのかについてでございます。ご承知のように、行政の根幹を支えるのは大事な市民税であります。行政改革のために、財政再建確立が叫ばれてきました。しかし、依然として地方財政は貧弱であります。市民全てにサービスという形で還元できる市民税を初めとする地方税の充実は極めて重要であり、今回の改編で税の徴収、市民に納めていただく税金がどのようになるのかが一番心配なところであります。

  そこで、県内の徴収率を調査をさせていただきました。国保税を除く市民税全般でございます。純固定資産税、個人市町村民税など市民個人から納めていただいたもので、法人等は除いたものでございます。税目別に、市町のベストテンと自治体名とその徴収率、栃木市の順位を申し上げます。平成26年度市町村税の徴収実績一覧表によれば、全税目、国保税を除いております。1番は高根沢町で97.1%、2番が野木町96.6%、3位が上三川町96.4%、4位が芳賀町96.3%、5位が佐野市95.0%、6位が下野市94.9%、7位が市貝町94.5%、8位は宇都宮市94.0%、9番、塩谷町93.9%、10番、大田原市93.3%。栃木市は92.0%で、ちなみに12番目でございます。ちなみに県平均は92%、ベストテンに入った町が6町、市が4市となっています。

  純固定資産税は、1番から高根沢町の97.1%、芳賀町96.8%、上三川町96.3%、野木町96.1%、佐野市94.4%の順になっております。栃木市91.1%で、10位に辛うじて入っています。県平均は90.0%、ベストテンに入った町が6町、市が4市となっております。

  個人市町村民税は、1番から高根沢町96.5%、野木町96%、下野市95.5%、上三川町95.2%の順となり、栃木市は何と17番で90.9%、県平均は91.6%となっております。ベストテンに入った町が6町、市が4市となっております。

  町が多いのは、何をあらわし、何を意味するのでしょうか。また、栃木市の徴収率は合併後、平成21年度1%、平成22年度0.8%、平成23年度0.8%、平成24年度0.7%、平成25年度0.8%アップをしております。この要因は、総合支所に税務課を置いて、従来の徴収が保たれているからだと私は考えております。

  その根拠を申し上げたいと思います。私はこの質問を用意する前に、税務課担当に聞きました。総合支所別の徴収率はありませんか、ないということでございますので、平成20年度合併前の徴収率状況を、合併前の市町村で調べてみました。栃木市、市町村民税と純固定資産税の合計でありますけれども、徴収率は89.8%、大平町94.6%、藤岡町94.0%、都賀町93.7%、西方町94.2%、岩舟町は平成24年でありますけれども、94.5%、その差は歴然として旧5町が高くなっております。

  調定額、徴収金はどうなっておるでしょうか。5町の調定額は96億3,137万3,463円、徴収額は89億9,770万3,745円、徴収率は93.42%であります。ここで試算を幾つかしてみました。仮に栃木市の徴収率で計算すると、93.42%から89.8%を引くと3.62%のまさにダウンであります。これを金額にすると、減額は何と3億4,865万5,719円の試算となります。

  また、試算2では、栃木市全体の平成26年度決算実績の市民税と固定資産税合計、これは法人も含んでおりますけれども、試算をすると、調定額は212億7,197万2,701円であり、徴収額は195億2,198万2,583円です。徴収率は91.78%、この率には旧5町総合支所の比較的高い徴収率が含まれている数字であります。これをもとに計算すれば93.09%から91.78%、これは1.31%のマイナスとなります。これを減額、調定額に掛けますと、2億7,866万2,842円の試算となります。

  さらに試算3では、旧5町の合併前の徴収率は93.42%から、旧栃木市のみの徴収率89.8%を差し引くと、徴収率は何と3.62%のマイナスであります。調定額に掛けますと、実に7億7,004万5,411円の試算となります。旧5町の徴収体制が、いかに住民と結びつき、徴収率を上げていたのかを物語っております。この金額を総合支所の改編で、わざわざ捨て去ることは、市民にとっても栃木市にとっても許されることではありません。

  そこで、税と徴収率は市民にとって何を意味するのか伺いたいと思います。総合支所の税務課を廃止するメリットは何があるのか伺います。

  さらに、今回の改編に当たり、最も根幹をなす税務についての試算はどうして考えなかったのかお尋ねします。

  また、ふるさと納税で平成26年度頑張りましたが、2,669万8,745円です。謝礼品が904万6,000円、システム等の経費27万8,920円、差し引き1,737万3,825円です。しかし、この金額は税とは違い、不安定で歳入見込みの計算はできません。税の徴収こそが栃木市財政の根幹であります。市民税をもっと大事に考えなければなりません。市民サービスを低下させ、その上大幅な徴収減が見込まれるとすれば、何のための組織改編なのかと甚だ疑問であります。組織機構の改編の結果、総合支所の税務課を廃止することになる。そのことにより、徴収率の低下対策は本当に考えているのか伺いたいと思います。

 

 

P.99

◎理財部長(五十畑恵造君) お答えを申し上げます。

  まず、市税収入は市の歳入の根幹をなすものであるものでありますから、市民と行政との信頼関係を築きながら収納率の向上を図っていくことが非常に重要であると強く認識しております。

  次に、総合支所の税務課を廃止するメリットはあるのかについてでありますが、職員が本庁に集約されることによりまして、滞納者に対する財産調査、差し押さえ、換価し税金に充当するという一連の手続を一元的に行えることから、これまでよりも効率的な業務運営を行えると考えております。

  次に、その結果、収納率の低下の対策はあるかについてでありますが、総合支所の税務課が廃止されても、税の納付や納付書の再発行などの基本的な窓口業務につきましてはこれまでどおり継続してまいります。一方、滞納処分や詳細な納税相談、分納相談など専門的な事務につきましては本庁扱いになりますが、必要に応じて本庁から各総合支所に職員を出向かせるなどの対応をして、収納率の向上を図ってまいりたいと考えております。また、全庁的な収納対策として、市の広報紙やホームページなどを通しまして、口座振替の推進やコンビニ納付の利用について、さらに啓発を図ってまいりたいと思います。さらに、市税等収納員による滞納世帯の訪問をこれまで以上に積極的に行うとともに、電話催告の夜間催告も実施してまいります。加えて現年度の滞納者を抑止することが重要であるとの観点から、財産調査を積極的に行い、財産がある場合には速やかに差し押さえを行うなど収納率向上を図ってまいりたいと思います。

  それから、税についてどう考えていたのかというご質問がありましたので、お答えしたいと思っております。あくまで今回の再編につきましては、極力住民のサービスが低下を招かないようにすることが大前提でやっております。私なりに合併前の各市町の状況を調べてみました。今、針谷議員が細かいことをおっしゃっておりましたので、繰り返しになる部分もあるかと思いますけれども、それぞれ合併直前の2年間を平均してみました。税目については、議員のおっしゃるとおりであります。2年間の平均を申しますと、大平町から岩舟町の旧町では2年間の平均が、現年度につきましては97.6%、栃木市の合併直前の2年間の平均収納率は97.4%、0.2%低い状況にあります。今、議員がおっしゃっておりました過年度を含む部分が、今の92%という昨年度の税の収納率になるかと思いますが、こちらを比較しますと、確かに若干の差がございます。大平町から岩舟町までの過年度を含む収納率でありますが、93.28%になりました。栃木市につきましては2年間平均で98.4%、若干あります。しかしながら、ここを人口比率とかを考慮しますと、大平町が合併前ですので約2万9,000人、藤岡町1万7,000人、岩舟町1万8,000人、都賀町1万3,000人、西方町6,000人としますと、今の栃木市の16万人では92%を数えております。人口比にしてみれば、遜色ない数字が出ているのかなというふうに、私個人的には思っております。

  これからの収納対策につきましては、我々は収納を下げるために仕事はしません。上げるためにしていくつもりでありますので、その辺をご理解願いたいと思います。

  以上です。

 

 

P.99

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.99

◆4番(針谷育造君) ただいまの理財部長の答弁でありますけれども、残念ながら現実に即していない数字を拾い読み、拾い集めたというようなことが私はあるのではないのかな。現年度課税は、どこでも97%から98%、多いところは98.5%、問題は徴収率というのは現年と滞納分を合わせて徴収率と言うのであります。例えば、202億円の調定額に対して1%下がったらどのくらいの減収がありますか、2億円ですよ。2億円という金を、総合支所にいる職員、私の計算でいけば3億円からの、5町の総合支所に55人おりました。1人減る分が、先ほど読み上げませんでしたから633万9,145円、こういう金額、10人いれば6,000万円です。そういうことを考えて、自分の足元を掘り崩すようなことで組織改編をして誰が喜びますか。市民も喜びません。税金を納める納税者も喜びません。そういうことは予見できるのであります。なぜ町村の徴収率が高いのですか。人と人との関係ですよ、問題は。徴収整理員が行ったって、心が通じなければ税金は集まりません。そのことを申し上げて、次に移らせていただきたいと思います。

  4番、栃木市行政組織規則の一部改正についてであります。今議会で、議案第128号 栃木市部設置条例等の一部を改正する条例が上程されました。部の改廃は、条例議決事項であります。当然のことです。しかし、課の設置等については規則の改正で済みます。議会の議決は要らないことになります。総合支所に税務課を残し、市税の徴収率アップの条件を残すことが今必要であると私は述べてまいりました。その結果、税収の落ち込みに手を貸すことにならないのか。せめて税務課を総合支所に残し、財政確立を図る考えはないのか。規則改正までは、聞くところによれば2月まで時間がある。どうぞもう一度税という立場で、この組織改編をぜひ考えていただきたいと。機構改編に伴う規則の改正について、どのように考えているのか。課の改廃に当たり、市民を代表する議会との協議は予定されておるのか。議員研究会の中で、課内の担当制を廃止し、係制の復活が説明されましたが、その総括と考え方について伺いたいと思います。

 

 

P.100

◎市長(鈴木俊美君) 組織機構改編に伴う規則の改正についてでありますが、ご案内のように地方自治法におきましては、最上位の内部組織の設置及びその事務分掌については条例で定めなさいと規定があります。それ以外の内部組織及びその事務分掌については、規則で定めて結構ですということになっております。本市において最上位の内部組織とは、すなわち部長職まででありますので、部については条例で、であればこそ部設置条例と言っているわけでありますが、それ以下の課以下の内部組織については規則によって定めております。今回もそのとおりに行っていく予定であります。平成28年度の組織改編に当たりましては、本定例会に今申し上げた部設置条例改正議案を提出しておりますので、新たな部の構成とその事務分掌について議会のご承認をいただくことになりますが、またいただきたいと考えておりますが、ご承認をいただけた場合は、来年の2月を目途に行政組織規則を改正し、下部組織の構成とその事務分掌を定めてまいります。

  次に、行政組織規則の改正に当たりまして、市民を代表する議会との協議はあるかということでありますが、組織機構の改編については10月30日の議員研究会におきまして、新たな組織機構図をもとに市の考え方を議員の皆様にご説明申し上げているところであり、部設置条例改正議案の審議結果を踏まえて行政組織規則の一部改正の手続を進めてまいりたいと考えております。

  なお、このようなことは今さら言うまでもないことかもしれませんが、私ども行政としては、その任務に基づいて行政の組織をみずからつくり、そして責任を持って行政運営に当たっていくところでありまして、重要なところでは議会のご承認などもいただく必要があり、であればこそ部設置条例があるわけでありますが、何から何まで全て議会のご承認あるいはご了解がなければ行政機能は動かせないということでは、これは少し違うのではないかというふうに思いますので、重要なところ、肝心なところは議会のご意見なども伺ってまいりますが、それ以外、行政機構として責任を持って仕事に当たっていく、みんなつもりで頑張っておりますので、これからもそのように行わせていただきたいというふうに考えております。

  最後に、担当制の廃止と係制の復活についてであります。まず、担当制というものについては、課長の判断によりましてチーム間の業務量に応じた柔軟な職員の配置や事務分担を行うことを目的に導入した制度でありまして、団塊の世代のポスト不足を補い、職員のモチベーションを維持する側面もあわせ持った制度であります。もう少しはっきり申し上げれば、そのようなことからのチーム制の導入が大きな理由だったと考えております。この担当制の導入によりまして、団塊の世代のポスト対策においては一定の成果を得られたと認識はしておりますが、運用面においては組織における責任の所在というものが曖昧になりがちな面がなかったとは言えません。それから、柔軟な職員の事務分担には必ずしもつながっていたとは言えないこと。また、市民から見て、職員が名刺を差し出したりした際、やたら長い部が書いてあり、課が書いてあり、チームが書いてあり、いつになったらこの人の具体的な担当は出てくるのだろうというふうに思った方もいらっしゃるのではないかというふうに思います。私もそう思ったこともありました。そういう点からしても、市民の皆様に何よりもわかりやすい職員の階級といいますか、立場でなければならないというふうに思っておりますので、できる限りシンプルな組織にすべきではないかという観点から、今回係制に回帰をしたいと考えているものであります。課長がいて係長がいるということが一番、ああ、では課長の下なのだなということでわかりやすいのではないのかなというふうに思います。

  なお、それとは別に主幹という言い方も独特の言葉でありますので、これも正直なかなかわかりにくい面もあります。主幹と課長は同クラスだとか、給与体系は同じだとか、ちょっと役所独特の階級も今まだありますが、これらについても将来検討しなくていいのかなという思いはありますが、とりあえず課長の下に係長といったことでわかりやすい組織にしていきたいということから、今回検討しているものでございますので、ご理解をいただきたいと思います。

 

 

P.101

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.101

◆4番(針谷育造君) 規則改正は市長の考え方でできるわけでありまして、部の設置条例は議会でありますけれども、部は大きな束ねを決めるだけで、課の設置については規則でできる。私が今申し上げたようなことがほとんど検討されないまま、この改編が行われ、そして私が一番残念なのは、決まったからやるのだ、そういう官僚的な考え方、これは大問題でありまして、本当に市の財政を掘り崩すようなことをみずからやる。市税が集まらなければ市民サービスは低下し、福祉も教育も必ず影響が出てまいります。市民との信頼関係も薄くなり、納税意識は減り、悪循環を繰り返すことになりはしないか。市民税確保のために、規則改正は市長の権限でもう一度考え直すことをさらにお願いをしながら、私はこの大問題を、市民の信頼を裏切るような、旧岩舟町でも栃木市と佐野市の合併の問題がありました。そのときの決め手は、総合支所で今までと変わらない、そういうことだったのであります。総合支所に税務課を置くことによって業務効率が著しく落ちたり、命令系統が混乱するようなことは絶対にありません。それよりも大事な、まさに税の根本である市民税を各総合支所に置いていただくことを強く要請して、次の質問に移りたいと思います。

  発言要旨の2、マイナンバーについてであります。マイナンバーの通知状況について、新聞等でもたくさんの報道がされております。10月から通知が送られてきていますが、新聞等でおくれが報道されていますが、栃木市における進捗状況について、まず伺います。

  来年1月のカード申請の見通しについて伺いたいと思います。よくわからない、不安に思っているなど、市民のカード申し込みのためらいはあることは事実であります。発行目標等は国から示されておるのか。栃木市でどのくらいの目標にしているのか伺います。

  さらに、役所内のマイナンバーに関する情報管理であります。基幹系と情報系の分離状況について伺いたいと思います。

 

 

P.101

◎生活環境部長(高橋一典君) ご質問のマイナンバーをお知らせする通知カードにつきましては、簡易書留を使って全世帯に発送いたしました。不在などで受け取っていただけなかった通知カードは、1週間郵便局で保管した後、市役所に返戻されております。市役所への返戻分につきましては、11月30日現在3,725通となっておりまして、本市の世帯数約6万3,000世帯のうち6%が受け取られずに市へ返戻されていることになります。市への返戻分につきましては、広報とちぎや市ホームページでお知らせしているとおり、本庁市民生活課、各総合支所生活環境課の窓口において交付を行うこととしておりまして、現在までに約150通ほど交付をいたしました。また、転居届が提出をされ、転居先の把握ができている約200世帯分につきましては、市独自のサービスとして再度転居先への送付を予定しております。

  次に、本市における個人番号カードの発行見通しでございますが、総務省が平成27年度中の発行枚数を1,000万枚、平成28年度中の発行枚数を500万枚と見込んでおりますことから、これを本市の人口に当てはめ、平成27年度中の発行枚数を約1万4,000枚と、平成28年度中の発行枚数を約7,000枚と推計しております。

  続きまして、マイナンバーの情報関連における基幹系と情報系の分離状況についてでありますが、本市のコンピューターシステムの主なものといたしまして、基幹系ネットワークと情報系ネットワークの2つがございます。基幹系ネットワークには、住民記録や税情報を管理する住民情報システムがございます。マイナンバーに関する情報は、全てここで取り扱います。これとは別に、情報系ネットワークには職員が一般事務で使用するパソコンが接続されております。本市では、この基幹系ネットワークと情報系ネットワークを完全に分離しております。その理由としましては、情報セキュリティーの面から見た脅威の一つにインターネットからの不正なアクセスがあります。その危険性を排除するため、マイナンバーを取り扱うことになりました基幹系ネットワークは、それ以前からも同様でございましたが、インターネットには接続しておりません。一方、情報系ネットワークは、業務上インターネットとの接続がどうしても必要となりますことから、十分な安全対策を施した上でインターネットに接続しております。この2つのネットワークを完全に分離することで、基幹系システムはインターネットからは完全に遮断されることになります。その結果、情報セキュリティーにおける安全性は確保されるものと考えているところでございます。

 

 

P.102

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.102

◆4番(針谷育造君) それでは、(2)に移りたいと思います。マイナンバーの利用範囲の拡大についてであります。毎日のように、マイナンバー詐欺等を含めてマスコミで報道されています。マイナンバーの前に、住民基本台帳ネットがありました。裁判の中では、住民票コードは行政内部で使うことで、データマッチングは禁止されておりました。しかし、今回のマイナンバーは行政だけで使うのではなく、民間でも流通させることが前提となっております。住基ネットで一番危険だと言われていたことを行うのであります。各行政機関がそれぞれデータベースを持っていますが、この番号で情報を手に入れることができると思われます。企業などの民間でもデータベースをつくれるようにすることも検討されているようであります。そうなれば、この番号が万能のアクセスキーになります。便利な使い方は、悪用する側にとっても便利になり、リスクの大きなシステムになります。既に詐欺集団に数百万円とられた被害等も報道されております。そこで、預貯金等へのマイナンバーの付番について、医療分野における利用範囲の拡充について、地方公共団体の要望を踏まえたと言われる利用範囲の拡充について、利用拡大による問題、課題は何があるのか伺いたいと思います。

 

 

P.102

◎総合政策部長(早乙女洋君) マイナンバーの利用範囲の拡大などにつきましては、今年9月に行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆる番号利用法が一部改正されております。内容といたしましては、マイナンバーの利用推進に係る制度改正でありまして、預貯金口座への付番や医療分野における利用範囲の拡充、また地方公共団体の要望を踏まえた利用範囲の拡充などが主なものであります。預金口座の付番につきましては、任意で口座にマイナンバーをひもづけるもので、預金保険機構などがペイオフによる預貯金額などの合算をする際に利用を可能とするほか、金融機関に対し社会保障制度における資力調査や税務調査をする際に預金情報を効率的に利用できるようするものであります。これにより、事務の効率化のほか、脱税や生活保護などの不正受給防止が期待されております。

  医療分野における利用範囲の拡充につきましては、特定健康診査、いわゆるメタボ健診の情報の管理などに利用を可能とするほか、予防接種の履歴について地方公共団体間で情報連携を可能とするもので、生活習慣病の予防や医療費の無駄遣いを防ぐ効果などが期待されております。

  地方公共団体の要望を踏まえた利用範囲の拡充などにつきましては、特定優良賃貸住宅の管理にマイナンバーの利用を可能とするほか、地方公共団体が条例を定め、独自にマイナンバーを利用する場合においても自治体間での情報連携を可能とし、転入などの際にほかの市区町村に情報があるような場合でも、情報連携により各種の申請などに添付書類が不要となるなど住民サービスの向上が図られることになります。

  なお、議員がご指摘のように、利用拡大により個人情報の管理の徹底が課題となりますが、番号利用法の改正とあわせまして個人情報保護法も改正され、企業などの個人情報の取り扱いを監視する個人情報保護委員会が来年1月に発足することとなっており、行政機関や独立行政法人も検査対象となりますことから、個人情報の漏えいや不正利用を防ぐことができるものと考えております。市におきましても、マイナンバーが漏えいするなどの事態が生じないよう、職員に対し研修を実施するなど適切な安全管理ができるよう措置を講じてまいります。

  以上です。

 

 

P.103

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.103

◆4番(針谷育造君) それでは、(3)最も肝心な市民のメリットは何があるのか、このことを伺いたいと思います。国が個人情報を一元管理し、監視監督をするという制度であります。個人情報が際限なく収集され、国民のプライバシーが侵害されるおそれが極めて高い状況でございます。収集される情報は、氏名、年齢、顔写真、家族構成、給料、不動産、医療費、年金、介護保険、生活保護、治療、予防接種、奨学金など本人に関する全ての情報が記録をされます。また、情報は国家公務員の身分証、クレジットカード、キャッシングカード、診察券のワンカード化、運転免許、教員免許、学歴証明と一体化をされます。国民は、カードがなければ生活が成り立たなくなります。まさに実質的な強制であります。国家によるストーカー行為と呼んでいる方もいらっしゃいます。

  そこで、市民のリスクをどのように知らせているのか、市民のメリットに何があるのか、カードがないと行政手続はできないのか。個人の特定は、住所、氏名、生年月日、性別、年齢、これで今まで特定をされてきました。それをなぜマイナンバーなのかというのが、多くの人の疑問であります。この制度に大金を使い、利益を手に入れるIT企業等の大きな力が働いていることは容易に想像ができます。導入費用に3,000億円、毎年の経費に300億円から400億円、サイバー攻撃に備えるとなると数兆円と言われております。栃木市でも7,610万円を支出し、市の持ち出しも2,054万円となっています。そのような税金を使い、結果として国の監視機能が拡大し、漏えいの危険は増し、プライバシーは損なわれないのか伺いたいと思います。

 

 

P.103

◎総合政策部長(早乙女洋君) マイナンバー制度導入によるメリットといたしましては、主には行政手続の簡素化と公平、公正な行政サービスが受けられることであります。年金や福祉関係の申請の際に、住民票や課税証明書などが不要になりますほか、国や各自治体などにおいて行政間の連携を図ることにより、所得や年金の受給状況などをきちんと把握し、本当に困っている方に必要な給付、適切な支援、迅速な対応を行っていくことができることになります。さらには個人番号カードを利用したサービスとして、住民票の写しや印鑑登録証明書のほか、市税に関する証明書もコンビニエンスストアで取得できる新たなサービスも開始される予定であります。

  また、平成29年1月以降、順次サービスを開始する予定のマイナポータル、これはインターネット上で国や各自治体などの間で行われたご自分の特定個人情報のやりとりの記録などを閲覧できるサービスでございますが、その中で自治体などからのお知らせを受け取ることができる「お知らせ情報表示」などの新たなサービスも予定されているところであります。

  リスクといたしましては、カードの紛失や盗難、また制度に便乗した不正な勧誘や金銭の要求など詐欺事案などの被害が想定されます。個人番号カードの紛失や盗難につきましては、国において24時間、365日対応の専用ダイヤルを開設し、対応する予定ですので、ホームページや広報とちぎなどで周知をしてまいります。また、制度に便乗した不審電話や詐欺事案などにつきましては、広報とちぎ12月号及び市のホームページに注意喚起の記事を掲載したところでございまして、今後も引き続き注意喚起を行ってまいります。

  カードがない、あるいは個人番号を提示しないと行政手続はできないのかということにつきましては、社会保障や税関係の決められた書類にマイナンバーを記載することは法令などで定められた義務でありますので、申請書への記載や窓口での本人の番号確認にご協力をお願いいたします。

  なお、行政機関や地方公共団体などの窓口において、個人番号カードなどの確認書類がない場合の本人の番号確認の対応につきましては、番号利用法施行規則の中で規定されておりまして、地方公共団体情報システム機構への確認や住民基本台帳の確認などの方法により手続を行うことになります。

  最後に、国の監視や情報漏えい、プライバシー侵害などへの危惧でありますが、マイナンバー制度が開始されても、これまで同様所得税に関する情報は税務署、あるいは住民情報は市役所というように、各個人の情報はそれぞれ所管する行政機関や自治体で管理をし、番号利用法で定められている範囲内でのみ情報連携をすることになりますので、決して全ての情報を国が取得して監視するということはありません。

  また、情報漏えい、プライバシー侵害につきましては、先ほどの質問でもお答えしましたとおり、来年1月に発足する個人情報保護委員会がマイナンバーに関することだけでなく、個人情報全般についても適正な取り扱いがなされているかを監視、監督し、個人情報の漏えいや不正利用を防いでいくことになります。

  以上です。

 

 

P.104

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.104

◆4番(針谷育造君) 平成23年度、栃木市には4万人の高齢者がおります。そして、年々増えています。過日、私の家にもマイナンバーの通知と一緒にお知らせが届きました。そこにあるのは、あなたの「個人番号カード」が申請できます、「メリット」いっぱい「個人番号カード」、とっても便利「コンビニ交付サービス」、「セキュリティ」もしっかり「個人番号カード」、さあ申請しよう、いよいよ、受け取りに行きましょうと、デメリットは全く触れておりません。本当にバラ色のマイナンバーなのでしょうか。カードの取り扱いを市民にどのように指導するのか。カードを使用した場合の、最も安全な使い方とカード管理について伺いたいと思います。高齢者の対策はどのようになっておるのかも伺いたいと思います。私の考えでは、持つな、カードをつくらないことが一番安全であります。つくってしまったら持ち歩くな、そして見せるな、特に他人には見せるな、厳重保管、金庫に入れろ、こんなことを私は思っておりますけれども、カードの取り扱いを市民にどのように指導するのか伺いたいと思います。

 

 

P.105

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答え申し上げます。

  通知カードの取り扱いにつきましては、郵送された通知カードに同封のパンフレット1ページに、ただいま議員のほうから紹介がございましたけれども、大切にしてね「マイナンバー」と「通知カード」と題した、マイナンバーカードをみだりに他人に知らせないことや、通知カードは大切に保管することなど取り扱いについての記載がされているところでございます。また、市におきましては、これまでに広報とちぎやホームページにおいて、マイナンバーや通知カードの取り扱いについて周知をしているところであります。なお、個人番号カードにつきましては、希望により申請した方への交付ということになりますので、窓口において交付する際に、取り扱い等についての案内を改めて一緒に配付する予定でございます。

  高齢者への周知や指導の対策につきましては、先ほども申し上げました広報とちぎによるお知らせのほか、市の施設などでのポスターの掲示やパンフレットの配布をしております。また、希望する団体などが対象とはなりますが、出前講座といたしまして、マイナンバー制度について直接説明をさせていただいているところでございまして、これまでに自治会の敬老会や訪問介護サービスのヘルパーさんの団体など11件の出前講座を開催し、説明をさせていただいております。こういったことで対応してまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.105

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.105

◆4番(針谷育造君) 特に再質問ということで、高齢者対策について、一般的なことは述べられましたけれども、特にお年寄りに対して、カードを使う機会というのは非常にないのではないのかなと思いますので、この指導をきちんとしていただく手だてをお伺いしたいと思います。

 

 

P.105

◎総合政策部長(早乙女洋君) 高齢者対策ということでございます。先ほど議員さんのほうからおっしゃられたかと思いますけれども、必要のないときには厳重に保管をしておいていただくということが最も安全と思われますので、そういったことについても周知を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 

 

P.105

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.105

◆4番(針谷育造君) 時間もありませんので、まとめたいと思います。そもそも自分のマイナンバーを提示しなければならない義務は法律に書かれていないと思います。あくまでも任意であります。市役所でも、番号を表示しなければできない手続はないはずであります。今まで住所、氏名、生年月日、性別等で済んだものが、マイナンバーがないとできなくなるとは、まさに本末転倒であります。個人よりも番号、人間よりも信用できるのは番号、こんなことを認めてよいのでしょうか。まず人間の尊厳を守るためにもマイナンバー制度を監視し、その後に廃止をしなければならないと私は思っております。まさに国民、市民一人一人の人権意識が問われていると思います。このマイナンバー、大変降って湧いたようなお話になっていると思いますが、行政とすればいろいろあるかと思いますけれども、まさに市民一人一人を守るという立場で、このマイナンバーの取り扱いをお願いしたいと思います。そのことを申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 

 

平成28年  3月定例会(第1回) - 03月01日-02号

P.63

○議長(関口孫一郎君) 一般質問を続けます。

  4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.63

◆4番(針谷育造君) 4番議員、栃木新風会、針谷育造。通告に従い一般質問をいたします。1つ、とちぎメディカルセンターについて、2つ、都市計画についての2点についてお伺いをしたいと思います。

  発言要旨1のとちぎメディカルセンターについてお伺いをしたいと思います。市民に愛され、信頼される、健康、医療、福祉に責任を持つとちぎメディカルセンターの継続的な発展と健全経営を願う立場から質問をしたいと思います。ご承知のように、下都賀総合、とちの木、下都賀郡市医師会の3病院が統合、再編した一般財団法人とちぎメディカルセンターは、予防、急性期から回復期、在宅医療、介護まで切れ目のない地域医療完結型の医療提供体制を再構築する試みで、全国初の取り組みとして平成25年4月設立を見ました。下野新聞は「本格稼働まで3カ月」の囲み記事を報道をいたしまして、4月本格稼働を伝えております。この新聞報道を見た市民の皆さんに期待と不安の声があることも事実であります。

  そこで、(1)とちぎメディカルセンターの進捗状況について伺いたいと思います。とちぎメディカルセンターしもつがは、5月の連休明け、メディカルセンターとちのき、総合保健医療支援センターは4月1日にそれぞれ開設し、5月からそれぞれ本格稼働の予定でございます。83億円とも言われる公的補助金の内訳と支払い状況がどうなっているのかについてお伺いしたいと思います。さらに、3施設の施設設備の状況はどのようになっているのかもあわせて伺いたいと思います。

  総事業費が120億円、通称こう言われておりますけれども、120億円から153億円に増大したとなっていますが、その要因について伺いたいと思います。麻生理事長の新聞報道は、昨年体制が変わり、事業を精査した結果、医療機器更新の増加、建設費の高騰などのために増えた、平成25年、26年度の経常赤字が原因ではない、大きな誤解だと述べております。総事業費増大の要因について伺いたいと思います。

  次に、しもつが、とちのき、総合保健医療センター別に人的体制、医師、看護師、そのほかのスタッフについて伺いたいと思います。あわせてそれぞれのベッド数についてもお願いしたいと思います。

 

 

P.64

◎保健福祉部長(奈良部俊次君) お答え申し上げます。

  とちぎメディカルセンターの進捗状況についてでありますが、新病院のしもつがは本年1月、とちのきは昨年12月、そして総合保健医療支援センターは本年2月末に施設整備が完了しております。現在は医療機器や備品の搬入等、引っ越し作業や設備の試運転などを行いながら、4月の開院や新たな施設での業務開始に向け準備を進めているところであります。市といたしましても、市民の皆様が健康で安心して生活ができますよう、良質な地域医療と安心できる救急医療体制を確保するためこれまでさまざまな支援を行っておりますので、新病院の開院や新たな医療体制での運営に大いに期待をしているところであります。

  ご質問の公的補助金の内訳でありますが、国の地域医療再生基金からの交付金が35億円、県からの補助金が約19億円、そして市からの補助金が33億円で、合計いたしますと約87億円となる見込みであります。また、市補助金33億円の年度ごとの支払い状況につきましては、平成24年度が8,044万円、平成25年度が7億6,924万円、平成26年度が15億円、平成27年度が9億5,032万円となっております。

  なお、とちぎメディカルセンターの総事業費につきましては、当初見込んだ115億円から153億円に38億円が増える見込みでありますが、その大きな要因といたしましては、全国的な建築資材や労務単価の高騰により建設費が増加しているほか、医療機器の購入費や電子カルテ等の医療システム導入費の増加、さらには病院給食業務をニュークックチル方式に変更したことに伴い、厨房設備費が増えたことなどが挙げられます。

  次に、人的体制でありますが、平成28年4月1日における常勤換算人数の見込みといたしまして、しもつがは医師が56人、看護師が234人、その他職員が225人、合計515人であります。とちのきは医師が22人、看護師が107人、その他職員が157人、合計286人であります。総合保健医療支援センターは医師が3人、看護師が30人、その他職員が59人、合計92人であります。そのほか法人の本部職員がその他職員で34人であります。医師につきましては、常勤医師を増員するとともに、非常勤医師を含めた常勤換算人数におきましては、法人全体で81人となりまして、平成27年度当初に比較いたしますと9人の増加となる見込みであります。また、看護師やその他スタッフにつきましても、病院間における配置がえ等により開院時の体制は十分整っているとのことであります。

  次に、入院ベッド数、いわゆる病床数につきましては、しもつがが307床、とちのきが250床となっております。

  以上でございます。

 

 

P.64

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.64

◆4番(針谷育造君) 再質問をしたいと思います。

  資金的な、大分、38億円でしたか、非常に増えているということについて、この資金不足についてはどのような形で手当てをしているのか、お伺いしたいと思います。

 

 

P.65

◎保健福祉部長(奈良部俊次君) 再質問にお答えをいたします。

  増額となった30億円の分につきましては、とちぎメディカルセンターによる借入金と医療機器のリースによる対応で行う予定でございます。

 

 

P.65

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.65

◆4番(針谷育造君) 借入金ということで30億円ということになり、その他ということもあるようでございますので、この30億円等が経営を圧迫しないことを願うものでございます。

  それでは、次に移らせていただきたいと思います。(2)栃木市補助金交付規則による適正執行について。ただいま多額な補助金が交付されていることがわかりました。この事業執行の中で指導、助言はどのように行われてきたのか、伺いたいと思います。大変失礼なことを申し上げますけれども、伝え聞くところによれば、市は金は出すが、口は出さないとの話も聞かれております。市は貴重な税金を投入し、その目的達成のために補助金を適正に執行させる責任がございます。年度ごとの貸借対照表、損益計算書、つまり決算状況がどのようになっているのか、市民も心配しているところでございますので、決算状況について年度ごとに、大ざっぱでございますけれども、お伺いしたいと思います。

 

 

P.65

◎保健福祉部長(奈良部俊次君) お答えを申し上げます。

  市の補助金につきましては、栃木地区病院統合再編事業補助金交付要綱に基づき、施設整備の進捗状況に合わせ平成24年度から本年度まで33億円を支出いたしまして、適正に執行されております。とちぎメディカルセンターに対する指導や助言につきましては、市民の皆様が健康で安心して生活ができるような良質な地域医療を確保することを基本といたしまして、特に市民の命に直接かかわる二次救急医療の確保を図ることを最重要課題として施設整備を指導してきたところであります。また、脳血管疾患や急性心筋梗塞、がんの治療などにつきましては、過度に三次医療機関である大学病院に依存するのではなく、新病院において対応できる診療体制の構築についても指導してきたところであります。

  また、本年度で施設整備に対する補助金の交付は終了いたしますが、とちぎメディカルセンターの経営が安定し、将来にわたって良質な地域医療を提供していただくためにも、今後も引き続き収支状況や経営状況等を確認しながら、所管する保健福祉部地域医療対策室において随時指導してまいりますとともに、毎月定例的に行っております正副市長ととちぎメディカルセンターの理事長との懇談の場や評議員会等におきまして適正な指導や助言をしてまいります。

  また、市も構成員となっております評議員会におきましては、決算報告書により貸借対照表や損益計算書である正味財産増減計算書の内訳について説明がなされ、審議を行っているほか、とちぎメディカルセンターのホームページにおいても決算公告として貸借対照表が公開されているところであります。

  なお、これらの決算報告によりますと、平成25年度の赤字額は4億6,000万円、平成26年度の赤字額は6億4,900万円となっておりまして、その大きな要因といたしましては、郡市医師会病院が閉院したことにより、その分の収益がないことや、下都賀総合病院の施設の老朽化により入院患者等が減少していることが考えられます。今後におきましても、決算情報が公開されて透明性のある病院経営及び法人運営がなされ、経営の安定化につながるよう指導してまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.66

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.66

◆4番(針谷育造君) 平成25年度4億6,000万円、平成26年度が6億4,900万円、既に赤字、これは事業を始めるに当たってやむを得ないかなと私は思いますけれども、先ほど言いましたように、決算状況、これらが貸借対照表が一本でホームページに載っておりますので、これを見てこの4億6,000万円の赤字であるとか、6億4,900万円の赤字というものは貸借対照表では私よく読めないものですから、要望でございますけれども、損益計算書も決算状況もホームページに載せながら、市民の財産、そして市民の税金が出ているということを十分メディカルセンターの皆さんにも承知をしていただきながら、市民に情報公開をすることを求めたいと思います。

  それでは、質問の次に移りたいと思います。(3)番、地域完結型のとちぎメディカルセンターの特徴についてでございます。全国初めての予防、救急期から、急性期から回復期、在宅医療、介護まで切れ目のない地域完結型を再構築する試みの具体的な内容について伺いたいと思います。さらに、プロジェクトチーム院内センター設置とは、地域包括ケアシステムの中でどのように連携するのか、具体的に伺いたいと思います。

 

 

P.66

◎保健福祉部長(奈良部俊次君) お答えを申し上げます。

  とちぎメディカルセンターにおきましては、統合再編のコンセプトとして、地域完結型の医療提供体制の確立を挙げております。この地域完結型の医療提供とは、病気やけがが発生した急性期から、ある程度症状が安定した回復期や慢性期の診療、そして地域のかかりつけ医と連携を図りながら在宅医療や介護に至るまで、地域全体で切れ目のない医療や福祉を提供することであります。そのような中で、とちぎメディカルセンターは急性期の診療を担うしもつがと回復期、慢性期の診療を担うとちのき、そして介護老人保健施設、とちぎの郷を併設した総合保健医療支援センターを有しておりますので、これらの施設が連携を図ることによりまして地域完結型の医療を提供していくことになります。そのためには、それぞれの施設が独立して業務を行うのではなく、3つの施設が連携し、医療目的や機能別に横断する組織が必要であることから、院内センターを設置したものであります。なお、この院内センターには15のセンターが設置されており、既に1月からは地域連携センター、総合健診センター、総合研修センターが稼働しており、4月からは透析センターや栄養管理センター、5月からは脳卒中支援センターや急患センターなどが順次稼働していく予定となっております。

  いずれにいたしましても、院内センターにつきましては、とちぎメディカルセンターの特徴であり、救急医療から専門的なリハビリや在宅医療、介護など一貫した流れの中で、保健、医療、福祉及び在宅支援を3つの施設で横断的に推進していくことになります。このような院内センターにつきましては、高齢者等が住みなれた地域で安心して暮らし続けられますよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援といったサービスを切れ目なく一体的に提供する地域包括ケアシステムの中心的役割を担っていただくことになりますので、市といたしましても大いに期待をしているところでありまして、今後は法人内の活動だけではなく、法人外に向けてもその機能を十分に発揮していただきたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.66

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.66

◆4番(針谷育造君) 院内センターにつきましては、非常に全国でも珍しいということと、地域完結型、両方を加味して栃木市周辺の医療を構築していくわけでございますので、これらの連携あるいは地域の皆さんに十分に状況や、あるいはこのようになっているということをPRしながら、メディカルセンターの市民に対する考え方を喚起をしながら、メディカルセンターの発展をお願いしたいと思います。

  それでは、次に移らせていただきます。(4)番、医師不足の懸念と対策についてであります。医療法第1条では、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もって国民の健康の保持に寄与することを目的とすると定められております。第1条の3では、国と地方公共団体は国民に対し、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならないとも定めております。しかし、全国的な医師不足はますます拡大をしていると言われております。

  そこで、とちぎメディカルセンターの医師不足の懸念と対策について伺いたいと思います。いかにして医師を集めるのかと考えるのではなく、いかにして医師が集まる病院をつくるかの発想の転換が必要であると思われます。特に産科の新設は市民の願いであります。先ごろ発表されました国勢調査の速報値でも人口減が大変甚だしく、全国的にも、そしてこの栃木市でも進んでおるようでございます。今後どのように医師等を確保するのか、私は国の責任において少子化対策、人口対策、そしてそのための産科医師の養成を、そして確保が大きいと考えておりますが、いかがでしょうか。

  さらに、救急受け入れ態勢がメディカルセンターしもつがだけになる不安はないのでしょうか。これも市民の大きな心配の一つであると聞いております。今までそれぞれの病院で受け入れていましたが、今度はしもつがに集中することになり、どのような体制で対応するのかを伺いたいと思います。

 

 

P.67

◎保健福祉部長(奈良部俊次君) お答えを申し上げます。

  新病院しもつがやとちのきにつきましては、開院時に必要な医師数は確保されておりますが、ご要望の多い産科医は確保が難しく、開院時の産科開設につきましては困難な状況となっております。また、産科医につきましては、24時間体制であることから勤務条件が厳しいことや医療訴訟のケースも多く敬遠されがちなため、全国的に絶対数が不足しているのが現状であります。特に分娩ができる産科開設につきましては、最低3名の常勤医が必要となりまして、派遣元の大学病院においても産科医が不足している状況にありますので、現時点におきましてとちぎメディカルセンターに派遣していただくことは困難な状況となっております。

  しかしながら、とちぎメディカルセンターにおきましては産科の必要性は十分に認識しておりますので、引き続き医師の確保に努めるとともに、必要な産科医が確保されれば産科についても開設していくとのことであります。市といたしましても、地域で安心して子供を産み育てる医療環境の確保や医療体制の充実を図ることは大変重要なことであると認識しているところでありますが、産科医の確保は全国的な課題である上、派遣大学との関係もあり、一自治体では対応が困難な課題でもあります。

  このようなことから、県では産科医を目指す医学生を対象とした修学資金の返還金の免除制度を構築し、県内の産科医の確保を推進しておりますので、とちぎメディカルセンターにも派遣していただけるよう引き続き要望してまいります。また、今後もとちぎメディカルセンターと連携を図りながら、地元大学病院へのさらなる派遣要請や新病院の魅力をPRすることにより産科医の確保に努めてまいります。

  また、ご質問の二次救急の受け入れ態勢でありますが、当初の基本構想の段階から各施設において機能や役割を分担することになっており、救急医療につきましてはしもつがが担うこととし、施設整備を行ってまいりました。このため、とちぎメディカルセンターしもつがにつきましては、現在1名の救急医療専門医を2名に増員するとともに、夜間は2名の当直医が対応することによりまして24時間365日の二次救急医療機能を確保していくとのことでありますので、今まで以上に充実した救急医療が提供されるものと期待をしております。

  以上でございます。

 

 

P.68

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.68

◆4番(針谷育造君) 答弁いただきました。やはり産科の医師の不足というものが一自治体では無理だということになってくれば、当然県も国も、私は国に要望をぜひしていただきたいと思います。人口減少、少子高齢化が着実に進みながら、人口減少が現実の問題、さらに消滅自治体等も言われるように、この子供を産み育てるということの根本にある産科医をぜひ国の責任で、先ほどお話もありましたように、奨学金を返さなくていい、それも一つの方法かもしれませんけれども、国は医療に責任を持つ立場にあるものですから、国の責任において、これは市長会や町村会、あるいは議長会、そういうものの力を結集してこの要望実現のためにぜひ骨を折っていただきたい、そのことを申し上げ、コメントがあればコメントをいただきたいと思います。

 

 

P.68

◎保健福祉部長(奈良部俊次君) お答えをいたします。

  ただいまご要望いただきましたとおり、市におきましても産科医の必要性十分認識しておりますので、県だけではなく、国等、今お話がありましたように、市長会、あるいは国への要望などのそういう機会を捉えまして働きかけ、要望をしてまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.68

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.68

◆4番(針谷育造君) 再質問になるかと思いますけれども、救急医療の受け入れ態勢、先ほど2名の専門医プラス2名の当直医、常に4名の医師が、そして看護師も含まれると思いますけれども、4名の体制で救急センターのほうは運営されるという理解をしてよろしいのでしょうか。

 

 

P.68

◎保健福祉部長(奈良部俊次君) 再質問にお答えをいたします。

  先ほど答弁いたしました内容につきましては、救急医療の専門医を今1名から2名に増員するということで、基本的に夜間につきましては2名の当直医が担当するというような形を予定しております。

  以上でございます。

 

 

P.68

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.68

◆4番(針谷育造君) そうしますと、2名の専門医は昼間だけということになるのでしょうか、再質問したいと思います。

 

 

P.68

◎保健福祉部長(奈良部俊次君) 再質問にお答えをいたします。

  夜間の2名の当直医ということで、当直医につきましては、医師間の中のやりくりの中で対応するという形になりますので、昼間については多くの医師が対応するものと思われますので、そんな形の対応かと思います。

  以上でございます。

 

 

P.69

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.69

◆4番(針谷育造君) 仮に2名の専門医、そして受け入れられない状況が病院の中で起きたときに、搬入してきた患者はどのような措置が次に行われるのか、伺いたいと思います。

 

 

P.69

◎保健福祉部長(奈良部俊次君) 再質問にお答えをいたします。

  まず、先ほどそういう医師の状況をお話ししました。より救急医療体制を充実するというようなことでの医師の増員等については今後確保に努めていくというようなことでございます。実際救急患者が、いわゆる救急車が2台、3台、4台と重なって来るような状況といいますか、そうなりますと、多分100%確実に対応できるというのはやはり一部困難な部分があるかと思いますので、そのような場合には当然近隣の大学病院等との連携を図りながら、救急患者に対しての迅速な対応に努めていく形になるかと思います。

  以上でございます。

 

 

P.69

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.69

◆4番(針谷育造君) それでは、要望したいと思います。

  受け入れ困難というような事態は、いろんな手段を使ってできるだけ、決してあってはならないということをぜひお願いをいたしまして、次の質問に移りたいと思います。

  (5)番、平成27年度の経営見込み状況と今後の健全経営についてでございます。理事長の新聞報道では、平成26年度の経常赤字については、不動産取得税や固定資産税を費用として計上した特殊要因があったと述べております。今後の継続的な指導とかかわりについて、市民の期待を裏切らないためにも業務と経理の両面について、平成27年度の見込み、収入支出を言っておりますけれども、状況を伺いたいと思います。

  また、麻生理事長は持続的な健全経営が可能となる中長期の計画を述べております。具体的な内容はどのようになっているのか、伺いたいと思います。

  さらに、一般財団法人は理事と評議員の構成で組織をされておりますが、市民代表を公募等により評議員に参加させる考えはないのか、このことについても伺いたいと思います。

  多額の公的補助金を投入している市として責任を果たす立場でも今後の継続的な指導とかかわりについて伺いたいと思います。

  大変失礼な言い方をまたしてしまいますけれども、私は要らぬ心配と思っておりますけれども、開設5年で破綻をいたしました埼玉県の熊谷、そして久喜総合病院、5年間で破綻をし、医療法人に売り渡されたようでございます。このことについて他山の石とすることではなくて、どのようにこのことを考えているのか、その所見を伺いたいと思います。

 

 

P.69

◎市長(鈴木俊美君) とちぎメディカルセンターにおきましては、平成26年度から平成30年度までの収支を見込みました5年間の中期経営計画を策定しております。この中期経営計画におきましては、法人の理念や基本方針、経営方針を掲げるとともに、今後の医療制度の方向性を見据えた中で収支を見込みまして、今後の経営健全化を図り、持続的な運営を可能とするために重要な計画となっております。ただ、今年度に入りまして事業費の精査を行ったところ、建設費や医療機器の購入費などが増えまして、事業費が増加することが判明したため、現在中期経営計画の修正を行っております。今後理事会での審議を経て確定次第、3月末に開催をされる予定の評議員会で説明及び審議がなされる予定となっておりますので、現時点におきましてはその修正内容についてはいまだ公表されておらず、私どももわかっておりません。さらに長期的視点に立った平成28年度から10年間の計画につきましても、同じく現在策定中であり、中期経営計画と同様に、評議員会で説明がなされる予定であります。

  また、平成27年度の経営見通しでありますが、平成26年度の経常収支の赤字額は6億4,900万円となっておりまして、本年度も同程度の赤字額になる見込みとのことであります。この赤字額につきましては、先ほども申し上げましたが、現在郡市医師会病院は閉院、院を閉じたために当然収益はありません。それから、下都賀総合病院が施設の老朽化等により入院患者が減少していると先ほど申し上げました。これらが大きな要因でありますので、新病院や新たな医療体制に移行する過渡期としてはやむを得ない状況であり、新病院や新たな施設がオープンいたしますと、単年度の経常収支は黒字に転じていく見込みであるとのことであります。

  次に、市民の代表を公募などにより評議員に参加させることにつきましては、現在でも評議員には県や市の医師会長を初め大学病院などの医療関係者だけではなくて、地域の代表といたしまして、病院勤務の経験のある方、栃木商工会議所の代表、市民活動推進センター登録団体の方など、既に市民の方も構成員となっております。

  また、市としての今後の助言や支援についてでありますが、随時所管する保健福祉部地域医療対策室、あるいは職員を1人派遣しておりますので、これらを通して市の考えや市民の皆様からの意見や要望なども伝えてまいります。さらに、毎月定期的に開催をしております正副市長と麻生理事長との懇談会、あるいは副市長と保健福祉部長が評議員となっております評議員会などを通して、今後も引き続き適正で安定した病院経営、法人運営がなされていくよう助言や支援を行ってまいりたいと考えております。

  最後に、開設5年で破綻をした熊谷、久喜各総合病院についてどのように考えるかということでございますが、これにつきまして、まずこの両病院が開設されるまでの経緯を紹介をいたします。最初に、埼玉県の久喜総合病院でありますが、この病院はもともとは厚生連、厚生農業協同組合連合会ですね、埼玉、厚生連が幸手市で設置、運営をしていた幸手総合病院でありました。この幸手総合病院が施設の老朽化や医師不足等により経営悪化に陥り、公的医療機関としての役割を十分に果たせないということから、新病院を建設を考え、その新病院を現在地の幸手市に建て替えるのか、それとも同一医療圏の他の場所に移転するのかなどが検討された結果、他の場所である久喜市に新病院を新築移転し、久喜総合病院となったものであります。その際、新病院につきましては、久喜市から約35億円の補助を受けて平成23年4月に開院をいたしましたが、運営については従来と見直されることはなく、引き続き厚生連が行っておりました。新築移転後も慢性的な赤字経営が続いた理由や原因は、よそ様のことでもありますのでよくわかりませんが、このたび別の法人に売却することが決定されたとのことであります。

  次に、熊谷総合病院でありますが、こちらも同じく厚生連が運営をしており、施設が老朽化していることなどから、先ほどの久喜総合病院と同じように、厚生連が新棟の、新しい棟の建設を進めようとしておりましたが、その半ばにして資金難で中断をしてしまい、このたび別の法人に売却が決定されたということであります。

  さて、本市ではどうかといいますと、埼玉県同様、厚生連が運営していた下都賀総合病院が医師不足や施設の老朽化といった、先ほどとまさに同じ理由等による経営悪化のために新病院の建設を検討していたところ、栃木地区の中核を担う病院である下都賀郡市医師会病院、あるいはとちの木病院においても同じような理由で医師、あるいは医師不足による診療科の休止が生じてきているなど、地域医療体制の崩壊が危惧される状況にあったわけであります。このような中で、限りある医療資源を有効に活用し、質の高い医療を実現するとともに、経営力を質的にも量的にも高めるために、3病院において統合再編の合意がなされ、運営についても新たな法人を設立し、経営の健全化や効率化を図ることとしたものであります。

  このようにとちぎメディカルセンターの運営形態は埼玉県の状況とは異なるものでありまして、市といたしましても、良質な地域医療を確保するとともに、病院経営の健全化が図れるようこれまでさまざまな支援をしてきたところであります。今後におきましても、将来にわたって持続可能な健全な運営が行えるよう、さらなる経費の削減や収益アップを図っていただくなど、引き続き支援、応援をしてまいりたいと考えております。

  以上であります。

 

 

P.71

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.71

◆4番(針谷育造君) 久喜総合病院や熊谷の病院の状況まで詳しく、本当によく状況を見ていただいているなというふうに思っております。

  それでは、再質問を1点だけさせていただきたいと思います。例えば、評議員会が行われる、評議員は市民の代表や医師会ということでございますので、評議員会の議事録をぜひ公開をホームページでしていただけないか。そのことは市民がそのことで目に触れる機会ができるということで、これは市の強い指導をしていただいて、評議員会、理事会も含めてホームページ等でどのようになっているのかということ、このことにつきましては、久喜総合病院でもホームページで公開をしていたようでありますけれども、残念ながら経営は破綻をしたということでありますけれども、メディカルセンターがそのようなことにならないためにも、市民に情報公開をぜひ市の強い指導で行っていただきたいことを申し上げたいと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

 

 

P.71

◎保健福祉部長(奈良部俊次君) 再質問にお答えをいたします。

  まず、評議員会につきましては、会議録を作成しておりまして、現時点においてそれが公開されているかされていないのか、ちょっと確認をしていないところなのですが、そういう議事録を作成しておりますので、できるだけ公表するような形で、内容が、経営状況が透明性が図れるような形で、できるだけ公表するような形での要請はしてまいりたいと考えております。

  あと理事会につきましては、どうしても経営の内部的な様子もございますので、なかなかそれを公表するというのは難しい面もあろうかと思いますが、できるだけ病院のその経営状況等が市民に伝わるとともに、そうしたことによってみずからも健全化が図れるようなことが望ましいと思われますので、できるだけ病院の状況についての公表といいますか、そういったものを図っていただきますよう要請をしてまいりたいというふうに考えております。

  以上でございます。

 

 

P.71

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.71

◆4番(針谷育造君) 今まで答弁をいただいたように、公的資金は市民、国民の税金でございます。執行部が当然このことについてチェックをするという答弁もございました。一方また、我々議会側でも当然予算を議決した責任もございます。調査、政策提言、説明責任などの義務も議会側にもあるような気がいたしております。市当局、議会、市民、患者が一体となり、とちぎメディカルセンターが信頼され、みんなに愛される病院にしなければならないことを申し上げ、次の質問に移りたいと思います。

  発言要旨2、都市計画についてでございます。(1)都市計画税について。都市計画税は目的税であり、栃木、大平地域以外では課税をされておりませんでした。合併により均衡を図るためにその他の地域に課税が決まり、平成27年度から藤岡、都賀地域に課税されました。その課税状況について伺いたいと思います。

  平成28年4月からは岩舟地域に課税されますが、市民の認識は余り高くありません。今年から都市計画税が課税されますが、承知していますかと聞いても反応は余りありません。都市計画税を納めれば何かやってくれるのかいとの返事も返ってきますが、岩舟地域の今年度の課税見込みについて伺いたいと思います。

  以前の都市計画税の説明では、過去に実施した下水道の起債返還に約7割を充てているようであります。都市計画税の主な支出内容について、支出内訳についてお伺いをしたいと思います。

 

 

P.72

◎理財部長(五十畑恵造君) お答えを申し上げます。

  都市計画税課税についてでありますが、平成27年度現年度課税分は市全体で3億4,127万円で、そのうち藤岡地域は1,923万円、全体の5.6%相当、都賀地域は2,204万円、全体の6.5%相当と試算しております。また、平成28年度予算現年度課税分は市全体で約5億1,761万円で、そのうち岩舟地域は2,821万円、全体の5.4%相当と試算しております。

  次に、都市計画税の主な支出内訳についてでありますが、平成26年度におきまして、つがの里公園整備事業、新大平下駅前地区土地区画整理事業、千塚町上川原産業団地造成事業、下水道事業及び過去に実施した都市計画事業の地方債償還費に充当しているところでございます。

  以上でございます。

 

 

P.72

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.72

◆4番(針谷育造君) 大変よくわかりました。

  それでは、(2)番、岩舟、静和駅周辺整備事業について伺いたいと思います。現在岩舟駅北側の市道は一部を残し整備をされました。4月から予定されている都市計画マスタープランの部門別主要事業③の市街地整備部門、事業手法の中で1つは岩舟駅周辺地域拠点整備事業、2つは静和駅周辺生活拠点整備事業とそれぞれ位置づけられています。事業方針の具体的取り組みでは、岩舟駅周辺における総合的生活環境の整備、静和駅周辺における生活環境の整備となっております。いつ、どのような方法で、どのように取り組むのか、伺いたいと思います。

 

 

P.72

◎岩舟総合支所長(大島純一君) お答えを申し上げます。

  鉄道駅周辺の市街地整備につきましては、総合計画や都市計画マスタープランの中で公共公益施設や文化交流施設等の集積を生かしながら都市機能の充実を図り、鉄道ネットワークによる都市連携、交流を構成する拠点を各地域に位置づけ、計画的な土地利用の誘導や交通結節機能の整備を推進するとしております。岩舟地域におきましては、岩舟総合支所等の都市機能が集積している岩舟駅周辺市街地を地域拠点に、また交通の利便性の高い静和駅周辺市街地を生活拠点としまして、3月に改定の予定であります都市計画マスタープランに位置づけをし、便利で快適に暮らせる環境づくりを目指してまいります。

  いつ、どのような手法で取り組んでいくのかということでございますけれども、同両駅ともに駅へのアクセス道路や駅前広場が未整備であるため、送迎車両の待機ができず、駅周辺の交通環境が不足している状況を踏まえまして、岩舟駅の周辺整備につきましては、基本構想に基づき、県道桐生岩舟線から岩舟駅への新たなアクセス動線を確保し、それに合わせまして都市基盤整備により住みよい都市環境づくりを目指し、地域の中心市街地としての整備を検討しております。このため、平成28年度より地域住民の方々と連携をして、地域の実情に適した整備計画の作成に向けた協議や調査等を実施してまいります。また、静和駅の周辺整備につきましては、県道静和停車場線や駅前広場等の整備により交通機能の拡充を図る必要があると考えておりますので、都市計画マスタープランや他の地域拠点整備等と整合を図りながら、計画づくりを今後検討してまいります。

  以上でございます。

 

 

P.73

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.73

◆4番(針谷育造君) ぜひ力強く進めていただきたいと思っております。

  それでは、次に移ります。(3)番、都市計画法第12条の4、地区計画について伺いたいと思います。地区計画は法で認められた開発行為であると思われます。地区計画指定の条件はどのような要件が整えばできるのかをまず伺いたいと思います。また、この地区計画、岩舟地域において前例となるような事例はあるのかについてもお伺いしたいと思います。

 

 

P.73

◎都市整備部長(渡邉慶君) お答えを申し上げます。

  地区計画は地域の特性や実情に合わせ、土地所有者や地域の方々の意見を十分に反映することのできるきめ細やかなまちづくりの計画として、昭和55年の都市計画法改正により創設された制度であります。対象となる区域につきましては、創設当時は市街化区域の用途地域内となっておりましたが、現在では市町村が定める都市計画マスタープランでの位置づけなどによりまして、市街化調整区域や用途が定められていない区域においても定めることができることとなっております。また、平成18年の都市計画法改正により廃止された市街化調整区域内の大規模開発についても、市街化区域に隣接した地区や幹線道路沿線などの地区において、周辺環境と調和した良好な街なみの形成や地域の活性化が図られるなど一定の条件のもとで地区計画を定めた場合に認められることとなっております。

  内容につきましては、市町村が計画の目標や整備に関する方針と、その方針の具体的な内容となります道路、公園などの地区施設や建築物の用途、敷地の最低面積、壁面の位置、高さ、形態または色彩、意匠、垣または柵の構造など、建築物等の制限に関する事項などの地区整備計画を作成することとなっております。決定に当たりましては、地域の方々の意見を十分に反映できるよう、計画内容などを縦覧するとともに、県などの関係機関の協議や都市計画審議会の意見を聞いて市町村が都市計画決定するものであります。

  本市の状況につきましては、平成6年の宇都宮西中核工業団地や平成8年の栃木駅前地区、栃木駅南地区を初め、平成26年の千塚産業団地など、平成26年度末現在で19地区について都市計画決定をしております。岩舟地域の状況でありますが、岩舟町静戸地内の国道50号線北側の市街化調整区域内において民間事業者による面積約9.4ヘクタールの大規模開発を実施可能とするため、本年2月10日に岩舟地域で初めての地区計画を都市計画決定したものであります。この地区計画の決定によりまして、民間事業者が開発行為により本年4月以降に物流施設建設のための造成工事や建築工事等に着手できることとなったものであります。今後におきましても、本市の計画的な土地利用を推進するため、規制、誘導的な手法を持つ地区計画制度を必要に応じ適切に運用し、周辺環境の調和と良好な市街地形成や地域活力の向上を図ってまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.73

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.74

◆4番(針谷育造君) 大変地域にとってはありがたい制度である、都市計画としての都市機能をさらにその中で都市計画そのものが乱れることのない幹線道路や、あるいは国道50号線というような、岩舟地域で言えばそのような地域がそれらの該当に値するのかなということを理解をいたしました。

  それでは、(4)番に移らせていただきたいと思います。岩舟地域の都市計画の見直しということについて伺いたいと思います。昭和45年、都市計画法が施行され、45年が経過をいたしました。この間に高度経済成長、オイルショック、低成長、バブル経済、そして崩壊、失われた20年、あるいは現在まで社会経済は目まぐるしく変化、変遷をたどってきました。このような中で、岩舟地域では45年間一部分を除き大幅な都市計画区域区分の見直しがされませんでした。ここに来て時代に合った見直しの必要性があるのではないのかなと思い、お伺いをしたいと思います。

  見直しの条件は何が整えばできるのか、まず伺いたいと思います。

  さらに、市街化区域の除外と編入について、提案も含め申し上げたいと思います。国道50号線コスモスホールの北に位置する標高94メートルの富士山、岩舟町静地内、面積約15ヘクタール、国道50号線の南側に位置する標高73メートルの通称水道山、岩舟町静和地内、8.7ヘクタール、国道50号線の水道山の反対側に位置する標高56メートルの赤塚山、岩舟町静和地内、約6ヘクタール、合わせて約30ヘクタールの山林がございます。これらの山が今後開発できる可能性があるのか、自然林を里山として保存するには市街化区域内にある必要性があるのでしょうか。その面積を他の必要と思われる場所へ除外と編入ができないものなのか、お伺いをしたいと思います。

 

 

P.74

◎都市整備部長(渡邉慶君) お答え申し上げます。

  岩舟地域の区域区分につきましては、新都市計画法に基づき昭和45年に小山栃木都市計画区域の指定とともに、旧岩舟町の行政区域4,674ヘクタールのうち、市街化区域を約380ヘクタール、市街化調整区域を約4,294ヘクタールとして県により都市計画決定されました。その後、昭和59年に圃場整備の計画により、コスモスホール北に位置する富士山の東側の農地約3ヘクタールを市街化区域から市街化調整区域へ変更し、また平成2年には工業地として整備された大平工業団地内の約12ヘクタールを市街化調整区域から市街化区域へ変更し、現在に至っております。

  区域区分、いわゆる線引きの見直しにつきましては、おおむね5年ごとに実施する都市計画基礎調査の結果などに基づき、都市計画区域の人口動向や土地利用、産業の見通し、地域の現状などを総合的に勘案しながら、県が策定する都市計画区域マスタープランに位置づけることとなっております。具体的には、土地区画整理事業や地区計画などにより計画的な市街地の整備、形成が確実な地区は市街化区域に、当分の間営農が継続されることが確実な農地や山林など計画的な市街地整備が困難な地区、あるいは将来的に市街化が見込めない地区は市街化調整区域にそれぞれ変更できることとなっております。

  このような区域区分の変更、特に市街化区域から市街化調整区域への変更につきましては、既に地区の方々が市街化区域であることを前提に土地活用などの生活設計をしていることや、岩舟地域は平成28年度からでありますが、下水道、道路、公園などの基盤整備を計画的に整備することを目的に市街化区域内において都市計画税を賦課していることなどのことから、慎重に対応する必要があると考えております。

  ご質問の市街化調整区域への変更、あるいは都市計画上必要な地区の市街化区域への変更などの区域区分の見直しにつきましては、土地所有者など関係する方々のご意向を十分に把握するとともに、計画的に整備する都市計画上必要な地区の状況を見きわめながら、関係機関と調整を図り、県と緊密な連携のもと、平成33年度からの都市計画区域マスタープランへの位置づけについて協議してまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.75

○議長(関口孫一郎君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.75

◆4番(針谷育造君) ありがとうございました。

  市長は平成26年6月議会の中で、栃木市南部は栃木市の発展につながる大切な地域であります、開発の可能性の高い地域であると答弁をしております。さらに、平成27年3月議会では、佐野藤岡インター周辺と連携しながら進めていきたいと答弁しております。総合計画改訂版でもまちづくりの方向で岩藤大規模開発の推進がうたわれております。平成28年4月からの都市計画マスタープラン改訂版でも、具体的に国道50号線沿線及び栃木藤岡線沿線の岩舟藤岡大規模開発計画拠点地区等における産業拠点形成、産業系土地利用が書き込まれました。交通の要衝であり、開発規制が少ないその地域には山林が大部分を占めております。栃木市全体を眺めたときに最も発展可能性のある地域であることは間違いございません。地区内大規模開発の地区内の山林等の40%を所有する東武鉄道、物流の日本通運、開発のエキスパートである三菱地所等、それぞれコンタクトのとれる窓口は開かれていると思われます。内外の総力を挙げて今こそ一歩を踏み出すときでございます。いつまでも眠らせておくことは栃木市の損失であると思います。機は熟してきていることを申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。

                                                   

 

 

平成28年  3月定例会(第1回) - 03月24日-05号

P.230

○議長(関口孫一郎君) 続きまして、4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.230

◆4番(針谷育造君) 4番、栃木新風会、針谷育造、議案第1号 平成28年度栃木市一般会計予算、議案第10号 平成27年度栃木市一般会計補正予算(第6号)に反対する立場で討論したいと思います。

  まず、平成28年度栃木市一般会計予算の2款総務費、3項戸籍住民基本台帳費、1目戸籍住民台帳費の個人番号カード交付事業費2,815万9,000円、同じく一般会計予算、10款2項社会教育費、4目文化財保護費のうち、小野寺北小学校旧校舎保存解体事業費1,930万9,000円のうち、旧校舎一部部材保存等の委託費680万2,000円を除く旧校舎解体工事費1,250万7,000円が計上されております。平成27年度一般会計補正予算(第6号)、2款3項1目戸籍住民基本台帳の個人番号交付事業費2,864万4,000円が計上されています。この3予算に限り、反対の立場で討論をしたいと思います。

  まず、マイナンバーにかかわる予算であります。マイナンバーの危険性や不安については、いまだに解消されておりませんし、多くの問題も出ております。赤ちゃんからお年寄りまで全国民と住民票のある外国人に12桁の番号をつけて管理する制度であります。既に昨年10月から番号が送付され、本年1月からカードの発行が始まりました。予算審議の中で明らかになったことは、番号通知カードが本人に到着していない人は4,963通、そのうち3,362通は再度送付したとの答弁がありました。1,547通は市に保管しているとのことであります。差し迫って市民の不安はないとの答弁もございました。3月10日現在でカード発行は1,354枚と少ないが、1万62件は地方公共団体情報システム機構に発行を申し込んでいるので増える予定であるようであります。この件については、3月6日の朝日新聞報道によれば、「マイナンバー滞るシステム」の見出しで、1月から動き始めたマイナンバーのシステムの不具合が続き、市町村の窓口でカードが受け取れない事例が全国で相次いでおるということであります。システムを構成する総務省の外郭団体、地方公共団体情報システム機構によると、不具合の原因はわかっておらず、正常化のめどもたっていないと書いてあります。千葉市を初め名古屋市など全国の市町村で起きております。カードの申請から受け取るまでの期間も長期化、作成能力に限りがあり、不具合が重なったようであります。また、市町村のおくれもあり、2カ月以上たっても今でも受け取れない千葉市の例も載っておりました。不具合は、自治体から送られてくる申請書の情報の暗号を解いたり、保管したりするサーバーで発生、1月に6回、2月に1回などの障がいで処理がおくれているというものでございます。原因は、特定できていないと幹部は繰り返しております。

  システムをつくったのは、NTTコミュニケーションズ、富士通、日立製作所、NTTデータ、NECの5社であります。総務省幹部は、5社がそれぞれの担当分野をそれぞれのやり方でつくっているので、原因究明に時間がかかっていると述べております。また、個人番号カードは、今のところは身分証明以外にはほとんど使い道がありません。多くの個人情報が収縮されているカードを持ち歩くほうが危険であり、紛失、盗難に遭えば詐欺や成り済ましなどに悪用されるリスクは高まり、その責任は個人に負わされております。危険を承知で導入を図る政府の意図は、国民よりもIT企業の利益を優先し、この制度が続く限り、莫大な利益が見込まれております。昔、土建屋政治は過去のことで、今やIT政治の時代の幕あけでもあります。また、民間中小企業でも、降って湧いたような個人番号制度、自前で管理できないために多額の負担を強いられています。国民、中小企業には全くメリットがありません。まさに踏んだり蹴ったりです。そもそも人類の歴史は、人権確立の闘いでした。ここに来て人権を番号で管理するという歴史の歯車を逆回転させることは許されません。私たちは人間です。物ではありません。一人一人を監視する番号制度は、市民の幸福追求権に逆行し、プライバシーを侵害するものであります。行政は、市民の人権を守るためにカード発行のリスクを明らかにしなければなりません。この制度の利用価値がないとすれば、住民基本台帳カードのように積極的に眠らせることが市民の権利を擁護し、市民の利益を守ることが当然行政にも求められるはずではないでしょうか。

  以上の理由により反対といたします。

  次に、平成28年度一般会計予算、10款2項社会教育費、4目文化財保護費のうち、小野寺北小学校校舎保存解体事業費1,930万9,000円のうち、旧校舎一部部材保存等委託費680万2,000円を除く旧校舎解体工事費1,250万7,000円の反対の立場で討論したいと思います。

  この旧校舎は、明治27年、1894年、ちょうど日清戦争の始まるときに建設された中央部教室と明治41年、1908年に建設された玄関部と2階教室から成る和風木造の典型的な明治の校舎であります。現在栃木県内に残る3旧校舎、1つは佐野市三好小学校旧校舎、現在は佐野市文化財にしてされ、民俗資料館として活用しておるようでございます。2つ目は、那珂川町の小口小学校旧校舎は、町の文化財指定を受け、もう一つの美術館として活用しております。その3つの中で最も古いものが小野寺北小学校旧校舎であります。122年間、地元民とともに子供を育み、文化のシンボルとして凜として歴史を見詰めてまいりました。市の報告書は、歴史的価値を報告書で認める一方で、関係課協議の結果、土砂災害特別警戒区域内にあることから、利活用が困難であり、一部建物部材を保存し、建物全体の詳細な記録を残すことを決定いたしました。文化財保護法は、第3条で、政府及び地方自治体の任務を明記しております。市長も今までの答弁の中で、重要な文化財については市で指定をして保護に努めていると答弁しております。重要な文化財であることは、報告書をまとめた河東義之先生、ほか文化庁文化財部文化財参事官、上野勝久先生、前東京芸術大学教授であり、旧岩舟町時代にもこの先生からの保存要請は出ております。文化財全国協議会にも籍を置く宇都宮大学、梶原将教授、栃木県建築士会前会長、岡田義治氏、文化財保存全国協議会事務局長、小山高等専門学校名誉教授、松島隆裕氏、栃木県文化財保護委員の齊藤弘江氏、公益財団法人日本建築家協会関東甲信越支部長、上浪寛氏、同保存問題委員会委員長、安達文宏氏、同栃木地域会代表、阿久津新平氏、さらに文化財保存全国協議会代表で代表委員であります小笠原好彦氏から、必要な補修を行い、現状保存の要望が市に出ております。このように全国的な反響をいただいている校舎を解体することは、歴史への冒涜とも言えると思います。

  また、土砂災害防止法でも、現存する建物の使用禁止や解体を求めておりません。災害が発生するおそれがあるときには、避難指示に従い、施設を閉鎖し、避難行動をすれば済むことであります。現実に近隣の皆さんは、そこで生活を続けています。また、過去の災害で被害を受けた記憶も記録もございません。この施設の活用については、地域会議の実働部隊の中の専門部会として、小野寺地域に現存する重要文化財の村檜神社、円仁修行の寺であり、比叡山より50年古い歴史を持ち、北関東の仏教文化の中心としての歴史を持つ大慈寺、全国の小野寺氏の発祥の地であり、県指定の文化財、阿弥陀如来坐像を有する住林寺など歴史の宝庫を生かした計画を進めております。その中心施設として小野寺北小学校旧校舎を考えております。小野寺歴史と文化の道のエリアと題しまして、1つは慈覚大師円仁、小野寺氏の資料館として展示、イベント施設として活用したい。2つとして、教育民俗資料館としての活用。3つとして、明治の小学校木造校舎を体験学習施設として活用したい。4つとして、小野寺歴史と文化の道として、観光コースの設定などを目指す計画を考えております。地域の夢を壊さないでほしいと思います。歴史と文化のまち栃木市がみずから貴重な明治の校舎を解体することは看板に偽りありと申し上げなければなりません。地域の市民も存続を願い、注目をしております。議員各位のご賛同をお願いして、反対討論といたします。

 

 

平成28年  6月定例会(第2回) - 06月15日-03号

P.60

○副議長(福田裕司君) 4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.60

◆4番(針谷育造君) 平成28年6月議会一般質問、ただいまよりしたいと思います。4番、栃木新風会、針谷育造。1つとして、思川開発事業について、2つ、岩船山西側の土砂埋め立てについて。

  それでは、通告に従い質問いたします。発言要旨1、思川開発事業について。思川開発事業の経過について伺いたいと思います。南摩ダムを含む思川開発事業は、52年前の高度成長期に計画、その後、着手をされて現在に至っております。当時と違って、今は人口減少、節水による水の需要も減っています。にもかかわらず、国、独立行政法人水資源機構、県も事業再開を視野に入れ、計画を進めています。必要のないダム建設に莫大な額の投入をやめるべきであり、栃木市もこの計画から離脱することを申し上げ、どのような経過で事業が進められたのかについて、まず質問したいと思います。

 

 

P.60

◎総合政策部長(早乙女洋君) おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。

  それでは、お答え申し上げます。思川開発事業につきましては、昭和45年に利根川水系における水資源開発基本計画の変更により追加され、平成6年に事業実施計画が認可されました事業で、その後、大谷川分水の中止に伴う見直しなどによる計画変更が行われまして、現在に至っているものであります。平成13年から用地買収が開始されまして、平成17年には南摩ダム水没地の移転契約がなされ、現在では移転対象家屋の全戸が移転し、水没予定地を通る県道のつけかえ工事も約6割以上が完了しております。

  また、平成21年12月に公表された平成22年度政府予算案において、新たな基準に沿った検証の対象とするダム事業を選定する考え方についてというものが示され、同事業につきましては、平成22年12月に独立行政法人水資源機構及び国土交通省関東地方整備局が検討主体となる思川開発事業の関係地方公共団体から成る検討の場が設置されまして、これまでに6回にわたる幹事会を開催し、同事業についての検証が行われているところであります。

  以上であります。

 

 

P.61

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.61

◆4番(針谷育造君) 大変簡潔に経過を述べていただきました。それでは、発言明細2、思川開発事業は本当に必要なのかという疑問について質問をしたいと思います。

  ①南摩ダムから本当に水が供給できるのか。先ほども言いましたように、流れない南摩川にどのようにして水がたまり、そして国土交通省の資料を見ましても、30年のうちに12年間は水がたまっていない、こんな資料も提出をされております。

  ②といたしまして、水道水は節水と人口減少で需要が減り、水余りのときに南摩ダムは本当に必要なのでしょうか。

  ③といたしまして、県の水道水源に関する検討報告書の地下水依存率を下げる、このように示されております。この根拠は何なのでしょうか。

  ④県の広域水道整備計画に参加すれば、今後20年間どのくらいの金が栃木市に負担としてのしかかってくるのでょうか。

  ⑤といたしまして、ダムの集水面積が小さいために、思川への治水効果はどれくらいあるのか。ダムの目的に治水、利水がありますけれども、前年の大雨のときに、果たしてそのダムで効果があるのかどうなのか、そのことも検証に値するものではあるというふうに思っております。

  ⑥番目として、ほとんど治水効果が期待できない南摩ダムに巨額な投資をやめるべきであり、緊急に必要なことは、河床の掘削、これが大きな事業の中心とすべきと考えますが、以上6点につき答弁をお願いしたいと思います。

 

 

P.61

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答え申し上げます。

  先ほどお答えしましたとおり、現在思川開発事業の関係地方公共団体から成る検討の場において、利水及び治水の両面からダムの検証が行われているところであります。ダムからの水の供給やダムの必要性、思川の治水効果など思川開発事業の是非につきましては、その中で判断されるものであります。なお、地下水依存率を下げる根拠につきましては、県が作成しました栃木県南地域における水道水確保に関する検討報告書の中で、県南地域において将来にわたり安全な水道水の安定供給を確保するため、地下水から表流水への一部転換を促進し、地下水と表流水のバランスを確保するものとされております。また、県の広域水道に参加すれば、今後20年間で幾ら負担するのかにつきましては、本市は思川開発事業において、栃木県が確保する水源の供給対象市として位置づけられており、将来県南広域的水道から水道水の供給を受けることになれば、その時点から水道料金として県に対し費用負担を行うこととなります。しかしながら、現在本市において直ちに表流水を使うという計画はありませんし、当然市や町の要請により、県が策定する県南広域的水道整備計画も未策定であります。したがいまして、事業の実施時期や構成市町の計画受水量も定まっていない現段階では、今後20年間の費用負担額について算出するのは困難な状況であります。

  次に、ダムをやめて、河床掘削を中心とすべきではないかということについてですが、思川の治水につきましては、当然ながらダムだけに頼るのではなく、河床の掘削などの河川管理も含めて総合的に対応していくものでありますので、河川管理者であります県と連携して対応をしてまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.61

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.61

◆4番(針谷育造君) 再質問をしたいと思います。

  4番目に、県の広域水道整備計画に参加すれば、今後20年間どのくらいだ。金額はわからないということでありますけれども、資料を見ますと約194億円、20年間ですから、年間10億円になるかと思います。世帯当たり31万円、これはどういう形で市が負担をするのか、大問題であると私は思っております。その結果、水道料金の値上げということ、避けて通れない問題が出てくると思います。まず、194億円、この数字を認めることになりますでしょうか、答弁願いたいと思います。

 

 

P.62

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答え申し上げます。

  先ほども申し上げましたとおり、まだ計画もできていない段階ということでございますので、これについては現在のところお答えのしようがないということでございます。

 

 

P.62

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.62

◆4番(針谷育造君) 194億円がわからない、そんなことはないと思います。これは数字としてはっきり出ておりますので、このことを市民にも知らせない、議会にも報告しない、しかも本会議でわからない、こういう答弁は極めて遺憾であるというふうに思っております。さらに、ダムができた場合のダム負担金、これも64億円を負担しなければならない、こういうことでこれらについても全く市当局では理解をしていない数字なのでしょうか。

 

 

P.62

○副議長(福田裕司君) 再質問でよろしいですね。

 

 

P.62

◆4番(針谷育造君) 再質問で。

 

 

P.62

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答え申し上げます。

  繰り返しになりますが、今の段階ではまだ何とも言えないということでございます。

 

 

P.62

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.62

◆4番(針谷育造君) 後での質問もありますけれども、ここ一、二年、平成28年、平成29年には市としての態度を広域的な水道に参加する関係市町、下野市、壬生町、栃木市は結論を出さなければならない、そういうような状況の中でこの金額がわからない。言えない。極めてまずい。まさに説明責任を果たしていない、そのことを申し上げたいと思います。

  それでは、発言明細3、思川開発事業が栃木市の水道水に与える影響と経費試算についてであります。

  ①表流水を人工的な設備と薬品でつくる水道水は、味が落ちないのか。これが市民にとっては一番の関心事でもあるのではないかと思います。他市の表流水を飲んでいた方が栃木市に住むようになり、水がうまいと言っていることは周知の事実であります。味が落ちないのか、どのように考えているのかお聞きいたしたいと思います。

  ②番目といたしまして、浄水場などの建設費や維持管理費が高くつき、水道料金は今より高くなるのか、これも市民の大きな関心事であります。

  ③番として、試算ではどれくらいになるのか。

  ④番として、その結果、地下水から表流水への一部転換による安くておいしい地下水を享受する市民の権利が侵害されはしないか。私は、栃木市の宝の一つ、それは地下水のおいしい命の水であると私は思っております。その権利を守ることが私は行政の責任である。

  以上、4点について答弁を求めます。

 

 

P.63

◎建設水道部副部長(大塚孝一君) ご質問にお答えをいたします。

  表流水を人工的な設備と薬品を使ってつくる水は味が落ちないかにつきましては、表流水だけではなく、地下水においてもそのままでは使えない水質の場合もあり、必要に応じ薬品処理も必要になります。現在藤岡地域や岩舟地域の一部の地下水を表流水と同様に、凝集剤による沈殿や、ろ過、生物活性炭等の浄水処理をした水道水を市民の皆様に供給しておりますので、必ずしも味が落ちるとは言えません。

  次に、浄水場などの施設建設費や維持管理費が高くつき、水道料金が今よりも高くならないかにつきましては、県が浄水場等の建設を行い、浄水された水を供給する計画として、県が思川開発に参加しております。しかしながら、県南広域的水道整備計画が未策定であり、事業実施時期や構成市町の計画受水量等も定まっていない状況にありますので、また県より用水の供給単価が示されておりませんので、現段階で料金の算定を行うことはできません。

  次に、地下水から表流水への一部転換によるおいしい地下水を享受する市民の権利が侵害されないかにつきましては、先ほども申し上げましたが、地下水であっても水道法に定められた水質でなければ適切な浄化処理が必要となり、市民へ安心で安全な水道水を安定的に供給をしていくことが重要と考えております。

  以上です。

 

 

P.63

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.63

◆4番(針谷育造君) 施設建設費や維持管理費が高くつくということについても、お答えは具体的にはありませんでした。常識的に考えれば、全く新しい事業を、新しい水を供給するためには、多額の先ほど言いましたように、194億円、計画でそうなっております。実際に始まれば、その1.5倍や、その辺になるのではないのか。全く私には試算もできていないということについて、まさに残念というか、余りにもずさんな計画にのり過ぎているのではないのかなということを1点指摘したいと思います。

  さらに、先ほど岩舟、藤岡の地下水のことにつきありましたけれども、栃木市の周辺あるいは都賀、西方につきましては、まさに何の滅菌処理だけでやっているのが実態ではないのかな。藤岡、岩舟につきましては、鉄とマンガンが150メートルから200メートルのところから取水していますから、そのような処理はありますけれども、極めて一方的な、あるいはその質問のための回答がそのような藤岡、岩舟の例として出てきたのではないのか。栃木市全体を考えれば、まさに豊かな水の栃木市の中で、そのことは十分市民は知っているわけであります。そういう意味では、この水道水に与える影響と経費についても今後さらにお聞きをしていきたいと思います。

  そういう中で、次の質問に移りたいと思います。発言明細4、①、まさに今、部長が報告しましたように、栃木市の水道事業はどうなっているのか。平成23年に策定した栃木市水道事業計画の将来見通しについて伺いたいと思います。その中を見ますと、給水人口の見通しと給水量、平成37年の推計値、その減少率等がありますが、表流水の導入の記述はありません。基本的な方針、原水及び水道水の状況についてお答え願いたいと思います。

  ②として、地下水汚染対策について、現在どのような汚染があるのか。私の聞いているところでは、水質基準内で問題ないように思っておりますが、いかがでしょうか。

  ③といたしまして、危機管理から表流水に一部転換する理由、先ほども述べられましたけれども、具体的にどのような理由で危機管理を乗り切ろうということでの転換をするのか。

  この3点についてお伺いしたいと思います。

 

 

P.64

◎建設水道部副部長(大塚孝一君) ご質問にお答えをいたします。

  水道事業の将来の見通しにつきましては、基本的な方針として、原水及び水道水についてですが、栃木市水道事業計画においては、認可期間の10年間は現行の地下水により賄う計画となっております。

  次に、地下水汚染対策についてですが、地下水は水道だけでなく、個人の飲料用井戸や農業用水など市民が利用している貴重な水源でありますので、汚染されないことが重要です。水道事業につきましては、浄水場等の施設点検のときには、周辺の状況もあわせて点検を行っております。また、水質検査についても、毎日残留塩素、色、濁りの検査を実施したり、毎月行う定期検査を実施しております。市民の皆様が安心して飲んでいただける水を水道水として供給しております。

  次に、危機管理から表流水に一部転換する理由は何ですかということでございますけれども、長期的視点に立った場合、水源が地下水だけでなく、他の水源を有することは、地下水汚染や渇水などにも対応できるようにしておくことが安全で安心な水を安定して供給することも水道事業の責務と考えております。

  以上です。

 

 

P.64

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.64

◆4番(針谷育造君) 全ての回答に具体性が全くありません。危機管理から表流水に一部転換する理由は何かと聞いても、長期的に見れば、バランス論で終わらせておりますけれども、本当に危機管理が現在、きょうの下野新聞でも渇水対策が県でも本部が立ち上がって、県内のダムが48%の貯水量だ。渇水になったときに、一番最初に影響を受けるのは表流水ではありませんか。それをさらにそういうことがわかっていながら、おいしい水である地下水を一方では放棄するということがこの県の計画でいけば出てくる可能性があります。表流水に転換する理由を再度お伺いしたいと思います。

 

 

P.64

◎建設水道部副部長(大塚孝一君) 先ほども申し上げましたけれども、やはり地下水だけでは、万が一地下水汚染が発生したり、あるいは井戸枯れが発生したときに、次の手段がないということになりますので、やはりそういった中では表流水という選択肢も考慮しておく必要があるというふうに思っております。

  以上です。

 

 

P.64

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.64

◆4番(針谷育造君) 最初に汚染されるのは表流水なのです。井戸水100メートルといえば、100年前の地下水である、これは水関係者の常識であります。栃木市では50メートル、浅いところでは10メートル、深いところでは200メートル、そういう状況の中で、バランス論をとっていって、汚染対策を表流水に求めていくことは極めてナンセンスであることを申し上げ、次に移っていきたいと思います。

  発言明細5、県南広域的水道整備計画についてであります。この件に関しては、今後の栃木市と市民の水環境を劇的に変える重要なポイントであります。しっかり答弁してください。平成25年11月5日、県南広域的水道事業整備検討部会第2回が開かれ、水道整備基本構想の位置づけ等一連のことが決められたようであります。その後、平成27年9月18日、栃木県南地域における水道水源確保に関する検討報告書に基づくスケジュール案が示されました。ここまでの計画については、市議会、市民には全く知らされていないと思います。今後のスケジュール計画についても、それぞれ伺いたいと思います。ここが今一番大事なことであります。

  それでは、①、検討報告書では、何が報告され、その説明は議会、市民にされたのか。これが第1点であります。

  第2点は、県南市町協議会の合意形成、これがスケジュールにあります。その時期と内容について、さらに平成28年、平成29年度にはスケジュールに基づけば結論を出す、このようになっております。事業費が幾らであるとか、わからないからなどというような状況ではないことであります。

  ③として、広域的水道整備計画の策定要請を関係市町がするようになっておりますが、誰がどこに、どの時期に、どんな内容で要請するのか伺います。

  ④番として、広域的水道整備計画案の作成とはどのようなものなのか。

  ⑤番として、関係市議会の同意が予定をされ、その時期はいつを予定しているのか。

  ⑥番として、さらに県議会の同意について。

  そして、⑦番については、事業認可の取得についてとなっております。

  この7点について答弁を求めたいと思います。

 

 

P.65

◎建設水道部副部長(大塚孝一君) ご質問にお答えいたします。

  検討報告書につきましては、県が作成し、パブリックコメントを行っておりますので、県により周知されたものと理解しております。

  今後市が思川開発事業の水を使うと仮定した場合の手続についてご説明をいたしますと、まず栃木市、下野市、壬生町、野木町により構成された県南市町協議会の合意形成を行い、その上で本市を含め思川開発の水を利用したい市町は県に広域的水道整備計画の策定を要請することになります。それを受けて、県が広域的水道整備計画を策定し、関係市町の議会や県議会の同意を得ていくことになります。その後、県は広域的水道用水供給事業の創設認可を厚生労働省から受けます。それと同時に、関係市町は各水道事業の変更認可を受け、それらの手続が終了した段階で、実際に思川の水を使用するための施設整備を進めていくことになります。県南市町協議会におきましては、検討部会を年に2回程度開催しておりますが、合意形成はできていない段階でありまして、広域的水道整備計画の策定につきましても未定であります。

  以上です。

 

 

P.65

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.65

◆4番(針谷育造君) 極めて曖昧なことをいまだに申し上げていることは、まことに遺憾であります。実はスケジュール表が私の手元にもありますけれども、本当に先ほど言いましたように、平成28年、平成29年には結論を出さなければならないのです。しかし、市民も知らない。議会も知らない。今平成28年です。平成29年度、来年にはこのスケジュールでいけば結論出す。そのようなときに全く答弁にならないようなことを回答されては、私も困りますし、議会も困ります。市民も困るのではないのかなというふうに思っております。今一番市民も私たちも聞きたいことは、合意形成の時期であります。この内容について再度質問したいと思います。

 

 

P.66

◎建設水道部副部長(大塚孝一君) 合意形成の時期につきましては、現段階では未定でございます。

  以上です。

 

 

P.66

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.66

◆4番(針谷育造君) 一番大事なところをそのように未定だということで言い逃れをする。しかし、このスケジュール案、私は平成27年から平成29年度に広域水道の進め方、さらに平成30年には案をつくらなければならない。もうこの差し迫った時期にこのようなことではまことにこれ以上議論を進めるつもりもございませんけれども、まさに市民の将来のかかっていることについて、曖昧模糊とした中で県の言うことを聞いていく、このようなことでは極めてまずい。

  最後に市長に質問したいと思います。今まで質問してきましたが、思川開発事業には無理があり、合理的な説得も納得もできる理論もございません。さらに、財政的な採算も成り立つとは思えません。そこで、市長に質問します。県の水道施設計画、水道用水供給事業計画が残念ながら県もありません。

  2番として、県からの配分を受ける市町にどこにも計画がなくても、事業実施はできるのか。

  3番といたしまして、平成25年の3月議会の市長答弁では、県の計画に理解を示します。事業に賛成し、参加することのように受け取れる回答もしております。しかし、栃木市に買わなければならないという義務が発生するわけではない、このように答えております。買う段になれば、有料、このことも言っております。

  4番として、京都府大山崎町の水裁判、滋賀県丹生ダムを近畿整備局が中止妥当と決定をいたしました。

  5番といたしまして、宇都宮市水道施設再構築基本構想では、需要予測18%減、このように言っております。

  6番として、地下水保全条例等の制定について、これは将来におけるこの栃木市のおいしい水の町としての栃木市のためにも水源涵養しながら、安全でおいしい水を提供するための条例が必要である。全国の例を参考に制定をどう考えているのか伺いたいと思います。

  さらに、7番目に、地方自治法、公営企業法、水道法等の最少の経費、これらに基づけば、現在及び将来の市民にその負担をかけることが明らかなこの計画から今撤退すべきであると私は考えますが、いかがでしょうか。

  7点についての答弁を求めます。

 

 

P.66

◎市長(鈴木俊美君) 議員がご質問をされております県の水道施設計画は、先ほども副部長が答弁いたしましたとおり、思川開発の水を使用したい各自治体が県に対して、まず広域的水道整備計画の策定を依頼し、県がその計画を作成した後に初めてつくられることになるわけでありますが、現時点では各自治体からは県に対して、この広域的水道整備計画の策定依頼はしておりませんので、したがって県の水道施設計画も現在は当然つくられてはいないわけであります。したがいまして、県の広域的水道整備計画あるいは水道施設計画がつくられていない現時点では、各市町も計画を策定する段階にはないわけであります。

  次に、平成25年3月の議会における私の答弁でありますが、議員がご指摘をされているのは、次のような部分かと思います。県が策定した栃木県南地域における水道水源確保に関する検討報告書に市が賛意を示すと、市は表流水を買わざるを得なくなるのかといえば、その義務は生じるものではないという部分かと思います。この意味は、市が具体的に事業化するまでの間は必要な水源は県が保有をしていくということでありまして、この考え方は今でも変わっておりません。

  次に、京都府大山崎町が日吉ダムの水の割り当てをめぐり、京都府を相手取った裁判の結果並びに滋賀県丹生ダムの事業主体である近畿地方整備局と水資源機構がダム建設の中止を盛り込んだ対応方針の原案をまとめたという報道をどのように考えるかということであります。まず、大山崎町が京都府を相手に起こした裁判につきましては、大山崎町が日吉ダムを水源とする府営、京都府の「府」です。府営水道からの水の割り当て量が過大であるため、その基本水量の決定の取り消し、そして府が余計に取ってきた水道料金の返還を求めて裁判を起こしたというものであります。そもそも大山崎町は当初から京都府との協議によって、基本水量や供給料金などを決定をしていたわけでありまして、そうした経過を踏まえると、府知事の行政処分は一方的に行ったということではないことからも、そのような行政処分は妥当であったとの判断に基づき、大阪高裁は大山崎町の訴えを棄却したというものであります。このことについての考えということでありますが、本市は県との関係の中で、そうした段階に至っていないことは再三お話ししているとおりでありますが、仮に基本水量等の協議を行う段階が来た場合は、今のような判決、裁判のことを考えた場合は慎重に対応していく必要があるであろうというふうに考えております。

  次に、滋賀県の丹生ダムの事業主体である近畿地方整備局と水資源機構が丹生ダムの建設中止を盛り込んだ対応方針をまとめたことに対しましては、水道需要の減少で大阪府や京都府が撤退したことに加え、治水面に関しても河道掘削などの代替案の効果が高いという検証結果を受けたものと認識しております。本県の場合も全関係者がこのように一致すれば、ダムの建設中止ということもあり得るとは思いますが、現在はそういうことも含めた思川開発事業の検証を行っているところであるということは、ご承知のとおりであります。

  次に、宇都宮市水道施設再構築基本構想での水需要の見直しをどのように考えるのかということでありますが、本市の水道計画におきましても、平成26年をピークに水需要は減少していくものと予測はしております。しかし、平成27年度の実績を見ますと、給水人口は減ってはいるものの、前年比からは増量している状況にありますので、今後とも見通しと実績の整合性については注意深く見ていく必要があると考えております。

  次に、地下水保全条例等の制定についてでありますが、本市においては水源涵養や地下水汚染の防止が最も優先される課題であるため、その点を主眼に地下水採取の抑制の観点も含めた条例制定について検討してまいります。

  最後に、各種法令に基づき、広域的水道整備計画から撤退すべきではないかということにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、長期的な視点に立ち、市民生活及び産業に不可欠な水を安定的に確保するためには、表流水の利用についても検討は必要であるとの考え方から、総合的に判断をしている結果でありまして、現時点では栃木市から撤退を考えるという段階には至っておりませんので、ご理解をいただきたいと思います。

  以上であります。

 

 

P.67

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.67

◆4番(針谷育造君) 答弁をいただきました。幾つか聞きたいことありますけれども、時間も限られておりますので、栃木市には過去に鍋山地区で地下水を守った産廃闘争があります。県との戦いに勝利できたのは、もちろん住民の力と計画に合理性、説得性がないことでした。そのとき弁護したのが今の市長であります。国や県とのこの闘いで必要なことは、市民の地下水の安くてうまい水を守る、そのことだと思います。これを一番知っているのは市長のはずであります。残念ながら時間の関係で再質問できません。この後、白石議員があしたこの件についても質問がございますので、それに譲っていきたいというふうに思っております。

 

 

P.67

○副議長(福田裕司君) 傍聴の方、静粛にお願いいたします。

 

 

P.67

◆4番(針谷育造君) それでは、発言要旨2、岩船山西側の土砂埋め立てについてお伺いしたいと思います。

  この質問については、ここ2回、平成26年12月、平成27年9月議会の答弁をいただいております。しかし、現実は一向に変わっておりません。相変わらず無許可埋め立て、違法埋め立ては続いています。近隣の住民からは「市役所は何もやらないのか。やる気がない」との声も聞かれております。毎回訴えていますが、行政の公平性、迅速性、社会正義の実現と住民福祉の観点から、極めて消極的な姿勢と言わざるを得ません。

  発言明細1、違法な埋め立てに対する指導経過は、その後どのようになっているのか。

  ①として、今までの指導の具体的な内容について。

  ②として、指導に従ってできたものと、できなかったことは何なのか。

  ③として、指導してきた課題は何か。

  この3点について答弁をお願いしたいと思います。

 

 

P.68

◎生活環境部長(高橋一典君) 岩船山西側の違法な埋め立てに対する指導経過についてでありますが、これまでに土砂の搬入を中止すること、埋立地に隣接する水路や水田に流入した土砂を撤去すること、災害の発生を防止するため、土砂崩落防止措置をとること、隣接する民有地や認定外道路にも埋め立てをしていることをはっきりさせるため、それぞれの境界を確定することとの指導を行ってまいりました。これらの指導を行いましたところ、埋立地に隣接する水路、水田に流入した土砂の撤去につきましては、関係課や土地改良区の職員が現場に赴き、原状回復したことを確認しております。

  また、事業者みずからがコンサルタント業者に委託をし、土砂崩落防止を図るべく造成計画を策定するとともに、民有地の一部の所有者との間で境界確認が進んでおります。このように徐々にではありますが、指導内容に従って事業者による作業が行われているところでございます。しかしながら、肝心の土砂の搬入を中止することに関しましては、指導直後は一旦搬入を中止いたしましたが、時間がたつにつれ、現在では土砂の搬入を再開しておりまして、そのことが現時点での一番の課題となっているところでございます。

 

 

P.68

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.68

◆4番(針谷育造君) どうも第三者的な答弁のような気がいたします。指導に従ってできたものとできないものは何かということで、搬入中止はできていない。そのことをなぜできないのか、私はここで再質問したいと思います。

  さらに、日常的にはどのくらい監視をしているのか。その記録はあるのか。無断埋め立ての現状をそのことによって証明できるのか。立入検査もしていないようでありますけれども、そのことについてはどのようなことなのか再質問したいと思います。

 

 

P.68

◎生活環境部長(高橋一典君) 土砂の搬入につきましては、再三中止するように指導をしております。なぜできないか。従ってもらいたいと思っています。

  それと、どのように日常的に監視をしているかということですが、24時間365日監視するというのは、申しわけありません。現時点ではなかなかできません。不定期ではございますが、職員が現地にパトロールへ行きまして、監視をし、記録をつけているところでございます。必要に応じて、必要に応じてといいますか、事業者に対しては中止するように指導を行っております。

  もう一点、3つほどあったような気がしますが、もう一点は済みません。失念しました。

               〔「立入検査」と呼ぶ者あり〕

 

 

P.68

◎生活環境部長(高橋一典君) 立入検査ですね。立入検査につきましては、やはり現在民有地との境界確認を進めているところです。先ほど答弁申し上げましたとおりに、6人ほどの地権者いらっしゃいますが、一部完了しております。その境界が確定した段階で、その時点でどこまで使用、不法に占拠しているとか、していないとかというのがそれでわかりますので、その後、認定外道路との境界確認をしますので、その際に現状をよく立入検査をしていきたいと、そんなふうに考えています。

 

 

P.69

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.69

◆4番(針谷育造君) それでは、次に移らせていただきたいと思います。

  発言明細2、今後の指導と見通しについて。今、部長から述べられましたように、課題をどのようにして解決するのか。

  そして、2番として、その見通しについて。

  この2点についての答弁をお願いしたいと思います。

 

 

P.69

◎生活環境部長(高橋一典君) まず、今後の指導についてでありますが、(1)のご質問でもお答えさせていただきました民有地などの境界に関しまして、確認が終了していない所有者の方がいらっしゃいますので、その確認完了後、認定外道路の部分に関し市の関係課と境界確認を行います。そして、全ての境界が確定した後、境界協定を締結し、その協定をもとに不法に使用または占拠している箇所について、事業者に対し原状回復等の指導を行ってまいります。

  あわせて埋立地内の土砂が安全基準に適合している土砂であるか否かを確認するため、市の土砂条例施行規則に定められています面積に応じた箇所以上の箇所から検体を採取し、土壌検査を行うよう指導いたします。そのほかに事業者みずからがコンサルタント業者に委託をし、策定した造成計画につきましても、埋立地内の雨水等を貯留する調整池からの放流先として、土地改良区の水路が予定されていることから、その放流についての同意を得るため、土地改良区との協議を十分行うよう指導してまいります。

  最後に、土砂の搬入中止につきましては、事業者に対し再度強い指導を行うとともに、これまでの職員による監視では限界がありますことから、警察との協議を行い、市と警察との連携により監視をし、土砂の搬入を何としてでもやめさせるよう努めてまいりたいと考えております。

 

 

P.69

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.69

◆4番(針谷育造君) この答弁も前回の質問でも、今、部長が答えられたというのは前回でも答えております。私が言いたいのは、その見通しをどうするのか。その決意と実行力がなければ、上司の言うことを聞かないような状況をいつまでも黙認をする、これが市の態度になってしまいはしないか。そのことで多くの行政執行に支障が来ることが非常に懸念をされるわけであります。強い態度で、そして法にのっとり、そのことを実行をしていただきたい。そのことを要望申し上げます。

  それでは、発言要旨3、市長の政治姿勢と指導力についてであります。鈴木市長は、先ほど言いましたように、弁護士でもあります。大変失礼な言い方をお許しください。弁護士法第1条は、社会正義を実現することを使命とする。よく市長はわかっていると思いますけれども、そこで①行政の信頼性がこの埋め立てで問われている、私はそのように考えております。市長としての考えを伺いたいと思います。

  ②として、指導に従わないときの法的措置をどうするのか。何回も今までも警察、告訴、告発も含めての答弁はいただいております。法的措置をどうするのか、再度伺いたいと思います。

 

 

P.70

◎市長(鈴木俊美君) 幾つか確認をしておきたい点があります。

  1つは、この業者の違法埋め立ては今に始まったことではない。栃木市になってから始まったことではない。その以前から行われていることであり、それに対してこれまで許可権が旧岩舟町、県、市と引き継いできているわけであります。この業者の埋め立てが違法ではないという言い分は、私ちょっと数字的なものははっきり記憶しておりませんので、わかっていれば後で担当部長から答弁をさせますが、合法だという言い分をしております。それは何平米、何立方メートルだったかな、以下の500平米、今、副市長から小声で500だという声がありましたので、500平米以内は許可は要らない。届け出でいいのだそうです。業者が言うのは、この500平米以内だから届け出でいいのだという主張のようであります。しかし、実態は500平米をはるかに超えて、それが何回も何回も行われているわけであります。つまり業者は500平米以内の埋め立てを何回か行っているけれども、それは500、500、500と来ているのだということのようであります。しかし、我々はそれは詭弁であって、全体として継続して埋め立てが行われているのであり、それははるかに500平米は超えているでしょう。だから、届け出なんかでは足らない。許可をとりなさいということで指導をしているわけでありますが、そこで両者の言い分が食い違っているというか、業者の言い分は、その繰り返しであります。ということをまず前提にしつつ、続いてお答えをいたしますが、このような行為に対して地元の皆様が大変ご心配であり、また自分の土地を侵害された所有者の方も大変心配をされておられることは重々承知をしております。

  そこで、市では旧岩舟町との合併後、市土砂条例に基づく指導をまず始めております。これまで一切指導にも従ってこなかった事業者に対して、平成27年の6月、それから8月、土砂等の搬入を中止することを趣旨とした行政指導書を交付したところ、先ほど来の答弁にもありますとおり、事業者みずからがコンサルタント業者に委託をし、土砂崩落防止措置の計画の策定をするに至ったこと、それから一部ではありますが、民有地及び市との境界確認が実現できたこと、土地改良区の水路及び水田に流入した土砂の撤去を行ったことなど事業者が是正のための行動を一部取り出したことは事実であります。

  このような事業者の態度からいたしますと、従来は一切聞く耳を持っていなかった点からすると、栃木市になり、栃木市はこの問題に対しては黙認はしませんよという態度を少しは感じつつあるのではないかというふうに考えております。とはいえ、一番肝心な土砂等の搬入は現在でも中止されていないわけでありますから、先ほども担当部長がお答えをいたしましたとおり、今後はより一層警察との連携を強めていく必要があるであろうということで、我々が立ち入る際も警察への監視をお願いをしたりしてはおります。そして、土砂等の搬入、これが一番肝心なことでありますので、何としてもとめさせるという強い覚悟で今後も臨んでいきたいと考えております。

  なお、今後も土砂等の搬入がいつまでとまらないような場合は、議員もおっしゃるとおり、いつまでこのような状態を続けていくわけにはいきませんので、栃木市が担当となり、現在に至っている以上、栃木市としてこの問題に逃げるわけにはいきませんので、最終手段としては土砂条例に基づく行政処分をしていかなければなりませんし、それを前提に刑事手続もとっていかざるを得ないだろうというふうに考えております。

  なぜ最初からそれをやらないのかということでございますが、これはいずれも最終手段として我々は考えておりますので、それに至るまでの間、いわゆる行政指導を徹底的に頻繁に行うことによって、業者の今後の態度を少し見つつ、最終手段としては行政手続、そして刑事手続を前提とする告訴などについてもやっていかざるを得ないだろうというふうに考えております。それらのことについても業者には伝えていく所存であります。

  以上であります。

 

 

P.71

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.71

◆4番(針谷育造君) 強い態度で臨んでいくということでありますけれども、これは部長のほうになるかと思いますけれども、市長が今、警察との連携ということを申し上げました。これは具体的にどのようにしてやっていくのか。そして、一番肝心な搬入をとめる、そのことをどのようにして実現していくのかお聞きしたいと思います。

 

 

P.71

◎生活環境部長(高橋一典君) 警察との連携を具体的にどうするかと。これは、今までも実は一緒に現場に行っていただいたような経緯もございますので、具体的にはこれから警察と協議はいたしますが、そのようなことになるのかなと、そんなふうに考えております。

  それと、土砂をどうやってとめるかということですが、これはもうとにかくその事業者に対して入れさせないように指導していく、強く要請をしていくということに尽きるかというふうに思っております。

 

 

P.71

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.71

◆4番(針谷育造君) 入れさせないように努力をしていくということでありますけれども、まさに実力行使で鍋山の水を守ったように、そういうことも地元の人たちはしなければならないか、そんなことはちょっと今のところは難しいと思いますけれども、そういう意味では行政の強い姿勢、そして的確な指導を最終的には行政処分、言うことを聞かなければ行政処分します、そういうように持っていっていただきたい、そのことを申し上げたいと思います。

  安心して暮らせる社会の実現を図るために、適正に法律、条例を適用する責任は行政にあります。市民の生活が危機に瀕する前に、必要な行政執行は当然のことであります。違法な行為を見過ごすことは行政として許されることではありません。社会正義の実現を図るためにも、早急な解決を図ることが必要なことであることを述べておきたいと思います。ひとつ1番と2番の問題も行政の姿勢が問われる問題であります。どうぞ市民と、そしてそこで生活する皆さんの心に沿いながら、この2つの問題についての解決をお願いし、私の一般質問を終わりたいと思います。

 

 

平成28年  9月定例会(第3回) - 09月06日-02号

P.37

○副議長(福田裕司君) 一般質問を続けます。

  4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.37

◆4番(針谷育造君) 通告に従い質問をいたします。4番、栃木新風会、針谷育造。

  1つとして、栃木市農業ビジョンの策定について、2つ、思川開発事業について、3つ、とちぎメディカルセンターについてでございます。

  1つ、栃木市農業ビジョンの策定について。日本で初めて農業基本法が、1961年(昭和36年)につくられました。当時は、曲がり角に来た農業を転換するための農業基本法であると持ち上げをされたようでございます。当時、農業高校生だった私にも大きな期待を抱かせるに十分だったと思っております。それによれば、他産業並みの所得を得るために農業の選択的拡大を図り、自立経営農業が展開される農業基本法であったと記憶をしております。

  しかし、時代は高度経済成長に突入し、農村から働き手を都市が吸収していきました。置いてきぼりを食ったのは、農業と農村であったのではないか、そのように思われます。農家の次三男だけでなく、農業後継者も工場に吸い寄せられていきました。地元の働き口は少なく、やむなく長男は地元に就職先を見つけたような状況でございました。社会全体が大都市東京、そして太平洋ベルト地帯へと流れていきました。その結果、農村は、三ちゃん農業、じいちゃん、ばあちゃん、母ちゃんとなり、農村から農業をする若者の姿が消えていったと思っております。

  さらに、減反政策と工業製品の輸出と引きかえに農産物の輸入が増大、市農業・農村の危機が深まってまいりました。今、基本法から55年、いまだに農業は曲がり角にあり、農村・農業崩壊への進みは残念ながら変わっておらず、先が見えない状況でございます。そこで、発言明細1、栃木市農業ビジョンの位置づけについて伺いたいと思います。

  1999年、平成11年、食料・農業基本法が制定されました。政府は、さらに平成26年、今後10年間で農業・農村の所得を倍増させることを目指すとした農林水産業・地域の活力創造プランを決定しました。昨年の27年には、食料・農業・農村基本計画が閣議決定され、県も「とちぎ農業“進化”躍動プラン」をつくりました。今まで申し上げた上位計画から、このビジョンは何を学ぶのか、まず伺いたいと思います。

  さらに、成長産業として強い農業、戦略的農業とは何なのか。

  次に、庁内策定部会のメンバーについて伺いたいと思います。庁内のメンバーの心意気は大変高く認めますが、果たしてこのメンバーで大丈夫なのかの心配もございます。庁内、庁外の垣根を低くした策定体制をつくるべきと考えるが、いかがでしょうか。策定部会こそこのビジョンのエンジンであると私は思い、現場専門家として活躍する人たちを積極的に策定メンバーに入れることはどうなのか、これも伺いたいと思います。

 

 

P.38

◎産業振興部長(茅原剛君) お答えを申し上げます。

  農業ビジョンにつきましては、ご指摘にありました国の食料・農業・農村基本計画と県の「とちぎ農業“進化”躍動プラン」を踏まえつつ、さらに内閣の農林水産業・地域の活力創造本部が策定したプランの内容も参考としながら、本市の総合計画を推進する農業分野の最上位計画として位置づけをいたします。農業に関する政策、特に補助金などは国主導のもと、全国一律に実施されているものが多く、どうしても国が示す計画やプランに沿った施策の展開が必要となってきます。地域の活力創生プランで示された農業所得倍増計画は、生産額の増大、生産コストの縮減、そして農村地域の関連所得の増大を掲げ、具体的な対応方向も示しており、参考とすべき点は多くあります。

  一方、地域の特徴を生かした独自の施策展開ができるのも農業の持っている特性であり、そういった点で県と市との連携も重要な要素となってきます。栃木県の躍動プランでは、農業情勢を分析し、時代の潮流を捉えた中で本県農業の強みや成長に向けた新たな芽を大きく伸ばす施策を展開し、その中でも重点的、戦略的な取り組みとして7つのリーディングプロジェクトを設けています。そのうち特に新たな園芸生産の戦略的拡大プロジェクトは、本市におけるイチゴ、トマトなどの栃木市の強みをさらに成長発展させていくものであり、また農村資源を生かした地域の創生プロジェクトは、季節野菜などの6次産業化、ブドウ、ナシ、ソバなどの観光との連携を戦略的に進めていく上での基本的な考え方だと思います。

  農業を基幹産業としている本市におきましては、こうした国や県の有効な施策や取り組みを積極的にビジョンに反映はしますが、基本的には現状における本市農業の強みと弱さを踏まえ、未来に向けて効果的な戦略を練ることで本市農業を成長産業として成功させ、力強い農業に育て上げること。また、小規模な兼業農家であっても、農業を楽しく生きがいとして経営を続けられるよう農家への支援策を構築すること。この2つを大きな柱として栃木市型農業の確立を目指し、有識者や若い優秀な農業経営者などで構成する栃木市農業振興推進会議において十分に議論を深めてまいりたいと考えております。

  なお、このビジョンを作成するに当たり、庁内においても食と安全、地産地消、食育、新規就農者の安定など農業と関連性のある課、関係17課の課長で構成する庁内策定部会を設けますが、策定作業の中心となるのは現場、専門家の方に入っていただいている栃木市農業振興推進会議でありますので、互いに連携を図りながら作業を進めてまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.39

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.39

◆4番(針谷育造君) 基本的なことについては、ご理解させていただきたいと思います。

  それでは、発言明細2、栃木市農業の現状と課題についてを伺いたいと思います。1つとして、農業就業人口と高齢化の実態、耕作地、不耕作地等、あるいは新規就農者と、そのような農業の状況についてお伺いをしたいと思います。

  2つといたしまして、全国都道府県別栃木市の自給率について伺いたいと思います。

  3つといたしまして、兼業農家の現状について伺いたいと思います。

  4つとして、集落営農等の法人について伺いたいと思いますので、ご回答をお願いします。

 

 

P.39

◎産業振興部長(茅原剛君) お答えを申し上げます。

  本市の農業就業人口は、2015年農業センサスによりますと約3,700人で、うち農業を主としている基幹的農業従事者数は65歳以上が約62%、50歳未満が約9%と著しくアンバランスな状況にあります。また、担い手や後継者不足等により、現在、農業振興地域内の田、畑約1万ヘクタールのうち約100ヘクタールが耕作していない状況であり、優良農地の確保とあわせ荒廃農地の発生防止・解消が求められております。

  日本の食料自給率についても、食生活の洋食化への変化等によりまして、2014年の農林水産省による統計データによりますと、全国ではカロリーベースの総合食料自給率が39%、栃木県では72%と全国平均より高い数値ではありますが、全国同様に年々食料自給率の低下が見受けられます。本市の食料自給率の統計数値はありませんが、おおむね県と同様であると考えています。

  世界規模での天候の変化と食料問題が深刻化する中、今までのように多くの食料を外国から輸入し、依存し続けることが困難となる可能性を秘めており、食料自給率の維持向上に向けた施策も必要であると認識しております。さらに、兼業農家については、本市農家の約8割近くを兼業農家が占めている状況であり、経営者の高齢化や農産物価格の下落などにより、兼業農家が今後、農業経営から脱退した場合の農地への影響が、農業生産能力や食料自給率の低下に一層拍車をかけるのではないかと危惧しております。これら多くの課題が山積する中で、企業の参入や集落営農などの法人化は、従来の農業のイメージを変え、格好よく、苦労があっても、その先に感動があって稼げる仕事として、就業先として農業の魅力を多くの若者たちに伝え、感じてもらうことができるとともに、地域農業の担い手、ひいては地域農業そのものを守り、安定的な供給を図る上で重要な役割を担うものであり、課題を解決する有効な手段の一つと考えています。ご指摘のこうした現状や課題も踏まえた上で、栃木市農業振興推進会議において十分議論を行い、将来の姿、考え方を農業ビジョンにまとめていきたいと考えています。

  以上です。

 

 

P.39

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.39

◆4番(針谷育造君) 答弁漏れが1つあったような気もするのですけれども、4つ目に集落営農等の法人化についてということは、企業の参入というようなことで答弁ということでよろしいのか、あるいは集落営農等の実態について私は知りたかったのですけれども、再答弁をお願いしたいと思います。

 

 

P.40

◎産業振興部長(茅原剛君) お答えいたします。

  企業参入、法人化等も一つの考えとしては法人として農業を行っていくという中でお答えを申し上げました。ただ、農業生産法人等の法人化というのも、民間企業の参入とは別に、今現在、活躍をしている農業生産団体等が法人化へ移行していくことは別の施策として推進をしていきたいと思っていまして、現在、市内でも約20戸の農業生産法人が活躍をしているということでございます。

  済みません。以上です。

 

 

P.40

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.40

◆4番(針谷育造君) 現在、20の集落営農が大変活躍している、そして業績も上げている集落営農等の状況も私も聞いておりますけれども、ぜひこれらは進めていっていただきたいというふうに思っております。

  それでは、発言明細3、栃木市型農業確立についてということです。具体的な農業ビジョンの構成について伺いたいと思います。誰にもわかりやすい計画を目指す、そのことをまず期待をし、質問したいと思います。

  1つとして、成長産業として伸ばすためにインバウンドの効果、国際化へホップ・ステップ・ジャンプ、よく私は理解できないのですけれども、このことについてまず伺いたいと思います。

  2つ目は、もうかる農業への転換を図るとはどのような具体的な方策を考えているのかもお伺いしたいと思います。

  3つとして、企業が参入できる基礎づくりとは何か、このことについてもお答え願いたいと思います。

  4番、法人化への誘導、集落営農の積極的な推進について伺いたいと思います。

  5つといたしまして、農業公社による兼業農家等への農業機械、施設のあっせんについてお伺いします。

  6つとして、定年退職者の積極的な活用について、ビジョンの要因を見ていきますと、手伝いというような表現があったかに聞いておりますけれども、やはり65歳定年で10年間、75歳までは地域農業の主役となる退職者の活用をぜひお願いをし、質問をしたいと思います。

 

 

P.40

◎産業振興部長(茅原剛君) お答えを申し上げます。

  (1)でもお答えをしましたように、栃木市農業ビジョンでは、大きな柱の一つとして農業を成長産業として成功させるため、そして力強い農業を確立するため、未来に向けて効果的な戦略を練っていくことを考えております。そのためビジョンの中に本市農業にとって重要な要素を幾つか設定をし、これに向けた戦略、目標を掲げ、有効なプロジェクトを構築し、具現化してまいりたいと考えております。

  また、2つ目の柱として、小規模な兼業農家でありながらも、農業を楽しく生きがいとして経営を続け、これからも農地を守っていきたいという農家への支援も考えていきたいと思っています。

  強い農業、戦略的な農業と小規模な農業が共存を図りつつ、本市の農業の魅力や特性を十分に生かしていく農業こそが栃木市型農業であり、この栃木市型農業を確立することがTPPを初めとするグローバル化の進展に伴うこれからの農業改革に耐え得るものと考えております。その栃木市型農業を具体的にまとめていく中で重要となる要素として、現在7項目を行政側から提案をしております。議員がご指摘された点等が含まれておりますので、ご説明をしたいというふうに思います。

  1つは、新たな販路の開拓や海外への輸出、栃木市農産物の積極的な情報発信などによる農業の成長産業への育成です。2つ目は、異業種とのコラボレーション、6次産業化の推進によるもうかる農業への転換。3つ目は、担い手のいない地域での企業の農業分野への参入促進、経営基盤を強くするための営農集団の法人化などによる力強い持続可能な農業の推進。4つ目は、新規就農者をターゲットに本市農業の魅力を若者に感じてもらい、生活の基盤とする上でも本市は住宅や子育て支援など環境が整っていることをアピールし、IJUターン、そして定住化につなげていく農業の担い手の確保です。5つ目が、栃木市の農業と農畜産物の魅力を全国に発信し、消費者に本市農畜産物の安全安心を伝える栃木市農業のPRと農畜産物の見える化の推進。6つ目が、新設した農業公社が実施する事業、将来実施してもらいたい必要な施策を検討する農業公社の十分な活用の検討。そして最後に、小規模農家への支援、中山間地域の農業の新たな展開による新しい農業、やりがいのある農業の構築の7つであります。

  栃木市農業振興推進会議については、この7つの考え方をたたき台として、現状と課題の分析を踏まえて議論していただきたいと考えております。また、今回、議員からも具体的な提案がございました。今後も議会などからも意見をお伺いしながら作業を進めてまいりたいというふうに思います。

  最後になりました定年退職者の積極的な活用の提案につきましても、今申し上げました農業公社等の活用によりまして登録制度等をしきながら実施していければ、有効な担い手確保になるのかなというふうに思っているところです。

  以上です。

 

 

P.41

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.41

◆4番(針谷育造君) それでは、再質問を1点だけしたいと思います。

  定年退職者の積極的な活用ということで、公社等への登録ということでございますけれども、これからつくるということでありますので、やはり集落、そういうところでの一つのまとまりをつくりながら、定年でリタイアした人たち、10年間は、その地域の農業を守り、環境を守る、そのようなことをぜひこのビジョンの中に盛り込んでいただけたらと思いますが、その辺のお考えをお聞かせください。

 

 

P.41

◎産業振興部長(茅原剛君) 定年退職の方を農業に従事してもらうと、非常に有効な考え方かなというふうに私も思います。ただ、今、議員さんは、その集落の中でというようなお話だったかと思いますが、もう少し大きく、退職後、栃木市に来て農業をしたいという方も受け入れるような仕組みの中で、定年退職者を農業従事者の担い手として活躍してもらうような、そんな仕組みもぜひ考えていきたいかなというふうに思っています。

  以上です。

 

 

P.41

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.41

◆4番(針谷育造君) 他地域からのそのような応援、定年退職者も受け入れたい、そのようなことについては理解を示したいと思います。このビジョンに栃木市らしさをどのように盛り込むのか、市民の声を広く反映させるためにも、ぜひ集落座談会等でその状況を情報公開し、市民参画、協働を積み重ね、慌てず納得のいく、みんなでつくる栃木市農業ビジョンにしてほしいものでございます。さらに、農業・農村を守るためには、TPP、この問題は避けて倒れない。そして、TPPは農業だけではなく、日本の国の姿、行方も大変危惧されるような状況になるということを一言申し上げ、次の質問に移らせていただきたいと思います。

  2の思川開発事業についてであります。思川開発事業が、今年の6月21日の幹事会でダム方式が内定し、8月26日の新聞報道で南摩ダムの一部凍結から事業継続、概算要求で27億6,600万円が計上されたと報道されました。いよいよダム建設と県南広域的水道整備事業が具体化することになると思います。そこで、発言明細1、6月議会答弁の確認をさせていただきたいと思います。

  1つとして、危機管理、汚染、井戸枯れ、地盤沈下解消のため地下水から表流水への導入の矛盾についてでございます。ダム事業検証作業の中で、国から利水参画の根拠を求められた件は、平成25年3月、県南地域における水道水源確保に関する基本的考え方を盛り込んだ検討報告書を作成しました。栃木市、下野市、壬生町が水源の全量を地下水に依存しているのは、汚染、地盤沈下も危惧されていることから、河川水を利用すべきであり、地下水と表流水のバランスを確保するとして100%の地下水から40%の地下水へ、当面は65%、信じられないような数字の目標を県が示しました。

  栃木市は意見を求められ、理解できるとし、意見はありませんと回答いたしました。さらに、水余りの実態は、1日当たり現在2万立米、余裕水源がございます。これは1人400リットル消費することで、実に5万人であります。県の検討報告書は1日232リットルで、換算しますと8万6,000人分、これが保有水源市民への供給可能の数でございます。

  さらに、県南広域から予定される表流水2万立米、やはり5万人、232リットルでいくと8万6,000人分、合計4万立米、少なく見積もっても10万人から17万人に相当、今の人口の2倍の数字の必要性と根拠を市民にどう説明するのか伺いたいと思います。

  さらに、2番目として、県南広域的水道整備事業の検討報告に基づくスケジュール案について伺いたいと思います。今までは何も決まっていないと答弁してまいりましたが、経過を申し上げますと、平成19年6月に県南広域的水道整備協議会が設置され、平成25年3月、思川開発事業の再検証、県の水道水源確保に関する検討報告書作成。先ほども言いましたように、栃木市はこれで意見なしで理解できるとの回答をしております。平成26年、栃木県水道整備基本構想の策定が計画されております。平成27年から平成29年、来年までに協議会、検討部会による協議調整、広域水道の進め方、事業形態、施設規模、受水量、受水費用、これらが決定をされる予定でございます。

  先ほど言いましたように、平成28年8月25日、国交省は南摩ダムの建設を決定いたしました。平成30年から平成32年、広域的水道整備計画案の検討と策定要請、これは市から県へと要請をすると思われます。業務委託としては、基本計画作成、基礎調査、基本設計、実施設計。平成33年には、広域的水道整備計画策定の県の案がつくられる予定になっております。その結果、平成34年には厚労省の認可、平成35年には事業認可用地取得、平成39年には一部給水開始、平成42年、2市1町に全部給水となっております。このスケジュールは、どのように進むのかを伺いたいと思います。

 

 

P.42

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答えを申し上げます。

  6月議会答弁の確認ということでございますけれども、本市におきましては水道事業を経営するものとして、長期的視点に立ちまして将来にわたる安全安心な水道水源の確保のために、地下水源の代替水源として表流水を確保することも必要であると考えまして、平成25年3月に県が策定し、思川開発事業の地方公共団体から成る検討の場に資料として提出いたしました栃木県南地域における水道水源確保に関する検討報告書に賛意を示したところであります。このことは、これまでも説明してきたとおりでありまして、将来的に水源を多様化することが望ましいということに賛意を示すことが、何らかの矛盾を含んでいるとは思っておりません。

  次に、水余りの実態ということでございますけれども、本市の一日最大給水量において、前認可の旧市町ごとの計画値の合計が1日当たり8万4,060立方メートルであり、平成24年度の実績が同6万4,751立方メートルであることから、1日当たり約2万立方メートルの水余りが生じているとのご指摘かと思われますが、本市といたしましては現在の水源の水量が足りているかどうかという考えだけではなく、先ほども申し上げましたとおり、将来にわたり安全安心な水道水源の確保のために危機管理上、地下水源の代替水源として表流水を確保していくことも必要と考えているところでございます。

  また、県南広域的水道から1日当たり約2万立方メートルというのは、県が試算している1秒当たり0.239立方メートルを日量、1日量に換算した水量だと思いますけれども、この水量につきましては市が買わなければいけない責任水量であるとは考えておりません。

  次に、2番目のご質問であります県南広域的水道整備計画のスケジュールについてでありますが、県南広域的水道整備事業につきましては、これまでの答弁でお答えしてきたとおり、現在、県及び関係市町により構成する県南広域的水道整備事業検討部会において検討中であり、資料として県からスケジュール案も出されておりますが、同事業に対する合意形成はできていない段階でありますので、県南広域的水道整備計画や、その整備スケジュールについては未定であります。

  以上でございます。

 

 

P.43

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.43

◆4番(針谷育造君) 8月に国土交通省は、南摩ダムにゴーサインを出しました。しかれども、未定である。余りにも何といいますか、他人頼みというか、主体性のない発言あるいは答弁であったということで、非常に残念に思っております。

  1つだけ再質問したいと思いますけれども、多様な水源、代替水源として表流水の必要性を述べておられますけれども、多様化とは表流水ばかりが多様ではありません。多額の投資をする県南広域的水道整備事業、まさに100億円、200億円という多くの金をそこに投資しなければならない。しかも13年、14年後にしかその水は出てこないとなれば、一番手っ取り早いのは、最後にも述べたいと思いますけれども、まさに栃木市の一番の売りは豊富な地下水、うまい水、そのことを十分考えた上で、この県南広域的水道整備事業について結論を出すべきである。しかも、その結論の時期は、今年度、来年度というようなスケジュールもございます。全く未定ということになりますけれども、お尻が決まってきたわけですから、これからは栃木市の主張をきちんと述べていただきながら、このスケジュールについて、もちろん協議会の合意形成、県への市長の要請、市議会の同意、市民への説明、こういうものがめじろ押しにあるわけでありますので、先に進んでから後戻りする前に、きちんとした根拠を持って撤退することも非常に栃木市民にとっては大事なことであるのかな、そんなことを思いますので、ちょっとあちこちに飛びましたけれども、これについてのご意見があったら答弁をお願いしたいと思います。

 

 

P.43

○副議長(福田裕司君) 針谷議員に申し上げます。再質問をちょっと端的にお願いしたいと思います。

 

 

P.43

◆4番(針谷育造君) それでは、再質問ということで、未定ということについて、そんなのんきにしていていいのか、市民の皆さんも大変心配されることなので、この未定ということについての期日等が全く決まっていない、あるいは近日中にはやらなければならない、そのことをお聞きしたいと思います。

 

 

P.43

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答え申し上げます。

  議員のおっしゃられるとおりかと思います。これから早急にといいますか、協議会あるいは県などと協議をいたしまして、日程等については調整していかなければならないと考えております。

  以上です。

 

 

P.43

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.44

◆4番(針谷育造君) それでは、次に進ませていただきます。

  発言明細2といたしまして、平成28年6月21日、第7回幹事会が東京で開かれました。市長は、平成25年3月議会で、県の検討案に理解を示すが、買わなければならないということではないと。さらに、買う義務は発生しないと発言。平成28年6月議会で必要な水源を確保する考えは変わらない。現時点で栃木市から撤退を考えるという段階には至っていないと市長は答えております。このことについて、まず南摩ダム本体工事は決定でよいのか、市長に伺いたいと思います。

 

 

P.44

◎市長(鈴木俊美君) 決定でいいのかという端的なご質問であるとすれば、去る8月25日に国土交通省において、この事業の継続が正式に決定されたということでございますから、そういうことになるのではないかというふうに思います。

 

 

P.44

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.44

◆4番(針谷育造君) 決定ということになるかと思われます。

  それでは、6月21日の第7回幹事会での市長発言について真意はどこにあったのか、このことについて伺いたいと思います。代替水源の確保は将来に向けてぜひ必要ではないかと考えている。栃木県を通して協力、理解させていただき、これからも協力させていただきたいという立場でございます。本事業が再び進行することについては、栃木市としては期待をしていると発言しています。一連の理解をするが、水を買うという義務は発生しないの段階から、積極的に協力するとの市長の発言の真意はどこにあるのか、伺いたいと思います。

 

 

P.44

○副議長(福田裕司君) 針谷議員、再質問でよろしいですか、今のは。それとも。

 

 

P.44

◆4番(針谷育造君) では、明細(2)の中には入れておいたのですけれども、今ちょっと切ってしまったものですから。

 

 

P.44

○副議長(福田裕司君) そういうことですね。では、これは(2)の6月21日、第7回幹事会についてという質問でよろしいのですね。

 

 

P.44

◆4番(針谷育造君) はい、そのとおりです。

 

 

P.44

◎市長(鈴木俊美君) 少し長くなりますが、経過をまず説明をさせていただくと、思川開発事業については6月21日に第1回の思川開発事業の関係地方公共団体から成る検討の場及び第7回幹事会というのが開催をされまして、ここで事業継続が妥当であると考えられるという対応方針、原案が示されたわけであります。この原案につきましては、関係地方公共団体の長や関係利水者からの意見聴取、また7月14日に行われました第2回関東地方整備局事業評価監視委員会での審議などを経て、対応方針案として国土交通省本省にその旨、報告がなされたわけであります。

  そして、先ほど申し上げたとおり、国交省の第36回、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議というものにおいて、事業継続が妥当であるとの検討結果がまとめられ、それを受けて、先ほどの繰り返しですが、8月25日に国交省がこの事業の継続を正式に決定したと、こういう流れになっております。先ほど申し上げた6月21日に行われた検討の場及び幹事会の中において私から発言をいたしましたが、そもそも栃木市がこうした場に出席しているのはなぜかといいますと、栃木市は利根川、思川の治水に大きな影響を持つ渡良瀬遊水地を抱えている地元ということで、治水の面から検討の場の構成員として選ばれているという立場であります。そこで、まず治水事業の重要性ということから、この事業には期待をしているという意見を述べたところであります。

  また、利水、水を利用するという面につきましては、何度も申し上げておりますとおり、このことについての直接の参画者は県であり、栃木市ではございませんが、本市も栃木県の県内の自治体という意味で、また県南地域の一つの自治体でもあるということで、間接的な関係があることは事実でありますから、これまでの議会でも答弁をしてきたとおり、地下水源の代替水源としての表流水確保の妥当性、それからその事業に対する本市の立場を説明した、それが先ほど議員がおっしゃった趣旨の私の発言となっているところであります。

  以上です。

 

 

P.45

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.45

◆4番(針谷育造君) それでは、次に進めさせていただきたいと思います。

  発言明細3、市議会、市民への説明についてでございます。1つとしては、市議会、市民への説明はどのようにしていくのか。自治基本条例を持ち出すまでもなく、市民生活に重大な影響が出る水道水については、丁寧に納得してもらうための情報公開、説明責任が重要であり、具体的に市民参加で決めていくことが協働の市政の基本であり、その意味では今回の水問題は、市民参画、協働の試金石であると思います。今後、市議会、市民への説明はどのようにやるのか、伺いたいと思います。

 

 

P.45

◎市長(鈴木俊美君) また繰り返しになってしまうかもしれませんが、申し上げますと、思川開発事業の直接の参画者は県でありまして、その事業の継続が正式に決定されたところではありますが、これをもって直ちに市の水道事業に影響が及ぼされるという関係にはありません。市民の生活に直接影響を与えたり、あるいは与える可能性が大きな事柄等については、そのことを市民にお伝えしたり、相談をしたり、理解を求めたり、場合によっては取りやめたりするということは、これは当然のことであります。

  しかし、何度も申し上げておりますとおり、今行われている思川開発事業というのは、今申し上げたような、それをもって直ちに市民の生活に直接影響を与えたり、与える可能性が大きなこととは現時点ではまだ言えないわけでありまして、そのような事態になることが可能性として出てきたような場合は、これは市民への説明あるいは議会への説明等々はやっていかなければならないというふうに思いますし、それは当然のことだというふうに思っております。

 

 

P.45

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.45

◆4番(針谷育造君) 説明もしていかなければならないとすれば、再質問を1つだけさせていただきたいと思います。

  例えば、市民参画、協働のための県南広域的水道事業検討委員会、こういうものの立ち上げをする考えはあるかどうか。例とすれば、斎場再整備検討委員会及び候補地選定会議など、たくさんのこのような検討委員会はございます。市長はすぐに影響を与えることはないということでありましたけれども、私は市民の生活に最も大切な、そして生きるために栃木市の水道はどうなるか、このようなことを考えれば検討委員会をぜひつくる考えがあるかどうかをお尋ねしたいと思います。

 

 

P.45

◎市長(鈴木俊美君) 先ほど申し上げましたとおり、そのような委員会等をつくる必要性が出てきた場合は、これはつくってまいりますが、現時点ではまだそこまでとは考えていないということでございますので、現時点でつくるという予定はありません。

 

 

P.46

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.46

◆4番(針谷育造君) それでは、ふれあいトーク等への市民への説明ということで、私ちょっと切ってしまいましたけれども、発言明細3ということで質問させていただいてよろしいでしょうか。

 

 

P.46

○副議長(福田裕司君) これ通告にはないですね。

 

 

P.46

◆4番(針谷育造君) いいえ、あると思いますけれども、市議会、市民への説明。

 

 

P.46

○副議長(福田裕司君) では、答弁がなかったということで。

 

 

P.46

◆4番(針谷育造君) そのように。

 

 

P.46

○副議長(福田裕司君) 質問されました。

 

 

P.46

◆4番(針谷育造君) していないのです。

 

 

P.46

○副議長(福田裕司君) していないですよね。では、してください。

 

 

P.46

◆4番(針谷育造君) ですから、させてもらいます。

  ふれあいトークで思川開発の水問題が出されております。私も岩舟で聞きましたが、市長の本心かどうかわかりませんけれども、どなたかに聞いてくれと言われたかと思いますがというような前置きがあったことを記憶しております。また、他の会場では、市長は、あなたたちとは残念ながら平行線だという、人によっては市長は聞く耳持たないのかな、市長は一体どうしたのだという声も私には届いております。まして水源に恵まれる栃木市民には、表流水に転換することは重大な問題ですので、発言の真意と、これからの姿勢を市長にお尋ねをしたいと思います。

 

 

P.46

◎市長(鈴木俊美君) 先ほどはお尋ねがなかったので、お答えをいたしませんでしたが、ご質問がありましたので、お答えをいたします。

  まず、ふれあいトークの中で、いわゆる思川開発計画に関するご質問が何人かの方から出たことは事実であり、それに対して先ほど針谷議員がおっしゃったような趣旨の発言を私がしたことも事実であります。そのことについては不謹慎だろうということであれば、これは確かにそうかもしれないというふうにも思いますので、そのことについてはおわびをしたいというふうに思います。

  ただ、その真意を申し上げさせていただきますが、まず1つは、ふれあいトークといった場所において、1つのことに長く時間をかけられるわけではないということはぜひご理解をいただきたいと思います。そこにおいて、今こうしてお答えをしているような、あるいは質問を受けているようなことをずっと展開できればいいのですけれども、そういうわけにはいかないということから、端的に申し上げてしまったところでありまして、その場においては、もうこのくらいにしてくださいという趣旨で申し上げたつもりでございます。これからも時と場所を考えていただいて、その中でご意見やご質問等があれば、お答えをしていくつもりはございますが、そのような趣旨でふれあいトークでの私の発言になったということで、ご理解いただけるかどうかわかりませんが、それが私の趣旨でありました。

  以上であります。

 

 

P.46

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.46

◆4番(針谷育造君) そのような状況ができてくれば説明会を開きたいというようなことで受けとめたいと思います。

  それでは、3番目のとちぎメディカルセンターについて質問したいと思います。発言明細1、とちぎメディカルセンターの現状について。市民待望のメディカルセンターが本格稼働して3カ月がたちました。まさに市民の期待は、そこに集まっているところでございます。そこで、現状についてお伺いしたいと思います。

  1つは、「しもつが」「とちのき」の入院・外来診療などの現状についてを伺います。

  2つ目は、平成27年度決算状況について、診療収入、診療経費、減価償却費、収支残高、そして最終的には、平成27年度は黒字だったのか赤字だったのか。

  3つ目として、資産の部、医業未収金、結構あります。リース資産の状況はどうなっているのでしょうか。

  4番目として、負債の部、未払金、短期借入金、退職給与費引当金の状況を伺いたいと思います。

 

 

P.47

◎副市長(赤羽根正夫君) お答えを申し上げます。

  とちぎメディカルセンターの現状についてでありますが、新病院しもつがにつきましては7月末における1日当たりの平均入院者数が211人であり、外来診療による1日当たりの平均来院者数は554人となっております。なお、しもつがは病床数が307床でありますので、病床可動率は68.7%、また今年度の事業計画によりますと入院が244人、外来は647人を見込んでおりますので、入院が目標値の86.5%、外来が85.6%となっております。また、とちのきにつきましては、7月末における1日当たりの平均入院者数が134人であり、また外来診療による1日当たりの平均来院者数は289人となっております。なお、とちのきの病床数は250床でありますので、病床可動率は53.6%、また今年度の事業計画では入院が201人、外来は366人を見込んでおりますので、入院が目標値の66.7%、外来が79.0%となっております。

  次に、平成27年度の決算状況でありますが、経常収益が84億7,157万9,000円で、経常費用が90億9,672万円でありますので、差し引き赤字額は6億2,514万2,000円となっております。経常収益の主なものといたしましては、外来や入院の診療収益等による医業収益が75億3,003万6,000円、保健予防活動収益が4億4,925万4,000円、老健施設運営収益が1億6,874万2,000円、訪問看護収益が7,986万9,000円であります。

  また、経常費用の主なものといたしましては、薬品等の材料費が17億4,414万3,000円、給与費が51億176万1,000円、委託費が6億5,552万円、さらには減価償却費4億188万1,000円を含む設備関係費が8億977万9,000円となっております。

  なお、資産の部における医業未収金につきましては、医療行為の提供に対する診療報酬等が支払基金や国保連合会、健保組合などから病院に支払われるまでの間、タイムラグが発生することから生ずるものであり、前年度と比較して利用者増があったため、未収金額もそれに伴い若干増加しているとのことであります。

  また、リース資産の内容につきましては、新たに取得した厨房機器や医療機器が主なものであります。

  また、負債の部における未払金につきましては、介護老人保健施設とちぎの郷の建設費用未払金が主なものでありますが、本年4月に支払い済みとのことであり、短期借入金につきましては建設費用の支払いと県補助金交付の間にタイムラグが生ずることに伴う借り入れ、それと市の貸付金であります。

  なお、退職給付引当金につきましては、退職金の不足額の積み立てを行ってきた結果、昨年度は不足額を圧縮することができたことから、今年度中には不足額を解消する見込みであるとのことであります。

  以上です。

 

 

P.47

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.48

◆4番(針谷育造君) それでは、発言明細2に移りたいと思います。

  とちぎメディカルセンターの情報公開についてであります。情報公開なくして市民の信頼はないと私は考え、市民に愛され、信頼されるためにも情報公開は必要であります。そこで、そのために一つとして損益計算書、監査委員会報告などの公開がぜひとも必要である、私はそのように考えておりますので、伺いたいと思います。

  2つとして、評議委員会の議事録の公開についてでございます。評議委員会の議事録は、公表されてしかるべきと私は思っておりますので、ぜひこの損益計算書、監査委員会の報告、議事録公開についての回答をお願いしたいと思います。

 

 

P.48

◎副市長(赤羽根正夫君) 損益計算書につきましては、1年間にどれくらいの収入があり、また支出があったのかという年度内の細かなやりくりを明らかにするものでありまして、現在、公開はしておりません。一方、貸借対照表につきましては、ホームページなどで公開をしております。これは会計年度末における資産や負債を明らかにするものであり、1年以内に入金や支出のあるものを流動資産、流動負債として、また1年を超えるものは固定資産、固定負債として明らかにしております。したがいまして、損益計算書のように単純に1年間だけで法人の経営状況を見るのではなく、各年度の取り組みの結果として現在の法人における財政状況がわかるという長所がございます。とちぎメディカルセンターといたしましても、国や県、市からの多くの補助金を受けておりますが、あくまでも一般財団法人が運営する独立性、自立性を持った民間病院でありますので、行政のような情報公開システムとは異なる上、内部の経営上の繊細な部分も問題もありますので、細かい収支状況まで公開するということは難しい状況でございます。

  また、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律におきましても、貸借対照表の公告だけで、損益計算書の公告は義務づけされておりませんので、とちぎメディカルセンターといたしましても損益計算書についてはホームページ等で公開していない現状であります。このようなことを踏まえながら、市といたしましても公開可能な情報についてはできるだけ公開していただくよう引き続き要請してまいりたいと考えております。また、評議委員会におきましては、内部の経営にかかわる重要事項などについてかなり踏み込んだ議論をしておりますので、会議の傍聴や議事録の公開を行っておりませんが、市民の方などへの公開が難しいということであれば、議員の皆様に決算状況等を説明するような場を設けていただくなど、今後、情報公開のあり方について検討していただくよう要請してまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.48

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.48

◆4番(針谷育造君) それでは、ぜひ要望ということで、今、副市長のほうから公開はしないと、そういう義務もないようなお話がありましたけれども、しかし一方では、国、県、市の補助87億円強が、このメディカルセンターに注ぎ込まれているわけでありますので、副市長の発言明細3にもありますけれども、重大な副市長の双肩にかかっていると言っても過言ではないし、公開していない、公開しないということについて、今後も検討を加えながら、市民にメディカルセンターの経理はどうなっているのだよと。6億幾らという赤字も初めて私ども聞きましたけれども、ぜひ評議委員会の議事録公開、これは倒れましたけれども、久喜市の総合病院では評議委員会の議事録は公開をしておりましたので、私も目に触れておりますので、その3つにつきましても今後、副市長の手腕でぜひ公開を要望したいと思います。

  それでは、発言明細3に移ります。副市長の理事就任について、今も申し上げましたけれども、栃木市を代表する副市長には理事として健全経営を執行するという責任もあるかと思います。その立場を十分果たしているとは思いますけれども、果たさなければならないと考えております。多くの税金を投入したとちぎメディカルセンターのまさに副市長はキーマンであると私は思っておりますので、ぜひ情報公開、副市長の理事就任に当たっての心構え等を、副市長が理事就任に当たりどのような立場でかかわるのか、また情報の透明性の拡大にどのように取り組んでいくのかを伺いたいと思います。

 

 

P.49

◎副市長(赤羽根正夫君) お答え申し上げます。

  副市長のとちぎメディカルセンターへの理事就任につきましては、本年6月の評議委員会において提案がなされ、選任されたものであります。これは以前から評議委員会において経営強化を図るため、地元の大学病院や市に理事として入っていただいたほうがよいのではといった意見が出されておりました。このため、今回、副市長に加え、自治医科大学と獨協医科大学の副学長も新たに理事として就任したものであります。市といたしましても、これまで多くの支援をしてまいりました施設整備が完了いたしまして新たな医療体制が本格的に稼働したことから、今後におきましてはとちぎメディカルセンターが中核となって、必要なときに、必要な保健、医療、福祉のサービスが受けられる地域包括ケアシステムの実現を図るとともに、将来にわたって市民の皆様に良質な地域医療を提供する公益財団法人への転換を目指していく取り組みに積極的にかかわっていくため、理事に就任したものであります。

  今後におきましては、理事の一員として医療の質を担保しつつ、効率的な運営や経費削減により、できるだけ早く赤字を解消し、黒字に転じるような方策を考えていくとともに、市民の皆様がわかりやすく安心して医療や介護などのサービスが受けられるような体制づくりに努めてまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.49

○副議長(福田裕司君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.49

◆4番(針谷育造君) 決意が十分私のほうにも伝わってきたと思っております。副市長のこれからの活躍をぜひともお願いし、市民に愛されるとちぎメディカルセンターの中枢部の中で活躍することをお願いしたいというふうに思います。

  市民の健康と命を守るとりでの一つが、とちぎメディカルセンターであり、市民の関心の高いよい医療を実現する責任の第一は栃木市にあると思われます。議会は予算を議決した責任があります。市民に愛されるとちぎメディカルセンター構築に向けて、なお一層の情報公開、管理監督に努める努力をお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。

 

 

平成28年 12月定例会(第4回) - 12月07日-03号

P.79

○議長(海老原恵子君) 一般質問を続けます。

  4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.79

◆4番(針谷育造君) 通告に従い質問をします。4番、栃木新風会、針谷育造。

  1つとして、(仮称)栃木市文学館について、2つ、佐野藤岡インター周辺開発事業について、3つ、ふるさと納税制度について、4、思川開発事業について質問したいと思います。

  それでは、発言要旨1の栃木市文学館について質問をしたいと思います。栃木市総合計画の文化の振興の目指す姿では、「本市に縁のある文化人を顕彰するとともに、文化財を初めとする歴史的文化遺産の保護や地域資源としての活用が図られています」と結んでおります。

  そこで、(仮称)文学館の建設について質問したいと思います。

  発言明細1、栃木市文学館基本構想の概要と今後のスケジュールについて。本年3月に策定された基本構想の主な内容と今後のスケジュールについて伺いたいと思います。

 

 

P.79

◎生涯学習部長(鵜飼信行君) ご質問にお答えを申し上げます。

  (仮称)栃木市文学館基本構想の概要と今後の整備スケジュールについてでございますが、昨年度末に策定いたしました(仮称)栃木市文化芸術館・文学館基本構想につきましては、本市にゆかりのある先人たちの功績や地域の歴史、文化、芸術などに対する理解や誇りを深め、新しい栃木市の一体感を醸成するとともに、特色ある観光資源として活用し、市内外に周知していくことを趣旨としております。基本構想では栃木の歴史、文化、芸術をみんなで楽しみ、広め、つくる拠点をコンセプトに掲げ、現在の蔵の街美術館及び各地域にある資料館が抱える課題に対応するとともに、コンセプトの実現に向けて新しい施設が担う役割を整理し、(仮称)文学館につきましては、主に資料館として文学者などの紹介と歴史資料の展示機能を担うこととしたところです。

  事業スケジュールといたしましては、本年度中に基本計画の策定と基本設計を完了し、来年度には実施設計、平成30年度から平成31年度にかけて整備工事を予定しており、平成32年度中の開館を目指したいというふうに考えております。

  以上でございます。

 

 

P.80

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.80

◆4番(針谷育造君) それでは、発言明細2に移りたいと思います。

  本市にゆかりの先人の展示についてでございます。山本有三や吉屋信子を初め数多くのゆかりの先人がいますが、慈覚大師円仁、田中正造、森鴎村などについても展示し、多くの市民に顕彰していただきたいと考えております。

  まず最初に、慈覚大師でありますけれども、今から1,222年前、平安遷都の794年、延暦13年、下野国、現在の岩舟町下津原三毳山山麓の手洗窪で生まれたとされており、父は東山道の三鴨駅長を務める地方豪族でありました。9歳ですぐれた学僧の集まる大慈寺に入り、15歳で比叡山に登り、最澄の弟子として修業を積みます。20歳で僧としての国家試験に合格、その後、最澄とともに東北に出向き、民衆に仏教の教えを広め、災害や飢えに苦しむ人々の救済に当たりました。その後、42歳のときに最後の遣唐使に選ばれ、唐に渡り、9年半に及ぶ日々を日記に残したのが「入唐求法巡礼行記」でございます。求法だけでなく、9世紀の唐の歴史、政治、経済、文化、民衆の暮らしの様子が詳しく書かれ、資料としても第一級であることは、元駐日大使ライシャワー博士の研究によって、世界の人々に発表され、広く私たちの知るところとなりました。マルコ・ポーロの「東方見聞録」、玄奘三蔵の「大唐西域記」と並ぶ世界三大旅行記と言われています。「入唐求法巡礼行記」は、現在国宝に指定されております。円仁なくして、今日に至る日本の仏教文化の発達はなかったとさえ言われております。例を挙げれば、五十音の「あいうえお」、「かきくけこ」の順は、円仁が学び訳した梵語の影響と言われております。円仁が唐から持参した仏画などは、日本の仏教美術の母体となりました。法華経の教えと五台山での体験から、万人平等思想を学び、日本で初めて女性に大乗戒を授けました。その後、比叡山延暦寺の第3代天台座主となり、没後、日本で最初の大師号を天皇から最澄とともに贈られました。日本仏教の基礎を築き、民衆の安寧に尽力したのが慈覚大師円仁であります。

  続いて、田中正造について。田中正造については、多くを語る必要はないと思います。日本初の公害事件と言われる足尾鉱毒事件で、富国強兵の時代に民衆とともに闘い、いまだに多くの人々に慕われる偉大な政治家であり、思想家であり、権力と闘う野に叫ぶ巨人でありました。いまだ正造研究にとどまらず、多くの人々の尊敬を集めております。文学館の設置に当たり、なくてはならない郷土の人物である、このように考えます。

  その理由の一つが、足尾で発生した鉱毒を渡良瀬川沿いにあった谷中村に沈殿させるために、村の廃村に反対した谷中村事件であります。現在も谷中村はその村の形を残し、数々の遺跡が現存し、地元の皆さんが田中正造を顕彰し、大切に守っております。権力と素手で闘う田中正造を多くの思想家、活動家は谷中村に集まり、この運動は全国的に広がりました。しかし、明治政府は日露戦争下、各地への鉱毒反対運動の波及をおそれ、鉱毒問題を治水問題へとすりかえ、土地を奪い、家を破壊しました。しかし、心にはくいは打たれないと最後まで村にとどまり、抵抗しましたが、1907年、明治40年、谷中村を廃村、遊水地化を強行しました。鉱毒事件がこの地で起きた谷中村廃村運動の歴史を後世に残すことは栃木市としての責任があると思います。

  2つ目は、1878年、明治11年、現在の栃木市、県庁所在地でありました栃木新聞、現在の下野新聞が創刊され、翌年第2次栃木新聞を再刊したときの編集長を務め、さらに県庁が宇都宮に移るとともに、栃木新聞もこの地を離れました。自由民権運動とともに、言論の手段としての新聞に大きな役割をこの地から発信してきたのであります。

  次に、森鴎村についてでございます。森鴎村は藤岡町で生まれ、儒学者として自由開放主義の教育に生涯をささげ、その門弟には大阪住友セメントの創業者、岩崎清七、日本労働運動の先駆者で社会主義者、ロシアの赤の広場に眠っている片山潜、ビール麦栽培の基礎をつくった農学者、田村律之助など著明な門弟を鴎村学舎は輩出をしております。

  ぜひこの3人の先人を展示すべきと考えますが、いかがでしょうか。栃木市にはまだまだゆかりの先人はたくさんおることでしょう。これらの業績を市民と共有し、誇りにするとともに、後世に伝えることも文学館の使命ではないでしょうか。

 

 

P.81

◎生涯学習部長(鵜飼信行君) ご質問にお答えを申し上げます。

  本市は、山本有三や吉屋信子、柴田トヨなどの文学者を初め先ほど議員からもお話がありましたが、第3代天台座主の慈覚大師円仁、足尾鉱毒事件を訴え続けた田中正造、漢学者の森鴎村、農学者の田村律之助など市史に輝かしい足跡を残した人物を数多く輩出しております。しかし、合併により市域が拡大した今日、ご自分の地域をよく知る方であっても、他の地域のことは余り知らない、なじみがないというふうな現状があるかと思います。

  (仮称)文学館では、先人たちの功績や、ゆかりの品などを時代、地域性などを交えて紹介することで、その人物について知っていただくとともに、ふるさとへの愛着と誇りを深めたいというふうに考えております。また、各地域には郷土の歴史や文化を紹介する資料館があり、展示品の中にはそのゆかりの地にあることが意味を持つ場合もございます。(仮称)文学館は、訪れた人がその展示を見たことを契機として、その人物等を知り、各地の資料館や、ゆかりの地を訪れて理解を深めることにつながるよう工夫してまいりたいというふうに考えております。

  以上でございます。

 

 

P.81

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.81

◆4番(針谷育造君) 答弁ありがとうございました。

  それでは、次に移らせていただきたいと思います。佐野藤岡インター周辺開発事業について、発言明細1、これまでの取り組みの経過についてお伺いいたしたいと思います。

  市長は、「佐野藤岡インター周辺開発事業や岩藤大規模開発を初め栃木市西南部、主に岩舟、藤岡地域になりますけれども、開発ポテンシャルの高い地域と考えている」と述べております。国道50号の南には法規制の比較的少ない平地林が存在し、その開発の可能性は大きな将来性に富んだ地域であると思われます。その第一弾が今回の佐野藤岡インター周辺開発事業であると思います。

  そこで、これまでの経過と概要を伺いたいと思います。

 

 

P.81

◎産業振興部長(茅原剛君) お答えを申し上げます。

  佐野藤岡インター周辺につきましては、栃木市総合計画では隣接する国道50号沿線を地理的優位性を生かした企業立地の誘導を図る区域として位置づけ、基盤整備を推進することとしております。また、都市計画マスタープランにおきましても、栃木インター及び都賀インターとともに、高速道路による広域交通網を生かした産業拠点としての機能強化を図りながら、地域産業の活性化に寄与する土地利用を図るエリアに位置づけております。これらの計画は、市町合併により、岩舟地域も含むことが明確になることから、担当課としては平成26年度から関連する調査等に入る準備を進めてきました。その間、平成25年度には藤岡町地域協議会より佐野藤岡インターチェンジを中心とした産業基盤整備の早急な具現化へとの意見書が提出されるなど本事業に対する地元の期待感も高まりました。それらの状況を踏まえ、当初予定どおり平成26年度に土地利用や道路、水路などの現況調査及び埋蔵文化財の調査を行い、開発可能性の高い区域を検討し、おおむねの予定区域を選定いたしました。翌平成27年度には藤岡、岩舟両地域会議に開発事業の内容について説明したほか、選定した開発予定区域の土地等の権利調査を実施いたしました。

  予定区域の概要でありますが、位置は佐野藤岡インターチェンジより東に約4.5キロメートルの国道50号の南側であり、西側の一般県道静藤岡線、東側の市道01062号線、旧I170号線になります。南側の東武藤が丘カントリー倶楽部に囲まれた場所となります。面積は藤岡、岩舟地域にまたがる約100ヘクタール、関係地権者は約220名です。現在の土地利用は、農地及び平地林等が約80ヘクタール、宅地が約20ヘクタールとなっております。区域内は農地が未整備で、耕作放棄地が点在していること、文化財が埋蔵されている土地が少ないこと、下流の蓮花川への排水が可能であること、周辺市道等に布設されている上水道が利用できること、区域内に建築物等が少なく、まとまった開発エリアが確保できやすいことなどが予定地域として選定した理由であります。

  以上です。

 

 

P.82

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.82

◆4番(針谷育造君) 説明ありがとうございました。

  それでは、発言明細2に移らせていただきます。地元地権者等との連携と今後の予定についてであります。事業推進には地元地権者や関係者の協力は欠かせません。既に地元説明会等が行われ、地権者組織の立ち上げはどのような状況になっておるのでしょうか。地元では大変期待をしていると聞いています。「鉄は熱いうちに打て」との格言もあるように、積極的に地元対策をしながら、素早い事業展開が必要と思われます。今後の事業スケジュールについて伺いたいと思います。

 

 

P.82

◎産業振興部長(茅原剛君) お答え申し上げます。

  平成27年度に実施いたしました開発予定区域の土地等の権利調査をもとに、本年8月30日に全地権者を対象に、佐野藤岡インターチェンジ周辺における産業団地開発事業説明会を実施し、事業の経過や概要、地権者組織の設立、今後の進め方等についてご承認をいただきました。その後、藤岡、岩舟両地域におきまして、地権者による研究会組織設立のための役員選出説明会を実施し、皆様の合意によりまして、役員が無事選出されました。その役員の方によりまして、11月17日には研究会設立準備会の初会合を行うなど、設立総会に向けての準備を進めているところであります。今後は今年度中に佐野藤岡インター周辺開発研究会設立総会を開催し、地権者による研究会組織を立ち上げたいと考えております。研究会設立後は具体的な整備エリアの整備方針等について研究会の皆様のご意見を伺いながら、開発に向けた協議を進めてまいりたいと考えております。

  産業団地造成等の面的な整備を具体的に進めるためには、開発に対する関係地権者の方の合意形成を図り、開発に伴う法規制との調整を進める必要がありますので、研究会ではまず開発整備に関する勉強会等を開催し、開発への理解を深めるとともに、その上で地権者の意向調査を実施し、開発整備のあり方を検討してまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.82

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.82

◆4番(針谷育造君) 順調に進みつつあるということを確認し、地域の皆さん、大変期待を寄せている。そして、長年の懸案事項もその中には解決する可能性を秘めておりますので、これからの事業推進、そして地元対策、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

  それでは、次の質問に移りたいと思います。ふるさと納税制度についてであります。2014年、平成26年12月議会の市長答弁は、「ふるさと納税についてバージョンアップし、地元の特産品を贈り、栃木市のイメージアップと記念品による地元産業の振興を考えていきたい」との答弁がありました。あれから2年が経過し、ふるさと納税は2015年から給与所得に応じた寄附の上限が2倍に引き上げられ、給与年収500万円の人は、目安として6万7,000円となりました。自治体に寄附をすると、その額から2,000円を引いた6万5,000円が所得税や住民税から控除される寄附金控除の特例制度であります。仮に6万7,000円を栃木市以外にふるさと納税で寄附をすると、平均的には半額程度の返礼品が戻ってくるという全国の状況であり、一方では市に納める市民税は6万5,000円が控除され、市は減収となります。しかし、その人にも住民サービスを平等にやらなければならず、市の財政負担は増えております。

  発言明細1として、制度の問題点についてお伺いをしたいと思います。ふるさと納税は税そのものの基本、根本を揺るがしてはいないか。新聞で北海道ニセコ町の片山健也町長は、「税は神聖なもの」と語っております。職員は滞納したお宅を訪ねて頭を下げ、1,000円でも払ってもらうような取り組みを続けております。貧しい人から徹底して税金を取り、豊かな人にはふるさと納税で減額し、返礼品を贈る、そう受け取られれば税に対する信頼が揺らいでしまいます。税の基本をまさに言い当てていると思います。市の税務職員も同じ気持ちではないでしょうか。ふるさと納税を納めて返礼品、こんなことを続ければ市民はまともに税を払うことがばかばかしくならないでしょうか。これは大変なことなのです。税制を根本から破壊することを政府が考案し、自治体がそれによって右往左往していることを眺めているとしか思えません。この結果、自治体同士の不毛の税の奪い合いになっていないでしょうか。また、社会福祉法人等などへの寄附機会の消失の可能性はどう考えるのでしょうか。

  そして、今述べたように、高所得者の富裕層、まさに節税への変質になっていないでしょうか。ここに朝日新聞デジタル版で、給与年収1億円の人が千葉県の大多喜町に400万円を寄附した例として、自己負担は2,000円で、399万8,000円は所得税と住民税から減額されます。町からは寄附の7割、当時、280万円分の金券が贈られました。2,000円を引いた279万8,000円分がもうけになる。金券を資産にかえれば節税完了だと報じております。また、200万円から700万円の新車を売った町の業者は、町が絡んだ金持ちの合法的な節税対策が行われているので、これでいいのかと迷いながら販売したと述べております。さらに、寄附を当てにした地方財政運営など多くの課題があります。

  以上、考えられる制度の問題点を市はどのように認識しているのか伺いたいと思います。

 

 

P.83

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答えを申し上げます。

  制度の問題点についてでありますが、まず返礼品の提供につきまして、各自治体が返礼品競争を過熱させたことで、返礼率の上昇を招いていることに加え、家電製品や金券など換金性の高い品がオークションで転売されるといった問題が生じております。ただいま議員のご指摘のとおりでございます。

  返礼品につきましては、寄附者へのお礼や地場産業の振興、特産品のPRなどを目的に多くの自治体において提供しているところでありますが、その取り扱いについて共通ルールが定められていないため、自治体間の競争を招いている状況であります。この件につきましては、昨年4月と今年4月の2回にわたり、返礼品の過度な提供を慎むようにと全国の自治体に総務大臣通知が送付されておりますが、強制力があるものではないため、問題解決には至っていない状況であります。

  そのほか寄附できる自治体についての制限がないことから、自治体の取り組みを応援するという本来の趣旨ではなく、返礼品のよしあしで寄附先を決めるという問題、ふるさと納税による寄附金について、住民税のおよそ2割を上限として、2,000円を除く全額が税額控除を受けられることから、高額納税者ほど節税効果が高まるといった問題があると認識をしております。

 

 

P.83

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.84

◆4番(針谷育造君) 私は、そのほかにも聞いておるわけでありまして、税そのものの基本、根本を揺るがしていないか、このことについての答弁漏れがあったような気がしますので、そのことについて、そして自治体同士、不毛の税の奪い合いになっていないか、このようなことについても答弁漏れと思いますので、もう一度お願いします。

 

 

P.84

○議長(海老原恵子君) 針谷議員、1問ずつの再質問でよろしいでしょうか。

 

 

P.84

◆4番(針谷育造君) 構いません。

 

 

P.84

○議長(海老原恵子君) では、まずはどの部分からお答えいただきますか。

 

 

P.84

◆4番(針谷育造君) 税そのものについてお願いしたいと思います。

 

 

P.84

◎総合政策部長(早乙女洋君) 再質問にお答え申し上げます。

  税そのものの根本ということでございますけれども、これは11月30日の下野新聞に載っておりましたけれども、元の総務大臣でありました片山さんの記事がありまして、そこででも問題があるのではないかというような記事でございました。根本の部分でどうかと言われますと、市としては何とも答えようのないところではございますけれども、問題があるというふうには認識しております。

 

 

P.84

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.84

◆4番(針谷育造君) 問題があるとすれば、次のことにステップを先に伸ばしていただきたい。例えば今、再質問という議長のご指名ですけれども、答弁漏れというふうに私は思っているので、自治体同士の不毛の税の奪い合い、このことについてはどう考えているのか、答弁漏れとして答えていただきます。

 

 

P.84

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答えを申し上げます。

  税の奪い合いではないのかということでございますけれども、ふるさと納税の意義の一つとして、自治体が国民に取り組みをPRすることで、ふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むということが意義の一つとされております。地方創生に向けて自治体にも選ばれる努力が求められており、自治体間の切磋琢磨を促すための制度であるというふうに認識をしているところでございます。

 

 

P.84

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.84

◆4番(針谷育造君) それでは、発言明細の2に移らせていただきます。

  ふるさと納税の現状についてであります。本市の状況や他自治体への寄附による減収を含め、県内の状況はどうなっておるのでしょうか。また、地方交付税算定への影響などが懸念されるが、どのように考えているのか伺いたいと思います。

 

 

P.84

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答えを申し上げます。

  本市のふるさと応援寄附の現状でありますが、平成27年度の実績を申し上げますと、寄附額が8,943万円で、前年度比6,274万円の増加、寄附件数が4,023件で、前年度比2,496件の増加となり、ポイント制の導入や返礼品の見直しに加え、国の寄附控除制度の改正などにより、寄附額、寄附件数とも大幅に増加しております。

  また、市民が本市及びほかの自治体にふるさと納税を行った結果として、平成28年度に本市の市民税から控除した額は2,790万円で、前年度比2,196万円の増加となっており、減収額も大幅に増加したところでございます。

  平成27年度におけるふるさと納税の寄附受け入れ額から平成28年度に同制度に伴う個人住民税流出額を差し引いた収支の目安額を見ますと、本市は約5,980万円のプラスとなっておりますが、ここから返礼品代約4,400万円を差し引きますと、約1,500万円が本市の実質的なプラス分となります。

  さらに、県内の状況を見ますと、先ほども申し上げましたふるさと納税収支目安の黒字額が最も多いのが大田原市の約2億4,837万円で、赤字額が最も多いのが宇都宮市で1億6,881万円となっております。なお、県内の自治体のうち、ふるさと納税収支目安が赤字となる自治体は9市町あり、自治体の取り組みによって、ふるさと納税の効果にばらつきが出ている状況であります。

  次に、地方交付税算定への影響でありますが、ふるさと納税による収入につきましては、寄附金収入として取り扱われます。普通地方交付税は市税などの収入をもとに算出される基準財政収入額と地方公共団体の標準的な歳出から算出される基準財政需要額の差を交付基準として、その財源不足額が交付されるものであります。したがいまして、寄附金収入は、基準財政収入額に算定されませんことから、ふるさと納税による収入で、地方交付税が減額されるといった影響はありません。

  先ほど申し上げましたように、市民の皆様がふるさと納税により、ほかの自治体へ寄附を行った場合、寄附額の一部が市民税額から控除されますので、本市の市民税収入は減少いたしますが、地方交付税の算定におきましては、市民税収入の75%が基準財政収入額に算入されますことから、ふるさと納税による市民税の減少額のうち、25%は減収となりますが、その75%は地方交付税により補填される仕組みになっております。このようなことから、現行の地方交付税制度によって、ふるさと納税の流出における減収額の大部分が補完されているものと考えております。

 

 

P.85

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.85

◆4番(針谷育造君) それでは、もう一度確認します。

  他市町への流出額が2,790万円、純粋に残ったお金が1,500万円、そうするとこの1,500万円を例えば返礼品で4,433万円、それにはいろいろ諸手続等でお支払いしている金額も入ると思いますけれども、職員人件費はこの1,500万円との関係はどのような状況になりますか。

 

 

P.85

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答え申し上げます。

  ただいま申し上げました4,400万円には算入されておりません。

 

 

P.85

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.85

◆4番(針谷育造君) 「大山鳴動して」1,500万円、まさに政府にとっては、全国を見渡して大変プラスになっているところもあるでしょうけれども、税そのものというものに基本を置いた行財政運営、特に税収を上げるということにつきましては、何かをもらうために寄附をする、税金を節約するというようなことが出てくると、これは大変な問題になると思います。

  それでは、もう一点再質問したいと思います。栃木市の最高寄附者、そして返礼率というのはどのように栃木市ではなっておるでしょうか。

 

 

P.86

◎総合政策部長(早乙女洋君) 再質問にお答え申し上げます。

  最高寄附者ということでございますけれども、昨年度、平成27年度の寄附者で最も多い金額を寄附いただいた方につきましては、120万円でございます。本年度、28年度につきましては、今のところ12月5日現在ということですけれども、50万円が最高金額となっております。返礼品の率でございますけれども、おおよそ5割ということになっております。

 

 

P.86

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.86

◆4番(針谷育造君) はい、わかりました。

  それでは、最も重要なことでありますけれども、発言明細3の今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。どこかの自治体のふるさと納税が増えれば、どこかの自治体の収入が減る、全国の自治体全体の税額は変わらない中で、こんな不毛な奪い合い競争に血眼になるより、全国の自治体の財源を増やす方法に汗を流すべきではないでしょうか。本市はふるさと納税に今後どう取り組んでいくのかを伺います。

  さらに、返礼品等の充実を図り進めていくのか、あるいは国に働きかけ、無謀で不毛なこの制度を廃止するのかを伺いたいと思います。税の基本は、税の公平、公正性、安定性、応能応益制、納得するなどを壊していないか。また、地方交付税制度の充実を国に対し求めるべきでありますけれども、このようなことは過去にあったのかどうかについてご答弁をお願いしたいと思います。

 

 

P.86

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答え申し上げます。

  総務省の統計では、昨年度のふるさと納税による寄附額が前年度比で約4倍に増加しており、本市についても同様に昨年度の寄附受け入れ額、住民税の流出額とも前年比で約4倍となっており、今後もこの傾向は続くものと推測されます。

  先ほどの答弁でも申し上げましたように、県内の自治体において、その取り組みによっては、ふるさと納税制度による収支目安が赤字となる市町が見られるなど、ふるさと納税制度による自治体間の競争は、ますます激しくなることが予想されます。

  また、本市の制度では、寄附額の約半分相当が返礼品として、事業者へ支払われることから、昨年度は約4,400万円が売上金として地元経済の振興に貢献したものと考えております。実際に返礼品取り扱い事業者からは本制度が新たな商品開発や自社ブランドPRの機会提供となっていることや、新たに返礼品の取り扱いを希望する事業者が増加するなど新たな産業振興策として評価する意見もいただいております。

  さらに、本市における寄附金の使い道として、「市長おまかせコース」の取り組みが、ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」で表彰されたことや、地下鉄に掲載した本市のふるさと応援寄附の広告がツイッターなどSNSを通じて話題になったことなど本市の取り組みが全国に広く周知されることで、本市のイメージアップにつながることも期待されます。

  このような状況を見ますと、ふるさと応援寄附制度は、新たな財源涵養策という面だけでなく、産業振興やシティプロモーションといった面で相乗効果を発揮する取り組みでありますので、ふるさと納税に伴う収支が赤字とならぬよう、寄附者にとって魅力的なふるさと応援寄附制度を目指し、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.87

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.87

◆4番(針谷育造君) 積極的に取り組んでいくという極めて現実を是認したというような答弁でありますけれども、例えば再質問させていただきますけれども、先ほど出ました元総務大臣、片山善博氏は、「ふるさと納税即刻廃止、導入した国は無責任だ」。これは下野新聞の11月25日に大きく囲み記事で載っておりますけれども、総務省のホームページ見ますと、地方交付税制度の概要で、この交付税についてのいろいろな意見を求めている、そういう制度になっておるようではありますけれども、栃木市として交付税制度について、これから働きかけをしていくということはあるのでしょうか。

 

 

P.87

◎財務部長(小林敏恭君) 交付税の関係でございますので、私のほうから答えさせていただきたいと思います。

  議員おっしゃるとおり、総務省のホームページの中で、地方公共団体からの意見申し出制度がございます。その中で、このふるさと納税制度についての減収補填についての取り組みが必要ではないかというような意見が2件ほど他の自治体から出ております。本市につきましては、このふるさと納税制度にかかわらず、合併という大きな取り組みをした中で、合併による算定経費が需要額ですけれども、総合諸経費や、あるいは消防経費という中で、合併による算定経費についての件につきまして、ヒアリングの際、県を通しての国への報告ということになるのですけれども、そういった際にこの制度以外の合併関係についての申し出をした中で、需要額として取り入れていただいたというような状況がありますので、このふるさと納税制度についての減収補填について、国への意見申し出は過去においては行っておりません。

  以上です。

 

 

P.87

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.87

◆4番(針谷育造君) 減収分についてということでありますけれども、私がここで言いたいことは、交付税制、交付税そのものが例えば性格という、地方交付税は本来地方の税収入とすべきであるがという、まさに地方にとっては地方交付税は地方の財源なのでありますけれども、再質問ということでお願いします。全国市長会や市議会議長会等の地方六団体、まとめて廃止を働きかける。今の答弁ですとないようでありますけれども、再度確認をしたいと思います。

 

 

P.87

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答えを申し上げます。

  廃止に向けた要望を行うべきではないかといった質問かと思います。確かに今までの答弁の中でも述べておりますけれども、このふるさと納税については、ある程度の課題はあると認識はしております。一方、都市部に対して納税される税金の一部を知恵と工夫によって頑張る地方を応援するとしたふるさと納税の趣旨、最初はそういう形で始まっておりますので、そういった趣旨に対しては一定の効果があるのではないかというふうに考えております。

  それから、先ほども申し上げましたけれども、返礼品による地域経済の活性化といった効果も見られるところでございます。さらに、シティプロモーション、栃木市を紹介するといった一翼も担っているものと考えております。

  そういったことから、今後も本市ならではの取り組みを進めたいというふうに考えているところでございまして、また地方六団体等を通じてということでございますけれども、それぞれの自治体の間においても、取り組みや考え方に温度差があるところでございまして、今のところ足並みがそろう状況ではないと考えております。そういったことから、このふるさと納税制度について廃止に向けた要望という考えを行うことは今のところありません。

  以上です。

 

 

P.88

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.88

◆4番(針谷育造君) それでは、私のほうでまとめておきますけれども、本来地方交付税を増額し、きちんと配分するのが地方財源確保の王道ではないかと、私はそのように思っております。まさに栃木市1,500万円を純粋に手に入れるために、大きな問題もたくさん抱えていることも明らかになってまいりましたので、今のその金を欲しいということではなくて、地方行財政、そして財政の根本のあり方をもう一度お願いをして、次の質問に移らせてもらいたいと思います。

  発言要旨4、思川開発事業について。2016年6月、9月議会の中で思川開発事業による県南広域的水道整備事業は、市民にとって不利益になる可能性があるので、直ちに撤退すべきと述べてきました。前回の答弁で明らかにならない点について主に質問をしたいと思います。

  まず、市の基本的な考え方であります。現状の水道水は、地下水100%で、1日当たり2万立米余っている、このように聞いております。これは本当なのか。また、これは市民の何人分に当たるのか。例えば県南広域的水道整備事業の計画では、1人1日232リットル、こういうことでございますので、何人分に当たるのか。

  市は、県の計画にある地下水40%、思川の表流水60%の目標を納得して了解をしているのか。市民は果たして地下水100%であることを今までは何の疑いもなく水道水を飲んでおりましたけれども、市民は果たして納得できるのでしょうか。私はできないような気がいたします。栃木市水道建設課出前講座でも、昔から良質な地下水に恵まれ、水源は全て地下水からくみ上げ、少しの消毒や、ろ過のみで水道水になりますと説明しております。こんな恵まれた栃木市の宝である地下水を捨てることになったとしたら、市民の納得は得られないと思います。

  さらに、危機管理のために表流水を導入する理由で、市民を今申し上げましたように、説得する自信があるのでしょうか。2013年検討部会で水道整備基本構想の位置づけが決まり、県南関係市町協議会の合意見通し、その時期はいつなのか、執行部の考え方を伺いたいと思います。

 

 

P.88

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答え申し上げます。

  まず、地下水100%で、1日当たり2万立方メートル余っているのかでありますが、浄水場で供給する水道水の供給量につきましては、議員もご存じのとおり、家庭で使用する水道だけではなく、営業や工場における使用量なども含まれ、さらには火災時における消火水量なども上乗せした水量で計画をしております。また、浄水場はそれぞれの給水区域を有しており、ほかの浄水場への区域へは災害時に必要最小限の水道水を供給できるだけの太さの管でしか結ばれておりませんので、自由に水の融通ができるわけではありません。

  さらに、給水区域に水道水を安定して供給するためには、これらのことや井戸が壊れてしばらく使えなくなるといったことも考慮し、浄水場単体で必要な水量を確保していくことが必要となります。本市では17の浄水場があり、それぞれで必要な水量を計画地として確保していくことになりますので、全ての浄水場の計画値と実績値を単純に合計した差で水余りを論じることは困難であり、一言で水余りと表現することは適切でないと考えております。

  次に、市は県の計画にある地下水40%、思川の表流水60%の目標に納得しているのかですが、これは県が平成25年3月に作成した栃木県南地域における水道水確保に関する検討報告書において、県南地域と同様の環境にある隣接県や県内のほかの地域の現状や取り組み状況を参考に、県が政策的に基本目標として定めたものでありますので、これをもって各市町における将来の地下水依存率を必ず40%にしなければならなくなるというものではありません。本市の立場としては、報告書に記載されているようなことを踏まえれば、県の考え方は理解できるということであり、将来本市においても、さまざまな危機管理を考慮した場合、表流水も含めた水源の再編などの検討を行うことは想定されるという状況であります。

  次に、危機管理のために表流水を導入する理由の説得力は何かにつきましては、これまでの議会での答弁でお答えしたとおり、市が栃木県南地域における水道水確保に関する検討報告書に賛意を示した理由は、長期的視点に立ち、将来における地下水の枯渇、汚染、地盤沈下等の可能性を否定することができない。地下水に100%頼れないことが生じるかもしれないという可能性を踏まえ、市民生活及び産業に不可欠な水を安定的に確保するために表流水を取得する道も確保しておきたいという考えからであります。地下水の枯渇や汚染につきましては、何よりもその実例がありますし、地盤沈下につきましては、水道水の地下水取水との因果関係は明確ではありませんが、その可能性を否定することもできないと考えているところであります。

  最後に、県南関係市町の合意形成の見通しですが、県南広域的水道整備事業につきましては、県及び関係市町により構成する県南広域的水道整備事業検討部会において、これまでに県内の用水供給事業施設の視察、思川開発事業の進捗状況などについて情報交換を行っている状況でありますので、合意形成の時期については未定であります。

  以上です。

 

 

P.89

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.89

◆4番(針谷育造君) 大変納得のできない答弁でありました。特に2万立米余っているという統計的な数字があるにもかかわらず、そのことに対していろいろ理由を述べて答弁しているような気がいたしますけれども、例えば地盤沈下、これは再質問ということでお願いしますけれども、合意見通しの時期もわからない。では、行政というのは一体何なのだと私は言いたいのです。計画性があり、そして実現可能性があるから、そういう計画にのせていくわけでありますけれども、時期が明らかにならない。しかし、県では平成29年までに市長から県に要望を出してくれと、策定要請してくれという日程も明らかになったわけです。水道整備基本構想の位置づけ、さらにはスケジュールということになっておるわけでありますので、まだ今ここに来てわからないというのは、まさに行政としての計画性や実現性等についての責任ある答弁と思いませんけれども、私が言った平成29年、この時期に県に対して策定の要請をする予定で進んでいるのでしょうか。

 

 

P.89

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答え申し上げます。

  先ほどから申し上げておりますように、検討をしている段階ということでございます。これからそういったことについては話し合われるというふうに考えておりますので、平成29年の要請ということにつきましては、未定でございます。

 

 

P.89

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.89

◆4番(針谷育造君) これ以上お話を聞いても同じ答弁だと思いますので、次に市民等への説明について、これは市長にお願いをしております。

  自治基本条例を持ち出すまでもなく、市民生活に重大な影響が出る水道水については、丁寧に説明し、納得してもらうための情報公開、説明責任が重要であります。具体的に市民参加で決めていくことが協働の姿勢の基本であると私は思っております。本事業は、市民生活に大きな影響を及ぼすものと考えるが、市として参加すると判断する時期や県南広域的水道整備計画を市民や議会に説明する時期をどのように考えているのか伺いたいと思います。

  また、自治基本条例に規定されている市民との情報共有や市民参画などをどのように保障するのか伺いたいと思います。

 

 

P.90

◎市長(鈴木俊美君) 前回の議会での答弁でもお答えをしておりますが、県南地域を対象とする広域的水道整備計画あるいはその事業につきましては、現在県南広域的水道整備協議会及び県南広域的水道整備事業検討部会においてそれぞれ検討をしているところではありますが、現時点では市民や議会に対してそれ以上具体的な内容について説明できるまでの熟度には到底達しておりません。これまでの県南広域的水道整備事業検討部会において、県から事業の経費の額あるいはスケジュールのそれぞれの案が資料として示されたこともありますが、それらはあくまでもその時点で考えられる概算の経費あるいはスケジュールを県が示したものであります。

  今後、県南地域を対象とする広域的水道整備計画や、その事業の具体的な内容については、給水エリアも含めて改めて施設の内容や受水量を県と協議していくことになります。したがいまして、現時点で市としての判断時期や県南広域的水道整備計画を市民や議会に説明する時期を求められても、そもそもその計画そのものがまだ中身はほとんど固まっていないわけでありますので、そのようなことを言うだけとなってしまいますので、具体的な時期をお尋ねになられても、それを示すことは現時点ではできません。今後、県南広域的水道整備事業検討部会などにおきまして、検討が進み、市民や議会に対して県南地域を対象とする広域的水道整備計画あるいはその事業の具体的な内容について説明ができる状況になり、市としていよいよこれについてどう考えていくかを判断をすべき時期となった際には、積極的にもちろん市民の皆さんあるいは議会にも情報を提供し、意見を求めていくのは当然であります。それは自治基本条例云々の前に当然のことではありますが、現時点ではまだその時期とは考えていないということであります。

 

 

P.90

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.90

◆4番(針谷育造君) 再質問するのもおっくうなのですけれども、今まではそれで通ったと思いますけれども、南摩ダムは来年度27億円だか着工費用が予算化され、南摩ダムが建設されるということが始まったわけであります。とすれば南摩ダムは何のためにつくるのかといえば、利水と治水、利水の主なものは鹿沼市を初め小山市、この県南の協議会あるいは千葉県あるいは茨城県等の各市町村がその水利をとるということになると思いますので、ダムがきちんと計画され、そしてその次に出てくるものが利水ということになってくれば、当然そんな悠長なことを、そしていまだにその時期が発表できないとしても、こういう状況で進んでおりますと、そのことは言えると思いますけれども、いかがでしょうか。

 

 

P.90

◎総合政策部長(早乙女洋君) お答え申し上げます。

  あくまでもこの計画につきましては、県の計画でございます。県のほうで今そういったところを詰めている段階というふうに考えております。県のほうから照会があった時点で、集まって検討を開始するというふうに考えてございます。

 

 

P.91

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.91

◆4番(針谷育造君) これ以上申し上げませんけれども、結局この事業というもの、あるいはふるさと納税も含めてそうです。市が国や県の言うことを聞いてやるのか、市民の利益を考えてやるのかの判断が市長に問われていると思います。これは執行部の支えている皆さんにも問われていると思います。国と県と自治体の有効な関係は全く必要でありますが、そのために将来の負担を市民にさせる権利は市長といえどもないような気がいたしております。こんな例えもできるのではないでしょうか。県南広域的水道整備バス事業、このバスに市民を乗せて、今は乗せようとしております。行き先もわからない、料金もわからない、途中下車ができるのかもわからない、そのようなバスに市民合意のないまま市民を乗せる権利は市長といえどもないと思います。行政の原則からも逸脱していることではないでしょうか。納得してバスに乗る権利を市民はひとしく持っております。さらに、実現するための計画性、妥当性、費用対効果の検証もないまま県の指示に従うことはぜひやめていただきたい。なぜなら市長は将来の市民生活に責任を持っているからであります。

 

 

P.91

○議長(海老原恵子君) 針谷議員、既に持ち時間を経過いたしました。

 

 

P.91

◆4番(針谷育造君) ええ、ちょうど終わりです、こちらも。

 

 

P.91

○議長(海老原恵子君) 質問を直ちに終了してください。

 

 

P.91

◆4番(針谷育造君) はい。

 

 

平成29年  3月定例会(第1回) - 03月01日-03号

P.110

○議長(海老原恵子君) 4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.110

◆4番(針谷育造君) それでは、通告に従い質問したいと思います。4番、栃木新風会、針谷育造。1つ、株式会社観光農園いわふねについて、2、水道行政について、3、人材育成基本方針と職場実態についてであります。

  発言要旨1、株式会社観光農園いわふねについて。まず、観光農園の経過を若干述べさせていただきます。平成13年観光農園構想、当時の状況は県立みかも山公園、とちぎ花センターに年間60万人とも言われる来場者が県内外から訪れ、農産物直売所は年間3億円近い売り上げを上げておりました。三毳山周辺地帯を観光農園の拠点として開発する計画が出される中で、株式会社観光農園いわふねは平成15年2月25日、岩舟町、JA、農業者が出資する第三セクターの農業生産法人、当時は有限会社でありました。300万円の資本金、町が150万円、JA75万円、農業団体70万円で設立をいたしました。町が筆頭出資者となり、JAとともに農業活性化を推進する観光農業の推進役を担う構想に基づき、平成15年4月に農林水産省補助事業、経営構造対策事業の認定を受け、平成15年から平成17年にかけ総事業費80億1,762万円、内訳は国庫補助3億5,926万円、県1,595万円、町2億7,534万円、農協1億6,347万円、地元360万円で施設設備の建設に着手をいたしました。総面積10万3,944平米、内訳はイチゴ、ブドウ、トマト、梨、花、ブルーベリー、野菜農園、貸し農園、その上にハウス112棟、農産物直売所花野果ひろばは1棟768平米、駐車場棟を整備しました。

  しかし、平成15年会計年度の設立以来、会社の運転資金不足の結果として5,000万円を借り入れ、当初から借金体制の苦しい経営を余儀なくされました。平成17年会計年度の債務超過は4,753万円、平成18年度6,242万円、平成19年度7,058万円、負債も1億381万円の大台となりました。平成20年12月の改善計画に基づき、町が1億円を限度に融資条例を制定、3月補正で2,000万円、平成21年5月6,500万円を融資し、経営改善を図ったが、平成20年度の債務超過8,167万円となりました。平成21年度経営計画改善計画2度目を作成し、資本金2,450万円に増資をいたしますが、依然として債務超過は8,172万円、平成22年度1億265万円、平成23年度9,314万円、平成24年度には町は高設イチゴ施設等の補助金5,236万円を助成し、その結果債務超過6,036万円となりました。平成25年度で債務超過5,791万円、平成26年5,370万円、平成27年度で債務超過6,900万円と増加をしております。これが今までの経営経理の状況であり、単年度黒字のときもありましたが、債務超過体制は依然として続いております。

  そこで明細1、現在の経営状況を株主、市として把握をしているのかをお伺いしたいと思います。観光農園いわふねについては、その株式の88%を栃木市が所有をしております。平成26年の定期株主総会で市村隆社長は役員推薦を市に依頼していると報告をしております。それを受けて、平成26年6月6日、市長は当時の取締役、市村隆氏を推薦をしております。経営状況の把握は当然株主の責任、そこで観光農園いわふねの状況を伺いたいと思います。1つは、現在の経営状況をどのように把握しているのか、経営に当たり最も大事な取締役会の開催、資金計画等は適正なのかについてお伺いをしたいと思います。

 

 

P.111

◎産業振興部長(茅原剛君) お答えを申し上げます。

  株式会社観光農園いわふねの現在の経営状況の把握でありますが、まず現在の負債の状況について申し上げます。今年度施設整備等の先行投資における支出の増加により、借入金が平成28年度3月期の1億1,530万円から平成29年2月1日現在で1億9,700万円と8,170万円増加しております。また、観光農園いわふねで委託しております会計事務所で作成しました平成28年11月期の損益計算書によりますと、平成28年4月1日から11月30日までの当期純損益金額は4,965万4,901円の損失となっております。現在観光農園いわふねの主要な収入源でありますイチゴの収穫期となっており、最終的な損益につきましては3月末での決算となりますが、観光農園いわふねの経営にとって厳しい状況にあることは確認しており、市といたしましては、現状での収支状況を踏まえ、会計事務所、会社、監査役員らを交えまして、経営状況について把握、分析に努めているところであります。

  資金計画につきましては、平成28年6月15日の取締役会で可決され、平成28年度6月22日に行われました第13回定時株主総会に事業計画とともに予算として可決されております。また、経営に当たっての取締役会は平成28年度において現在までに3回開催されております。資金運用を初め、会社の経営については社長を筆頭に、役員の責任において執行されているものと考えております。

  以上であります。

 

 

P.112

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.112

◆4番(針谷育造君) ただいまの答弁の中で、負債総額が1億9,700万円何がしに、1億1,530万円から8,700万円増えたということでありますけれども、この原因についてお話をしていただければと思いますので、ご答弁をお願いします。

 

 

P.112

◎産業振興部長(茅原剛君) 負債が増えた原因としましては、金融機関からの借り入れ、あとは取締役、役員の方からの個人からの借り入れというものがありまして、その部分が増えているということでございます。

  以上です。

 

 

P.112

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.112

◆4番(針谷育造君) 再質問したいと思います。

  設備投資をしたということで、その裏に私どもが聞いている範囲内のことで質問したいと思います。観光農園いわふねの助成事業が昨年の2月ごろに交付金として、そういうお話があったということを私は聞いておりますけれども、その辺のことについてのわかる範囲内での答弁をお願いできるでしょうか。

 

 

P.112

○議長(海老原恵子君) 針谷議員に申し上げます。ただいまのご質問は、事実関係の整理、確認が必要な内容が含まれていると思われますので、現段階で執行部にただすべきものではないと思われます。針谷議員自身においてその内容を整理していただいた後に、改めて質問をいただければと思います。

  次の質問に移ってください。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.112

◆4番(針谷育造君) それでは、私のほうでつかんでいることを、これは正確な数字でございますので、発表させていただいて、そのことが合っているかどうかについて答弁を願いたいと思います。

 

 

P.112

○議長(海老原恵子君) 針谷議員、それも項目を立てて、次の機会に質問していただければと思います。

 

 

P.112

◆4番(針谷育造君) ここについては、まさにこの観光農園いわふねの心臓部でございますので、そういうことを議長の口から言われるということについては、例えば市の大株主であります栃木市は、そのことについて状況を把握していたのかどうか、これが最初の質問で、私は経営状況を株主として把握しているのかと。経営と言えば全てが含まれるわけでありますので、そのことについての質疑ということで、通告していないからということではないと私は思っておりますので、議長の考え方をぜひ訂正をお願いして、私の質問を続けさせてください。

 

 

P.112

○議長(海老原恵子君) 申しわけありませんが、市はあくまでも株式を出資している立場でありますので、ただいまの質問はその立場にそぐわない内容であるかと思います。これを提出していただいたときに、針谷議員とは何度もお話し合いを重ねてこの質問に至ったと聞いておりますので、今の質問の内容になってきますと、最初に出されたそぐわない質問に限りなく近くなっておりますので、その点を考えて質問をしていただければと思います。

  次の質問に移ってください。

 

 

P.112

◆4番(針谷育造君) いえいえ。そういうことになりますと、これ以上質問を続けるわけにはいきませんけれども、これは非常に、例えば今言いましたように1億9,000万円近い借金が増えているわけであります。その原因は何かということを聞くのは議会として当然なのではありませんか。

 

 

P.113

○議長(海老原恵子君) 損失部分だけでよろしいのですか、それは。

 

 

P.113

◆4番(針谷育造君) 損失の原因も含めてです。

 

 

P.113

◎産業振興部長(茅原剛君) 認識している部分のみというお話ですので、議員がどういうところをお聞きしたいかというのはちょっとよくわからない部分がありますが、お話を申し上げます。

  融資といいますか、交付があるという話があったことの経緯というような趣旨だというふうに思ってお答えをしたいと思いますけれども、観光農園いわふねで以前からおつき合いのあった会社がありました。その会社に対して、ある人物が融資話を持ち込んで、その話で、ある財団から観光農園の事業を非常に高く評価しているので、その事業に対して資金提供をするという話がそのおつき合いのある会社に対してありました。そのおつき合いのある会社が観光農園いわふねにその話をしたと。その話の中で、そういう資金が提供されるならば、それを有効に活用し、今まで設備投資等がなかなかできなかったものについて、それを活用していきたいというふうな意思が会社の中で出てきて、それが固まって、それを実行に移したというのが全体の構図ですが、その持ち込まれた話が実は架空といいますか、虚偽といいますか、実態はそういうことがなかったということが後日判明したというようなのがその一連の、多分議員がおっしゃっていることの流れだというふうに思います。

  以上です。

 

 

P.113

○議長(海老原恵子君) 針谷議員に申し上げます。

  やはり事実関係の整理と確認は、まだできていない質問でありますので、次の質問に移ってください。

  針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.113

◆4番(針谷育造君) 肝心の1丁目1番地はその辺にして、答弁をしないということについては非常に遺憾でありますので、それでは明細の2に移らせてもらいます。

  仮に1億8,000万円近い負債が現在の負債でありますけれども、今言いましたように資金の当てのない設備投資をしたということで、当然損失が出た場合の責任の所在と市への影響、これは免れないと私は思っております。今回の過去における経営改善の一環とは全く異質なものでありまして、岩舟町からも当初、先ほど申し上げましたように3億6,347万円、さらにその後2億円近い金をこの観光農園に注いでおります。その状況は、生産を上げる、よい品をつくる、そういう意味で議会も町も設備投資がやむを得ないだろう、増資はやむを得ないだろう、そういうことでやってまいりました。

  しかし、今回の事例は、今部長が言ったように交付金をくれる。私が聞いたときも、ただで1億5,000万円もくれるなどということがあるはずはない。なぜそこで疑わなかったのか。私は、その状況の中で担当部長に聞きました。担当部長は、現金を見ない間は事業をするなと指導した。そういう状況が今までの経過であります。しかし、残念ながら観光農園はそのようなことを、指導を無視してそのような設備投資をしたわけであります。

  そこで、市はどのような経営指導をしているのか、また経営に損失が出た場合の影響についてどのように考えているのか伺いたいと思います。さらに代表取締役社長と取締役会、市の責任を伺いたいと思います。

 

 

P.113

◎産業振興部長(茅原剛君) 株式会社観光農園いわふねに対しましては、岩舟産業振興課が主幹課として指導を、支援を行っておりますが、会社経営、経理といった専門的知識を要するものにつきましては、必要に応じ観光農園いわふねで委託しております会計事務所などから意見を聞きながら指導を行っております。

  これまでも定例的に役員と協議を行ってきておりまして、特に会社としての機能が不十分であると思われます意思決定における役員会の開催や正式な記録や決裁の作成など、基本的な事項については何度となく指導をしてきたところであります。また、先ほど答弁したとおり、株式会社観光農園いわふねでは負債が大きくなっており、経営を圧迫している状況でありますが、平成29年3月期の資金繰りなどについては、観光農園いわふねが主体的に現状の把握に努め、キャッシュフロー作成により資金繰り、経営計画の見直しを実施して、必要とする資金調達は観光農園いわふね独自で実施するよう指導しているところであります。

  観光農園いわふねは、第三セクターとしてあくまで独立した法人経営体であり、自主的、主体的に健全経営に取り組むことが原則であります。市は、出資者として出資額に応じた範囲において責任を負うものとされますが、観光農園いわふねの設立に大きく関与した立場と、公金を使って出資、貸し付けを行っていることから健全経営に向けた取り組みと自立化を支援し、適切な指導、関与を行う責任があると考えております。今後観光農園いわふねの借入金、補助金、設備投資状況等を踏まえ、観光農園いわふねの会社としてのあり方を検討するとともに、知名度、認知度も確実に高まっている岩舟地域を代表する観光農園事業を引き続き推進していくためにはどうすればいいのかといった視点に立って、市の関与につきましては慎重に検討してまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.114

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.114

◆4番(針谷育造君) 別に観光農園、経営状況について私は悪く言うつもりはないし、現実を聞きたいわけでありまして、例えば取締役会の責任であるとか、代表取締役社長の責任であるとか、これは当然出てくるというふうに思います。市の責任も当然出てくるということであります。

  それでは、発言明細3に移りたいと思います。先ほど部長から答弁もありましたように、今後の指導を市はどうするのかということであります。外部の有識者や経営、経理の専門家を招聘し、徹底した調査が必要である。また、新たな経営計画の策定や経営体制の検討も必要ではないかと考えるが、市はどのように指導していくのかお伺いをしたいと思います。

 

 

P.114

◎産業振興部長(茅原剛君) 株式会社観光農園いわふねは、あくまで独立した経営体であり、自主的、主体的に健全経営に取り組んでいただくことが原則であります。しかし、会社の自立性を確保しながらも、市が管理、指導していくことは必要であると考えておりますので、取締役会との事前協議を実施し、経営に係る重要事項の把握が可能となる体制を構築すると同時に、担当課職員などがオブザーバーとして役員会、取締役会に出席できるよう、観光農園いわふねに対し要請していきたいと考えております。

  また、観光農園いわふねの経営は、設立時より常に債務超過状態となっており、その都度旧岩舟町が増資や貸し付け、補助などの資金提供をしてきました。こうした実態の本質はどこにあるのか、新たな経営計画を策定することや経営体質を検討し、それに基づき指導していくことは当然のことでありますが、このような根本的な部分を検証しない限りは健全な経営は達成できないと考えますので、先ほど答弁したとおり、評価が高く、今後の発展も大いに期待できる観光農園事業を継続、発展させていく手法とあわせて検討していく必要があると考えています。

  以上です。

 

 

P.114

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.115

◆4番(針谷育造君) 私も部長の答弁、大変前向きで、あれだけのロケーションを備えたところは県内でも非常に珍しい、そして貴重な場所であるというふうに私も思っております。経営者の刷新を初め、徹底的にこの問題を明らかにしながら、ぜひ再建、あるいはやめるという方法もあるかと思いますけれども、再建という方向を私は希望的に申し上げておきたいと思います。そして、自主的、主体的、まさにそのとおりだと思いますけれども、その能力がなければ、それは当然その任を解かざるを得ないというようなことも市としての考え方の中に入ってくるのではないかと思います。どうぞ観光農園いわふねについても、本当に市民の税金が、負債が、それだけ栃木市民が受けているようなつもりでぜひ再建をお願いして、次の質問に移ります。

  発言要旨2、水道行政について。平成26年4月、3度の合併を経て市の水道事業も統合され、それぞれの地域の特徴を持った形態が存続しながら事業を続けてまいりました。水道料金も暫定的に料金が設定され、平成31年9月正規分から統一新料金になる予定です。しかし、水道施設はそのままで引き継がれ、当面は現状維持であると思われます。今年の1月13日の下野新聞は、2015年末、県内主要水道管耐震進まず、適合率31%、全国を下回る、このような見出しで報道されました。栃木市は、那珂川町に次いで2番目に低い4.2%であります。まさに今後想定される首都直下地震などの大規模の揺れに対応できるのか、ライフラインの確保はできるのか、市の水道基本計画の安心、安定、管理、持続の基本方針の実現のためにも見過ごせない問題であります。

  発言明細1、主要水道管の耐震化について。1つ、導水管、送水管、配水管本管のそれぞれの地域別耐震適合率はどうなっているのか、2、配水支管の実態と地域別総計について、3、耐震管方針対策がおくれている原因は何か、4、事故発生時の危機管理対策についてであります。

 

 

P.115

◎建設水道部副部長(大塚孝一君) ご質問にお答えをいたします。

  まず、ご質問の主要水道管についてご説明をさせていただきますと、主要水道管とは水源から浄水場へ水を送る導水管と、浄水場から配水池へ水を送る送水管及び配水池から利用者の皆様へ水を送る配水管のうち口径が400ミリ以上の配水管を配水本管といいます。この3種類を合わせたものを主要水道管といいます。また、配水池や浄水場から利用者の皆様へ水を送る配水管のうち配水本管よりも口径が小さい管を配水支管といいます。主要水道管の延長は約66キロでありまして、配水支管の延長が1,077キロでありますので、配水支管に対しての割合は6.1%となっております。

  この主要水道管である導水管、送水管、配水本管のそれぞれの地域別耐震適合率についてでありますが、栃木地域は主要水道管の延長が約27キロに対し、配水管適合の延長は約0.7キロで2.8%、大平地域は主要水道管の延長が3キロに対して耐震化の適合はありません。藤岡地域は、主要水道管の延長が3キロに対して、配水管の適合はやはりありません。都賀地域は、主要水道管の延長が約6キロに対して、耐震適合管の延長は約1キロで18.7%。西方地域は、主要水道管の延長が約6キロに対して、耐震適合管の延長は約0.1キロで1.6%でございます。岩舟地域は、主要水道管の延長が約22キロに対して、耐震適合管の延長は約1キロで4%となっております。合計しますと、主要水道管の延長が約66キロに対して、耐震管適合の延長が約3キロで、新聞報道にもありましたように4.2%となります。

  次に、配水支管の実態と地域別総計についてでありますが、栃木地域の配水支管の延長は約374キロに対して、耐震適合管の延長は約25キロメートルで6.7%、大平地域の配水支管の延長は約155キロに対して耐震適合管の延長は36キロメートルで23.6%、藤岡地域の配水支管の延長は約141キロに対して、耐震適合管の延長は約18キロで12.6%、都賀地域の配水支管の延長が約155キロに対して、耐震管適合の延長は約4キロで2.7%、西方地域の配水支管の延長が125キロに対して、耐震管適合の延長は3キロで2.5%、岩舟地域の配水支管の延長が128キロに対して、耐震適合管の延長は約45キロで35.4%となっており、合計しますと配水支管の延長が約1,076キロに対して耐震適合管の延長は約132キロで12.2%となります。

  次に、耐震管更新の対策のおくれの原因についてございますけれども、主要水道管は耐震管ではございませんが、ダクタイル鋳鉄管を用いられており、石綿セメント管や硬質塩化ビニール管よりも丈夫であり、壊れにくいものでございます。このことから、本市主要水道管の耐震化よりも、先に総合計画で掲げ、優先して取り組むべき事業を推進しているためであります。具体的には1つ目として水道の普及率の向上で、地域の住民の皆様から要望の高い水道未普及地域である寺尾、大平町土与、国府町、久保田町、大平町牛久などへの整備事業。2つ目は、有収率向上のため、石綿セメント管や硬質塩化ビニール管の布設替え。3つ目として、水道施設の耐震診断の実施と主要水道管の耐震化工事の際に必要となる配水のバックアップ体制の構築並びに合併に伴う災害時の供給体制の確立として、浄水場間のネットワーク化が危機管理としても重要な施策であり、これらの事業を優先して実施していることが耐震化のおくれとなっております。

  次に、事故発生時の危機管理体制についてでありますが、栃木市水道事業危機管理マニュアルにより、災害や事故に対する体制を整えております。大規模災害の場合には、日本水道協会栃木県支部から県内外へ復旧支援を要請することができる体制もできております。施設運用の面では大平、藤岡、岩舟地域で行われているように、地域間の配水管を接続し、1つの浄水場の機能が停止しても緊急時に生活に必要な水を供給できるような事業を行っており、新たに栃木地域と都賀地域、都賀地域と西方地域、栃木地域と大平地域を連絡管で接続をしております。さらに、平成28年10月に給水車を購入し、非常時の応急給水がよりスムーズに行えるところとなったところでございます。また、大平、藤岡、岩舟地域では合併前から佐野市と災害協定を結んでおり、現在は栃木市として協定を継続し、非常時には大平、藤岡、岩舟地域は連絡管により佐野市から水の供給を受けることができ、平成27年の関東・東北豪雨では藤岡地区の水道施設が被害を受けた際に給水支援を受けました。また、日本水道協会栃木県支部を通じ、県内の事業体から給水車による応急給水支援も受けることができました。

  以上です。

 

 

P.116

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.116

◆4番(針谷育造君) それでは、次に進めさせていただきたいと思います。

  発言明細2、水道ビジョン計画について。市には、私の確認したところ水道ビジョン計画はないようでありますので、この策定に合わせて、1つ、耐震化計画について、その時期、期間、予算等がわかりましたら答弁願いたいと思います。2つ、耐震化の国庫補助事業等の活用をしながら実施すべきであるが、補助事業計画というものはこの耐震計画の中にあるのかどうなのかを伺いたいと思います。

 

 

P.116

◎建設水道部副部長(大塚孝一君) ご質問にお答えをいたします。

  水道ビジョンの計画は、平成29年度から平成30年度にかけて作成を予定しておりまして、この議会に予算案を提出しております。水道ビジョンは、厚生労働省が作成した新水道ビジョンに示された持続、安全、強靱の理想像を踏まえて作成するもので、まず持続については将来の更新計画や財政収支等を明示し、経営が継続できるようにするために必要な財務内容の検討であります。安全は、水質管理により常に安全な水を供給できるようにするものであります。強靱は、水道施設や重要配水管などの耐震化を推進すべきもので、災害時にも給水拠点や避難所、病院などへ給水できるよう耐震化を推進するものであります。このような内容を盛り込んで中長期的な視点に立ち、施設の改修、修繕、更新や維持管理に要する経費を考慮し、水道事業が将来も経営を安定させ、管理運営できるように計画するものであります。

  その水道ビジョンの中で、先ほども申し上げましたけども、強靱に位置づけられているのが耐震化計画となっております。耐震化事業の実施につきましては、先ほどの質問でもお答えしたとおり未普及地域の解消や石綿セメント管の更新並びに漏水の多い塩化ビニール管の布設替えなどは、主要水道管の耐震化よりも優先して行わなければならないため、水道ビジョンの計画の中で優先順位を明確にして実施してまいりたいと思います。

  なお、国庫補助につきましては、採択要件に厳しいものがございますけれども、要件に該当する事業は積極的に活用してまいりたいと考えております。

 

 

P.117

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.117

◆4番(針谷育造君) 要望しておきたいと思います。

  耐震化計画について、水道ビジョン計画の中でやっていくということでありますけども、早急に優先してということになっておるようでございますけども、これはいつ大きな地震が来るとは限りません。あしたに来るかもわかりませんけれども、時期、期間、予算等を精査しながら、できるだけ早い時期に着手できるよう水道ビジョンの策定を要請しておきたいと思います。

  次に、発言明細3番、有収率についてであります。有収率の向上は、水道経営を左右するものであります。配水した水のうち料金の対象となる水の割合、つまりくみ上げた水が家庭のメーターまで届いた歩どまりであるのではないかと私は思っております。有収率を上げることで収入が増え、経営改善に役立ち、水道の漏水、無駄をなくすことは結果として水の節約につながり、水源の涵養につながると考えております。

  1、合併の中で、この有収率も地域ごとに違うと思うが、県の渡良瀬川水系市町で最低の平成14年が76.1%、の有収率について地域別に伺っておきます。

  2つは、その原因と今後の対策。先ほどもありましたように有収率を上げるということは、即収入増ということにもなりますので、その辺のことを踏まえながら、原因と今後の対策をお伺いしたいと思います。

 

 

P.117

◎建設水道部副部長(大塚孝一君) ご質問の有収率につきましては、ご指摘のとおり県平均の83.3%を大幅に下回り、76.1%と低い状況にあります。地域別の有収率でございますが、現在各浄水場管に連絡管を整備し、多少配水区を変更しておりますため、地域別に有収率を選出することが現在できませんので、平成26年度の数値となりますけれども、平成26年度の有収率を報告させていただきます。栃木地域81.79%、大平地域77.97%、藤岡地域72.88%、都賀地域57.9%、西方地域72.78%、岩舟地域70.83%であります。特に都賀地域では配水管として硬質塩化ビニール管の老朽化が進んでいることと、地層が砂利層で漏水が地下に浸透してしまうため、なかなか漏水を発見しづらい状況でございます。

  現在その対策といたしまして、有収率80%以上の栃木地域を除く全地域において、専門的知識を有する民間に漏水調査を委託し、漏水の早期発見及び修繕に努めております。また、特に漏水の多い箇所につきましては、修繕だけでなく計画的な布設替えを実施しております。今後も継続して漏水対策を推進し、有収率の向上に努めてまいります。

  以上です。

 

 

P.117

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.118

◆4番(針谷育造君) 大変な地域差があるということで、またここでも驚きを禁じ得ません。

  そこで、再質問したいと思います。低いところの地域は申し上げませんけれども、まさに70%を切っているというようなところについては、もう計画段階、あるいはそういう調査ももちろん大事でありますけれども、取水した水の半分ぐらいしか金にならない、こんな水道、こんな経営をしているというところは全国でも珍しいと思います。有収率見ますと95%、栃木市クラスでいきますと90%というのが当たり前でございます。という意味の中では、合併という、そういうマイナス要因もあるかと思いますけども、これは近々に計画を立てながら、これを実施できる、そして予算措置もする、そのことが収入に結びつくとすれば、当然これは早急に計画を立て、先ほどの水道ビジョンを待つまでもなくやらなければならない。特に70%を切っているところについては、原因も今明らかなように申し上げておりますので、早急な対策をできるのかどうなのか、答弁を願いたいと思います。

 

 

P.118

◎建設水道部副部長(大塚孝一君) 早急な対策といいますか、私どもとしても年間に相当数の漏水に対する対策をしておりますけれども、やはり同じような地域で多発している、そういった箇所が統計的にわかりますので、そういったところについては先ほども申し上げましたけれども、面的にある程度区域的なものを抜本的に直していかなければ、これは要するに時間差で漏水が発生すると。きょう直しても、時間を置いてまた出てくるという、そういうイタチごっこになることは非常に非効率的でございますので、そうしたことも現実では起きていますけれども、そういった多発地域については、計画的に面的な布設替えを実施していくということで、平成29年度もそういったことを計画しているところでございます。

 

 

P.118

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.118

◆4番(針谷育造君) 平成29年度にやるというお話ですけれども、具体的にどの場所になるのですか。

 

 

P.118

◎建設水道部副部長(大塚孝一君) まずは、有収率が非常に低い都賀町地域、ここら辺を考えております。

 

 

P.118

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.118

◆4番(針谷育造君) それでは、次に移らせていただきたいと思います。 

  発言明細4、県南広域的水道整備事業の見直しについて。市の水道基本計画、安心、安定、管理、持続の基本方針の実現のためにも、水道事業の緊急の課題は配水管の耐震化と有収率向上、有収率だけではなくて有効率もあるようでございますので、その向上、対策が非常に重要で、そのことを実施するのでなければならないと私は思っております。県南的広域水道事業に取り組むよりも漏水対策、これが栃木市における水道事業の当面の近々の課題であるというふうに私は思います。県南的広域水道事業の河川水、市民の間では高くてまずい水を飲まされるのかと、10年後にそのようなことの可能性があるとすれば、市民とすればどうなのかと。大変今団体等でも動いているようでありますけれども、地域資源であるうまくて安い豊かな地下水、このようなことこそ今、市が選択すべきことではないのかというふうに思っております。この見直しはどのように考えられるのか、見直しがするのかしないのか、そのことについてお伺いしたいと思います。

 

 

P.119

◎建設水道部副部長(大塚孝一君) ご質問にお答えをいたします。

  県南広域的水道事業の見直しについてでございますけれども、水道施設の耐震化及び有収率の向上は、厚生労働省が示す水道ビジョンの理念の中で強靱に位置づけられており、東日本大震災のような大地震においても被害を少なくし、水道水の供給ができるようにすることは水道事業におきまして重要な施策であります。当然ながら老朽管の布設替え等も進めていかなければならないと考えております。

  一方、県南広域的水道事業つきましては、過去の答弁でもお答えをしてきましたとおり、長期的視点に立ち、将来における地下水の枯渇、汚染、地盤沈下等の可能性を否定することができない、地下水に100%頼れないことが生じるかもしれないという可能性を踏まえ、市民生活及び産業に不可欠な水を安定的に確保するために、表流水を取得することも、確保しておきたいという考えから参画しているものであります。こちらにつきましても市民生活や経済活動に安定して安全な水を供給するために必要と考えておりますので、どちらを優先するということではなく、並列して進めるものと考えております。

 

 

P.119

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.119

◆4番(針谷育造君) 大変同じ答弁をまた繰り返されて、そうかなと私も思いましたけれども、市民の立場で水問題をやっぱりきちんと考えなければいけないと私は思っているのです。市民に地下水の枯渇、今までも栃木市の歴史は長い歴史があるかと思いますけれども、枯渇した事実というものは一部の井戸を除いて、そしてその井戸はすぐに近くから掘り返せばできる。地盤沈下ほとんどありません。証明はここではしませんけれども、安定供給、まさに地下水の豊かな水を安定供給することは栃木市水道の全てであり、そのことは市民の生活、そして市民の余り公共負担、公共料金等の負担をさせないためにも、市民の立場に立ってこの水道問題をじっくり考えて、そして市民が納得できる理由を言いながら、この問題については取り組んでもらいたい。私の意見は、当然やめるべきであり、豊かな地下水、まさに栃木市の宝を宝として、いつまでも永久に後世に残していく、そのことを申し上げて質問を次に移りたいと思います。

  発言要旨3、人材育成と職場の実態についてであります。平成26年3月に栃木市人材育成基本方針が策定されました。今後の高度化、複雑化する行政課題に対応するために、職員の高い意識と高度な能力が求められ、優秀な人材確保とともに人材を育成をしていくことが非常に重要な人事戦略となる。合併による一体感の醸成を図りながら、個々の能力を高め、目指すべき職員像を明らかにし、その実現に向けて長期的視点で総合的に進めるとしております。

  そこで発言明細1、職場の実態について伺いたいと思います。人材育成基本方針を踏まえ、現実に職場の実態はどうなのかを伺いたいと思います。1つとして、正規職員と臨時的職員の実態について伺いたいと思います。人数、年間給与、勤務状況、これがどうなっているのかお伺いをしたいと思います。

  特に2番として、保育園の保育士の勤務実態についてであります。今国では働き方改革の名目で、同一労働、同一賃金が言われております。一番端的に、実態が比較的矛盾を抱えているのは保育職場ではないでしょうか。ここでも正規職員と臨時的職員の人数、給与、勤務実態を伺っておきたいと思います。

  さらに3つ目は、職員アンケートが実施されたようでありますけれども、仕事の量というところで、事務職員の半分以上54%、専門職の60%以上は仕事の量が多く感じていると答えているようであります。そういう状況の中で職場全体を見たときに、職員の健康がどうなっているのか、特に傷病休暇の実態はどうなのかお伺いしたいと思います。

 

 

P.120

◎総務部長(赤羽根則男君) ご質問にお答えを申し上げます。

  職場実態についてでありますが、消防職員を含めた正規職員数は本年2月1日現在で1,385人、また一般行政職の平均給与月額は平成29年度予算書の一般会計給与費明細書に記載しておりますとおり38万3,484円で、1日の勤務時間は7時間45分となっております。

  次に、臨時職員につきましては、2月1日現在で職員数が405人、フルタイムで勤務する事務補助の職員の平均的な賃金月額は13万1,600円、また1日の勤務時間は基本的には7時間45分となっております。

  次に、非常勤職員につきましては、2月1日現在で職員数が317人でありますが、その報酬や勤務時間は個々の職務によりさまざまでございまして、例えば1日の勤務時間が7時間45分で、1週間に4日勤務する福祉分野の相談員等の月額報酬は16万8,880円となっております。

  次に、保育園の保育士の勤務実態でありますが、まず市が設置しております公立保育園11園と認定こども園1園における保育士の人数につきましては、2月1日現在園長と育児休業取得者を除いた206人の保育士うち正規職員が74人、非正規職員が132人となっております。なお、非正規職員132人のうち臨時保育士が78人、嘱託保育士が54人となっております。

  また、給与でありますが、正規職員につきましては、先ほどお答えいたしました正規職員の平均給与月額と同水準となります。一方臨時保育士につきましては、フルタイムで勤務する職員の平均的な賃金月額は16万6,000円で、そこに時間外勤務手当が加わります。なお、嘱託保育士の報酬につきましては、月額17万4,200円に割り増し報酬を加えた額になっております。

  続きまして、勤務体制でありますが、正規職員と同様に非正規職員もローテーションを組み、それぞれの勤務時間を調整しながら勤務しております。

  次に、長期傷病休暇の実態ですが、今年度当初から休職していた職員と年度途中に休職となった職員を合わせますと13人が休職しております。なお、昨年度は病気休職者は年間を通して10人でありました。

  以上でございます。

 

 

P.120

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.120

◆4番(針谷育造君) 正規職員と臨時的職員の実態についてお伺いいたしましたら、賃金で約4割、そして職員構成でいいますと40%ぐらいになるのでしょうか。こういう一般事務職場という。人材育成基本方針を見ますと、この中で臨時職員を効率よく使うというようなことが述べられております。保育職場でも同じことが言えると思います。

  そこで、総務部長にお伺いいたします。この差額について、国は同一労働、同一賃金というような形を現在とろうとしておりますけれども、総務部長の考え方、正職員と臨時職員のこの格差、これをどのように考えているのか、まずお伺いしたいと思います。

 

 

P.120

◎総務部長(赤羽根則男君) ただいまの針谷議員の再質問にお答えします。

  同一労働、同一賃金というようなお話がありましたが、原則働く職員の賃金につきましては、同一労働、同一賃金というは原則なのかと思います。しかしながら、正規職員という言い方もどうかというような言い方もありますが、正規職員につきましては長年の何十年という経験の中で給与も上がっていくような仕組みとなっております。一方臨時職員につきましては原則半年の雇用、そして最大1年というような中での雇用となっておりまして、そこに賃金体系の中では経験が積み上げられないというような形式という形になっております。

  こういったことで、どうしても正規職員と臨時職員については賃金の差が出てくるのはやむを得ないと思いますが、国においてはやはり公務職場における正規職員と、それに対する非常勤、臨時的任用職員との差について、そのあり方をどうするかということで検討しているというような状況もありますので、そういったことで国の動向を見ながら賃金というものは見直す必要があるかと思っております。

  それとともに、やはり近年、特に保育士の関係でございますが、やはり保育士不足というような中で、臨時、非常勤の職員の賃金を近隣の市町村でも上げているというような状況がございます。そういった中で、本市につきましても平成29年度からは若干でありますが、そこら辺の賃金を引き上げるような動きでありますので、やはりさまざまな国、あるいは周囲の市や町の状況を見ながら、臨時職員、非常勤職員の賃金ついては、非常勤職員については報酬となりますが、その引き上げについては検討をしていきたいと、そういうふうに考えております。

 

 

P.121

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.121

◆4番(針谷育造君) 再質問をいたしたいと思います。

  やはり部長にでありますけれども、栃木市から臨時職員が全くいなくなってしまったとなったら、職務は回りますか。

 

 

P.121

◎総務部長(赤羽根則男君) 単純に言えば回らないということになりますが、きっとこれは地方公務員法自体が昭和25年当時にできた法律でありまして、当時は当然臨時職員とか、そういうことは想定していなかったのかなと思っています。そういった中で、臨時職員については半年、最大延長して1年という中で規定があるわけでございまして、現在の実際の雇用を見てみますと、なかなか半年とか1年でその方にやめていただくというようなことができない中で、やはり当時の法律の考え方と今の実態がそぐわないというようなことがありますので、そういった意味では臨時職員の役割というもの、あるいは非常勤の役割というのは非常に大きいという中で、そういう方たちがいなくなれば、当然市の業務も、全ての業務、特に福祉分野に多いのかと思いますけれども、そういったところの業務は回らなくなってくると、そういうふうに考えております。

 

 

P.121

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.121

◆4番(針谷育造君) 要望ということで申し上げたいと思います。もう10年も前からワーキングプア、こういう言葉がありますけれども、まさに部長の心のうちではそのようなつらい思いもしているのかなと、私にはわかるような気がしますけれども、まさに労働者の底辺の人たちの給与、勤務条件を上げるということの一つの仕事は、行政の仕事の中にも私はあると思うのです。市民が豊かになるということが行政の一つの大きな使命だとすれば、ワーキングプアを残念ながらみずからつくっているような状況だけはやめていただきながら、臨時職員あるいは職員の待遇改善に努めていただきたい、これは要望でございます。

  それでは、発言要旨3、人材育成と職場の実態についてお伺いしたいと思います。

 

 

P.121

○議長(海老原恵子君) 今度(2)です。人材育成基本方針について。

 

 

P.121

◆4番(針谷育造君) 大変失礼をいたしました。

  それでは、発言明細2、人材育成基本方針についてお伺いしたいと思います。1つは、明るい職場、職員同士信頼できる職場をどのようにつくっているのか。2として、中でも1日8時間職場にいる中での職場研修はどのようになっているのか。3、人事評価で個人評価とともにグループ評価を導入する考えはあるのかどうか、この3点についてお伺いしたいと思います。

 

 

P.122

◎総務部長(赤羽根則男君) ご質問にお答えを申し上げます。

  明るい職場、職員同士が信頼できる職場づくりについて、どのように取り組むのかについてでありますが、人材育成基本方針の中の生き生きと仕事に取り組める職場環境という柱に掲げておりますとおり、常日ごろから情報の共有化を図るため、職場ミーティングの実施や庁内の相互応援体制の構築などとともに、ハラスメント研修や職員の健康管理、特にメンタルヘルス対策のほか、ワークライフバランスの推進などに取り組んでおります。また、仕事以外の場での部課の枠や世代を超えた職員同士の交流も必要と考えまして、職員厚生会の事業として、毎年市長、副市長も参加しての懇親会を3回ほど実施しております。また、今年度はボウリング大会やフォトコンテストなども実施し、これまで以上に職員が交流できる機会を設けましたが、このような取り組みを継続して進めることで、職員が生き生きと仕事のできる職場環境を築いていきたいと考えております。

  続きまして、職場研修についてお答えを申し上げます。職場研修は、日々の職場において上司と部下、先輩と後輩との間で実務を通じて行われるもので、職員の能力向上のためにはとても有効と考えております。このため、各課の庶務担当係長を職場研修の推進役に位置づけ、毎年職場研修のリーダーに必要な知識や技術の習得を図る研修を実施しております。しかしながら、どうしても職場間の取り組み状況に差異が生じますので、昨年8月にはOJTハンドブック、OJTとはオン・ザ・ジョブ・トレーニングの略ということで、日常の職場で実務を通じて行う職場研修という意味でございますが、そのOJTの手引書を作成し、庁内イントラネットから全職員が確認できるようにいたしました。この手引書を参考として、各職場の実情に合った研修が推進されるよう引き続き職員に働きかけをしていきたいと考えております。

  次に、グループ評価の実施についてお答えを申し上げます。本市の人事評価制度は、市独自の部分もございますが、総務省で示された目標管理に基づく業績評価を導入しておりまして、まず年度当初に部長から課長に部の組織目標が示されます。その後各課長は部下に、課の組織目標を示し、各職員は課長から示された組織目標を実現するためのより具体的な個人目標を設定いたします。このような流れにより、部や課の組織目標は、個々の職員の個人目標に置きかえられ、年度末には1年間の働きぶりを振り返り、育成面談がなされ、1次あるいは2次評価が行われます。このような評価の過程を通じて、個々の職員の意識と能力を高めることにより組織力が向上し、人事評価制度導入の本来の目的であるよりよい市民サービスの提供につながるものと考えております。

  いずれにいたしましても、現在の評価制度は緒についたばかりでありますので、当面は個人評価のみを行ってまいりたいと考えておりますが、今後具体的にこの制度を運用していく中で制度の見直しも必要になるかと思われますので、その際にはグループ評価についても検討してまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.122

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.122

◆4番(針谷育造君) 再質問というか、意見を少し述べさせてください。

 

 

P.122

○議長(海老原恵子君) 再質問ですか。

 

 

P.122

◆4番(針谷育造君) ええ、再質問にしたいと思います。

  個人評価、確かに個人評価は緒についたばかり、さらにグループ評価ということになると、次の見直しでということでありますけれども、職場を見れば職場のグループで仕事はするわけであります。個人の能力がどれだけ頑張っても、残念ながら足を引っ張る職員がいるとなると評価は下がるというのは、これは普通の考えであるのではないのかなというふうに思います。そういう意味では、グループ評価というものを近い将来、そして課全体の力をみんなで結集させるためには、ぜひとも必要にお互いに課同士が競い合い、住民サービスという立場で、仕事同士で競い合うぐらいのつもりを皆さんに持ってもらうためにも、課の団結を守るためにも、ぜひグループ評価というものも近い将来にぜひ要望を……要望になりましたね、これは。答えはいいです。そういうことをぜひ近い将来には実現できるようにしていただきたい、今お答えをと言われても部長も困るでしょうから、要望にしたいと思います。

  それでは、発言明細3に移ります。職場の主人公について。社会の主人公は市民であり、国民であるというふうに私は思っています。しからば、職場の主人公は働く職員であると私は思っております。なぜなら、職員、労働者こそがこの社会の富を、そして職員は住民サービスという富をつくり出しているのであります。栃木市行政を担っているのは職員であり、市民の立場で働くことは当然であると私は思っております。栃木市自治基本条例を実現する担い手は職員であります。市民との情報を共有、市民参画、協働、市民の権利擁護、地域自治等民主的手法で仕事をしなければならないのも職員であります。市民に信頼されてこそ職員は輝くことができるのではないでしょうか。そのような意味での職場の主人公は誰なのか、部長にお伺いしたいと思います。

 

 

P.123

◎総務部長(赤羽根則男君) ご質問にお答えを申し上げます。

  市の行政運営は、言うまでもなく市長をトップに運営され、そのまちづくりは自治基本条例にありますとおり市民が主体であり、主人公であると考えます。しかしながら、市役所内の実際の職場、現場におきましては、議員のおっしゃるとおり、言うまでもなくその主人公は職員一人一人であり、栃木市職員としての誇りと使命感を持って、主体的に職務に取り組むことが重要と考えています。また、人材育成の面では、職員自身に自己を向上させようとする意欲がなければ、十分な効果は期待できないものであります。このようなことから、一人一人の職員がみずから考え、学ぶ姿勢を身につけられるとともに、人材育成基本方針に掲げております目指すべき職員像の栃木市に愛着を持ち、市民の目線で行動し、積極的にチャレンジする職員、そのような人材を育成できるように努めてまいりたいと考えております。

  以上でございます。

 

 

P.123

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.123

◆4番(針谷育造君) 大変すばらしい回答をいただきまして、職員も職場の主人公は俺たちだというふうに誇りと自信が持てたのではないのか、そのことを感想として述べさせていただきます。

  まとめに入りたいと思います。おもてなし日本一の宿加賀屋は、お客様にノーと言わない、その正確性とホスピタリティーを必須方針としているそうであります。市役所に置きかえれば、お客様に、できませんで会話を打ち切るのではなく、どうしたら実現できるのかの努力と、その人の立場でともに考えることができるかではないでしょうか。市民の皆さんも解決はしなかったが、そこまで職員がやってくれたと納得して帰ると思います。職員が市民のために行うことで、市民の皆さんにも伝わるはずであります。ホスピタリティーは、市民と職員の相互満足があってこそ成立するのです。

  さらにもう一点は、非常に簡単で難しいことでありますけれども、笑顔で挨拶。おはようございます。こんにちは。笑顔をつくるのには金もかかりません。毎日笑顔で過ごすとき、自分も豊かになるはずであります。職員の笑顔一つで市民の皆さんもきっと気分よくなると思います。職場の一人一人が生き生きしていれば仕事も楽しい。楽しければ人も育ちます。チームワークも生まれ、良好な職場の人間関係が仕事のエネルギーを湧き出させてくれるはずであります。市民の立場で、きょうからまず笑顔で挨拶、そのことを始めていただくことのエールを送り、一般質問を終わりたいと思います。

 

 

平成29年  6月定例会(第2回) - 06月13日-02号

P.32

○議長(海老原恵子君) 一般質問を続けます。

  4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.32

◆4番(針谷育造君) 通告に従い、一般質問をいたします。4番、栃木新風会、針谷育造。

  1、株式会社観光農園いわふねの損失問題について。2、教育行政について。

  それでは、発言要旨1、株式会社観光農園いわふねの損失問題について質問したいと思います。この質問は、3月議会でも実施をいたしましたが、納得のいく質問、答弁が、残念ながら得られませんでした。しかし、この質疑により、観光農園いわふねの状況が明らかになったと思われます。

  前回の当局の答弁では、会社の自立性を確保しながら、市が管理、指導していく必要があります。また、債務超過の実態の本質がどこにあるのか。新たな経営計画の策定、経営体質の検討、根本的な検証がない限り、健全経営は達成できない。知名度、認知度も確実に高まっている岩舟地域を代表する観光農園を引き続き推進していくとの答弁がありました。

  そこで、発言明細1、地方公共団体の観光農園いわふねへの適切な対応について伺います。観光農園いわふねについては、その株式の88%を栃木市が所有しております。3月議会では、第三セクターであるということで、具体的な答弁はありませんでした。

  総務省は、平成26年3月、第三セクター等のあり方に関する研究会報告を発表しました。これによれば、地方公共団体は経営健全化への関与が必要であり、総務省は財政支援をするとなっております。地方公共団体の財政の健全化に関する法律が平成21年4月に全面施行されました。そこで、地方自治法第221条による市長の調査権、把握調査、定期点検は行われてきたのか、これを伺いたいと思います。

  今回の事件で問題点が幾つかあります。まず、観光農園への調査権がどの程度行われてきたのかです。把握すべき内容では、平成28年度観光農園事業計画の設備投資の欄を見ますと、当初の方針では、イチゴのビニールハウスの張りかえが500万円、簡易高設ベンチ300万円、トマトハウスの買い上げ1,000万円、合計1,800万円の設備投資が計画をされておりました。しかし、実際は多額な設備投資が行われました。一連の助成金、1億5,000万円絡みの設備投資は、当然臨時株主総会を開くべきものであります。さらに、取締役会にもかけておりません。議事録もない。このようなことで、社長の定款違反、善良な管理者としての注意義務、善管注意義務、会社法第330条、民法第644条。会社のために忠実に職務を行う忠実義務、会社法第355条、違反の可能性が極めて高いと思います。

  社長の独断でなされたことは明らかではないでしょうか。どこまで把握していたのか。この結果、多額の負債が生じている実態をどう考えているのか。監査はどのようになされていたのか。定期点検はどのようになされていたのかを伺いたいと思います。

 

 

P.33

◎産業振興部長(高崎尚之君) お答えを申し上げます。

  地方公共団体の観光農園いわふねへの適切な関与についてでありますが、市は観光農園いわふねから事業年度ごとに事業計画、予算、さらに決算等の関係書類の提出を受けております。この行為は、地方自治法第221条にあります予算の執行に関する長の調査権の行使という観点からすると、観光農園からの書類提出は当然に行われるものではなく、当該条項に基づき調査権を発動させて初めて提出されるものであると解されております。このようなことから、経営状況等の把握という点におきましては、長の調査権は行使されてきたと言えるものであります。ただし、この書類の提出は、会社の設立当初から行政の口頭による指示で行われてきたものであり、予算の執行に関し詳細な実地調査は、旧岩舟町時代を含め実施したことはございませんでした。しかし、昨年の急激な経営状況の悪化を境に、市では会社への関与の度合いを強化してまいりました。

  市では、観光農園運営に係る重要事項を早期に把握するため、取締役会に対し、今年3月16日付で取締役会として重要事項を協議する場合は市担当職員との事前協議及びオブザーバーとして取締役会への市担当職員の出席について要請をいたしたところであります。これによりまして、今年度から取締役会に市担当職員がオブザーバーとして出席し、その中で監査役員と連携を図りながら適切な事業執行が行われるよう関与を高めております。今後は、市主導により直接的に関与できる新たな経営体制を構築いたしまして、経営状況、債務状況等を迅速かつ適切に把握することで収支の改善を図り、観光農園の再建を果たしてまいりたいと考えております。

 

 

P.34

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.34

◆4番(針谷育造君) 1点だけ確認をさせていただきたいと思います。

  先ほど言いましたように、1億5,000万円の助成金絡みの各種行われてこなかったと思われるようなことについて、あるいは社長のそういったものについての考え方を聞かせていただければと思います。

 

 

P.34

◎産業振興部長(高崎尚之君) 今の再質問につきましては、社長の考え方をというお話でしたが、この1億5,000万円の事案につきましては、これまでつき合いのあった企業さんから、まず話が持ちかけられたという経緯があります。そういう信頼関係を持った企業からの話ということで、執行部取締役の皆さんは、その支援の話をおおむね信じたのだと思われます。

  さらに、その支援の決定通知書等も存在しておりましたので、経営陣の皆さんにしてみれば、これは真に信じてもいい支援の話だというふうに考えたのだと思います。しかしながら、結果的に、その話が消滅したということで、結果1億5,000万円の支援が受けられなくなったということで、その部分につきましては、見込み判断が甘かったのかなというふうには考えております。社長の思い云々につきましては私もわかりませんけれども、そんなふうに経営陣は考えて、昨年を過ごしたのだと思っております。

  以上です。

 

 

P.34

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.34

◆4番(針谷育造君) それでは、発言明細2に移りたいと思います。

  議会への説明と住民への情報公開についてであります。地方自治法第243条第3項に基づく法人の経営状況の説明書類を作成し、議会提出を果たしてきたのでしょうか。

  自治法、健全化法に基づく財政的リスク、現在の経営状況に至った理由、将来負担比率の算定に当たり将来負担額の報告をわかりやすく説明してきたのか、このことも伺いたいと思います。

 

 

P.34

◎産業振興部長(高崎尚之君) お答えを申し上げます。

  株式会社観光農園いわふねの経営状況等の説明書類といたしましては、地方自治法に基づき、議会に対しましては毎年度6月定例会に事業計画書、9月定例会には経営状況説明書を提出し、報告をしております。

  また、市民への情報提供は、市または観光農園いわふねで直接公表した実績はなく、株主に対し総会資料として配布している状況にとどまっております。

  さらに、観光農園いわふねによる財政的リスクや現在の経営状況に至った理由の情報公開につきましても、これまで公表されたものはありませんが、今後、健全化計画を策定する中では、創業時からの経営状況を検証しながら、現在に至った理由などの洗い出しが不可欠と考えております。補正予算を初めとする今後の市の対応について、市民の皆さんにご理解をいただくためにも経営状況や市の支援策についてわかりやすい説明による情報公開が必要であり、観光農園に対しましても、みずから積極的な情報公開に取り組むよう指導してまいりたいと考えております。

  財政リスクに関するお話でございますが、観光農園いわふねが経営破綻するようなことがあれば、市からの貸付金や出資金の放棄など財政的リスクが生じることは十分に認識しております。このことから、今後、観光農園いわふねの経営に係る情報公開の中で市のかかわり等をどのように盛り込んでいくか、検討してまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.35

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.35

◆4番(針谷育造君) それでは、発言明細3に移らせていただきます。

  経営責任の明確化と運営体制についてであります。今回の事件で大きな問題は、経営責任の明確化ではないでしょうか。市と経営者との職務権限や責任分担について、役職員の選任については、職務権限にふさわしい民間の人材を広く求めてきたのか。役職員の数、給与の見直し、組織体制等重要事項についての方針、基準の明確化についてお伺いしたいと思います。

 

 

P.35

◎産業振興部長(高崎尚之君) お答えを申し上げます。

  第三セクターは、市から独立した法人経営体として、自主的、主体的にみずからの責任で健全経営に取り組み、事業を遂行する法人であり、第三セクターの経営責任は経営者に帰することが原則とされております。観光農園いわふねの経営状況は、創業時より債務超過にあり、資金状況は常に逼迫した状態が続いてまいりました。平成28年度の急速な財務状況、資金繰り悪化の原因の主たるものは、先ほども少し触れましたが、会社への支援決定通知を裏づけとして、必要であった設備等の更新や整備を行いましたが、事後において当該通知に基づく支援が受けられなくなったことでありまして、経営陣としての見込みが甘かったと言わざるを得ないものと考えております。

  市は、出資者として出資額に応じた範囲において責任を負うものとされておりますが、観光農園いわふねの設立に大きく関与した立場と公金による出資、貸し付けを行っていることから、健全経営に向けた取り組みと自立した経営を支援し、そのための適切な指導、関与を行う責任があると考えております。

  次に、役職員の選任につきましては、当初より農業生産法人として農地を借り受けて事業を展開していたことから、取締役などの役職員につきましては、農業生産法人にかかわる農業者が過半を占めなければならないという制約があります。また、経営ノウハウを持つ民間人の登用は、農園設立当初から財務状況が厳しく、経費面の制約から、広く人材を求めることは困難な状況が続いてきたと言わざるを得ませんが、将来的には農園経営に対し適切な知見を有する人材の登用が再生への近道であると考えております。

  次に、観光農園いわふねにおける重要事項に係る方針、基準の明確化についてでありますが、農園を経営する上で必要不可欠な組織、運営体制、農園の適正規模、人員などの重要な経営資源は、健全化計画策定の中で必ず検証を行い、今後徹底した効率化を進めなければなりません。あわせて、経営方針等を明確にし、農園サイドと共有することで再生という共通の目標に向かい、官民一体となって取り組むことが重要であると考えております。

  以上です。

 

 

P.35

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.36

◆4番(針谷育造君) 発言明細4、観光農園の実態についてお伺いしたいと思います。

  さきの研究会で3月決算見込みが示されております。平成28年度決算状況について、前年度との比較も含めましてお伺いしたいと思います。財産と借金が一目でわかるのは貸借対照表であります。繰越剰余金、あるいは赤字、債務超過、このことについてのお伺いをしたいと思います。

  さらに、1年間で幾らもうけたか、幾ら損したのか、これは損益計算書の性格でありますので、当期純利益について、あるいは当期純損失について伺いたいと思います。

 

 

P.36

◎産業振興部長(高崎尚之君) お答えを申し上げます。

  株式会社観光農園いわふねは、平成15年の法人設立のときから赤字体質であるとともに債務超過状態が続いてまいりました。平成19年度以降、旧岩舟町時代に3回にわたり経営改善計画が策定され、運営資金補助、施設改善等が行われてまいりましたが、抜本的な改革に至らなかったことから、現在においても安定的な経営ができない状況にあります。

  平成28年度の決算状況でございますが、株主総会での承認を現時点で得ていませんので、見込みとしてご説明をさせていただきます。観光農園いわふねでは、イチゴの高設栽培施設、要するに高いところに棚を設置する栽培方法です。高設栽培施設やトマト栽培施設等への農園施設整備を実施したことで、資産合計で9,401万円、前年比で3,410万円と、大幅な資産の増加となりました。しかし、資金繰りが担保されていないままにこの施設整備を実施したことで資金繰りの悪化を招き、人件費などの会社運営に係る支払いにも窮したため、急遽金融機関から借り入れを行い、支払いに充てました。工事費などの未払い金を含め負債合計は2億2,153万円となり、前年比で9,261万円の大幅な負債増となりました。観光農園いわふねとしては、資産は増加しましたが、負債はそれを上回る増加を示し、繰越利益剰余金累積損失は1億5,201万円となり、資本金2,450万円を差し引いた1億2,751万円が債務超過となっております。

  次に、損益計算書によります売上高では、新たに栽培を始めたトマトの売り上げが増加しましたが、主力商品であるイチゴにおいて苗の生育がおくれたことで減収となり、売り上げ1億2,749万円、前年比で2,327万円の減収となりました。また、イチゴ及びトマトの施設拡張に伴う労務費、燃料費が増加、ビニールハウス等の張りかえなど経年劣化による修繕費等におきましても増加が見られ、営業損失で6,112万円を計上しております。結果といたしまして、株式会社観光農園いわふねの平成29年3月期当期純損失金額は5,851万円となり、株式会社として健全性が大きく毀損した状況にあります。また、財務資金状況につきましては、基幹収益の急速な悪化から現金残高が不足し、現時点で未払い金及び有利子負債の償還が困難な状況となっております。

  当面は債権者への迷惑をかけないためにも資金投入が必要であり、今後、長期的な返済計画を立てて健全経営を目指すことで、観光農園いわふねの経営立て直しを図ることは十分可能だと考えております。このため市といたしましては、観光農園施設整備等資金貸付要綱に基づきまして今議会定例会に4,775万円の補正予算を提出させていただいたところであります。

  以上です。

 

 

P.36

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.36

◆4番(針谷育造君) 再質問をしたいと思います。

  資産の増加が三千四百何万円、資産増が3,400万円弱ですか、3,400万円となっておりまして、負債合計を見たり、そして3,410万円の大幅な増加となっておりますけれども、設備投資をしたことで資金繰りの悪化を招いた。こうなってきますと、9,261万円の負担増が出ているにもかかわらず、3,410万円が資金繰りの悪化を招いた。ここには違う要素が含まれているのではないかと思いますけれども、その点についての説明をお願いしたいと思います。

 

 

P.37

◎産業振興部長(高崎尚之君) 先ほど私のほうで答弁いたしましたのは、今年、今期の観光農園いわふねの見込みではありますが、貸借対照表の中から拾った数字であります。もう一度繰り返しになるかもしれませんが、資産の部につきましては、前年比で9,401万円ということで、施設整備等を積極的に行った、先行投資をしたということで、資産の部が3,410万円の大幅な増になったということでございます。

  そして、今度、負債のほうは、工事費の未払い等、結局予定していた支援が受けられなくなったことで収入が途絶えたというふうなことで、負債が2億2,150万円ということで、前年比で9,260万円の大幅な負債増になったということで、特にそれ以外の理由というのは、あとは確かにイチゴの生育等、あるいは入り込み客数等にもよりますけれども、大きな要因としては、先ほど申し上げた支援が受けられなくなったことに対する資産の増、そして負債の増というふうなところにつながっていると思われます。

  以上です。

 

 

P.37

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.37

◆4番(針谷育造君) 結局負債が9,261万円、資産の増は3,410万円、残りの5,851万円が債務超過で、5,851万円増えて1億2,751万円になった。この5,851万円というのは、今、部長が言ったように、未払い金、こういうことになってくるのかなという気はいたしますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

 

 

P.37

◎産業振興部長(高崎尚之君) その5,800万円につきましては、未払い金、また借り入れを新たに行っておりますので、そういう元利を含めた返済などがこの未払いの中にも含まれていますので、そういうものが影響しているというふうに考えております。

  以上です。

 

 

P.37

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.37

◆4番(針谷育造君) 非常に厳しい状況が、これは当初からということもありましたけれども、今回の場合には、まさに詐欺と思われるような事件に観光農園が巻き込まれて、見通しの甘さ、先ほども言いましたように、そういう状況の中で多額の負債が出たということで、このことについては先ほどの答弁で部長もお認めになっているというふうに思っておりますけれども、こういうようなことが二度と起きてはならない。このことは執行部も会社側も十分今回のことで反省をし、次のステップに進んでいかなければならないというふうに思っております。

  それでは、発言明細5、抜本的改革を含む観光農園いわふねの経営健全化について質問をしたいと思います。健全化基準をつくり取り組むのか。公益性、採算性、債務超過、財政的リスク等についてであります。6月9日、議員研究会の市長説明を聞いて、私は驚きました。健全化基準の前提となる市の認識の甘さがありました。総括、いわゆるプラン、ドゥー、シー、アクション、こういう総括が本当に行われるのかどうか、総括が明確でないということを残念ながら感じました。その結果、今の答弁にもありましたように抜本的な再建への税金投入の厳しさが残念ながら伝わってはまいりませんでした。

  市長はこのように申し上げております。今回の問題は、観光農園がやったことではなく、日本財団をかたった助成事業であり、やむを得ないこともあった。国庫補助事業でも、国から金が来なくても事業に着手することもあり、理解が不可能なことではない。先行した設備投資は必要だったと発言をしております。若干、私の聞いた範囲内ですから、誤りもあるかと思いますけれども、そのときには訂正をお願いします。

  さきにも述べましたが、平成28年度の事業計画、予算計画にもない。取締役会の決議もない。議事録もない。こういうことで、架空の融資事業に突進をし、進めていったことを、先ほども言いましたように社長たるもの善管管理義務や忠実義務、定款違反、こういうことを事業を執行したことについて、市長は本当にやむを得ないことと理解しているのでしょうか。企業経営の原則にも反していることであり、私には理解ができません。責任問題でも、直接損害を与えたわけではない。違法行為はなかった。しかし、事業を先行した責任については、取締役全員はやめていただくということでした。6月議会で補正予算4,775万円が上程されておりますが、議員研究会では、残念ながら納得ができる説明は私にはできませんでした。そこで、健全経営に取り組むに当たって、事業手法、費用対効果、有識者の意見、第三者監査の活用はどうなのか。先ほども述べましたように、公的支援の考え方と具体的再建計画について伺いたいと思います。

 

 

P.38

◎市長(鈴木俊美君) 株式会社観光農園いわふねの経営の健全化につきましては、現在置かれております経営状況などを踏まえると、先延ばしが決して許される状況にはなく、一刻も早く取り組んでいかなければならないと認識をしております。そのためにも、8月中を目途に今後3年間のうちに実践をする経営健全化計画を作成し、単年度収支の改善を図りながら、あわせて将来の施設のあるべき姿について、委託あるいは営業譲渡などの形態を含め、あらゆる可能性を排除せずに検討していくことになります。

  第三セクターの経営は、本来、自治体から独立した事業主体として、みずからの判断と責任に基づいて行うことが原則であります。しかし、経営が悪化し、抜本的な改革が必要となった場合、こうした場合には自治体が主導し、現状を打開していかなければならない、このことについては先ほど議員も参考とされたと言われる総務省の指針にも記載されているところであります。

  お尋ねをいただいております健全化基準をつくって取り組むのかということにつきましては、今申し上げた総務省から示されております第三セクターなどの経営健全化等に関する指針というものがありますので、これらを踏まえれば、これにのっとって取り組んでいくことが何よりも先決だろうというふうに考えております。

  フルーツパークとも言われる観光農園いわふねの公共性あるいは公益性というものについては、インターチェンジから近く、花センターあるいはみかも山公園と隣接しているという恵まれた立地条件のもとにあるわけでありますし、県内外から年間35万人もの観光客が訪れていることも事実であります。これらの地域特性というものを最大限に活用し、市民農園あるいは農業体験などの仕組みを構築していくことによって、都市農村交流施設として体験型観光の拠点になり得る施設と考えております。

  また、平成35年度に開設が予定をされております県の施設であります新青少年教育施設と連携を図ることで、生涯学習や農業、観光など多様な分野で連携、協力関係ができるものとも考えておりまして、本市における農業、観光、そして教育を結びつけた特色ある環境づくりをこの地でさらに推進していきたいと考えております。

  健全経営への取り組みについてでありますが、当面は本市の直接的な関与を強化して経営改善に取り組むことになるわけでありますが、将来的には施設運営のノウハウを有する民間資本の導入などによりまして、新たな経営体制を構築し、魅力ある都市農村交流拠点としての事業再生を図ってまいります。

  具体的なイメージとしては、宇都宮市にあります、ろまんちっく村と呼ばれる施設につきましては、これは民間の機関、会社が運営をしております。そのほかにも、そうした運営方法がとられているところを参考にしつつ、観光農園いわふねにおいてもそのような経営を行っていくことができないかを今後できるだけ早期に検討をしていくことになります。幸い、既に一部の金融機関あるいは民間の事業所などから支援、連携のお話もいただいてきておりますので、こうした方々からのご意見なども伺いながら、事業手法や費用対効果など再生に向けた詳細な検討をしてまいります。

  次に、公的支援、特に財政支援の考え方でありますが、もともと第三セクターは独立した事業主体として、公共性、公益性が高い事業を行う法人であります。その経営は、原則として自助努力によって行われるべきものでありますが、性質上、その経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難と認められる経費などについては、地方公共団体が公的支援を行うこともやむを得ないものと解されているところであります。これらは先ほどの指針にも示されているところであります。もちろん公的な支援を行う場合にあっても、漫然とした支援の継続あるいは支援の規模を安易に拡大させないとしたことは特に重要でありまして、双方の間において公的支援の上限あるいは期限などについて取り決めておくことは大変必要であります。この点、岩舟町が当会社を設置した際に、公的支援の一つである貸し付け枠については総額で1億5,000万円という数字が挙げられているわけでありまして、これまでの貸し付けについてはこの基準にのっとって行われてきており、今回補正予算でお願いしております金額は、この1億5,000万円枠の残金ということになります。

  今後、株式会社観光農園いわふね再生のための経営健全化計画を策定していくことになるわけでありますが、経営改善の受け皿といたしましては、現場の職員と市職員並びに中小企業診断士などの専門家による経営改善検討チームを組織してまいります。その中で、まずは財務関連の帳票を整理分析いたしまして、再生のための数値目標を明確にし、販売促進計画の立案、支出抑制のための事務の効率化など具体的な改善策を策定いたします。加えて、現在行われております各種事業、運営方法を検証し、事業リストラを含む多様な見直しを行うとともに、農業体験学習、食育、交流事業といった新たな魅力の創出の具現化を図ってまいります。

  なお、先ほど議員の質問の中で、議員研究会の席上で私が説明をしたことの中に、いわゆる責任問題に関して違法性はない、あるいは信ずることはやむを得なかったという趣旨の説明があったという旨のご指摘があったわけでありますが、まず違法性がないと申し上げているのは、いわゆる特別背任罪に該当するような、自己または第三者の利益を図り、あるいは会社に損失を与えることを目的としてそのような行為を行ったという証拠あるいは症状というのですか、現象は、これまで見受けられていないということを申し上げたと同時に、今後、そのようなことを物語るような新たな事実、あるいはそれ以外の、いわゆる取締役としての経営責任に関する考え方に反するようなものが出てきた場合は、これはあくまで別であるとも説明をさせていただいたはずであります。

  それから、信じてしまったことはやむを得ないのではないかと申し上げたことは、今回のある財団から交付金の交付が受けられるというお話は、直接観光農園いわふねに対してもたらされたのではなくて、同農園が大変信頼をし、そしてこれまでいろいろな農業技術の支援等を受けている信用性のある会社にそのような話が持ち込まれてきて、そしてそれをもとに同法人がこれを真実であるという前提のもとに進めてきたものであり、それを裏づけるものとしての補助金の交付決定通知書といったものも、極めて役所などの公的機関などでも用いられているような書式に非常に似ている、そして公印に該当するような職印も押されているような体裁を持ったもので示されたことによってこれを信じ、そしてそれが観光農園いわふねにももたされた情報であるということでありまして、まずはこうした経緯からしますと、観光農園いわふねは間接的な経過を伴って、今のような交付金がその信用性の高い法人からさらに支援を受けられるというふうに考えていたものであり、こうした経過を踏まえれば、そのように思ってしまうことについても、あながちこれを荒唐無稽、全く話にならないというところまでは言えないのではないかということを申し上げたものであります。

  しかし、だからといって、そうした資金の裏づけが、まだ現実あるいは現実に近いものとして見通しが立っていない段階で、先に先行投資をするに至ってしまったということについては、その部分は間違いなく少し焦り過ぎではないのかと。もう少し時間を見てもよかったのではないかというふうには考えているところであります。したがいまして、そのことに対しての経営責任というものは考えていただかざるを得ないだろう。それが取締役としての、事実上、解任に近い形での責任をまずはとっていただくということを説明したつもりでございます。

  以上、繰り返しになりますが、お答えをさせていただきます。

 

 

P.40

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.40

◆4番(針谷育造君) 若干お尋ねしたいと思います。

  やはりこの問題は、責任を明確にする。そのことが次の再建計画につながると、私は思っております。そこを曖昧にすれば、何やってもオーライということが、解任という形でやったということでありますけれども、9,600万円の負債を増やし、2億2,000万円、負債合計がそうなった。この事実はきちんと総括しなければならない。私は、借金は増えた、そのことは会社に損害を与えた、このように一般の方でしたら結びつくのではないか。今、市長は、特別背任であるとか、そういう株主代表訴訟等もそれらには含まれるかと思いますけれども、そういうことでは極めて、4,775万円という税金を投入するに当たって、けじめがつかない。そのことをもう一度ご答弁願いたいと思います。

 

 

P.40

◎市長(鈴木俊美君) ですから、そのけじめのつけ方として、経営から今後はおりていただくということを私どもとしては考えているところであります。

 

 

P.40

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.40

◆4番(針谷育造君) その責任のとり方はよくわかります。しかし、臨時株主総会も開きませんよと。代表取締役会も開かない。そういう中で、言葉は余りよくないですけれども、社長の独断専行で行われたというような、私どもは認識をしております。となれば、そこには当然賠償責任なり、そのようなことも十分今後、市は、けじめをつけるためにもやらなければならない。そのことについて、市長の答弁をお願いしたいと思います。

 

 

P.40

◎市長(鈴木俊美君) 経営というのは大変広い概念でございます。広いということは、幾つものやり方もあり、また考え方等があるわけでありまして、その広い経営のあり方の中で、一定の線を越えた場合に、それはいわゆる放漫経営なり、あるいは違法経営となるわけでありまして、今回の一連の出来事あるいは経過が、この一線を越えたことになるのかどうかということについては、そう軽々に判断できるものではないと私どもは思います。私どもは公共団体でありますので、うわさであるとか、あるいはそれらしい状況があるとか、その段階では、これをもってそれがあったと断ずるわけにはいかないというふうに考えておりますので、そうしたことが出てくればこれは別であると、先ほどから申し上げているところでありまして、現段階では私どもは、そうしたことが明らかに事実として出てきているとまでは断ずることができない。であればこそ、現状では、まずは経営の場から去っていただくことで考えていると申し上げたつもりでございます。

 

 

P.41

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.41

◆4番(針谷育造君) 経営の場から去っていただくということのようでありますけれども、何回もくどいようでありますけれども、やはりこのけじめだけはきちんとしなければ、公金という、まさに市民の血税がそこに投入されるということを重く受けとめていただいて、今後の再建計画の中では、まさに襟を正しながらやっていただきたい。

  そして、まとめになりますけれども、一連の経過を、先ほども言いましたように非常に総括が甘い、私は思っております。新しい観光農園の再出発のためにも総括をきちんとし、襟を正し、市長の申すような、まさにポテンシャルの高い宇都宮市のろまんちっく村に匹敵するような、ああいう場所の中でこれからの再建をぜひお願いして、観光農園の質問は終わりたいと思います。

 

 

P.41

○議長(海老原恵子君) 針谷議員、一般質問を続けていただきたいと思います。よろしいですか。

 

 

P.41

◆4番(針谷育造君) それでは、教育行政について質問をしたいと思います。

  この問題は、第1次安倍政権の2006年、平成18年、いじめ、学力低下、不登校の問題解決などを理由にし、強行採決で教育基本法の改正。私は改悪であったと思いますけれども、なされました。その後、第2次安倍政権は、2014年、平成26年、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、学校教育法等が国会も国民の議論も理解もないまま、成立をさせました。そして、現在に至っています。しかし、いまだにいじめも学力低下も不登校も後を絶ちません。これらの解決の行き着く先が教育勅語や道徳の教科化にあってはならないと私は思います。そのことを許してはならないということを最初に申し上げたいと思います。

  発言明細1、教育勅語について。教育勅語は、戦前、教育の根本原理として、1890年、明治23年から使われてきたようでございます。まさに、「朕惟フニ」に始まるくだりは、そこだけは私も知っております。ここに来て注目を集めたのは、森友学園幼稚園児による唱和報道でありました。その後、安倍政権は、教育勅語を学校教育の教材にすることを認める見解をまとめ、松野文部科学大臣も否定しないと発言をしております。

  下野新聞は、教材使用容認は戦前回帰と批判と懸念を報じています。天皇中心主義で、国民を戦争に駆り立てた教育勅語を道徳の教材にするなど、許されません。憲法の基本的人権とも相入れないことは明白であります。憲法違反の教育勅語を教育の現場に取り入れてはなりません。

  そこで、歴史的経過についてどのように考えているのか。なぜ廃止になったのか。今なぜ復活させようとしているのか。最後に、栃木市教育委員会の考えを伺いたいと思います。

 

 

P.41

◎教育長(赤堀明弘君) ご質問にお答えを申し上げます。

  教育勅語についてですが、明治23年に教育の基本方針を示すための勅語として、明治天皇より発布されました。親孝行、夫婦の和、さらには大義に基づいて国家のために尽くすなど、忠君愛国の精神が示され、第2次世界大戦前の国民の精神的なよりどころとされました。第2次世界大戦後、連合国軍最高司令官総司令部、通称GHQの日本の非軍事化と民主化を目的とした指導によりまして、当時の文部省が教育勅語を教育の根本規範とみなすことをやめるよう通達を出し、昭和22年には民主主義教育の基本を示す教育基本法が制定されました。さらに、昭和23年には、衆議院で教育勅語等の排除に関する決議、参議院で教育勅語の失効確認に関する決議がそれぞれ議決され、学校教育における教育勅語の排除、失効が確認されました。

  最近、教育勅語の取り扱いについて、憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではないと政府は見解を示したことにより、教育勅語の復活という言葉が報道で用いられております。しかしながら、教育基本法をもとに学校教育が展開されている現在、教育勅語の理念を児童生徒に教えることは妥当ではありません。

  以上のことから、本市としましては、社会科で史実、歴史的事実として扱う以外に教育勅語を道徳や他の教科で教材として扱うことは考えておりません。

  以上でございます。

 

 

P.42

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.42

◆4番(針谷育造君) それでは、発言明細2、道徳の教科化について進みたいと思います。

  これまで道徳は教科外の取り扱いでありましたが、2018年度以降、教科に格上げする小中学校の指導要領を改訂いたしました。その中身は、小学1年生から日本を愛する態度の育成も前倒しするなど、教科にすることで多様な価値観が育つのか、大変な疑問を私は持っております。かえって逆効果になりはしないかの懸念は拭えません。政権の教育介入によって教育の自由な世界が型にはまった子供をつくることにならないか、疑念は増すばかりであります。

  修身の歴史的経過について。修身は、教育勅語がつくられ、その具体的な手段として取り入れられたと考えております。教育勅語と修身は軍国主義教育を担い、国民統治の両輪として国民全員を戦争への道に突き進む原動力になったと考えられています。

  1948年、昭和23年、先ほどもありましたように廃止されたものが、道徳の教科化という形で、六十七、八年ぐらいになるのでしょうか、復活を本当に許してはならないというふうに思います。なぜ廃止になったのか、道徳の教科化としての経過について、学校における実態について伺いたいと思います。

  その前に、広島県の道徳教育の状況を述べたいと思います。運動会前日の組み体操の練習で転落事故は起きました。つよし君は人間ピラミッドの4段目を上り、決めようとしたときに組み体操が崩壊し、地上に転落、骨折をいたしました。原因は、下で支えていたわたる君がバランスを崩した。わたる君は謝りましたけれども、それを許すことはできない。そんなときお母さんから、一番つらいのは下で崩れたわたる君だと思うよと諭され、つよしがわたる君を許せるのなら、運動会に出るよりも、もっといい勉強したと思うよ。その夜、僕はわたる君に電話しようと受話器をとったという一文でこの教材は終わっております。

  解説では、相手を思いやる気持ちを持って運動会の組み体操を成功に導こうと目標が示されている。実践活動でも、この後は真剣に取り組み、練習中の雰囲気もよくなったと誇らしげに結んでいます。骨折事故の重大さは、まるで語られておりません。これが交通事故だったらどうでしょうか。運転者、車の整備、道路の整備、不備はなかったか。原因が追及され、誰が責任をとり、事故の再発防止が議論されるわけであります。学校が話題になると、骨折くらいは仕方がない。お互い許して団結しよう。本当にこれでいいのでしょうか。学校は治外法権なのか。学校は一般に子供の安全を確保するために十分な配慮すべき義務、安全配慮義務を負う。組み体操には十分な監視者を配置し、危険が察知できれば中止する。それだけの体制を整える必要がある。ここにはあったと思われます。一部の子供がバランスを崩しただけで骨折者が出る安全配慮義務違反が認定される可能性は高いと思います。民事上でも学校が損害賠償を請求されれば、責任は免れません。また、刑事上の問題でも、注意義務違反によって業務上過失致傷罪に問われてもおかしくない。しかし、この教材は、困難を乗り越え、組み体操を成功させるという学校内道徳の話に終始をしております。学校内道徳が法規範の上位にある。学校内道徳が唯一の価値とされ、もはや法は眼中にはない。法の支配が学校に及んでいないようだと、これは結んでおります。この報道をした方は憲法学者の木村草太さん、その方の論文を引用いたしました。

 

 

P.43

◎教育長(赤堀明弘君) ご質問にお答えを申し上げます。

  第2次世界大戦前における道徳教育は修身が担っておりまして、教育勅語の趣旨に基づいた国定教科書によって、例えば勤勉、孝行、忠義、忠君などを取り扱った教育が行われました。第2次世界大戦後、修身は、軍国主義、極端な国家主義的な教育内容であったことから、連合国軍最高司令部によって廃止されました。しかし、戦後の混乱によって引き起こされた社会全体の規範意識の低下などから、昭和33年、学習指導要領改訂により、誠実あるいは感謝などの心を育てる道徳の時間が特設されました。さらに、平成30年度より小学校、平成31年度より中学校で道徳の時間が特別の教科道徳として全面実施されます。教科化されたのは、いじめ問題への対応の充実、発達段階をより一層踏まえた体系的な内容の改善、問題解決的な学習を取り入れるといった指導方法の工夫、改善を行う必要があったことからでございます。

  教科化により検定教科書を使用いたしますので、現在、栃木市小中学校教科用図書選定委員会が開催されておりますが、本市では、山本有三先生の生命尊重、人権尊重、そしてきずなを重んじる精神を根幹に据えた教育を推進しております。道徳教育についても、子供たちに自他の生命を大切にする心、他人を思いやる心、美しいものに感動する心などの豊かな心を育むために学校教育全体で道徳教育を推進するとともに、そのかなめであります道徳の授業を充実させていくことが重要であると考えております。

  なお、議員ご指摘の組み体操の転落事故の授業についてでございますけれども、資料の内容、狙いというのは思いやりについて考える教材でありましたが、しかし、道徳の授業はもとより、どの授業においても、あるいは学校生活の指導の場面においても、法や決まりを守って生活することの大切さを指導すべきと考えております。

  本市としましては、今後、各学校で適切な道徳の授業が実践されるよう道徳教育推進教師の研修会、また各校への指導訪問などを通しまして、子供たちが互いの見方や考え方を大切にしながら話し合うことで、よりよい生き方についての考えを深める授業を指導してまいります。その際、決して教師が一方的な押しつけをすることなく、一人一人がよりよい生き方を目指す道徳教育を推進してまいります。

  以上です。

 

 

P.43

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.43

◆4番(針谷育造君) 最後になります。

  発言明細3、銃剣道の導入について。この質問は、安倍政権の一連の教育現場への踏み込みの中で、信じられないことが起きました。それが中学校保健体育、武道に銃剣道を加えるということであります。銃剣道とは、つまり相手の心臓を狙って、相手ののどを狙って銃剣を突き刺す競技であります。スポーツ庁が武道に加えた理由は、パブリックコメントが多数寄せられた、そういうことであります。憲法改正、改悪を頂点にした戦前回帰が、教育勅語や道徳の教科化、銃剣道の導入が無関係ではないようであります。

  そこで、銃剣道とは何か。なぜ武道に加えられるのか。栃木市教育委員会としてはどのようにこれを指導するのか、伺いたいと思います。

 

 

P.43

◎教育長(赤堀明弘君) ご質問にお答えを申し上げます。

  銃剣道ですけれども、銃剣において相手を突く格闘術の銃剣術から生まれた競技でございます。このたび、新学習指導要領において銃剣道を含む9種目の武道が明記され、学校や地域の実態に応じて履修できるとされております。現在、本市の中学校では、14校中13校が剣道、1校が弓道を選択しておりまして、安全面に配慮をしながら武道の伝統的な考え方の理解、そして相手を尊重する態度の育成に向けて指導に当たっております。

  特に本市で多く選択している剣道においては、全日本剣道連盟が生徒の安全面を考慮し、中学生の突きわざを禁止しております。銃剣道においては競技の中心となる動作が突きわざであるため、生徒の安全面を考慮すると、選択には大変慎重な判断が必要になると考えます。また、導入に当たっては、指導者の問題や高額な用具購入の問題などもございます。

  武道の種目選択については、各学校で判断することになっておりますが、選択に際しては生徒の安全面への配慮を最優先に考える必要があることから、現在、学校が選択をしている剣道や弓道を適切と考えており、その判断を尊重してまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.44

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.44

◆4番(針谷育造君) 時間もありませんので、再質問はいたしませんけれども、道徳と言われますと、多くの人は、漠然と人としてよいことと考えてしまいます。しかし、道徳の内容は余りにも曖昧であります。また、法律と違って、誰がつくるのかもはっきりしないため、道徳の授業には一部の人や集団にしか通用しない規範を漫然とした圧力で押しつけてしまう危険性がある。このように考えてみますると、道徳についても、銃剣道は、まさに論外でありますけれども、この実態として学校で起きていることに対する安全配慮義務であるとか、そういうものに十分注意をしながら学校教育の現場で指導をしていただきたい。そのことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 

 

平成29年  9月定例会(第3回) - 09月05日-02号

P.39

○議長(海老原恵子君) 一般質問を続けます。

  4番、針谷育造議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.39

◆4番(針谷育造君) 通告に従い質問します。4番、栃木市民クラブ、針谷育造。

  1、憲法と平和行政について。2、産業団地開発事業について。

  それでは、発言要旨1、憲法と平和行政についてを伺いたいと思います。この質問は、平成26年、さらに平成27年9月議会でも質問しました。そのときからすると、大きく社会情勢は変わってきました。とりわけ平和に関することは大きく後退し、防衛予算は5兆円を超え続けております。平成25年特定秘密保護法が施行され、平成28年には戦争ができる法律、安全保障関連法、戦争法と言われておりますが、強行可決されました。今年の5月の憲法記念日には、安倍総理は憲法改正を目指す集会にビデオメッセージで、2020年(平成32年)に新たな憲法を施行する考えを示しました。改正項目として、憲法9条1項、戦争放棄、2項、戦力不保持、交戦権の禁止は残し、3項に自衛隊を明文で書き込む案を明らかにいたしました。

  その後の7月11日には、改正組織犯罪対策処罰法、戦前の治安維持法に匹敵すると言われる共謀罪が国民の多くの反対にもかかわらず、可決をされました。さらに、森友・加計問題が国民の批判を浴びた安倍政権の支持率は急落したことはご承知のとおりであります。72年間の平和が今危機に瀕しているのではないかと心配であります。

  そこで、過去の市長答弁を振り返りたいと思います。平成26年8月の集団的自衛権アンケートについて、市長は集団的自衛権の行使については反対、栃木市長と鹿沼市長が反対を表明しております。憲法解釈の変更は不適切かについて、県知事、市長7人が回答し、栃木市長もこれまでの憲法の考え方を変えるやり方は閣議ではできない。自分の考え方で反対と回答した。さらに、憲法解釈の限界を超えていることはできない。変えるのなら憲法改正をすべきである。法律をやっている人間としても不適切と判断したと述べております。戦争に巻き込まれる可能性については高まったと答えた栃木市、鹿沼市、下野市、市貝町。市長はここでも今まで戦争をやらないと決めていたのだから、戦争に参加するとなると高まったと判断した。国民への説明は不十分かについては、県知事を初め栃木市、鹿沼市など11市町が不十分と答えております。国会で議論もなく、安倍総理の私的諮問機関の安保法制懇などのわずかな意見で閣議決定、違法、閣議決定したことは余りにも説明不足であると答えております。

  平成27年の安全保障関連法アンケートでも、違法の可能性は極めて高いとの回答をしております。しかし、市長は気になる発言もしております。県内の首長がその意見を言う人が少ないということは、なぜかというと、市政運営で各方面にお願いしなければならず、赤裸々に自分の思いを述べるときに、あんなところへの応援はしないとなることが困るわけであります。その辺のことを考えざるを得ないのが偽らざる気持ちであり、推察いただきたいと答弁しております。気持ちはよくわかります。県や国の補助事業は、法律が優先されるものであり、そこに恣意やそんたくがあってはならないものです。

  そこで、確認をしたいと思いますけれども、市長の心情で補助金の採択が左右されたことはありますか。大事なことなので、確認をお願いしたいと思います。

  それでは、明細(1)に入ります。今年の平成29年6月25日の下野新聞県内首長アンケートについてであります。1として、憲法改正の賛否について、見出しで「改憲の賛否は半数に当たる13人がどちらとも言えない。大半は明言せず」との見出しであります。知事は国会議論で国民理解をと述べております。賛成、どちらかを含めて10人、どちらかといえば反対、鹿沼市長1人であります。どちらとも言えない、栃木市長を含め13人。市長は改正の中身がわからないと判断はしかねるとコメントしております。2として、改正憲法2020年施行の賛否について。賛成、どちらかを含めまして4人。反対、どちらかを含め4人、鹿沼市長、栃木市長、日光市長、那須烏山市長。どちらとも言えない、15人。3つ目に、憲法9条改正の賛否についてであります。賛成、どちらかを含めて8人。反対、2人で、鹿沼市長、日光市長であります。どちらとも言えない、13人、これには栃木市長も含まれております。4として、9条への自衛隊明記の賛否について。賛成、どちらかを含めて6人。反対、鹿沼市長1人。どちらとも言えない、栃木市長を含めて16人。ここでも半数はどちらとも言えずと伝えております。

  平成26年の集団的自衛権では、反対。栃木市長、鹿沼市長は明快でした。平成27年の安保法案では、違憲の可能性は極めて高い。国民への説明は不十分。堂々と憲法改正してやるのだったら、それが本筋だ。この法案は限度を超えている。法案自体が無効の可能性は高い。さらに立憲主義についても、法治国家として憲法を守り、憲法違反をしないだけでなく、立ち向かう抵抗も含まれていると市長は答弁しております。私も心熱くしたのを覚えております。

  そこで、今回は栃木市長は憲法改正についてはどちらとも言えない。憲法改正2020年施行反対。9条改正はどちらとも言えない。9条への自衛隊明記についてはどちらとも言えない。今まで私はこの手の考え方については、反対が強いというふうに思っておりましたが、市長の考えが変わったのかと思いたくはありませんが、その理由をそれぞれ伺いたいと思います。

 

 

P.40

◎市長(鈴木俊美君) それでは、お答えを申し上げます。

  まず、憲法改正の賛否につきましては、私は改正そのものを否定するわけではありません。ただ、憲法のどの部分をどのように改正するのかよくわからないために、現状ではどちらとも申し上げることができないと回答をしたものであります。

  次に、改正憲法を2020年に施行するということについての賛否でありますが、憲法は言うまでもなく、国の最高法規であり、かつ国民主権としていわば国民が制定したものであります。法律上の法体系からいっても、最上位に位置するものであり、そう軽々に改正するにしても、それを期限を切って行ったり、あるいはみずからが改正をするかどうかを決めるのだといったふうにもとれる期限の限定というものは必ずしも賛成はできません。したがいまして、どちらかといえば反対とお答えをしたところであります。

  次に、憲法の9条の改正の賛否でありますが、私はこれも改正そのものを否定するわけではありません。ただ、9条のどの部分をどのように改正するのかということがここでもわからないため、どちらとも申し上げられないというふうに答えたところであります。

  さらに、憲法9条への自衛隊明記につきましては、ご案内のとおり、憲法9条の第1項は、戦争の放棄をうたい、第2項は、戦力の不保持をうたっているわけであります。これらをいずれも残しつつ、さらに3項として、自衛隊に関する条文を追加するというもののようであります。自衛隊の保持については、憲法には明確な規定はないわけでありまして、そのために政府は一貫して、我が国の自衛権が否定されない以上は、その行使を裏づける自衛のための必要最小限度の実力を保持することは憲法上認められているというふうに解しているわけであります。とはいえ、自衛隊を憲法に明文化をするとした場合、戦力の不保持と自衛隊の存在というものがそのまま残しておいて果たして規定上の整合が図れるのか、ちょっと疑問に思うところもありますので、さらには3項として、自衛隊をどのように明記するのかということについても何も語られておりませんので、現状ではどちらとも言いがたいというふうにお答えをしたところであります。

  以上です。

 

 

P.41

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.41

◆4番(針谷育造君) 法律家としての心の内をかいま見た答弁であったと思います。

  それでは、明細(2)に移らせていただきます。平和行政の取り組みについて。憲法アンケートとも関連しますが、憲法99条、憲法尊重擁護の義務。これは「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と書かれております。このことについて市長の考え方を伺います。戦争は、人権尊重とは対局にあり、国家による殺人も含めた犯罪であります。しかし、首長アンケートでも多くの責任ある県知事、市長は態度をはっきりしません。戦後72年、自由と民主主義の社会で、その先頭に立つべき位置にあるべき首長たちが沈黙や賛成を表明するとは、憲法尊重擁護義務違反ではないでしょうか。市民に対する憲法尊重をどう進めていくのか。さらに、憲法を行政に生かすことをどう具体化するのか。

  4つ目には、非核平和都市宣言の自ら行動するとは何を意味するのか。「核兵器の脅威のない平和で安心して暮らせる社会の実現を求めて自ら行動し、未来を支える子どもたちに戦争の悲惨さ、平和の大切さを伝えていくことを誓います」と宣言は高らかに宣言しております。この能動的な役割は、宣言にとどまらず、市民一人一人に働きかけていると思いますが、いかがでしょうか。

 

 

P.41

◎市長(鈴木俊美君) 憲法99条は、全ての公務員は憲法を尊重し擁護しなければならないことを定めております。私自身は、市長への就任時に市議会におきまして「憲法により保障された地方自治の本旨をより拡充し、栃木市自治基本条例に規定する自治の基本理念にのっとり、市民自治を実現するため、公平、公正かつ誠実に職務を遂行する」という内容の宣誓を行っております。この宣誓に基づき、憲法の尊重及び遵守を心がけながら職務に当たっているつもりであります。

  また、本市の職員におきましても、採用時には憲法を遵守し擁護する旨の宣誓書に署名を行い、職員としての責務を自覚した上で勤務をしているところであります。

  憲法99条に規定されている憲法を尊重し擁護する義務とは、単に憲法違反をしないことではなくて、憲法違反行為を予防することはもちろん、そのようなことがあれば、これに抵抗をし、憲法を守るために積極的に努力をすることと解されております。したがいまして、公務員はこのような行動をしていかなければならないと考えております。

  次に、市民の皆様に対する憲法尊重の取り組みにつきましては、直接行っているわけではありませんが、行政として憲法の三大原則であります国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の趣旨を踏まえ、本市自治の最高規範である自治基本条例に、市政は市民の信託に基づくものであることを明記するとともに、「男女共同参画都市宣言」や「非核平和都市宣言」を通して、基本的人権の尊重や平和主義についても啓発を行っているところであります。

  次に、憲法9条を平和行政に生かす取り組みにつきましては、「非核平和都市宣言」の趣旨を踏まえ、広島平和記念式典への中学生の派遣あるいは戦争体験を聞く会、栃木平和展などの事業を実施し、平和で安心して暮らせる社会の実現を目指す取り組みを行っております。

  次に、「非核平和都市宣言」の中の自ら行動しという表現につきましては、宣言文の内容を努力するであるとか、願うといった言葉にとどめるのではなくて、少し積極的な意味合いを持たせて、市民一人一人がぜひ行動してほしいという思いを込めたものであります。核兵器のない平和な世界の実現に向け、次世代を担う子供たちに原爆の恐ろしさ、戦争の悲惨さを語り継ぐことなどを自ら行動しとあらわしたつもりであります。

  以上です。

 

 

P.42

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.42

◆4番(針谷育造君) 再質問をさせていただきます。

  大変重要なことを伺います。市長は法律家でありますので、憲法を守る義務は、国民、市民にありますか。国民、市民は何を守ればよいのでしょうか。

 

 

P.42

◎市長(鈴木俊美君) 何を守ればいいと言われても、やっぱり憲法を守ること、それに尽きるのではないでしょうか。そのことから何か具体的なことについて、これは憲法を守っていないとか、そういうことに直接つながる条文ではないと思います。

 

 

P.42

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.42

◆4番(針谷育造君) 私も法律家を前にして、いろいろ言うのはおこがましいのですけれども、私の尊敬する憲法学者、伊藤真さんは、国民は憲法を守ることはないのだと、憲法99条にそのことはちゃんと書いてあります。結局支配をする人たちを憲法は足かせをする。国民が大変苦境に陥るいろんなことに対しては、憲法を守るのは為政者であります。まさに公務員、総理大臣初め、天皇を初め、もう一度そのことについて、私の言ったことについて、私は法律は市民は守らなくてはならないと思います。憲法を守るという責任が市民にあるのか、もう一度市長の答弁をお願いします。

 

 

P.43

◎市長(鈴木俊美君) 憲法をつくったのは、誰でもない、国民であると先ほど申し上げました。それが国民主権ということの意味でもあります。みずからつくったものである以上、みずからそれを守らなくていいということは常識的にないと思います。それは憲法といえども法律の一つですから、法律を守る義務が市民、国民にあるならば、同じようにたとえそれをつくったのが国民だとしても、みずからつくったものをみずから守るというのは、これは当然のことではないかというふうに思います。

 

 

P.43

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.43

◆4番(針谷育造君) 大変こだわるわけでありますけれども、憲法99条では、国民という言葉が市長、出てきていますか。

 

 

P.43

◎市長(鈴木俊美君) 99条に国民と書いていないからといって、そこから一定の結論が導き出されるわけではなくて、私が申し上げているのは、99条に書いてあるかどうかということではなくて、憲法というものを国民も守る義務があるのかどうかということであって、それは書いてある、書いてないではなくて、憲法というものの存在そのものから、それを国民がつくったと考えるのが基本的な考えである以上、国民もそれを守っていかなければならない責務があると言っているのでありまして、憲法99条に書いてないから、国民は守る義務がないのだということにはならないと思います。

 

 

P.43

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.43

◆4番(針谷育造君) 私は、憲法を守らなくてもいいということは言っております。しかし、私たちを縛るのは法律である。国民を縛るのは法律であります。憲法では縛れません。そのことを申し上げ、次の質問に移りたいと思います。

  明細(3)国民保護ポータルサイトについてであります。ホームページの弾道ミサイル落下時の行動について、8月20日の下野新聞に、宇都宮市で弾道ミサイルが発射されたという想定で行われた避難訓練の写真が1面に載っておりました。その記事を見ますと、参加者は小走りに公園内の土塁付近に避難し、頭部に両手を当てしゃがんだ体勢をとり、身を守ったと書いてあります。まさに漫画の世界だなと私は思いました。こんなことでミサイルから身が守れるのか、子供でもわかると思います。大の大人が何の疑問もなくやっているのか、それともパフォーマンスで協力しているだけなのか、こんなことでは身を守れないことは誰でも知っていると思います。なぜなのか。

  ところが、8月29日、午前6時、日本上空をミサイルが通過、北海道東方沖に着弾の模様をJアラートが伝え、大混乱に陥った。新聞では「どこに逃げれば、何をしたらいいのか戸惑う県民」の見出し、攻撃を受けたら、屋外の頑丈な建物や地下に逃げ込みなさい。建物がない場合は物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る。屋内の場合は窓から離れるか、窓のない部屋に移動する。栃木市のホームページは、内閣府の受け売りを流しております。全国の各自治体もこれと同様のことをしていると思います。こんなことで本当に身を守ることができる。誰が思いますか。私は、このようなことは、聞く話によれば七十数年前に、戦時中に竹やりで敵をやっつけろ、お国のために命をささげろにつながった歴史が今繰り返されていないか。国民には恐怖心、今度の場合は北朝鮮に敵がい心を植えつけて、国を守るのは軍備増強、国民の基本的人権、まさに憲法の真髄であります。よりも強い国家が必要だとすり込む絶好の機会ではないのか、こんなふうに思います。いつか来た道へいよいよ国民を踏み込ませ、北朝鮮討つべしの思想統一訓練を思わされるような気がしております。

  そこで、ホームページの弾道ミサイル落下時の行動を市民にどのように説明するのか伺います。市民の生命、財産は本当に守られるのか。これも説明願います。憲法の平和主義を今こそ生かすべきと考えるが、どのように考えているのか。政府の情報を垂れ流しているだけでは問題は解決しません。物には原因と結果が必ずあるものです。なぜ弾道ミサイルが飛んでくるのかの原因はあるはずであります。それは何かを明らかにする責任は政府にも、自治体を預かる市長にもあるはずであります。なぜミサイルが飛んでくるのかを市民にも説明しなければならないと思います。原因を取り除けば、必ず解決するのではないかと、このことについても伺います。原因は何なのでしょうか、お伺いいたします。

 

 

P.44

◎市長(鈴木俊美君) 国民保護ポータルサイトについてでありますが、現在北朝鮮とアメリカの間で大変緊張状態が高まっており、そこには日韓両国も非常な危険が増しているということについて懸念をしているところであります。このため、国におきましては、北朝鮮から弾道ミサイルが発射された場合に、その情報伝達手段として、弾道ミサイル落下時の行動などを含めて、内閣府の国民保護ポータルサイトに掲載をしているところであります。また、本市においては、全国瞬時警報システム、いわゆるJアラートと呼ばれる国からの緊急情報を防災行政無線により、特別なサイレン音で伝えるとともに、防災ラジオや緊急速報メールにより情報を伝える体制をとっているところであります。

  ただ、このことについて今回おわびをしなければいけないのは、防災ラジオの自動起動と緊急速報メールの送信は作動したところでありますが、防災行政無線につきましては、放送を行うことができませんでした。これは、国が発信したJアラートの配信信号に本市の防災行政無線の放送システムが対応できていなかったことによるものであり、この点については、そこにつなぐことをしていなかった市の人為的ミスであります。このことを市民、そして議会の皆様にも心からおわびを申し上げますとともに、直ちにシステムの改修を行うよう指示をしたところであります。なお、このことにつきましては、ホームページ等でおわびとともに、危機管理のほうから掲載等をしているところであります。

  では、話を戻しますが、先ほど来政府、そしてそれとほぼ同様の案内、ミサイルからどう身を守るかといったことについての案内を流している市として、そんな対応をとっただけで市民の生命、財産を守れるのかということでございますが、正直申し上げれば難しいと思います。

  では、どうすればいいのかについては、ぜひ教えていただきたいというふうに思います。どのようにしたら守り切れる体制をつくることができるのか、それがなかなかわからないからこそ苦労をしているのだと思います。ぜひ教えていただければというふうに思います。

  その後、針谷議員のご質問をお聞きしておりますと、守り切れないのだから、だからそもそもそういう事態にならないようにすべきではないのかということだと思います。それは全くそのとおりだと思います。ただ、何度も申し上げますが、それはそのとおりですが、実際に飛んできてしまったりしたときに、どう身を守るかということについては、大変難しいというのも現実としては事実だろうというふうに思っております。

  またまた話を戻しまして、そういったことがないような、まさに平和な外交関係を築き、未然にそうした不測の事態にならないようにしていくことがまさに外交努力であり、全ての国との友好関係を締結していくべきことがまさに憲法上からいっても、国際協調主義を貫かなければならない日本としての役割ではないかということについては、私はそのように思っております。そのようなこと等の中で、現実に起きていることをどう対応していくかというのが、これは大変難しい問題であり、国の外交、防衛といった専権事項に属していることでありますから、これについてのこれ以上の発言は差し控えますけれども、いずれにしても外交努力等によって平和的にこの今起きている問題が解決できることを心から願っております。

  以上であります。

 

 

P.45

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.45

◆4番(針谷育造君) 大変原則的で真実のあるお話をされたというふうに思っております。まさに戦争をすれば国が滅んでしまいます。核戦争となれば地球全体が滅ぶというような状況は、誰にも明らかなのではないでしょうか。

  そこで、私はまとめに入りますけれども、イソップ寓話の「北風と太陽」、旅人の外套を脱がせるという話であります。北風は一生懸命外套を脱がせようとしてビュービューと吹きますけれども、外套の襟を締めるばかりの旅人であります。太陽は暖かい太陽を注ぐことによって、みずから外套を脱ぎ去る、そういうイソップの寓話であります。いさかいの全てはこれだとは言いませんけれども、私は解決の基本であるというふうに思っております。市長も言いましたように、力の政策では何も解決しないことを教えております。町村長が外交は国の専権事項などと無責任な態度でいれば、今の政権は力の政策にますますのめり込みます。市民の生命、財産を守る責任はまさに自治体にあります。残念ながら自衛隊は国民の命や財産は守りません。自衛隊法第3条で、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つための直接の侵略及び間接侵略に対し、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じては公共の秩序の維持に当たるものとすると3条では明確に宣言をしております。国民の生命、財産は残念ながら軍隊は守らないのであります。では、誰が守るのか。警察と消防が命と財産を守るのです。つまり自治体が守るのであります。自衛隊は自衛隊法第3条で守る範疇に国民の生命、財産は入っておりません。私たちが知らないだけで、軍事専門家ではこのことは常識であります。今こそ政府に対し、外交努力をすべきと発信しなければならないのではないでしょうか。Jアラートで漫画みたいなメッセージを垂れ流すのではなく、アメリカ、北朝鮮の直接対話しかないのではないでしょうか。日本、韓国、中国、ロシアはそれを支えるべきであると私は思っております。外交努力しか解決の道はないことを市長の答弁のように、ぜひ栃木市から発信をしていただきたい。Jアラートばかりでなく、そして全国の市町村に広げることを希望したいと思います。

  次の質問に移ります。発言要旨2、産業団地開発事業について、発言明細(1)県南の中心都市としての発展の可能性をどう生かすのか。1として、県南の中心都市としての位置づけについてであります。総合計画によれば、本市は東京へ1時間でアクセスできる恵まれた立地条件にあり、道路や鉄道の交通の要衝地としての機能を有しております。首都圏や東北方面を結ぶ東北自動車道路が南北を縦断。群馬、栃木、茨城の3県を結ぶ北関東自動車道が東西を横断するなど充実した高速道路網が形成され、市内には佐野藤岡、栃木、都賀の3つのインターチェンジが設置されております。県内外のアクセス性の高い市南部を国道50号線、北部を293号線が走っております。鉄道については、東武日光線、宇都宮線、JR両毛線の3路線が走り、市内13の駅が設置され、東京圏方面への交通手段や近隣自治体への通勤・通学の足となるなど充実した鉄道網が形成されていると述べております。

  1市5町が合併して7年が経過、まさに発展可能性のある栃木市が誕生したわけであります。市内に3カ所のインターチェンジを有するのは、県内では私の調べたところでは栃木市のみであるというふうに思っております。市南部には手つかずの平地林約400ヘクタールが存在しております。こんな条件は県内どこを探しても見当たりません。いよいよ栃木市の出番であります。かつて栄えた栃木市が合併メリットを最大限生かす条件はできたと私は思っております。地の利、天のとき、人の輪で今こそ栃木市ルネッサンスのときであると私は思っております。栃木市は古いなどと今後は禁句にしなければなりませんが、歴史と伝統ある地域を周辺の地域で包み込み、産業都市栃木市をつくるときが今であります。市長は3期目に当たり、県南の中心都市は栃木市以外にないと考える気概を持つべきであります。

  そこで、本市の県南中心都市としての位置づけについて、2つは、後期総合計画における産業団地の位置づけについて伺いたいと思います。

 

 

P.46

◎市長(鈴木俊美君) では、最初に多少本市の自慢ということになろうかと思いますが、余りこういうことは私は言うのは好きではないのですけれども、ご質問に答えるという意味でも申し上げてみたいと思いますが、確かに本市は道路や鉄道インフラについては、整っている交通の要衝ではないかというふうに思います。ただ、JRの便利さという点ではちょっと両毛線だけですので、劣るかなとは思っております。それでもJRあり、私鉄ありということでありますから、鉄道についてもほぼ整っていると言うことはできようかと思います。

  道路については、先ほどご質問の中でおっしゃっておられたとおりであります。道路事情は大変いいものがあるというふうに思っております。人口規模についても、現在の栃木市は宇都宮市、小山市に次いで県内では第3位。それから製造品の出荷額においては約9,000億円ありまして、こちらは宇都宮市に次ぐ県内第2位であります。こうして産業面においても、県内の有力な都市の一つではないかと自負しております。

  さらには、税務署、裁判所、法務局といった国の出先機関あるいは多数の県の出先機関も本市に集中して存在しておりまして、こういう意味でも県南においては、公共サービスの拠点としての位置づけはできるものと考えております。

  さらには、9つの高等学校を有するという意味においても、文教都市であります。

  そして、次に蔵の街なみに代表されるような歴史的な建物や旧跡なども大変多く、また人の面でも著明な文人、芸術家などを輩出しております。

  このようにして先人たちが築き上げてきた伝統や文化は、栃木市の誇りとするものであることは、これは誰も否定はできないだろうというふうに思います。

  ここまでが自慢でございます。次は、問題点ということで申し上げますが、産業の面であります。1日当たりの本市への就業者の流入人口、つまり市外から働くために栃木市に来られる方は約1万9,000人。これに対して市外への流出人口は2万5,000人と、少し差は縮まってはきているのですけれども、しかしかなりの人数で流出人口のほうが多いという状況にあります。

  総合計画策定の際に行いました住民アンケートにおきましても、企業誘致は重要であるにもかかわらず、満足していないといった働く場という分野においては、弱い一面があることは否めないのであります。この課題を解決するために、現在本市においては、総合計画をもとに進めております取り組みとして、雇用の創出、企業誘致の推進であり、主要な事業としては、千塚町上川原産業団地造成事業あるいはそのほかの企業誘致の推進事業が織り込まれるとともに、実際に行動をしているところであります。市といたしましては、産業を充実させ、働く場を確保することは、都市を持続させていく上で何といっても不可欠な要素でありますから、これらを前提として今後も市政各分野の対策を施さなければならないと考えております。

  このような観点から、後期基本計画の策定に当たりましても、雇用の創出、企業誘致の推進については、引き続き定住促進のための最重要施策の一つとして位置づけていくこととしております。

  市内に3つのインターチェンジを有するなどの恵まれた立地環境を生かし、働く場の創出につながる産業団地の整備、企業誘致を進め、将来にわたって県南地域における中心的な都市としての存在感を何としても今後も発揮していきたいと考えております。

 

 

P.47

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.47

◆4番(針谷育造君) 市長、余り遠慮をしないでください。どこかの市長ほどはやらなくてもいいですから、十分に栃木市のよさ、そして栃木市の発展可能性のあることは、どんどん内外に発信をしてもらいたい、そのことを申し上げたいと思います。

  それでは、明細(2)に入ります。県内産業団地の状況についててあります。平成28年12月の下野新聞によれば、「内陸型最大規模、昭和48年から44年間で清原工業団地完売」の記事がありました。さらに、翌年の4月、栃木県企業局長は、下野新聞で「県内の産業団地の整備分譲状況は足利市の駅南の第1期の予約分譲が決まったと。平成30年から分譲したい。真岡市大和田と矢板南は引き合いも何件かあると。茨城、群馬に比べ県南の産業団地は少ないという意識があるので、できるだけ早期に整備できるよう取り組んでいく」と答えています。また、通商産業省は平成28年工業立地動向調査で、県内件数は前年比11件減の29件、立地面積は前年比3ヘクタール減の47ヘクタール、全国順位は7位から13位に、面積では3位から10位に後退、人気がある宇都宮以南で販売可能な産業団地の面積が減ってきていることが影響したと県産業政策課は分析をしております。

  そこで、県内の状況を伺いたいと思います。1つ、県北地区の状況、県央地区の状況、そして県南地区のそれぞれを伺いたいと思います。

 

 

P.47

◎産業振興部長(高崎尚之君) お答えを申し上げます。

  栃木県の産業政策課が本年6月に作成しました栃木県産業団地マップによりますと、県内全域において現在分譲を行っている産業団地が15団地、造成中の団地が5団地でございます。

  まず、県北地区の状況については、栃木県土地開発公社が事業主体で10.6ヘクタールを分譲中の日光産業団地や栃木県企業局が事業主体で10.74ヘクタールを分譲中の矢板南産業団地など6つの産業団地が分譲を行っており、合計面積で35.63ヘクタールとなっております。

  次に、県央地区の状況につきましては、真岡市が事業主体で10.66ヘクタールを分譲中の真岡第5工業団地や栃木県企業局が事業主体で2.2ヘクタールを分譲中の大和田産業団地など7つの産業団地が分譲を行っており、合計面積は24.11ヘクタールとなっております。

  次に、県南地区の状況につきましては、民間会社が事業主体で6.77ヘクタールを分譲中の佐野AWS産業団地や佐野市が現在造成中で1.4ヘクタールの分譲予約を受け付けている佐野インター産業団地。そして本市が事業主体で、10.6ヘクタールを分譲中の千塚町上川原産業団地など3つの団地が分譲を行っており、合計面積は18.77ヘクタールとなっております。

  また、栃木県企業局が足利市に造成中の県駅南産業団地や栃木県土地開発公社が野木町に造成中の野木第二工業団地など県内に造成中の団地が5団地あり、特に県南の先ほどの2つの産業団地につきましては、造成中であるにもかかわらず、第1期予約分譲は全て予約済みとなっております。

  北関東自動車道が整備され、圏央道の大部分が開通した現在、大消費地である首都圏に近接し、地価が圏央道沿線に比べ非常に安価である県南地区については、企業からの引き合いが続いており、工業用地のストックが常に不足している状況というふうになっております。

  以上です。

 

 

P.48

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.48

◆4番(針谷育造君) 県内の状況、よくわかりました。

  それでは、明細(3)に移ります。本市の産業団地開発進捗状況についてであります。1つとして、今もありましたように、千塚町上川原地区の進捗状況、栃木インター周辺の進捗状況、都賀インターチェンジ周辺の地区の進捗状況について伺いたいと思います。

 

 

P.48

○議長(海老原恵子君) 今、(3)でよろしいですね。

 

 

P.48

◆4番(針谷育造君) はい、そこまでお願いします。

 

 

P.48

◎産業振興部長(高崎尚之君) お答えを申し上げます。

  まず、千塚町上川原地区の進捗状況についてでありますが、当地区につきましては、平成21年に地権者全員の同意を得て、土地区画整理事業による産業団地整備を実施しているところであります。本年度中には造成工事、舗装工事等産業団地の整備とともに、土地区画整理事業も完了する予定となっております。また、県道栃木粕尾線からの団地へのアクセス道路であります市道14―111号線並びに新千塚橋につきましても、本年6月に完成しており、現在県道との交差点改良工事を実施し、年度末の完成を予定しております。

  企業への分譲状況につきましては、6月議会において議決をいただきました3社を含め、現在4社と契約を締結しており、さらに3社と契約に向けた手続を行っている最中であります。

  次に、栃木インター周辺地区の進捗状況についてであります。当地区においては地元地権者で組織する栃木インター周辺開発研究会を中心に、役員会や地区別座談会等を行い、先進事例の研究、土地利用の方針や事業手法の検討など事業の具現化に向けた取り組みを進めております。平成27年度に土地利用の意向調査を行った結果、開発に対する賛成率が約91%と高かったことから、事業区域の検討を行い、構想案の作成、雨水排水の検討等を行ってきたところであります。また、平成28年度より各関係部局との法令調整に必要な施行同意書の取得作業を行っており、本年も引き続き同意書の取得を推進してまいりたいと考えております。

  最後に、都賀インター周辺地区の進捗状況でありますが、平成25年度に地権者の皆様に土地利用に関する意向調査を実施させていただきました結果、開発に対する賛成率が人数割で約81%、面積割で約65%であり、営農を希望される方がかなりの割合で点在しておりますことから、戸別訪問により意向の再確認、課題の抽出等を行い、開発可能な整備区域について平成28年度末に説明会を開催したところであります。今後都賀インター周辺土地利用研究会の役員の皆様と相談しながら、新たな整備区域の選定や組織の再編等を行い、整備に向けた検討を引き続き行ってまいりたいと考えております。

  以上です。

 

 

P.48

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.48

◆4番(針谷育造君) 大変成果を上げている場所もあるようでありますけれども、これからという場所もあるようでございます。

  それでは、明細(4)佐野藤岡インター周辺開発事業の進捗状況と見通しについてであります。この件については、平成28年12月議会で質問をいたしました。平成26年、現地調査、平成27年、地権者権利調査、平成28年、説明会後に研究会設立総会が終わり、地権者の合意形成意向調査の段階に入っていると報告をされたのを覚えております。その進捗状況はどうなっているのでしょうか。

  さらに、地元ではスケジュールに基づいて年度計画の中で見通しをぜひ示してほしい。地元のある方では、「8年と聞いたよ」と言っておりますけれども、早期完成を願っている一つのあらわれであるというふうに私は思っております。事業の進捗状況について、研究会の取り組み状況について、研究会の今後の行程計画について、そして最後に事業取り決めの決意について伺いたいと思います。

 

 

P.49

◎産業振興部長(高崎尚之君) お答えを申し上げます。

  本地区につきましては、栃木市総合計画並びに都市計画マスタープランにおきまして、栃木インター及び都賀インターとともに高速道路による広域交通網を生かした産業拠点としての機能強化を図りながら、地域産業の活性化に寄与する土地利用を図るエリアに位置づけております。これらの計画を踏まえ、現段階の進捗状況としましては、平成26年度より市において開発可能性の高い区域を検討し、平成28年度に区域内の全地権者を対象に説明会を実施。そして組織の立ち上げ等についてのご承認をいただきましたことから、平成29年2月に開発研究会を設立いたしました。

  次に、研究会の取り組みとしまして、今年度は既に役員会を経て7月に第1回佐野藤岡インター周辺開発研究会総会を開催し、平成29年度の事業計画や収支予算等についてご承認をいただいたところであります。現在、先進地視察研修や地区別座談会による勉強会を計画しており、本年度中には将来の土地利用に対する意向調査を行いたいと考えております。

  今後の進め方としまして、産業団地造成等の面的な整備を具体的に進めるためには、開発に対する関係地権者皆様の同意が不可欠であることから、研究会の中で開発整備に関する理解を深めるとともに、合意形成を図りながら開発整備の進め方を検討してまいります。

  具体的な行動計画といたしましては、開発に対する熟度が増した段階で、開発区域の選定、事業方法や事業主体などの決定、区域内の地権者全員の同意書の取得、国県等の関係部局との各種法令の調整など段階的に進め、事業化を目指してまいります。市といたしましては、佐野藤岡インターに近く、国道50号沿いである当地区は、産業団地等の開発にすぐれた地区であり、ポテンシャルの高い区域であると認識しておりますので、栃木市南部地区の産業振興の拠点としてやり遂げなくてはならない事業であると考えております。

  以上です。

 

 

P.49

○議長(海老原恵子君) 針谷議員。

               〔4番 針谷育造君登壇〕

 

 

P.49

◆4番(針谷育造君) 部長から大変力強い、しかも意欲あふれる答弁をいただきました。ありがとうございました。こんな条件に恵まれた栃木市のバックグラウンドができたのでありますから、発展可能性を具体化するためのギアを1段上げるときが今ではないでしょうか。県の企業局長が言うように、県南に大きな期待がかけられております。県南とはどこでしょう。先ほど言いましたように、私は栃木市である。自信を持つべきである。このように思っております。市長を初め職員、議会も市民に状況に的確対応できるような大きな夢を提供する義務があります。それが今なのです。そのことを申し上げて、質問を終わります。




平成29年 12月定例会(第4回) - 12月05日-02号
P.18
◆4番(針谷育造君) おはようございます。1番というくじが当たりまして、1番に質問することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、12月議会一般質問を行います。4番、市民クラブ、針谷育造。1、農業問題について、2、ふるさと納税について。
  それでは、発言要旨1、農業問題について始めたいと思います。この質問のきっかけは、11月2日に実施された産業教育常任委員会意見交換会を傍聴させていただき、日々悩み、苦しみながら奮闘している農業者の皆さんの話を聞き、大きな驚きと感動を受けました。若い農業者の悩みには先輩が丁寧に答え、それにうなずく若い人の姿がそこにあり、栃木市農業者が大きな1つの家族のように感じました。
  今般、農業ビジョンは、農業関係者の英知を結集し、本年3月作成され、将来の10年間のあるべき農業の姿や方向性を示しています。多くの問題を抱える栃木市農業に大きなインパクトを与えていくと思われます。しかしながら、日本農業は、大きな問題を抱えていることはご承知のとおりです。国内的には、農業者の高齢化、担い手不足、耕作放棄地の増大など、早急に実施しなければ地域の荒廃や、そして存続にまでつながるおそれがあります。国際的には、TPPなどの国内外からの自由化の圧力がかけられております。そのような中で、農業の食料生産体制の不安だけでなく、地域の環境保全と住みなれた集落の存続さえも危ぶまれ、地域の歴史がこのままでは消えていく可能性さえあります。今こそ全国民がこの現実を共有しなければなりません。そこでまず、栃木市の農業の現実と将来を展望しながら質問したいと思います。
  発言明細(1)栃木市農業ビジョンについて。平成29年度の主な取り組みについて、初年度ではありますが、平成29年度の主な事業について伺いたいと思います。
  2として、その中から見えてきた課題と展望、短期間ではありますが、その中で感じられたことについて伺いたいと思います。


P.19
◎産業振興部長(高崎尚之君) おはようございます。きょうから4日間にわたります一般質問、よろしくお願いいたします。それでは、お答えを申し上げます。
  本年3月に策定しました栃木市農業ビジョンは、本市の10年後を見据えた力強い農業、戦略的な農業を確立し、将来に向かって計画的に推進する栃木市型農業を描いたものです。ビジョンのスタートとなる今年度は、主に6つの事業について取り組んでいます。
  1つ目は、農業の魅力と理解を各世代に深める取り組みといたしまして、出前講座や各種農業団体の会議の中で、ビジョンの内容とあわせ、魅力的な本市農業を紹介したところです。さらに、今年度のまちづくり懇談会ふれあいトークにおきましても、市政報告の一つとして広く市民に周知するとともに、二条大麦の産出額日本一など本市の誇れる農畜産物について説明をいたしました。
  2つ目は、複雑かつ多岐にわたる国、県、市の各種補助事業のメニュー、新規就農者や認定農業者になるための情報や手続などをわかりやすくコンパクトにまとめた栃木市版農業手引書を現在策定中であります。完成後は、さまざまな機会を通し、新規就農希望者を初め農業者に配布し、多くの方々に利用していただけるよう周知してまいります。
  3つ目は、全国の新規就農希望者へのPRとして、新規就農者のための最大のイベント、新農業人フェアに来年2月出展いたします。このイベントは、東京池袋のサンシャインシティーで行われ、本市農業の魅力のほか、定住促進に関する情報を伝え、本市に興味や関心を持っていただくよう、PRや就農相談を行ってまいります。
  4つ目は、農業版定住促進に向けた取り組みとして、11月に記者発表した農業インターンシップ事業です。現在市外からの研修生募集と同時に、事業に協力いただく市内の先進農家を募集しております。今年度中にマッチングを行い、来年度、本市農業の魅力を直接肌で感じてもらう就農体験を行ってまいります。
  5つ目は、本市農業の魅力を映像で伝える農業版プロモーションビデオの作成です。現在、農業公社が中心となり撮影を行っております。このプロモーションビデオは、四季折々の本市の農業とおいしく、安全安心な農畜産物を全国の消費者へビジュアル的に広く知らせ、販売促進につながればと考えております。完成後は、インターネット映像サイトにも投稿をする予定となっております。
  6つ目は、食育の推進です。認定農業者が、食と農について、みずから生産した農産物を題材に、小学校で授業を行い、農業の楽しさや食の大切さを子供たちに伝えるとともに、地産地消の推進を教育部と連携して実施いたしました。
  これらの取り組みを通して我々が課題として感じているのは、やはり情報がきちんと農業者に伝わるかどうか。また、農業従事者の高齢化や担い手不足というのも実際に感じているところです。ほかにもイノシシなどの獣害被害が増加しているというのも一つの課題だというふうには捉えております。
  県内でも農業ビジョンを策定し、施策を展開している市町は数えるほどしかありません。栃木市農業ビジョンには、13の指標、72項目の施策がありますが、農業分野における最上位計画として、さまざまな事業を推進し、真に強い農業、農業大市を目指してまいりたいと考えております。
  以上です。


P.19
◆4番(針谷育造君) 丁寧な説明ありがとうございました。特にこの農業ビジョンがつくられることによって、多くの計画性や、あるいは広がりを今感じることができました。初年度ということでありましたけれども、大変なご苦労に対し、敬意を表したいと思います。
  それでは、発言明細(2)農地中間管理機構について伺いたいと思います。1、人・農地プランについて、2、農地中間管理機構とは何か、3、農地中間管理機構への出し手に対する支援、特に地域集積協力金、経営転換協力金等について伺いたいと思います。


P.20
◎産業振興部長(高崎尚之君) お答えを申し上げます。
  まず初めに、人・農地プランについてですが、このプランは平成24年度から、農林水産省の支援を受け、各市町村で開始された事業であります。集落や地域において抱えている高齢化に伴う後継者や担い手の不足、耕作放棄地の増加など、人と農地が抱える問題解決に向けて、集落や地域単位での話し合いを行います。話し合いでは、地域の担い手の状況、今後の中心となる農業の経営体、近い将来の農地の出し手の状況、また将来の農地利用のあり方、農地中間管理機構の活用などの内容をまとめ、最終的に農地利用の方向性を示すプランとして市が作成をします。
  現在市内では、小野寺地区、静和地区など19地区においてプランが作成されています。このプランに位置づけされますと、国の各種補助制度の支援がスムーズに受けられることや、認定農業者にはスーパーL資金の当初5年間無利子といった優遇措置の適用などが受けられる多くのメリットがあります。
  次に、農地中間管理機構についてですが、前述の人・農地プランの作成段階において、信頼できる農地の中間的受け皿となる公的機関があれば、人と農地の問題の解決に向け進みやすくなるとの多くの意見や指摘を踏まえ、設置された農地の貸借、貸し借りを進める機関でありまして、栃木県では平成26年に、公益財団法人栃木県農業振興公社が県から指定を受けました。中間的受け皿の機能として、離農や規模縮小を行う農家、さらに農地所有者から機構が農地を借り受け、意欲ある担い手にまとまった形で農地を貸し付ける安心のある仕組みでありまして、担い手への農地集積、集約化を促進し、耕作放棄地の解消を目指すものであります。
  次に、農地中間管理機構を活用する出し手への支援制度として、機構集積協力金という制度がありまして、まず地域に対する支援策として地域集積協力金、そして個々の出し手に対する支援策として経営転換協力金と耕作者集積協力金の合わせて3つの支援メニューで構成されており、いずれも人・農地プランへの位置づけが必要となっております。
  1つ目の地域集積協力金については、集落や大字、小学校区等支援対象となる範囲が明確な地域で、全農地面積のうち一定割合以上の農地を機構に貸し付けた場合に、当該地域に対して交付されるものであります。本市では、岩舟町の曲ケ島、大平町の新においてこの制度を活用し、地域農業を支えております。
  2つ目の経営転換協力金については、離農や、例えば稲作とイチゴの複合経営からイチゴの単一経営といった経営転換を契機に、機構へ農地を貸し付ける農地所有者に対して交付するものであります。本市では、現在までに70名の活用があり、農地集積に協力をいただいております。
  3つ目の耕作者集積協力金については、機構が既に借り受けている農地に隣接する農地を機構に貸し付けた所有者または耕作者などに対し交付するものであります。本市では、現在までに18名の活用があり、農地の集約化に協力いただいております。市では、6月に終了しております西方地域を除き、本年度も1月から、各地域において人・農地プラン座談会を開催する運びとなっており、1月号広報とちぎにおいて周知を図ります。引き続き農地中間管理機構を活用した農地の集積、集約化を積極的に進めていきたいと考えております。
  以上です。


P.21
◆4番(針谷育造君) たくさんの特典が本当に農家の皆さんに理解され、それらが伸展することを願っておきたいと思います。
  それでは、発言明細(3)に移らせていただきます。農地中間管理機構関連、農地整備事業について伺いたいと思います。①といたしまして、水田の地域別未整備地域について、状況はどうなっているのかお伺いしたいと思います。市内の整備済み水田75.7%、約5,277ヘクタール、未整備地区は未整備率が24.7%で1,691ヘクタールと聞いております。そこで、地域別未整備水田の内訳について伺いたいと思います。
  ②といたしまして、事業の背景と課題について伺います。担い手への農地の集積、集約化を加速するために、農地中間管理機構が借り受けている農地について、事業者の申請、同意、費用負担によらず、都道府県が実施する基盤整備を推進するとあります。具体的に伺いたいと思います。
  3つ目といたしまして、事業の政策目標と主な実施要件について伺います。
  4つ目に、説明会等の地域への働きかけについて伺います。これらの事業について、ほとんどの皆さんは周知は、あるいは知ってはおりません。説明会等の地域への働きかけを伺いたいと思います。
  ⑤といたしまして、圃場整備事業の期間と補償について伺います。以前は、減反政策に合わせて圃場整備をした記憶があります。この事業の期間と補償等があればお答え願いたいと思います。


P.21
◎産業振興部長(高崎尚之君) お答えを申し上げます。
  まず、地域別の水田の未整備率でありますが、まず栃木地域が27.8%、大平地域が9.5%、藤岡地域が28.1%、都賀地域が32.7%、西方地域が22.4%、岩舟地域が32.2%、市全体では23.9%が未整備となっております。
  次に、事業の背景と課題でありますが、今後農業従事者の高齢化に伴い、農地中間管理機構への貸し付けが増加することが見込まれ、基盤整備事業が十分に行われていない農地については、担い手が借り受けないおそれが出てまいります。
  一方、農地中間管理機構に貸し付けた所有者は、基盤整備のための費用を負担する用意がなく、このままでは基盤整備が滞り、結果として、担い手への農地の集積、集約化が進まなくなる可能性があります。このため、国においては、土地改良法を改正し、農地中間管理機構が借り入れている農地について、農業者の申請、同意、費用負担によらず、都道府県が基盤整備事業を実施できる制度を創設いたしました。
  事業の政策目標と主な実施要件でありますが、国といたしましては、本事業を核として、担い手が耕作する面積が今後10年間で全農地面積の8割となるよう、農地集積を推進するとの政策目標を掲げております。
  次に、本事業の実施要件ですが、5つの要件があります。1つ目は、事業対象農地の全てについて農地中間管理権が設定されていること。2点目は、事業対象農地面積が平場で10ヘクタール以上、中山間で5ヘクタール以上であること。3点目は、農地中間管理権の設定期間が事業計画の公告日から15年以上であること。4点目は、事業対象農地の8割以上を事業完了後5年以内に担い手に集団化すること。5点目は、事業実施地域の収益性が事業完了後5年以内に20%以上向上することとなっております。
  本事業に対する説明会等の地域への働きかけについてでありますが、本事業は市にとって圃場整備未実施地区における基盤整備事業の実施や、圃場整備済み地区におきましても、区画の拡大や土水路、土のままの水路ですね、の解消、農道の拡幅など再整備にも有効な事業と考えております。既に農業者や土地改良区に対して情報の提供を行っており、栃木地域の圃場整備未実施地区におきまして、10月24日に圃場整備の勉強会を立ち上げていただきました。
  また、大平地域、藤岡地域の土地改良区からも、本事業の説明会を開催してほしいとのご要望を受けております。そこで、市内12土地改良区で組織する栃木市土地改良事業推進協議会において、12月26日に本事業に関する研修会を開催していただくことになりました。研修会には、土地改良区はもとより、水利組合、圃場整備未実施地区の農業者の皆さん、農業委員さんへもご案内を差し上げることとなっております。
  最後に、事業採択後の圃場整備の期間と補償についてでありますが、まず圃場整備の期間は、整備する面積にもよりますが、通常5年から7年程度であります。また、補償と整備時期でありますが、古くは通年施工で工事を行うことで稲作ができないため、転作の取り組みの一つとして補償を行う、そのようなことがあったと聞いておりますが、現在の工事は、稲作終了後から始まり、翌年度の田植えまでには工事は終了することが通例となっております。
  以上です。


P.22
◆4番(針谷育造君) 特に⑤の圃場整備事業等の期間と補償、これらについて大変要件等は厳しいかなという感じはいたしますけれども、何せ圃場整備ができていないというところには、この後新規就農者や新しい担い手や、農家の担い手等が就農する場合には、大変有効なこの事業であるというふうに思っております。
  そこで、再質問を1点だけさせていただきます。私の住んでいる岩舟町古江地区は、今から63年前の昭和28年、29年に、県内でも早い時期に48ヘクタールの土地改良事業を実施いたしました。当時とすれば画期的な10アールの水田、農道、用水路、排水路が碁盤の目のように、田んぼがきれいにでき上がったことを子供のときに思い出しております。裏作の麦で土地改良の費用を賄い、農業生産、特に水稲作付を現在まで続けております。
  しかし、ご多分に漏れず、高齢化、担い手不足は深刻です。幸い数人の認定農業者の人たちが、献身的に借り受けて耕作を続けております。しかし、いつまでできるかは時間の問題だと認定農業者も話しております。しかし、水田を荒らすことは、地域の環境破壊、ひいては集落の存続にもかかわります。この美田を後世に残し、水田耕作を続けるためにも、未整備地区の整備が必要であります。この古江地区のモデル事業としての可能性について再質問をしたいと思います。


P.22
◎産業振興部長(高崎尚之君) 古江地区につきましては、ただいま議員からもご紹介がありましたとおり、本市で最も早く、昭和20年代後半に整備をしたところというふうに伺っております。早期の整備のため、圃場の面積が小さく、用排水路、農道とも狭隘、また土側溝等もしっかりしたものではないというふうに我々も認識しております。このため、農作業効率が余りよろしくなく、担い手への農地集積が困難な地区であるというふうに認識をしております。
  市といたしましては、この事業を活用いたしまして、圃場の大区画化や用排水路の整備、農道の整備を実施し、担い手への農地集積を進めることができればというふうに考えているところであります。
  以上です。


P.22
◆4番(針谷育造君) 要望も含めまして。確かに未整備地区、先ほど言いましたように、ご答弁いただきましたように、栃木市内で23.9%、かなり大きな面積が未整備ということになるかと思います。全ての耕作、全ての農業にとって、土地は基盤が第一であると思います。この事業のこれからの促進、推進について、強くお願いをしておきたいというふうに思っております。
  農業問題の一つは、安定した農業経営ができることであります。安心して農業で生活できる仕組み、体制が必要でございます。生活できる農業経営のために、政策的な対策が重要であります。なぜなら国民の安全安心の食べ物を国内で確保することは、食料安全保障の観点からもやらなければなりません。
  平成28年度のカロリー自給率は38%まで低下をいたしました。農家が生産をやめたら、安全安心な国産農産物は食べられなくなるおそれがあります。また、農業の多面的機能は8兆円とも言われております。農業に予算を投入すべきであります。特に米は、唯一100%に近い国内生産です。米の直接支払いを含めて、生産費と市場価格の差額を交付する農業者戸別所得補償制度の復活は必要であり、その結果として水田耕作者の担い手も増えていくのではないかと予想されます。国民の台所に責任を持つことは、政治の責任であると思います。これらの制度を、政策を、政府に要望することを強く求め、栃木市農業ビジョンを着実に進めていくこと、それらをお願いし、次の質問に移りたいと思います。
  発言要旨2、ふるさと納税についてであります。発言明細(1)ふるさと納税制度について。この件に関しては、平成26年、28年、それぞれ12月議会で質問をいたしました。
  ふるさと納税とは、納税者が自治体、公益法人に寄附をした場合に、所得税、住民税が寄附額に応じて軽減されるもので、平成20年に始まりました。その後、ふるさととは関係なく返礼品の多いところに集中し、大きな問題になっております。寄附控除を受ければ、市民税2,000円の負担で済みます。税を控除され、返礼品でほくほくとなる仕組みです。高額所得者にはうまい話であり、テレビコマーシャルで毎日のようにPR、あおりを行っていると私は思っております。ふるさとに関係なく、返礼品目当ての寄附が集中し、宮崎県都城市では平成28年度は73億円を集めております。その陰で、大都市部だけでなく、県内でも12市町、約半分が住民税の減少に悲鳴を上げ、全国の自治体が競っているのは、まさに自治体が、全てがアリ地獄に落ち、もがいている、そのようなことが実態として私には感じられます。この制度について、どのような認識を持っているのか伺いたいと思います。
  ①、ふるさと納税制度の歩みについて、この制度の歩みについて市の認識を伺います。
  ②、平成27年度までの本市の寄附金の収入、そして経費としての支出の状況について伺いたいと思います。


P.23
◎総合政策部長(茅原剛君) お答えを申し上げます。
  ふるさと納税制度は、今は都会に住んでいても、生まれ育ったふるさとやお世話になった地域などに、自分の意思で、幾らかでも納税できる制度があってもよいのではないかという提起のもと、平成20年度から導入をされました。平成25年度ごろから各自治体で返礼品が導入され初め、本市においても平成26年度に返礼品を導入いたしました。ふるさと納税の全国受入額は、制度導入の初年度の平成20年度は約81億円でありましたが、平成28年度は約2,844億円になっています。
  本市の平成27年度までの収入と支出の状況でありますが、収入については寄附金額を、支出については本市からの市民税流出額と返礼に要する経費の合計額で申し上げます。平成20年度、収入30万5,000円、支出23万8,800円、平成21年度、収入23万円、支出75万1,560円、平成22年度収入29万円、支出39万4,320円、平成23年度、収入19万円、支出943万9,320円、平成24年度、収入58万3,715円、支出179万2,480円、平成25年度、収入136万4,321円、支出137万7,720円、平成26年度、収入2,669万8,795円、支出1,526万5,920円、平成27年度、収入8,943万9,146円、支出7,223万7,664円でありました。
  以上です。


P.24
◆4番(針谷育造君) 答弁を聞きますと、平成22年、平成23年、平成24年、その3カ年につきましては、残金が残らず、赤字というようなことが、市民税控除額、いわゆる他に転出した寄附額、返礼品の経費で見ますと、そのような状況になっておるということでございます。大変PRの割には極めて持ち出しが多いというようなことも、この平成20年から27年度でうかがうことができるというふうに思っております。
  それでは、次の質問に移ります。発言明細(2)平成28年度の実績について伺いたいと思います。平成28年度県内の状況について伺いたいと思います。
  2つとして、本市の収入、支出の状況について伺いたいと思います。
  3つ、①でもお答えになるかと思いますけれども、12市町が私の見たところでも赤字の実態というものがございます。これはどう考えるのかということをお聞きしたいと思います。
  県内で、新聞は「12市町が赤字、競争激化、5市町が黒字からの転落」と、こういうような見出しで報道されましたが、宇都宮市が3億4,037万円、昨年度が1億6,881万円、下野市が5,877万円、足利市は4,707万円などの赤字報道であります。私が、この前に事務担当に聞きましたところ、栃木市も実質的には赤字ではないのでしょうか。県内赤字市町が増えている実態をどう考えるのか伺いたいと思います。


P.24
◎総合政策部長(茅原剛君) お答えを申し上げます。
  平成28年度におけるふるさと納税の寄附受入額から平成29年度に同制度に伴う個人住民税流出額を差し引いた収支の目安額では、25市町のうち13市町が黒字であり、黒字額が最も多いのが那須町の約1億9,874万円で、那須塩原市が約1億8,630万円、矢板市が約1億6,254万円でありました。一方、12市町は赤字であり、赤字額が最も多いのが、先ほど紹介のありました宇都宮市の約3億4,037万円で、近隣の市では足利市が約4,707万円、小山市が約3,539万円、佐野市が約2,046万円の赤字となっております。
  本市の平成28年度の寄附額は9,740万円で、平成29年度の市民税から控除した額は約4,880万円であり、収支目安は約4,860万円のプラスとなっております。ここから返礼品等に係る経費の約5,523万円を差し引くと、約663万円のマイナスとなります。
  一方、ふるさと納税制度では、市民税の減少分に対し75%が地方交付税により補填される仕組みとなっていることから、約3,660万円が措置されますので、約2,997万円のプラスが本市の実質的な収支目安となります。
  なお、赤字であった県内の12市町は、自治体により、ふるさと納税制度に対する基本的なスタンスが異なり、返礼品の有無や返礼率などに違いがあることから、ふるさと納税の効果にもばらつきが出ている状況でありまして、一律的な評価等はできないものと考えます。
  以上です。


P.24
◆4番(針谷育造君) ふるさと納税でマイナスになった663万円、このことをお認めになりましたけれども、しかしそのいわゆる交付税の75%で3,660万円が措置となるというような答弁がございました。この数字を証明する具体的なものというのはあるのかどうなのか、再質問という形でお尋ねしたいと思います。


P.25
◎総合政策部長(茅原剛君) 先ほども申し上げましたように、この制度としまして、税金の減収分の75%が交付税で補填をされるという制度があります。ということで、これは、交付税制度というのは、基準財政需要額から基準財政収入額を引いたもの、それが交付税として交付されるわけですが、税収分については、この基準財政収入額から引くということで、間違いなく先ほど申し上げた数字は、そういった算出の中に出てまいりますので、そういうことで、制度上間違いなくそういうふうな交付税措置がされているというふうに言えると思います。
  以上です。


P.25
◆4番(針谷育造君) 間違いなく制度上ではそうなっているというのは私もわかりますけれども、例えば昨年の交付税と3,660万円というものが具体的な数字としてあらわれない、これは交付税のブラックボックスと言われているのもそうでありますけれども、政府のさじかげんによって、これらのことはやっているとは思いませんけれども、このふるさと納税、まさにそれらがこの交付税措置75%で補償するということも、具体的な数字があらわれない限りは、どうも私はその承服をしかねるということでありますので、これらの証明を、今は無理かもしれませんけれども、この3,660万円が必ずそれらとして増えたという報告を、後でも結構ですからお願いをしたいと思います。要望です。
  部長、何か答弁がございますか。


P.25
◆4番(針谷育造君) では、部長に、この件についてお答えできるかどうかお伺いをしたいと思います。


P.25
◎総合政策部長(茅原剛君) 先ほどと答弁がかぶりますが、制度上、税については基準財政収入額のほうで配慮する、補填するということになっていますので、さっき申し上げました、うちの減収分4,880万円に対する75%、3,660万円は間違いなく収入額の中で見ている。これは、そういう算出で出ているのは間違いないことでありまして、それは証拠というか、そういうことではなくて、そういう制度の中で間違いなく、その数字の中で基準財政収入額を計算しているのは間違いないということで、それは事実であります。
  以上です。


P.25
◆4番(針谷育造君) それでは、先に進めます。
  発言明細(3)ふるさと納税制度の問題について市長に伺います。①、寄附控除などの税制上の問題について。かつて市長の答弁は、「ふるさと納税のことだけやり玉に上げて、控除するのはおかしいからやめたほうがいいと言われるのはどうなのかと思います」と答弁をしております。寄附とは善意の行為であり、返礼品目当てではないはずであります。福祉団体等への寄附が減っている現実はないのでしょうか。
  ふるさと納税の寄附控除は、高額所得者に結果的には税の応能原則を逸脱していないか、まさにここが問われております。合法的な金持ち優遇、金持ちというのもあれですけれども、高所得者優遇であり、その上、返礼品の特典を自治体が率先していると思われますが、いかがでしょうか。その上、ふるさと納税は寄附文化を破壊していると思われます。純粋な寄附控除を逸脱しているのはふるさと納税ではないでしょうか。
  ②といたしまして、高額所得者の節税対策になっていないか。高額所得者は、返礼品でにっこり、税額控除でにんまり、わずかな市民税負担で市民サービスを受けてほっこり。泣いているのは、寄附もできない、またはしないで、その分、他市町流出分約4,870万円を負担する市民であります。そのような現実は歴然としてあるのではないでしょうか。
  市民税は、栃木市民としてのつき合いの会費のようなものであります。福祉も教育も道路も市民税で賄われます。他市町にふるさと納税をすれば、会費分2,000円で住民サービスが受けられます。こんな不公平はないと思いますが、いかがでしょうか。行政への信頼は、公平公正を尽くすことにあります。税を納めない方策を行政が率先しているのがふるさと納税ではないでしょうか。
  ③、市民税控除額の実態と課題について伺いたいと思います。平成28年度の税額控除4,869万円が他市町に流出をしている、この実態をどう考えておるのでしょうか。ここで仮に10万円の寄附をした場合、2,000円の負担で税金が9万8,000円ほど少なくなります。栃木市の場合ですと、40%、4万円相当の特産品が手に入れられるのであります。「金持ちほど得な官制通信販売」と朝日新聞は痛烈に批判をしております。市民税2,000円以下しか納めていない低所得者は、この制度には無縁であります。
  ふるさと納税制度は、応能負担の原則を逸脱し、税制を根本から揺るがしている、このような議論は既に始まっております。全国トータルで見ますと、おおよそ返礼品の経費だけ地方税が減少している、そのようなことに考えが及ばないのでありましょうか。
  ④、自治体の地方税課税をどう考えているのか伺いたいと思います。憲法30条は、国民は法律の定めにより納税の義務を負うと。地方税法第2条で自治体の課税権が認められ、第5条で住民税が定められております。栃木市税条例第23条で、市内に住所を有する個人と法人は納税義務を負うと規定されています。どうしても必要な財源なら、市民の合意を得て、新たに課税することも認められているものであります。矛盾だらけのふるさと納税にかわる財源を確保する方法は、今の税制の中で認められております。地方自治体課税権をどう考えているのか伺いたいと思います。


P.26
◎市長(鈴木俊美君) 寄附控除の制度につきましては、寄附者が所得税及び市民税額の控除が受けられることで寄附を促す制度であります。こうした方法というのは、いわゆるふるさと納税に限らず、税の控除が受けられるという仕組みを通して、例えば市町村への土地の販売というか、土地を売ることをしむけるということもそういうことでありますし、そのほか政党に寄附をすれば控除が受けられるといったことが、ふるさと納税に限らず行われているわけでありまして、税の控除というメリットを通して寄附というものを行おうとする、寄附文化というのでしょうか、日本人といいますか、余り寄附ということに従来は目を向けていない傾向があったかと思いますので、そうした面から、寄附を行うということについての思いを醸成をしていくというふうなことに目的がある制度であります。そういう仕組みからしても、税の控除という優遇制度のもとに成り立っているものでありますから、住民税のおよそ2割を上限として、2,000円を除く金額が全額控除を受けられるというこの仕組みは、いわゆるふるさと納税をしようという思いを持つに至る上で大きなメリットであろうというふうに思います。
  ただ、この制度でいきますと、議員がご指摘のとおり、高額納税者ほど優遇されることにならないかという指摘があることも事実であり、またそういう面がないとも限らないと思います。そうしたことになる可能性のある要因の一つとしては、ふるさと納税の場合に、現在問題にもなっておりますが、商品券や電化製品あるいは宝飾品といった換金性の高い返礼品を提供していた自治体もあったわけで、これらを受け取った寄附者は、実質的にはそういうものを受け取ったり、あるいはより甚だしいときは、それをさらに換金をするといったことなどを通して、より一層減税の幅が大きくなるというふうにも考えられるわけでありますから、そういう点からの高額納税者が優遇される傾向がますます強くなるだろうということにつながる可能性もあると指摘をされるのは、それは理解ができます。
  こうしたことから、国はその対策として、換金性の高い返礼品の提供はやめるよう自治体の指導に乗り出したところでありまして、本市においても宝飾品の返礼をやめたところであります。ただ、本市の返礼品として提供していた宝飾品、言葉で言うと宝飾品となるのですけれども、ダイヤモンドとか金とか銀とか、そういうものを加工したものをお返ししたというのではなくて、金属を曲げたりしてブローチにしたりとか、ちょっと言葉が出てきませんが、そういうものを返礼品にしていたので、それは呼ぶとすると宝飾品ということになっていまうのだそうですけれども、イメージとしての宝飾品では本市の場合はなかったのであります。そうした加工をしている方が、これは寺尾地区のほうにいらっしゃるわけですよね。そこから提供を受けて返礼品として使っていたのでありますが、それを宝飾品と呼ぶなら、本市もそういうことをしていたことは事実であります。
  次に、本市のふるさと納税による市民税の控除額については、先ほど部長が答弁をしておりますが、平成29年度分は約4,880万円ということでありまして、前年度より増加しております。しかし、ふるさと納税制度が広まっていくことによって、その広まった理由、原因は、先ほどから申し上げているとおり、返礼品の加熱というのがそれを押し上げているということになる面も確かにあるような気もいたしますが、ふるさと納税制度が広まっていったことによって、本市の市民もほかの自治体への寄附をする方が増えたということでありますので、これはある程度そうなるであろうことは予測は十分にできるわけであります。
  しかし、もともとふるさと納税の目的というのは、何度も申し上げておりますとおり、自分の生まれ育ったふるさとやお世話になった自治体や、被災した自治体あるいは福祉団体などへの応援であることを考えると、その制度がある以上、栃木市民の方が他の自治体等に寄附をされることは、これは困ったものだなとはやっぱり言えないと思います。
  ふるさと納税制度は、国の所得税が税額控除されることや、住民税の減収分の一部が、先ほど部長が答弁したとおり、国から交付税として補填されてくるといった国と自治体による一体的なシステムによって成り立っているわけでありまして、もしこのシステムに無理が生じるというふうなことになれば、これは見直しはせざるを得ないだろうというふうに思いますので、今後の国の動向などについても注意を常にしていきたいというふうに考えております。
  もう一方では、ふるさと納税は、本市の特産品のPR、寄附文化醸成の一助になっていることも事実でありますので、財源が確保できることによって、独自性や独創性の高い事業を実施することもできるようになるなど、地域振興に貢献できるというメリットもありますので、多くの方に栃木市を応援をしていただけるよう、今後も取り組んでいきたいと考えております。
  最後に、ご指摘のありました地方税の独自課税権ということでありますが、これは平成12年の地方分権一括法で、法定外普通税が国の許可制から協議制に変わり、いわゆる法定外目的税が新設されたことが始まりでありまして、代表的なものとしては東京都の宿泊税、いわゆるホテル税があります。それから、栃木県が現在行っております環境森林税かな、これもそうです。
  こうして県や都などが行っている例はありますが、これを市町村がこの法定外目的税を導入するとなると、それを行わない他の市町村及びそこにお住まいの人と比較をして、法定外目的税を導入した市の市民とかからは、何でうちだけそういうものを取るのだというふうな反発、あるいは他のやっていない市町村との格差がうちはあるではないかというふうなご批判というか不満が出る可能性が十分に予測されることから、市町村がこうした法定外目的税を比較的簡単に導入をしていくというのはなかなか難しい。横並びと言われてしまうかもしれませんが、ほかの市町村でもやはりやっているようなものを導入をしていくなら考えられるのですけれども、あるいはそれらと一緒に行うとか、そういうことにどうしても考え方として傾かざるを得ないという気持ちもご理解をいただければというふうに思います。
  長くなりましたが、以上でございます。


P.28
◆4番(針谷育造君) 大変苦しい胸のうちを述べていただいたような気もしておりますけれども、発言明細4に移らせていただきたいと思います。
  ふるさと納税制度の見直しについて。現在の答弁でもありましたように、平成26年12月議会で市長は、「私どもから廃止に向け、あるいは見直しに向けての働きかけをする考えはない」との答弁をしておりますが、今でも変わりませんか、市長の考えを伺いたいと思います。
  2つとして、県市長会での見直し議論はあるのでしょうか。県内12市町、市では半分の6市が赤字であり、栃木市でも実質赤字であるとすれば、住民の利益に反し、利益を損なうふるさと納税制度が廃止とならないのか、まさに不思議であります。見直しの意見等は出ていないのか伺いたいと思います。
  3つとして、地方6団体での見直し議論に発展させられないのかを伺いたいと思います。全国市長会は、地方自治に影響を及ぼす法律または政令その他の事項に関することを内閣に意見申し出または国会への意見書の提出に関すること、国の施策の企画立案、実施に関する関係団体との国と地方の協議が目的に掲げられております。ここへの働きかけについて伺いたいと思います。


P.28
◎市長(鈴木俊美君) まず、市としてということでございますが、本市のふるさと納税への取り組みにつきましては、先ほどから答弁をしておりますとおり、今後も取り組んでまいりたいと考えてはおりますが、返礼割合の競争が加熱するなどの課題あるいは高額納税者優遇という指摘もあることから、これからも統一的なルールのもとで、寄附者が真に応援したい自治体にふるさと納税が行われていくような本来の原則に立ち返って、そうした制度の運用が国によって行われていくように、これからも私どもとしては注視をしていきたいし、またそのような制度になることを改めて要望などもしたいとは思いますが、そうした制度そのものがあってもいいのではないかというふうに考えてはおりますので、私どものほうから、その廃止を国に要望するということについては、現時点では考えておりません。
  次に、県市長会などにおいては、そうしたふるさと納税制度の見直しあるいは廃止などについて議論になったことはないのかと、またすべきではないかということでございますが、これまで県市町会において、そのような議論がなされたことはございませんが、市長会の際に、そうしたことについて、どうですかというふうな問いかけあるいは他の自治体、市の考え方などについては、伺っていくことはしてもいいのかなというふうに思います。
  それから、さらにその上部団体である地方六団体の中の全国市長会等でありますが、こちらでも、これまでこのふるさと納税に関する議論などはなされてはおりません。また、そうした問題提起などがなされたということもありませんが、これはさまざまな考え方が全国の市町村にはある結果であろうと思いますし、それを一つの意見にまとめていくというのは、なかなか難しいということも背景にあるのではないかと思いますが、今のような加熱ぶりが続いていけば、あるいはそうしたことが出てくる可能性も今後はあるかもしれません。注意をしていきたいというふうに考えております。
  以上です。


P.29
◆4番(針谷育造君) それでは、まとめに入りたいと思います。
  前鳥取県知事の片山善博氏は、「ふるさと納税が税制としてばかげた制度であることは、税務関係者の間ではつとに指摘されてきた。その上、ふるさと納税が価格破壊をしていることにも注目しなければならない。景品に半額宿泊券が使われたとすれば、半額に値下げされたに等しい。事実上のダンピングを政府が主導し、自治体が実施しているのである。また、政府は、余りの加熱ぶりに、返礼品は3割にとどめるようにとの指導をしているが、問題の本質は何ら変わっておらない。デフレを助長する効果を持っていることや本来自由な競争が保障されるべき市場を価格破壊によって混乱されていることについては、余り注目されてこなかった。あえてここで指摘する」と述べております。
  この言葉をかみしめながら、政府につまらぬそんたくをしないで市民の利益を守る、これが行政にとっては一番の大事なことであり、市長にとっても大事なことであると私は思います。猫に鈴をつける。廃止議論を地方六団体から始めるべきであることを述べて、質問を終わりたいと思います。





平成30年  3月定例会(第1回) - 02月21日-03号
P.62
◆4番(針谷育造君) 平成30年3月議会、一般質問、4番、市民クラブ、針谷育造であります。1、会計年度任用職員制度に対する市の対応について、2、思川開発事業について、3、小野寺北小旧校舎の保存についての3点、通告に従い一般質問をいたします。
  1、会計年度任用職員制度に対する市の対応について。平成29年5月11日、地方公務員法及び地方自治法の一部改正をする法律案が可決、成立しました。これを受け総務省は、6月28日に運用通知を発出。施行は、2020年4月1日とされ、今後、臨時、非常勤等職員の処遇が大きく変わることを受け、質問したいと思います。平成29年3月議会で人材育成と職場の実態について質問いたしました。
  (1)職員の実態について。一般事務職、保育職の正規職員数、フルタイムの臨時職員数について、その実態をまず伺いたいと思います。
  次に、臨時職員の職場配置での位置づけ、これを伺いたいと思います。
  臨時職員も含めた職場の主人公について伺います。前回の質問では、臨時職員が職場にいなかったら、職場は回らない。職場の主人公は職員ですとの答弁でございました。この考え方は、今でも変わりませんか。


P.62
◎総務部長(赤羽根則男君) おはようございます。本日の一般質問もよろしくお願いいたします。
  それでは、ただいまのご質問にお答えを申し上げます。職場の実態についてでありますが、本年2月1日現在で、消防職員を含めた正規職員数は1,372人、臨時職員は393人、非常勤職員は334人であります。このうち、一般事務職は、正規職員数が845人、臨時職員の一般事務補助が73人おります。また、一般事務職としての非常勤職員の任用はございません。非常勤職員の主な職種は、嘱託保育士、学校図書館事務員、学校支援員など資格職や特定な分野での任用であります。
  次に、保育職でありますが、市が設置しております公立保育園11園と認定こども園1園における保育士の人数は、園長を含め正規職員が96人、臨時保育士が73人、嘱託保育士が63人となっております。
  続きまして、臨時職員の職場配置での位置づけについてでありますが、臨時非常勤職員につきましては、一般事務のみならず、保育相談、学校教育などさまざまな分野の業務に従事し、職場によりましては正規職員と同様にローテーションを組むなど本市行政推進の重要な担い手として勤務していただいております。
  次に、臨時職員を含めた職場の主人公についてでありますが、昨年の3月議会でもお答えいたしましたが、行政サービスの最先端の現場においては、主人公は臨時非常勤職員を含めた職員一人一人でありまして、それぞれの職員が栃木市職員としての誇りと使命感を持ち、主体的に生き生きと職務に取り組むことが大切であると考えております。
  以上でございます。


P.63
◆4番(針谷育造君) 実態を伺いました。昨年の正規の職員数で聞いたときは1,385人。正規職員数が1,372人というふうに聞いて、若干減ったのかなという感じはいたしますけれども、質問を次に進めたいと思います。
  (2)会計年度任用職員制度とは何かについて伺いたいと思います。この会計年度任用職員という制度そのものがどのような経過で議論されてきているのか。私は、同一労働、同一賃金の観点からきていると思われますが、現状の制度と何がどう変わるのかを伺いたいと思います。この制度が本市で導入される経緯は何かを伺いたいと思います。


P.63
◎総務部長(赤羽根則男君) お答えを申し上げます。
  まず、現状の制度と何が変わるのかについてでありますが、主なものを2つ申し上げますと、まず1つ目は、地方公務員法の改正によりまして、特別職非常勤職員と臨時職員の任用要件が厳格化されまして、また嘱託員や相談員などの身分がこれまでの特別職から地方公務員法の規定が適用される一般職に変わることであります。本市を含め全国的に、保育や教育などさまざまな分野で働いている嘱託員などの多くは地方公務員法第3条第3項第3号の特別職の非常勤職員に位置づけられておりますが、地方公務員法の適用がないことから、信用失墜行為の禁止や守秘義務など同法に定める服務に関する規定が直接適用されないという課題がありました。このため、特別職非常勤職員の範囲を専門的な知識経験等に基づき助言、調査等を行う者に限定するとともに、嘱託保育士や学校図書事務員、外国語指導助手などの業務に従事する者については、新たに創設される会計年度任用職員として、地方公務員法の服務規律が適用される一般職に位置づけられることとなりました。また、臨時職員につきましては、これまでも一般職の扱いでありましたが、その任用に際しては、常時勤務を要する職に欠員を生じた場合に限定されることとなりました。
  次に、2つ目は、給与の関係でありまして、特別職の非常勤職員については、これまでどおり報酬しか支払うことができませんが、会計年度任用職員につきましては一般職の職員として、時間外勤務手当や期末手当など一定の手当を支給することができるようになりました。
  続きまして、この制度が本市で導入される経緯についてでありますが、平成29年5月の地方公務員法及び地方自治法の改正によりまして、新たに一般職である会計年度任用職員制度が創設されることとなりました。このたびの法改正は、臨時非常勤職員が地方行政の重要な担い手となっている現状にあることから、その適正な任用、勤務条件を確保するため行われたもので、本市におきましても法改正の規定に沿って、会計年度任用職員制度の導入を初め必要な措置をとらなければならないというものであります。
  以上でございます。


P.64
◆4番(針谷育造君) 法的には、服務規定とかいろいろ地方公務員法が規定を適用される厳しい一面もあらわれてきていると同時に、給与等では一定の前進があったというふうに理解をしたいと思います。
  再質問したいと思います。これらの職員について、正職員への道は開くことができるのでしょうか。その辺の考えがありましたらお聞かせください。


P.64
◎総務部長(赤羽根則男君) お答え申し上げます。
  正職員につきましては競争試験により採用されるということになりますので、臨時、非常勤につきましては、その経験を生かして採用試験に臨んでいただければ若干は試験に有利になる部分はあるかと思いますけれども、そのことによって優先的に任用するということはございませんので、あくまで一般のそれ以外の方と同じような競争試験を通っていただいて正規職員になるということになります。
  以上でございます。


P.64
◆4番(針谷育造君) そうしますと、競争試験に出て、そこでの試験の結果が採用されるということになるかなという感じはいたします。また、先ほど言いましたように、臨時職員が本当にたくさん職場にはおります。この人たちが精いっぱいの努力をしながら住民サービスを提供していることを先ほどの答弁でもわかりました。
  それでは、次に移らせていただきたいと思います。(3)人件費についての基本的な認識を伺うということでございます。まず、人件費の基本的なことを確認したいと思います。公務サービスには、ハード面、すなわち道路、公共施設などの利便性による住民サービスがあります。一方、ソフト面では職員による公務サービスであります。両方で住民サービスが成り立ち、両者は一体となり、住民に奉仕しています。ここでの根幹をなしているのは、すなわち職員、人であります。私は、人件費は公務サービスにおける事業費であると考えております。つまり労働することで、サービス、新しい価値を生み出していると基本的に認識をしています。このように考えれば、人件費が財政を圧迫している。人件費、平成30年度当初予算では、予算総額の17.9%、115億1,910万3,000円であります。20%を超えたから問題だなどの議論はいかがなものでしょうか。市民サービスの先頭に立っているのは職員一人一人です。この担い手は市役所の職員です。当然臨時職員も含まれ、職場は成り立っています。人件費も施設設備に投入する経費と同じように考えられないでしょうか。住民サービスを提供することで新しい価値を生むとすれば、職員経費も事業費と考えるべきではないでしょうか。
  そこで、伺います。人件費は、公務サービスにおける事業費であると考えることはどう思っておるのでしょうか。今までの答弁の中で、会計年度任用制度により人件費の増加が考えられます。どう対処するのか伺いたいと思います。


P.64
◎総務部長(赤羽根則男君) ご質問にお答え申し上げます。
  このたびの地方公務員法、地方自治法の改正は、臨時、非常勤職員の適正な任用、勤務条件の確保を図るために行われたもので、先ほどのご質問でお答えしましたとおり、個々の職員が生き生きと職務に取り組むためにも、法改正の趣旨に沿って、給与や休暇等の処遇面の改正に関して迅速に適切に対応することが必要だと考えております。
  ご質問の人件費につきましては、議員おっしゃるとおり、公務サービスの事業費であるという認識はそのとおりであります。このたびの人件費につきましても、法改正の趣旨に沿って市の旧制度を改正するということになるかと思いますが、これまでの臨時非常勤職員が会計年度任用職員としてそのまま移行し、期末手当が支給されるということになれば、1人当たりの給与の額が増加し、その総額も当然増加することが予想されております。しかしながら、市の財政状況がより厳しくなることが予測される中で、将来にわたり行政サービスのコストをいかに抑制していくかということがまた一つ大きな課題となっておりますので、情報通信技術の活用や民間委託の推進による業務改善等により、簡素で効率的な行政運営を図りつつ、正規職員、再任用職員も含めて、それぞれの必要性、役割を十分に検討した上で、適正な人員配置に努めていく必要があると考えております。
  以上でございます。


P.65
◆4番(針谷育造君) 人件費は、公務サービスにおける事業費である。そのとおりであるという非常に素直でうれしいご答弁をいただきました。
  それでは、最後になりますけれども、私の考えを述べて、この質問を終わりたいと思います。本市行政の中心にいるのは、市民と市職員です。送り手と受け手の関係から、相互に信頼するパートナーとなるべきであります。市民に信頼されてこそ、職員は輝くことができるのです。栃木市役所で働く全ての職員のことを考え、正規職員、臨時的職員の隔てなく、労働環境改善につながる対応をすべきであります。そのためには、職員が安心して働ける環境を、条件を、当局と職員組合が交渉し、納得することが重要であります。会計年度任用職員制度の導入に当たり、両者が十分な話し合いを強く求め、よりよい制度として運用することを望み、次の質問に移りたいと思います。
  2、思川開発事業について。(1)思川開発事業の進捗状況について伺います。国、県、県南広域的水道整備協議会の状況について、まず伺いたいと思います。


P.65
◎総合政策部長(茅原剛君) お答えを申し上げます。
  まず、思川開発事業の進捗状況でございますが、平成28年8月25日に国土交通省において同事業の継続が正式に決定をされ、平成29年3月27日に事業実施計画第5回変更が認可されております。この変更内容といたしましては、当初平成27年度までの工期でありましたが、平成36年度に延長したものでありまして、事業費約1,850億円については変更はありません。現在、ダム貯水池の北側に位置している付けかえ道路などの工事を行っております。
  また、本事業の利水参加者である県と関係市町で構成する県南広域的水道整備協議会は、平成19年に設立総会が開催されて以降開催されておりませんが、その下部組織であります県南広域的水道整備事業検討部会は平成28年度までに13回開催をされ、今年度は平成29年7月13日に開催をされた検討部会に本市では担当課長が出席をしております。その検討部会において、県より今後の進め方の案が示されました。それによりますと、今年度は取水施設、導水施設、浄水施設などの既存施設の資料を収集、把握し、活用に向けた調査検討をした上で、可能な範囲内で新設、既設設備活用等の複合型の可能性を検討し、考えられる組み合わせの整理を行うとしておりますが、現時点ではその調査検討結果は報告されていない状況であります。
  以上です。


P.65
◆4番(針谷育造君) 経過が説明されまして、県南広域的水道整備協議会、これは開催されていないけれども、検討部会が十数回開かれた、こういうことであります。
  それでは、(2)番の表流水(南摩ダム用水)導入の根拠について伺いたいと思います。極めてこの根拠が私にとっては曖昧である。必要のないことではないのかなと私は常々思っております。1つは、渇水対策のために必要だ。地下水汚染対策、地盤沈下対策、そして最後には水余りの現実との整合性について伺いたいと思います。


P.66
◎総合政策部長(茅原剛君) お答え申し上げます。
  まず、県は、県南地域における高い地下水依存率や地盤沈下、さらに地下水汚染などの状況から、地下水のみに依存し続けることは望ましくないと考え、将来にわたり安全な水道水の安定供給を確保するために、地下水と表流水とのバランスを確保するとして、思川開発事業に参画しております。本市としましては、この県の考え方に賛同しております。その理由は、長期的視点に立ち、将来における地下水の渇水、汚染、地盤沈下などの可能性を否定することができない。ひいては地下水に100%頼れない事態が生じるかもしれないという可能性を考慮し、市民生活及び産業に不可欠な水を安定的に確保するため、表流水を取得する権利を確保しておきたいという考えからであります。
  また、地下水の枯渇や汚染については過去において経験しており、地盤沈下につきましても、藤岡地域内に県が設置した観測地点の結果を見ますと、1994年の観測開始から昨年までに70ミリから84ミリの地盤沈下が見られるなどの状況があり、水道水との因果関係は明確ではありませんが、その可能性を否定するものではないと考えております。
  一方で、水余りが生じているのではないかというご意見でありますが、現在の水源の水量が足りているかどうかという考えだけではなく、将来にわたり安全、安心な水道水源の確保のために、危機管理上、地下水源の代替水源として表流水を確保していくことも必要であると考えております。
  以上です。


P.66
◆4番(針谷育造君) 今までの答弁が繰り返されたような気がいたします。渇水対策、地下水汚染、地盤沈下、どれをとっても都合のよいデータを用いての答弁だということで、これにはこの後、時間も余りありませんが、聞きたいことをただしていきたいと思います。渇水対策、地下水汚染、地盤沈下、まさに切り札のような答弁でありますけれども、渇水対策が一番心配されるのは河川水であります。地下水は、50メートル、100メートル地下に流れる地下水でありますので、渇水対策にとっては極めて安定した水源である、このようなことを考えております。再質問でもう一度答えてください。


P.66
◎総合政策部長(茅原剛君) 議員のご指摘の点もあろうかと思いますが、私が先ほど申し上げましたこれまでの答弁と同じ内容になりますが、そういったことも否定することができないという状況の中での答弁でありますので、ご理解をいただきたいというふうに思います。


P.66
◆4番(針谷育造君) 地下水汚染対策、地盤沈下についても聞きたいところでありますけれども、同じような答弁であるというふうな予測がつきますので、違う視点から再質問したいと思います。
  栃木市は現在、1日2万立米、いわゆる2万トンの供給の余裕があります。そこへさらに県から2万立米、合計4万立米が栃木市民のところに水源、水道として供給されるとすると、これは計算では何万人ぐらいになるのでしょうか。私のほうから答えておきたいと思います。17万2,400人。この根拠は、県でこの計画をしている使用水量は、1人232リットルで計画をしております。現在の人口が16万人でございますから、さらに17万人が増えるという可能性、全く架空の数字で映るのではないでしょうか。これらのことについて本当に、危機管理等いろいろ理由はあるかと思いますけれども、この数字についての考え方があったら聞かせていただきたいと思います。


P.67
◎総合政策部長(茅原剛君) 人口の人数分だけ水を確保すればいいということではないというふうに基本的には思います。先ほど申し上げましたように、水を安定的に供給するというのは、当然それだけではなくて、リスク管理を行った上で水を供給をしていくということでございますので、やはりどういう事態が起きるかわからない可能性もあるという中において、確保できる水は確保していく必要があるというふうに考えます。
  以上です。


P.67
◆4番(針谷育造君) 次は、市長にお尋ねしたいと思います。
  水道料金の大幅値上げについての懸念であります。全国でダム用水を敬遠する状況が企業の中では進んでおります。この実態について、どのように認識しておるのでしょうか。
  そして、重大な市民生活になくてはならないこの水の問題について、市民にその説明や市民の声をどのように聞くのか伺いたいと思います。
  地下水の涵養と地下水利用の水道を市民は願っていると思います。市は、最少の経費で最大の効果を上げる。地方自治法第2条第1項第14号を今こそ貫いてほしいと考えます。料金の大幅値上げの懸念、見通しについて伺いたいと思います。


P.67
◎市長(鈴木俊美君) 本市といたしましては、県南広域的水道整備協議会、そして県南広域的水道整備事業検討部会において、それぞれ県南地域、県南地域というのは、栃木市、壬生町、下野市、それから野木町を指しておりますが、を対象とする広域的水道整備計画、あるいはその事業について検討しているところでありますが、現時点においては市民に具体的な内容について説明する段階にまでは達しておりません。しかし、市民の皆様にとりましては、水道水源の課題は身近であり、重要なことでありますから、より理解をしていただくために、平成29年の11月号の広報とちぎにおいて事業の現状については既にお知らせをしております。今後につきましても、今後につきましても、事業の進捗、あるいは協議の進展が見られた場合には、広報とちぎ等の媒体を通してお知らせをしてまいります。
  議員がご指摘の地下水から表流水への一部転換に伴う水道料金の大幅な値上げに対する懸念についてでありますが、将来県から用水の一部供給を受けるとなった場合は、市はそれを買うことになるわけでありますから、その費用を市の水道料金に転嫁するかどうかは確かに検討材料となってまいりますが、現時点ではそれらの内容については、再三申し上げておりますとおり、全くの白紙の状態でありまして、検討するにもその検討の材料は現時点ではありませんので、大幅な値上げになるのかどうか、小幅な値上げなのか、あるいは値上げせずに済むのか、これらのことについては現時点ではまだお答えする段階にはないと言わざるを得ないところであります。今後、こうした検討材料が示された場合には、県からの用水の供給を受けるかどうか、その場合の水道料金をどうするのか、供給を受ける量はどうなるのかといったことについて、議会との協議や市民の皆様にもご参加をしていただく検討委員会のような機関を通しての検討は必要になってくると考えております。
  以上です。


P.68
◆4番(針谷育造君) 料金の値上げについては全くわからない。白紙である。
  市長に再度聞きたいと思います。この事業について、県には栃木市、壬生町、下野市、小山市、鹿沼市が理解を示しているという表明は再三新聞報道でありますけれども、理解を示すことと水を買うことは別だよと前に答弁があったような気がいたしますけれども、本当にそのことは貫けるのかどうか、市長に再度聞きたいと思います。


P.68
◎市長(鈴木俊美君) 栃木市並びに今おっしゃった県南の各自治体などが県の方針、考え方に理解を示すと言っておりますのは、先ほど総合政策部長が答えたように、地下水に100%頼っているだけではなくて、一部表流水を水道用水として用いることが必要ではないか、またそういうときが来るのではないか、そのときに備えておく必要はあるのではないかという、その考え方には賛同いたしますと言っているわけでありまして、そのことと将来県が、ではその表流水を水道水として地元の自治体に販売といいますか売る場合にそれが幾らになるのか、またその量がどのくらいになるのか、こうしたことについても協議をしていくということになっているわけでありまして、それについてはまだほとんど進展がないということをこれも再三申し上げているわけであります。それらが示されたり、あるいは一定のデータなどがわかってきたりした場合は、それをもとに具体的に検討を始めなければなりませんが、その結果として余りにも市に対する、市の財政的な負担等が課題になるようであれば、これはその時点でどうするかを検討、判断しなければならないだろうというふうに思います。その際、やはり自治体は市民のために存在しているわけでありますから、市民にとっての負担が大き過ぎるというふうな判断をすれば、これはそれに沿った自治体としての最終的な判断をこれはしていかざるを得ないだろうというふうに思います。また、それをするのはまさに自治体の役目だろうというふうに思っております。
  以上です。


P.68
◆4番(針谷育造君) それでは、次に移りたいと思いますけれども、一言その前に、これは下野新聞の記事であります。平成29年9月5日。県の鬼怒工水という工業用水。ダムを使った水がどのくらい利用されているかということが、55%が残念ながらダムの水を企業は買っていない、利用していないという報道がございました。そのことを申し上げて、次に移らせていただきたいと思います。
  (4)水道行政の課題は老朽化対策の施設整備が先なのではないか。その事業を実施する場合、施設の実態はどうなっているのか。そして、その経費について伺いたいと思います。


P.68
◎市長(鈴木俊美君) 現在、全国的にさまざまなインフラの老朽化ということが課題となっておりまして、ご指摘のとおり、栃木市の水道行政においても老朽化した施設の更新は大きな課題の一つであります。また、本市の水道は100%地下水を水源としていることはご案内のとおりでありますから、それに伴うかもしれない地盤沈下であるとか、あるいは地下水の汚染などがないとは限らないわけでありますので、そうしたことへの備え、研究なども危機管理の観点からは大変重要な課題であります。
  現在把握しております水道施設の老朽化対策で必要な主なものといたしましては、栃木地域の薗部、大塚浄水場、それから岩舟地域の岩舟第1浄水場と3つの浄水場における電気、機械設備が設置後おおむね30年から40年と耐用年数を大幅に経過しております。また、管路では既に185キロメートルが耐用年数を超えておりまして、特に藤岡、岩舟地域において昭和40年代に布設された石綿セメント管が約18キロメートル残っております。さらに、導水管、送水管、配水本管などの基幹管路の耐震化率は26.1%でありまして、全国平均の38.7%をかなり下回っております。耐震管への更新が必要となっております。
  このような水道施設の老朽化対策は、本市だけではなくて全国的な課題ではありますが、国から水道施設の更新計画や水道事業経営の安定化などを図ることを目的とした水道ビジョンの策定を求められております。そのため、本市でも将来を見据えた水道事業の理想像を明示をし、当面の目標を計画策定から10年後とする水道ビジョンを平成29年度から平成30年度にかけて作成をしているところであります。このビジョンでは、施設の重要度、優先度、投資効果などを踏まえ、更新、投資の平準化を図る、アセットマネジメントというのだそうでありますが、アセットマネジメントの手法を取り入れ、長寿命化を考慮した施設の効率的な運用と施設の耐震化など財政計画と整合のとれた更新計画も含め策定を進めているところであります。
  お尋ねの施設整備に伴う経費でありますが、このビジョンの策定の中で整備事業費などを積算をしている最中でありますので、策定終了後には改めてご報告させていただきますので、現時点では計算中ということでご理解をいただきたいと思います。


P.69
◆4番(針谷育造君) 今後の方針において、水のまち栃木の特色を生かすことは最も大事なことではないのかなと思います。本市の宝は3つあると思います。若者、子育て日本一の栃木市が第一。蔵の街栃木市、これも宝です。そして、最後に、水のまち栃木市を加えることを提案したいな。生かすべきであるというふうに私は思っております。市長といえども、10年後の栃木市民に高くてまずい水が予想される、そのようなことを押しつけることはいかがなものかと私は思っております。先ほどの答弁の中でも、そのような考えはないことはわかりました。思川開発事業について、国、県に忖度するのか、市民の生活に寄り添い忖度をするのかが問われているような気がいたします。
  次の質問に移らせていただきます。3番、小野寺北小旧校舎の保存についてであります。この質問は、平成26年、平成27年、平成28年、保存について伺いました。県内最古の学校であり、私たちの知る限りでは貴重な文化財であると確信し、その価値を市も認めています。
  (1)文化財としての自治体の責務についてお伺いしたいと思います。文化財保護法の視点及び平成26年、当時東京芸大の教授でありました上野勝久先生の評価をどう受けとめているのかを伺いたいと思います。


P.69
◎生涯学習部長(鵜飼信行君) お答えを申し上げます。
  文化財としての自治体の責務についてでありますが、これまで本市では文化財の保存が適切に行われるよう、地方公共団体の任務をうたった文化財保護法第3条及び所有者の心構えをうたった第4条の趣旨の徹底に努めてきたところであります。小野寺北小旧校舎につきましても、歴史的価値が高く、文化財として貴重な建造物であるとの大学院教授などの岩舟町時代における調査結果を真摯に受けとめ、本市独自に専門家による調査研究を行った結果、明治期に全国各地で建設された木造和風校舎の典型的な小学校建築であり、栃木県内で3例のうちの1例で歴史的価値があるとの評価を受けており、その歴史的価値については十分に認識をしているところであります。しかしながら、文化財を保護するに当たりましては、文化財保護法第1条でうたう、保存かつ活用を図るという側面とともに、さまざまな保存、活用方法とその概算事業費などをもとに、個々において適切な方法を検討していかなければならないと考えております。
  小野寺北小旧校舎につきましては、平成27年9月議会でお答えしましたが、建物のたび重なる改造が行われていることや土砂災害特別警戒区域に立地しており、今後の活用が難しい点などを総合的に判断して、市指定文化財の指定は難しいこと、市の方針としては、建物全体の詳細な調査を行い、記録として残し、建物を解体の上、一部の部材を保存して小学校の歴史を後世に伝えていくことをお答えしておりますので、ご理解をいただきたいというふうに思います。


P.70
◆4番(針谷育造君) (2)今のような回答をいただき、そして私どももそのことについては承知をしておるわけでありますけれども、解体方針の再検討と保存ということについて再度伺いたいと思います。旧校舎を文化財として指定し、適切に保存すべきと思うが、市はどのように考えておるのでしょうか。平成29年度、もう残り少なくなりましたけれども、解体予算の取り扱い及び平成30年度予算措置について伺いたいと思います。


P.70
◎生涯学習部長(鵜飼信行君) 先ほど答弁したとおり、平成27年度に調査の記録と一部の部材を保存して小学校の歴史を後世に伝えていく方針を決定し、平成28年度の当初予算に事業費を計上して、市の方針について地元説明会を実施して、記録保存のための調査や解体の際に保存すべき部材の検討などを進めてまいりました。平成28年12月に地元の方々から解体中止の要望があり、市の方針転換には説得力のある地域の皆様みずからが主体となったまちづくり計画の作成が必要であるというふうにさせていただいたところであります。現在は、小野寺ふれあい会準備会からの再三にわたる解体中止の要望を受け、まちづくり計画書の提出を待っている状況でございまして、平成29年度においても予算の執行を見送ったところであります。現時点で市の方針に変更はなく、平成30年度の当初予算案に解体と一部部材保存に係る事業費を計上しております。
  以上です。


P.70
◆4番(針谷育造君) それでは、次に移りたいと思います。
  小野寺ふれあい会準備会の「小野寺歴史と文化の道構想」骨子案について報告をしながら答弁を求めたいというふうに思います。この校舎は、県内最古の明治期のありふれた和風建築の校舎であります。長野県にある開智学校など洋風建築で特色のある校舎は、外見上も目立つために文化財として保存されてきました。しかし、ありふれた和風建築の校舎は、ありふれているがゆえに後世に残っていません。だからこそ貴重な北小旧校舎を歴史と文化に恵まれた小野寺地区の宝として利活用しようと考え、骨子案をつくりました。少し引用が長くなるかと思いますけれども、お聞きください。文化財としての北小校舎、これは先ほど言いましたように、芸大の上野勝久先生初め多くの専門家は高い関心と保存を訴えております。そして、先ほど部長の話にもありましたように、小野寺歴史と文化の道の拠点としての利活用をこの校舎で考えていきたい。1つは、慈覚大師円仁、小野寺氏の資料館として活用したい。平安時代岩舟で生まれた慈覚大師円仁は、唐に渡り修業を重ね、その経験を「入唐求法巡礼行記」にあらわし、後に第3代天台座主となりました。この「入唐求法巡礼行記」は、現在国法に指定をされております。しかし、円仁の展示施設等は、残念ながら全国的に見てもありません。そこで、円仁の遣唐使としての求法の旅の行程などに関する資料を展示して、全国でも例のない円仁資料館としたい、このように考えております。
  また、小野寺氏は、平安末期、平治の乱ごろから歴史に登場します。小野寺禅師太郎通綱は、1180年ごろ法然上人の門をたたき、その後一遍上人がこの小野寺の地を訪れて、住林寺に雨宿りのために立ち寄っております。国宝「一遍上人絵伝」に描かれているとおりであります。このように、小野寺は全国の小野寺氏の発祥の地であり、菩提寺は住林寺となっています。小野寺氏に関する資料もあわせて展示して、全国の小野寺氏のよりどころの一つとしての活用も考えられております。
  2つ目は、教育資料館として活用する。実際に使っていた明治、大正、昭和の教科書や教材、各課にまだ眠っている教材があります。それらを集めて展示し、北小学校で行われた教育の資料館としてぜひ活用をしていきたい。
  3番目として、明治の木造校舎の体験学習施設として活用する。今の子供は木造校舎を知りません。当時使っていた机や椅子を確保するなど、木製のぬくもりのある体験授業の場として活用したい。夏休みの時期などに合わせて、小学生等を招いて体験学習を行うことは可能であります。順調にいけば地元での民泊等も考えられると思います。
  4番目として、小野寺歴史と文化の道としての観光コースの設定であります。慈覚大師が学び、一遍上人が歩き、小野寺氏一族が全国へ勇躍していった歴史と文化にあふれた道であります。そこでの観光案内、展示、イベント施設として旧校舎を利活用することが考えられます。栃木市の観光は蔵の街だけではありません。岩舟地区には、関東の霊場岩船山、石の資料館、三毳山、小野寺の重要文化財であります村檜神社、大慈寺、住林寺、北小校舎などすぐれた観光資源があります。小野寺を栃木の奥座敷として認識をし、歴史と文化の道を広く知らせていくことが大切であります。その拠点としての利活用ができるのがこの旧校舎であります。木造校舎の音響のよさを生かしたミニコンサートや民話を語る会などの活用も考えられます。また、明治期の木造校舎はロケ地にも絶好であります。既にロケ現場にもなったことがありますけれども、フイルムコミッション等にアクセスをしながら、こういう校舎がまだ残っているよと。そのようなことで、むらづくりに大いに活用できるのではないかなというふうに思います。
  3番として、管理運営体制についてであります。6,000人の卒業生、物故者もおりますけれども、保存のための基金を呼びかけながら、地域づくり応援補助金などを活用し、小野寺ふれあい会準備会、地域会議のまちづくり組織として位置づけ、オール小野寺でソフト面の運営ができるよう検討を進めていきたいと思います。
  このような中で、歴史と伝統、地域の思いと愛着がしみ込んだ木造の旧校舎でしかできないことがあります。私たちは、小野寺のあすを信じ、新たな活躍の場をつくりたいと考えております。小野寺歴史と文化の道の拠点として、北小旧校舎は新たなむらづくり活動に活用したいと考えております。
  そこで、市の方針は、一部部材を保存して解体の方針であります。小野寺ふれあい会準備会の小野寺歴史と文化の道構想骨子案を述べましたけれども、このことについて市の方針を変えるつもりはあるのかないのかを伺いたいと思います。


P.71
◎生涯学習部長(鵜飼信行君) お答えを申し上げます。
  文化財につきましては、昨年国におきましてこれからの文化財の保存と活用のあり方について検討がなされ、これまでの個別の保護措置から、これからは地域の歴史的、文化的資源を総合的に把握し、地域全体を総合的に捉え、まちづくりとして文化財の保存活用を考えていくという方向性が示されました。岩舟地域には、国の重要文化財である村檜神社や慈覚大師円仁ゆかりの大慈寺や高平寺、関東の高野山とも言われる岩船山高勝寺など貴重な歴史的遺産が数多く残っておりまして、市といたしましても国の示している新たな方向で、その保存活用を進めていきたいというふうに考えております。今後地域の文化財を生かしたまちづくりを進めていく上では、地元の皆様のお力がぜひとも必要になってくると考えており、小野寺地区の皆様にも期待しているところであります。
  議員お尋ねの小野寺歴史と文化の道構想の骨子案でありますが、小野寺ふれあい会準備会の解体中止要望書に添付されたもので、準備会の歴史文化部会において検討中のものということであります。その内容は、ただいま議員のほうからご説明がありましたが、小野寺北小旧校舎の活用案を主としたものであり、地域全体のまちづくり計画とするには内容も十分とは言いがたく、骨子案というふうなことだけありまして、まだまだ練り上げる必要があるというふうな印象を受けました。小野寺北小旧校舎について、現段階では解体の上、一部部材と記録保存の市の方針は変わっておりませんが、今後一日も早く地域の総意として地域住民の皆様が主体となった熟度の高い地域全体のまちづくり計画を策定していただければというふうに思います。市といたしましても、地域全体の活性化につながる歴史的、文化的資源を生かしたまちづくりについては、地域の皆様と市の役割分担の中ででき得る限りの支援をしてまいりたいと思いますので、ぜひとも自分たちが主体となる実現可能なまちづくり計画を考えていただきたいというふうに思います。
  以上です。


P.72
◆4番(針谷育造君) 大変示唆に富んだ、バックアップも含めた答弁であったというふうに思います。地域の者にとっては、それらのことを十分承知しながら、これから練り上げていきたいと思っております。
  最後になりますけれども、文化的な建物等の価値は多くの人にはなかなか認められないというのが現実にはあります。明治期に廃仏毀釈の嵐の中でそれを救ったのは、フェドロサと岡倉天心であると言われております。これらの文化人がそのことにいち早く気づき、社会に訴えたことが今の文化財保護法等に結実し、日本の伝統であるいろんなものに影響している、このように思っております。仏像が放置され、野ざらしにされている中で、その文化的価値を日本人に知らしめ、保存に奔走した話は有名であります。壊せば全てが断ち切られ、記憶のかなたに消えていきます。120年余の歴史的建造物を朽ち果てたり解体するなどは、歴史への冒涜ではないかと思います。ぜひ栃木市の歴史と文化のまちにふさわしく、保存することを市の責任で取り組んでいただくことを強く求め、ソフト面は、先ほどありましたように、地元で頑張る、そのことを述べまして、質問を終わりたいと思います。